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※本記事は、法務省・国税庁・国民生活センターなど公的機関の公表資料をもとにまとめたものです。個別の状況における具体的な判断が必要な場合は、必ず弁護士や司法書士などの専門家にご相談ください。
ご家族が亡くなられたあと、「クレジットカードはどうすればいいのだろう」と気になった方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、クレジットカードは名義人が亡くなっても自動では解約されません(出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」)。手続きをせず放置すると、年会費の請求が続くだけでなく、使った分の未払い残高は相続財産として、ご家族が引き継ぐことになります。
このページでは、年会費の請求を止める方法、未払い残債の扱い、家族カードがある場合の注意点、実際の解約手続きの流れまで、順を追って解説します。
放置すると年会費の請求は止まりません

クレジットカードの会員資格は名義人本人だけのものです。ご家族が代わりに使い続けることはできません。
一方で、解約の手続きをしない限り、年会費の請求は止まりません。カード会社は名義人の生死を自動的に把握できる仕組みを持っていないためです(出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」)。
年会費は多くの場合、1年に1度、決まった月に引き落とされます。カードに記載された有効期限を確認しておくと、次にいつ請求が発生するかの目安になります。
また、使われないまま残されたカードは、不正利用のリスクも伴います。他の手続きで忙しい時期であっても、できるだけ早めにカード会社へ連絡することをおすすめします。
未払い残債は相続財産として引き継がれます

亡くなる前にすでに利用していた分の未払い残高は、預貯金や不動産と同じく、相続財産の一部として扱われます。
民法第896条は、「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定めており、借金などのマイナスの財産も相続の対象になります(出典:民法第896条(e-Gov法令検索))。
相続人の範囲は、配偶者が常に相続人となり、それ以外は子(第1順位)、直系尊属(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)の順に配偶者とともに相続人になります(出典:国税庁 タックスアンサー No.4132「相続人の範囲と法定相続分」)。
- 配偶者と子供が相続人の場合:配偶者2分の1、子供全員で2分の1(出典:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」)
- 配偶者と直系尊属が相続人の場合:配偶者3分の2、直系尊属で3分の1(出典:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」)
相続放棄をした方は、初めから相続人ではなかったものとみなされるため、その方には未払い分の支払い義務は生じません(出典:国税庁「相続人の範囲と法定相続分」)。
引き継ぎたくない場合は「相続放棄」という方法も
未払い残債を引き継ぎたくない場合は、相続放棄という方法があります。相続放棄をすると、債務だけでなく預貯金などのプラスの財産も一切引き継がないことになります(出典:法務省「相続放棄等の熟慮期間の延長を希望する方へ」)。
相続放棄には、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月以内に家庭裁判所へ申し出るという期限があります。この期限を過ぎると、財産も債務もすべて引き継ぐ「単純承認」をしたとみなされてしまいます。
なお、相続放棄を検討している間に故人の財産から未払い分を支払ってしまうと、単純承認とみなされ、後から相続放棄ができなくなるおそれがあります。判断に迷う場合は、支払いの前に専門家へ相談することをおすすめします。
家族カードを使っていた場合の注意点

本会員(名義人)が亡くなった場合、家族カードもあわせて使えなくなります。家族カードは本会員の契約に付随するものであり、本会員とは独立した契約ではないためです。
注意したいのは、家族カードで利用した分の未払い金です。家族カードの利用分も本会員の債務として扱われるため、家族カードを使っていた家族自身ではなく、相続人全体の支払い義務になります。
つまり、「家族カードを使っていたのは自分だから、自分だけの問題」というわけではありません。本会員のカード全体の債務として、相続人みんなで状況を確認しておく必要があります。カード会社に連絡する際は、家族カードの利用分も含めて残高を確認してもらいましょう。
実際の解約手続きの流れ

1. どのカード会社と契約していたかを確認する
亡くなった方のカードの実物が見つかれば話は早いですが、見つからない場合は、通帳の引き落とし履歴やスマートフォンに届いたメールなどから契約先を探すことになります(出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」)。
スマートフォンやパソコンにロックがかかっていると、携帯電話会社の店舗であっても解除はできないと案内されるケースがあり、調査に時間がかかることもあります(出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」)。
2. カード会社のカスタマーサポートに連絡する
契約先が分かったら、カード会社のカスタマーサポートに連絡し、名義人が亡くなった旨を伝えます。案内される必要書類はカード会社によって異なりますが、死亡の事実が分かる書類の提出を求められる場合があります。
あわせて、未払い残高の有無、家族カードの利用状況、付帯保険の請求可否についても、この時点で確認しておくと二度手間になりません。
3. 複数枚ある場合は一枚ずつ確認する
クレジットカードを複数枚持っていた場合は、1枚ずつ契約先を確認し、それぞれ解約の手続きを進める必要があります。ポイントやマイルが相続できるかどうかは、カード会社や規約によって異なるため、解約前に確認しておくとよいでしょう。
よくある質問
Q. 相続放棄をする場合、カードの解約手続きはしてもいいですか?
解約の連絡自体は問題ないとされることが多いですが、未払い分の支払いを進めてしまうと単純承認とみなされるおそれがあります。相続放棄を検討している場合は、支払いを伴う手続きを進める前に、専門家に確認することをおすすめします。
Q. 家族カードを持っていた家族が、代わりに未払い分を払うことになりますか?
いいえ、家族カードの利用分も本会員の債務としてまとめて扱われるため、支払い義務を負うのは家族カードを使っていた本人ではなく、相続人全体です。相続人の間で、誰がどのように支払うかを話し合う必要があります。
Q. 未払い残高がいくらか分からないときはどうすればいいですか?
カード会社に連絡すれば、名義人死亡の手続きの中で残高を確認してもらえます。財産と債務のどちらが多いか分からず相続放棄・限定承認の判断に迷う場合は、家庭裁判所への申述期限(3か月)を意識しつつ、早めに法テラスなどの専門機関に相談してください。
相談窓口

クレジットカードそのものの解約手続きは各カード会社への連絡が基本ですが、相続放棄・限定承認をすべきかどうかの判断は、財産と債務の全体を見きわめる必要があり、法律の知識が求められます。判断に迷う場合は、必ず下記のような専門機関へご相談ください。
- 相続に関する法制度の問い合わせ窓口:法テラス(日本司法支援センター)サポートダイヤル 0570-078374(平日9:00〜21:00、土曜9:00〜17:00)
- 相続人の範囲・法定相続分について知りたいとき:国税庁 タックスアンサー「相続人の範囲と法定相続分」
- デジタル遺品や契約トラブルについて相談したいとき:消費生活センター(国民生活センター 相談窓口案内)
「知らずに請求が続く」を防ぐための事前の備え
契約に関する解約手続きが分かりにくいのはクレジットカードだけの話ではありません
総務省の調査でも、契約者が亡くなった後の解約手続きについて、周知が十分ではないという行政相談が寄せられていることが指摘されています。契約時の案内やホームページでの説明だけでは、ご遺族にとって分かりづらいのが実情のようです(出典:総務省「NHKの受信契約の解約手続等の周知」)。だからこそ、生前からの備えが安心につながります。
契約しているサービスとID・パスワードの整理をしておきましょう
ご本人が(クレジットカード決済で)どの事業者と契約していたのかを、あらかじめサービス名・ID・パスワードとしてまとめておくと、ご家族が調査にかかる負担を減らすことができます(出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」)。
▶あわせて読みたい「デジタル終活チェックリスト|SNS・ネット銀行・パスワード管理を解説」
エンディングノートの活用も検討してみましょう
エンディングノートとは、ご自身に何かあったときに備えて、ご家族が判断や手続きを進めるために必要な情報を残しておくノートです。法務省・日本司法書士会連合会が無料で公開しており、クレジットカードを含む契約情報やパスワードの整理にも活用できます(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート〜あなたに届け、わたしの想い〜」2023年8月改訂)。
まとめ
- クレジットカードは名義人が亡くなっても自動では解約されず、放置すると年会費の請求が続く
- 未払いの利用残高は相続財産の一部として扱われ、民法896条により相続人がその支払い義務を引き継ぐ
- 引き継ぎたくない場合は「相続放棄」、財産の範囲内で引き継ぐ「限定承認」という選択肢があり、期限は3か月
- 家族カードの利用分も本会員の債務としてまとめて扱われ、支払い義務は相続人全体に生じる
- 複数枚ある場合は1枚ずつ、カード会社に連絡して残高や家族カードの状況を確認する
- 生前からサービス名・ID・パスワードやエンディングノートで契約状況を整理しておくと、ご家族の負担を減らせる
今日できることがあれば、1つずつ・少しずつ整理していきましょう。

























