任意後見と法定後見(成年後見)の違い|認知症になる前にやるべきこと

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「任意後見」と「法定後見(成年後見)」、名前は似ていますが、中身はかなり違います。一番大きな違いは、「自分で準備できるかどうか」という点です。

認知症になってしまってからでは、自分の意思で後見人を選ぶことができません。だからこそ、元気なうちに違いを知って、どちらが自分に合っているかを考えておくことがとても大切です。この記事では、法務省の公式資料をもとに、両制度の違いをわかりやすく整理します。


成年後見制度の全体像|2つの制度がある

任意後見制度の基本的な仕組みについては、任意後見制度とは?おひとりさまが今すぐ備えるべき理由で詳しく解説しています。まだお読みでない方は、あわせてご確認ください。

成年後見制度は大きく「法定後見制度」「任意後見制度」の2つに分かれています。どちらも、認知症・知的障害・精神障害などによって判断能力が不十分になった方を保護・支援するための制度ですが、使うタイミングと仕組みが根本的に異なります。
(出典:法務省民事局「成年後見制度・成年後見登記制度」パンフレット

また法定後見制度はさらに、判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3段階に分かれています。
(出典:同上


一番の違いは「いつ」「誰が」動くか

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法定後見|判断能力が低下してから始まる

法定後見制度は、本人の判断能力がすでに不十分になった後に、家庭裁判所への申立てによってスタートします。申立てができるのは、本人・配偶者・四親等内の親族・検察官・市町村長などです。
(出典:法務省民事局「成年後見制度・成年後見登記制度」パンフレット

家庭裁判所が成年後見人等を選任しますが、誰が後見人になるかは裁判所が決めます。希望する人物を申立て時に伝えることはできますが、必ずしもその通りになるとは限りません。
(出典:同上

任意後見|元気なうちに自分で準備する

任意後見制度は、本人がまだ十分な判断能力を持っているうちに、将来後見人になってもらう方を自分で選び、公正証書による契約を結んでおく制度です。その後、判断能力が低下した時点で家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てることで、任意後見がスタートします。
(出典:同上

「この人に任せたい」という意思を、元気なうちに契約という形で残せるのが最大の特長です。


主な違いを表で比較する

比較項目法定後見任意後見
開始のタイミング判断能力が低下した後判断能力があるうちに契約
後見人の選び方家庭裁判所が選任本人が自分で選ぶ
後見人の権限法律で定められた範囲契約で定めた範囲
契約の取消権あり(一定の範囲)なし
監督人の選任必要に応じて(任意)全件で選任(必須)
申立てできる人本人・親族・市町村長など本人・任意後見受任者など

(出典:法務省民事局「成年後見制度・成年後見登記制度」パンフレット


「取消権がない」点に注意

任意後見制度を選ぶ際に知っておきたいのが、任意後見人には「取消権」がないという点です。法定後見では、成年後見人等が本人の結んだ不利益な契約を取り消すことができますが、任意後見人にはその権限がありません。
(出典:法務省民事局「成年後見制度・成年後見登記制度」パンフレット

そのため、悪質商法などの被害リスクが高い状態になっている場合は、取消権のある法定後見の方が適している場面もあります。どちらが合っているかは、本人の状況によって異なりますので、まずは専門家にご相談ください。


認知症になる前にやるべきこと

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任意後見は「判断能力があるうち」しか契約できない

任意後見制度の最大の注意点は、判断能力が低下してからでは契約できないことです。認知症が進んでしまった後では、任意後見を選ぶ選択肢自体がなくなってしまいます。
(出典:法務省民事局「成年後見制度・成年後見登記制度」パンフレット

「まだ大丈夫」と思っているうちに、公証役場に相談する。その一歩が、将来の自分を守ることに直結します。厚生労働省のポータルサイトでも、任意後見制度の手続きの流れや費用について詳しく確認できます。
(出典:厚生労働省「成年後見はやわかり」任意後見制度とは

おひとりさまこそ、早めの準備が安心につながる

身寄りのない方や子のいない夫婦の場合、判断能力が低下してから法定後見を利用しようとしても、申立てをしてくれる親族がいないケースがあります。そのような場合、市町村長が申立てを行う制度もありますが、後見人の選定はすべて裁判所に委ねられます。
(出典:法務省民事局「成年後見制度・成年後見登記制度」パンフレット

自分の意思を残せる任意後見制度は、おひとりさまにとって特に心強い備えになります。


まとめ|2つの制度の違いと選び方

  • 法定後見は「なってから」、任意後見は「なる前に」。開始タイミングが根本的に違います。(出典:法務省民事局「成年後見制度」パンフレット
  • 後見人を自分で選べるのは任意後見だけ。法定後見は裁判所が選任します。(出典:同上
  • 任意後見に取消権はない。状況によっては法定後見が適切な場合も。(出典:同上
  • 任意後見は判断能力があるうちしか契約できない。早めの準備が何より大切です。(出典:厚生労働省「成年後見はやわかり」

📞 どちらが合っているか、まずは相談を

任意後見と法定後見のどちらが自分に向いているか迷ったときは、お近くの司法書士会や公証役場に相談してみてください。窓口の方が状況に応じて丁寧に案内してくれますよ。

法務省「成年後見制度」公式ページ
厚生労働省「成年後見制度の種類」
裁判所「任意後見制度の概要を知りたい方へ」

「まだ元気だから」という今こそ、動くベストなタイミングです。

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