確定拠出年金の受け取り方と税金|死亡一時金の相続税と自動移換の手続き

本ページはプロモーションが含まれている場合があります。

確定拠出年金(iDeCo・企業型DC)は、積み立てるときより「受け取るとき」と「遺すとき」のほうが難しい制度です。

受け取り方を一時金にするか年金にするかで税金が変わります。退職金と受け取る順番によっても変わります。そして本人が亡くなったとき、遺族が5年以内に請求しないと相続財産として扱われてしまうという期限を、知らない方は少なくありません。

この記事では、終活の視点から「受け取り方の税金」「亡くなったときの手続き」「放置された資産の確認」の3つに絞って整理します。

先に結論だけ

  • 受け取り方は「一時金」「年金」「併用」の3種類。税金の扱いが大きく違います
  • 一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象になります
  • 退職金と受け取る順番・間隔によって、控除が使えないことがあります
  • 亡くなった場合、遺族が死亡一時金を請求します。相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の対象です
  • 請求は死亡日から5年以内。過ぎると相続財産として扱われ、非課税枠が使えなくなります
  • 転職・退職時に手続きを忘れると「自動移換」され、運用されないまま手数料が引かれ続けます

この記事の位置づけ

本記事は制度の仕組みを整理した一般的な情報です。個別の税額計算や、どの受け取り方が有利かの判断は行っていません。税制は改正が続いており、加入可能年齢・掛金上限・受給開始年齢・控除の要件も変更されます。実際の判断にあたっては、国税庁のタックスアンサー、iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)、加入先の運営管理機関、および税理士に必ずご確認ください。

目次

  1. 確定拠出年金とは|iDeCoと企業型DCの違い
  2. 終活で確認すべき3つのこと
  3. 受け取り方は3種類【比較表】
  4. 一時金で受け取る場合の税金
  5. 退職所得控除の早見表
  6. 退職金と重なるときの調整ルール
  7. 年金で受け取る場合の税金
  8. 受給開始年齢と通算加入者等期間【早見表】
  9. 亡くなったときはどうなる|死亡一時金
  10. 死亡一時金の相続税と、5年の請求期限
  11. 受取人を指定できる|順位のルール
  12. 「自動移換」に注意|放置された年金資産
  13. 自動移換されているか確認する方法
  14. 障害給付金・脱退一時金という受け取り方
  15. 遺族が行う手続きの流れ
  16. エンディングノートに書いておくこと
  17. 確定拠出年金でよく聞かれること
  18. 確定拠出年金で押さえること

確定拠出年金とは|iDeCoと企業型DCの違い

確定拠出年金は、拠出した掛金を自分で運用し、その運用結果によって受け取る額が決まる年金制度です。あらかじめ受け取る額が決まっている確定給付企業年金(DB)とは、この点が根本的に違います。

iDeCo(個人型)企業型DC(企業型)
誰が加入するか自分で申し込む勤務先が制度を導入している場合に加入
掛金を出すのは本人会社(マッチング拠出で本人も出せる場合あり)
金融機関自分で選ぶ会社が指定
口座管理手数料本人負担会社負担が多い
掛金の所得控除小規模企業共済等掛金控除会社拠出分は課税されない
転職・退職したらそのまま継続できる移換の手続きが必要
受け取り方どちらも一時金・年金・併用から選べます(規約による)

終活の場面で問題になるのは、ほぼ企業型DC

iDeCoは自分で申し込むため、本人が存在を忘れることはあまりありません。問題が起きやすいのは企業型DCです。会社が加入させたので本人の意識が薄く、退職時に手続きを忘れる。これが後述する「自動移換」の原因になります。

終活で確認すべき3つのこと

  1. いま、どこにいくらあるかiDeCoなら運営管理機関、企業型DCなら勤務先の制度。過去に勤めた会社の分が残っていないかも含めて確認します
  2. どう受け取るか一時金か年金か。退職金や公的年金との組み合わせで税負担が変わります
  3. 亡くなったとき誰が受け取るか受取人を指定しているか。家族がその存在を知っているか。ここが最も重要です

家族が知らなければ、請求されないまま消えます

確定拠出年金は、本人が亡くなっても金融機関から自動的に連絡が来るわけではありません。遺族が存在を知り、自ら請求して初めて支払われます。財産目録やエンディングノートに書き残しておくことが、そのまま資産を守ることになります。財産目録の書き方もあわせてご覧ください。

受け取り方は3種類【比較表】

一時金(一括)年金(分割)併用
受け取り方全額をまとめて5〜20年にわたり分割一部を一時金、残りを年金
税金の区分退職所得雑所得(公的年金等)それぞれの区分で計算
使える控除退職所得控除公的年金等控除両方
課税のされ方控除後の金額の2分の1が課税対象。他の所得と分離他の所得と合算して総合課税-
社会保険料への影響影響しない国民健康保険料・介護保険料が上がることがある年金部分が影響
受け取り中の運用終了残額は運用が続く年金部分は運用が続く
口座管理手数料受け取り後は不要受け取り終了までかかる同左
向いている場合退職金が少ない/勤続年数が長い他に収入がない期間に分散したい退職所得控除の枠を使い切りたい

※ 選べる受け取り方や分割の年数は、加入している制度の規約や運営管理機関によって異なります。併用に対応していない場合もあります。

年金受け取りは社会保険料に跳ね返ります

年金として受け取る分は雑所得になり、他の所得と合算されます。その結果、国民健康保険料・介護保険料・医療費の自己負担割合が上がることがあります。税額だけを比べて判断すると、この部分を見落とします。

一時金で受け取る場合の税金

一時金は退職所得として扱われ、次の順で計算されます。

計算の流れ

  1. 退職所得控除額を出す(勤続年数に相当する期間から算出)
  2. 受取額から控除額を引く
  3. 残った金額の2分の1が課税対象(退職所得の金額)
  4. 他の所得と分離して課税される

控除額を下回れば税金はかかりません。超えた分も半分しか課税されないため、退職所得は税制上かなり優遇されています。

確定拠出年金の「勤続年数」とは

退職所得控除の計算に使うのは、勤めた年数ではなく掛金を拠出していた期間(通算加入者等期間)です。1年未満の端数は切り上げます。iDeCoに10年3か月加入していたなら「11年」として計算します。

退職所得控除の早見表

拠出していた期間退職所得控除額計算式
5年200万円40万円 × 5年
10年400万円40万円 × 10年
15年600万円40万円 × 15年
20年800万円40万円 × 20年
25年1,150万円800万円 + 70万円 × 5年
30年1,500万円800万円 + 70万円 × 10年
35年1,850万円800万円 + 70万円 × 15年
38年2,060万円800万円 + 70万円 × 18年
40年2,200万円800万円 + 70万円 × 20年

※ 20年以下は「40万円 × 年数」(80万円に満たない場合は80万円)、20年超は「800万円 + 70万円 ×(年数-20年)」です。1年未満の端数は切り上げます。最新の要件は国税庁のタックスアンサーでご確認ください。

具体例で見る

iDeCoに25年加入し、1,000万円を一時金で受け取る場合。
控除額は1,150万円なので、受取額1,000万円はこれを下回ります。
→ 課税される所得はゼロ。所得税・住民税はかかりません。

同じ25年で1,500万円を受け取る場合。
1,500万円 − 1,150万円 = 350万円 → その2分の1の175万円が課税対象になります。

退職金と重なるときの調整ルール

ここが最もつまずきやすい部分です。会社の退職金と確定拠出年金の一時金を、それぞれ別に控除できるとは限りません。

両方を近い時期に受け取ると、期間が重なる部分について控除が調整され、結果的に控除枠を二重に使えなくなります。何年空ければ調整を受けずに済むかは、受け取る順番によって異なります。

受け取る順番調整を受けずに済む間隔通称
確定拠出年金の一時金 → そのあとに退職金前年以前9年以内に重ならないこと10年ルール
退職金 → そのあとに確定拠出年金の一時金前年以前19年以内に重ならないこと19年ルール

2026年から「5年ルール」が「10年ルール」に変わりました

確定拠出年金の一時金を先に受け取り、そのあとに退職金を受け取る場合の間隔は、従来は5年でした。これが令和8年(2026年)1月1日以後に受け取る退職手当等について10年に延長されています。「60歳でiDeCoを一時金で受け取り、65歳で退職金を受け取る」という組み立ては、以前は成立しましたが現在は調整の対象になります。

受け取る時期を検討している場合は、必ず最新の要件を国税庁または税理士に確認してください。金額が大きく、判断を誤ると数十万円単位で税負担が変わります。

迷ったときの考え方

退職金が退職所得控除の枠を使い切ってしまう場合、確定拠出年金を一時金で受け取ると課税対象が大きくなります。この場合は年金として分割で受け取る、あるいは併用にするほうが有利になることがあります。ただし年金受け取りは社会保険料に影響するため、総合的な試算が必要です。金額が大きい場合は税理士への相談をおすすめします。

年金で受け取る場合の税金

年金として分割で受け取る分は雑所得(公的年金等)になり、公的年金等控除が適用されます。

内容
所得の区分雑所得(公的年金等)
合算されるもの国民年金・厚生年金と合算して控除を計算します
課税のされ方他の所得と合算する総合課税
受け取り期間5年〜20年など(規約による)
受け取り中の運用まだ受け取っていない分は運用が続きます
かかり続ける費用口座管理手数料・給付事務手数料が受け取りのたびにかかります
社会保険料国民健康保険料・介護保険料の算定に含まれます

※ 公的年金等控除の額は、年齢(65歳未満/65歳以上)と年金以外の所得によって変わります。具体的な控除額は国税庁のタックスアンサーでご確認ください。

年金受け取りが向く場面

  • 退職金で退職所得控除の枠を使い切ってしまう場合
  • 60代前半など、公的年金がまだ出ていない期間の生活費に充てたい場合
  • 一度に大金を受け取ると使ってしまいそうという自覚がある場合

逆に、公的年金と重なる時期に受け取ると、合算されて控除を超えやすくなります。

受給開始年齢と通算加入者等期間【早見表】

確定拠出年金は原則60歳から受け取れます。ただし60歳の時点で通算加入者等期間が10年に満たない場合、受給開始できる年齢が後ろにずれます。

60歳時点の通算加入者等期間受給を開始できる年齢
10年以上60歳から
8年以上10年未満61歳から
6年以上8年未満62歳から
4年以上6年未満63歳から
2年以上4年未満64歳から
1か月以上2年未満65歳から

※ 受給開始の上限年齢は75歳です(2022年4月以降)。加入可能年齢・受給開始年齢は制度改正の対象になっているため、最新の内容はiDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)または加入先の運営管理機関でご確認ください。

50代後半から始めると60歳では受け取れない

58歳から始めた場合、60歳時点の加入期間は2年です。この場合、受け取れるのは64歳からになります。「60歳で受け取れる」と思い込んで資金計画を立てると、想定が狂います。加入時期が遅かった方は、自分の受給開始年齢を必ず確認してください。

亡くなったときはどうなる|死亡一時金

加入者・受給者が亡くなった場合、残っている資産は「死亡一時金」として遺族が受け取ります。年金として分割で受け取っている途中に亡くなった場合も、残額が死亡一時金になります。

項目内容
誰が受け取るかあらかじめ指定された受取人、または法定の順位に従った遺族
受け取り方一時金のみ(年金として引き継ぐことはできません)
誰が請求するか遺族が自ら請求します。自動的には支払われません
請求先加入していた運営管理機関(iDeCoなら申込先の金融機関、企業型DCなら勤務先が指定した機関)
税金の区分相続税の対象(みなし相続財産)
請求期限死亡日から5年以内
資産の扱い請求時点で現金化されます(運用商品は売却されます)

連絡が来ないという点が最大の落とし穴

銀行口座と違い、確定拠出年金は死亡届を出しても金融機関に情報が伝わりません。遺族が存在を知り、自分で連絡して初めて手続きが始まります。家族が知らなければ、そのまま5年が過ぎます。

死亡一時金の相続税と、5年の請求期限

スポンサーリンク

相続税の非課税枠が使える

死亡一時金は「退職手当金等」に含まれるみなし相続財産として扱われ、次の非課税枠の対象になります。

非課税枠の計算

500万円 × 法定相続人の数

  • 法定相続人が3人なら1,500万円まで非課税
  • 生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)とは別枠です
  • この枠は死亡後3年以内に支給が確定した場合に適用されます
請求のタイミング税金の扱い非課税枠
死亡後3年以内に支給が確定相続税(みなし相続財産)使える
死亡後3年を過ぎて支給が確定受け取った人の一時所得(所得税・住民税)使えない
死亡後5年以内に請求がない資産が相続財産として扱われます使えない

※ 税務上の取り扱いは個別の事情によって異なります。実際の申告にあたっては税理士または所轄の税務署にご確認ください。

3年と5年、2つの期限がある

3年を過ぎると相続税の非課税枠が使えなくなり、5年を過ぎると死亡一時金として受け取ること自体ができなくなって相続財産として処理されます。どちらの期限も、「遺族がその存在を知っているか」だけで決まります。

相続税の全体像は相続税について丸わかり!終活で覚えておくべき相続税の情報、手続きの流れは遺産相続の流れとは?相続放棄や期限で解説しています。

受取人を指定できる|順位のルール

確定拠出年金では、死亡一時金の受取人をあらかじめ指定できます。指定していない場合は、法律で決まった順位に従って支払われます。

順位受け取る人
指定がある場合指定された人が最優先。配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のほか、生計を維持していた親族の中から指定できます
第1順位配偶者(婚姻の届出をしていなくても、事実上婚姻関係と同様の事情にあった方を含みます)
第2順位子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のうち、生計を維持されていた方
第3順位上記以外で、生計を維持されていた親族
第4順位子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹のうち、生計を維持されていなかった方

※ 同順位に複数の方がいる場合は、人数で等分されるのが原則です。具体的な取り扱いは運営管理機関にご確認ください。

受取人の指定を見直すタイミング

  • 結婚・離婚したとき:旧姓のまま、元配偶者が指定されたままになっていないか
  • 子どもが生まれたとき
  • 指定した方が先に亡くなったとき:最も見落とされます
  • 転職して企業型DCが変わったとき:指定が引き継がれないことがあります

指定は運営管理機関に届け出ることで変更できます。10年以上見直していない方は、一度確認してください。

「自動移換」に注意|放置された年金資産

企業型DCに加入していた方が退職し、6か月以内に移換の手続きをしなかった場合、資産は国民年金基金連合会へ自動的に移されます。これを自動移換といいます。

自動移換されると何が起きるか

  • 運用されません。現金のまま置かれ、増えることがありません
  • 手数料が引かれ続けます。移換時の手数料に加え、毎月の管理手数料が資産から差し引かれます
  • 加入者期間として通算されません。受給開始年齢の判定に不利になります
  • 受け取るには手続きが必要です。放置したままでは受け取れません
  • 本人が忘れていることが多く、遺族はまず気づきません

自動移換された状態の方は全国で100万人を超える規模とされています。手数料の金額は変更されることがあるため、最新の額は国民年金基金連合会にご確認ください。

退職後の選択肢手続き先期限
転職先の企業型DCへ移す転職先の担当部署退職から6か月以内
iDeCoへ移す自分で選んだ運営管理機関
受給要件を満たしていれば受け取る加入していた運営管理機関
何もしない-自動移換されます

自動移換されているか確認する方法

心当たりがある方は、次の順に確認してください。

  1. 過去の勤務先を書き出す:企業型DCがあった会社を思い出します。給与明細に「確定拠出年金」の記載があった会社が該当します
  2. 郵便物を探す:自動移換されると、記録関連運営管理機関から通知が届いています。年に一度、状況の通知が送られてくることがあります
  3. 国民年金基金連合会に問い合わせる:自動移換者向けの相談窓口が設けられています。連絡先はiDeCo公式サイトで確認できます
  4. 基礎年金番号を用意する:照会にあたって必要になります。年金手帳・基礎年金番号通知書・ねんきん定期便で確認できます
  5. iDeCoに移す手続きをする:運営管理機関を選び、移換の申し出をします。移換すれば運用が再開されます

親の資産を探す場合

親が亡くなったあと、企業型DCの存在が分からない場合も、遺族から国民年金基金連合会や過去の勤務先へ照会できます。「退職金制度に確定拠出年金があったか」を元の勤務先に確認するのが最も早い方法です。死後の手続き全体は死亡後の手続き一覧|期限順チェックリストにまとめています。

障害給付金・脱退一時金という受け取り方

60歳前でも、例外的に受け取れる場合があります。

障害給付金脱退一時金
どんなとき高度障害の状態になったときごく限られた要件を満たしたとき
税金非課税一時所得
受け取り方一時金・年金・併用一時金のみ
請求先運営管理機関運営管理機関・国民年金基金連合会
備考障害基礎年金の受給などが要件になります要件が厳しく、該当する人は限られます

※ 具体的な支給要件は法令で細かく定められており、改正もあります。該当するかどうかは運営管理機関または国民年金基金連合会にご確認ください。

遺族が行う手続きの流れ

  1. 加入先を特定する:通帳の引き落とし記録、郵便物、エンディングノート、過去の勤務先を確認します
  2. 運営管理機関に連絡する:「加入者が死亡した」と伝え、請求書類を送ってもらいます
  3. 必要書類をそろえる:下の表を参照してください
  4. 裁定請求書を提出する:受取人が記入して返送します
  5. 運用商品が売却される:請求手続きの中で現金化されます
  6. 指定口座へ入金:手続き完了から1〜2か月程度が目安です
  7. 相続税の申告に反映する:申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です
必要になることが多い書類取得先
裁定請求書(死亡一時金)運営管理機関から送付されます
死亡診断書の写し、または死亡届の記載事項証明書病院・市区町村
故人の戸籍謄本(除籍)本籍地の市区町村
受取人の戸籍謄本本籍地の市区町村
受取人の住民票お住まいの市区町村
受取人の本人確認書類-
振込先口座の分かるもの-
生計維持を証明する書類順位の判定に必要な場合があります

※ 必要書類は運営管理機関によって異なります。連絡した際に一覧をもらってください。戸籍は他の相続手続きでも使うため、法定相続情報一覧図を作っておくと使い回せます。

エンディングノートに書いておくこと

これだけ書いておけば遺族は困りません

  • iDeCoの有無と、申し込んだ金融機関の名前
  • 企業型DCがあった勤務先の名前(過去に勤めた会社も含めて)
  • 基礎年金番号
  • 運営管理機関の連絡先(コールセンターの番号)
  • 受取人として誰を指定しているか
  • おおよその残高(正確でなくてよい。「◯百万円台」で十分)
  • 年金として受け取っている途中かどうか
  • 年に一度届く通知書の保管場所

書き方はエンディングノートとは?内容や書き方、財産の一覧化は終活における財産目録とは?書き方や作成する理由を参考にしてください。ネット銀行や証券口座も含めた整理はデジタル終活チェックリストにまとめています。

確定拠出年金でよく聞かれること

確定拠出年金は相続財産になりますか?
死亡一時金として遺族が受け取る場合、相続税法上は「みなし相続財産」として相続税の対象になります。ただし500万円×法定相続人の数の非課税枠が使えます。なお死亡日から5年以内に請求がない場合は、相続財産として扱われます。
死亡一時金に生命保険の非課税枠は使えますか?
生命保険金とは別枠です。死亡一時金は「退職手当金等」の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の対象で、生命保険金の非課税枠(同額)とは別に計算されます。
年金として受け取っている途中で亡くなったらどうなりますか?
残額が死亡一時金として遺族に支払われます。年金として引き継ぐことはできません。この場合も請求が必要です。
受取人を指定していない場合はどうなりますか?
法律で定められた順位に従います。第1順位は配偶者(事実婚を含みます)、次に生計を維持されていた子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹という順です。指定しておけば、この順位より優先されます。
一時金と年金、どちらが得ですか?
一概には言えません。退職金の額、勤続年数、公的年金の受給額、他の所得、社会保険料への影響によって変わります。金額が大きい場合は税理士に試算してもらうことをおすすめします。
退職金と一緒に受け取ると損をしますか?
受け取る順番と間隔によっては、退職所得控除が重複して調整され、結果的に控除枠を二重に使えなくなります。2026年1月1日以後に受け取る退職手当等については、確定拠出年金の一時金を先に受け取った場合の間隔が5年から10年に延長されました。受け取り時期を検討している方は最新の要件を確認してください。
60歳になれば必ず受け取れますか?
60歳時点で通算加入者等期間が10年以上ある場合です。10年に満たない場合、受給開始年齢は61〜65歳に後ろ倒しされます。50代後半から始めた方は特に注意が必要です。
転職したら手続きは必要ですか?
企業型DCに加入していた場合は必要です。退職から6か月以内に、転職先の企業型DCかiDeCoへ移す手続きをしてください。放置すると自動移換され、運用が止まったまま手数料が引かれ続けます。
昔の会社のDCが残っているか調べられますか?
調べられます。国民年金基金連合会の自動移換者向け窓口に問い合わせるか、当時の勤務先に確認してください。基礎年金番号が必要になります。
受け取るときに手数料はかかりますか?
かかります。給付事務手数料が受け取りのたびに差し引かれるのが一般的です。年金として分割で受け取る場合、回数分だけ手数料がかかる点も考慮してください。金額は運営管理機関によって異なります。
親が確定拠出年金に入っていたか分かりません。
通帳の引き落とし記録(iDeCoの掛金)、郵便物(年に一度の通知書)、過去の勤務先への確認という順で調べます。企業型DCの場合は勤務先の人事・総務部門に問い合わせるのが最も確実です。
相続放棄をした場合、死亡一時金は受け取れますか?
死亡一時金は受取人固有の権利として扱われる場合があり、相続放棄をしても受け取れることがあります。ただし個別の事情によって判断が分かれるため、相続放棄を検討している場合は、手続きの前に必ず弁護士・司法書士に相談してください。関連する注意点は相続放棄手続き完全ガイド|期限と流れをご覧ください。

確定拠出年金で押さえること

確定拠出年金と終活・要点

  • 受け取り方は一時金・年金・併用の3種類。税金の扱いが違う
  • 一時金は退職所得控除、年金は公的年金等控除の対象
  • 年金受け取りは社会保険料にも影響する
  • 退職金と近い時期に受け取ると控除が調整される。2026年から「5年→10年」に延長
  • 60歳時点の加入期間が10年未満だと、受給開始が61〜65歳にずれる
  • 亡くなると死亡一時金。遺族が自分で請求しないと支払われない
  • 非課税枠は500万円×法定相続人の数。生命保険とは別枠
  • 3年を過ぎると非課税枠が使えず、5年を過ぎると相続財産になる
  • 受取人の指定は、結婚・離婚・死別のたびに見直す
  • 退職後6か月放置すると自動移換。運用されず手数料だけが引かれる

確定拠出年金は、制度の細かさに比べて家族への情報共有がほとんどされていない資産です。銀行口座なら通帳が出てきますが、確定拠出年金は紙が一枚も出てこないこともあります。

いますぐできる最善の対策は、「どこに、いくらあるか」をエンディングノートに一行書くことです。税制の細かい判断は専門家に任せられますが、存在を知らせることだけは本人にしかできません。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、税務・法務・投資に関する助言ではありません。確定拠出年金の制度内容、加入可能年齢、掛金の上限、受給開始年齢、退職所得控除の要件、相続税の取り扱いは、法令および税制の改正によって変更されます。また、選べる受け取り方、手数料、必要書類は運営管理機関や制度の規約によって異なります。記載した内容は執筆時点の一般的な制度の概要であり、個別の事情に応じた結論を示すものではありません。実際の判断・申告にあたっては、国税庁(タックスアンサー)、iDeCo公式サイト(国民年金基金連合会)、加入先の運営管理機関、および税理士・社会保険労務士などの専門家に必ずご確認ください。

おすすめの記事