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PayPayや楽天ペイ、WAONやnanacoなど、日々の暮らしの中で使っている電子マネー。名義人が亡くなったとき、その残高は相続できるのでしょうか。実はサービスによって対応がまったく違います。
今は現金よりもスマホやカードのタッチ決済を使う機会のほうが多い、という方も増えてきました。
ただ、いざという時にご家族が「このアプリやカードにいくら入っているのか分からない」「そもそも相続できるのかどうか分からない」と困ってしまうケースも実は少なくありません。この記事では、代表的な電子マネーをタイプ別に整理し、亡くなった際の残高の扱いと手続きの流れをご紹介します。
目次
①電子マネーにも、実はいろいろな種類があります

ひとくちに電子マネーといっても、実は仕組みが大きく違う4つのグループに分けられます。
- QRコード・バーコード決済:PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAYなど。多くは事前にお金をチャージしておく前払式支払手段(プリペイド型)です。
- クレジットカード連動型電子マネー:QUICPay、iDなど。こちらは後払いのポストペイ型で、独立した残高というより、クレジットカードの利用代金の一部として処理されます。
- 流通系電子マネー:WAON、nanaco、楽天Edyなど。買い物専用のプリペイド型で、コンビニやスーパーでよく使われています。
- 交通系電子マネー:Suica、PASMO、ICOCAなど。乗車券を兼ねたプリペイド型です。
このうち交通系電子マネーについては、解約や払い戻しの手続きがやや特殊なため、別記事「故人のSuica・PASMO・ICOCAは解約できる?払い戻し手続きを解説」で詳しくまとめています。あわせてご覧ください。
②QRコード・バーコード決済の相続手続き

PayPay(PayPayマネー・PayPayマネーライトなど)
PayPayでは、利用規約の中で相続に関する取り決めが明記されています。相続が発生し、名義人のアカウントに残高が残っていた場合、所定の方法で正当な相続人であることが確認できれば、振込手数料を差し引いた金額が振り込まれます。
連絡はPayPayカスタマーサポート窓口を通じて行い、戸籍謄本や死亡が分かる書類の提出を求められることが多いようです。
(出典:PayPay残高利用規約、PayPay利用規約一覧)
楽天ペイ/楽天キャッシュ
楽天キャッシュも、契約上の地位そのものは相続や譲渡ができないとされていますが、残高がある場合には振込による返金という形で対応する規定があります。
- 正当な相続人と確認されたうえで、振込手数料を控除した額を返金(出典:楽天キャッシュ利用規約)
- ただし振込手数料が残高を上回る場合は、返金されない点に注意(同上)
d払い
d払いは少し複雑で、残高に「現金バリュー」と「プリペイドバリュー」の2種類があります。
NTTドコモの契約自体はご家族が承継する手続きがありますが、dポイントクラブ・dポイント・d払い残高は原則として引き継げません。ただし、残高が「現金バリュー」の場合に限り、契約者の本人確認書類や相続関係の書類を郵送する手続きを行うことで返金してもらえます。「プリペイドバリュー」は返金の対象外です。
(出典:NTTドコモ「ご契約者の死亡による承継」)
au PAY
au PAYの契約者が亡くなられた場合、au PAY残高は原則として払い出しができません。アカウントの退会(解約)手続きが必要となるため、残高がある場合は利用規約に従って、出金するか使い切ってから解約することになります。
(出典:au PAY利用規約)
③クレジットカード連動型電子マネー(ポストペイ型)の考え方

QUICPayやiDは、PayPayやWAONのような「残高」を持つタイプとは仕組みが違います。
これらはクレジットカードにひもづく決済方法で、利用した金額はあとからカードの利用代金としてまとめて請求されるポストペイ型です。そのため、亡くなった際も「残高の相続」というより、カード契約そのものの解約・承継や、未払い金の精算が中心になります。
iD(NTTドコモ)
iDはNTTドコモが提供するクレジットカード連動型の電子マネーです。ご契約者が亡くなった場合は、ドコモの契約承継または解約の手続きにあわせて対応することになり、相続関係書類や死亡の事実が分かる書類の提出が案内されています。
(出典:NTTドコモ「ご契約者の死亡による承継」)
dカードをお持ちの場合は、名義人が亡くなった際の手続きについて、dカードのFAQでも案内されています。基本的には解約の手続きを優先し、未払い金があれば相談する流れです。
QUICPay
QUICPayはJCBが提供するクレジットカード連動型の電子マネーです。iDと同じくポストペイ型のため、独立した「残高」は基本的になく、紐づくクレジットカードの未払い金として処理されます。名義人が亡くなった場合は、QUICPayを発行するカード発行会社ごとにご案内内容が異なるため、該当のカード発行会社へお問い合わせし、解約や相続の手続きを進めることになります。
④流通系電子マネー(プリペイド型)の相続手続き

WAON
WAON残高は相続の対象として返金が可能です。ただし、WAONポイントについては規約上、会員本人が亡くなると同時に失効し、相続の対象外となります。
(出典:イオン銀行 相続のお手続き)
nanaco
nanacoは、WAONとは対応が異なります。nanacoの残高は相続の対象外で、名義人が亡くなった時点で会員資格が失われるため、チャージ残高の払い戻しや他のカードへの引き継ぎは一切行われません。残高はゼロになり、貯めていたポイントも失効します。
(出典:nanaco電子マネー会員規約)
楽天Edy
楽天Edyの残高は相続財産には含まれますが、原則として払い戻し(現金化)による相続はできません。カードから別の家族名義へ残高を移すこともできないため、実務上はご家族が残高を使い切ったうえでカードをはさみで裁断し、破棄する形が案内されています。相続税の申告では、残高の分も含めて財産として扱うのが基本です。
(出典:楽天カード「カードの契約者が亡くなった際の手続き」)
同じ「電子マネー」という言葉でも、サービスによってここまで対応が変わります。ご家族がどれを使っていたか、把握しておくことがまず何より大切です。
⑤交通系電子マネー(Suica・PASMO・ICOCAなど)

Suica、PASMO、ICOCAなどの交通系電子マネーも、デポジットの扱いや払い戻し窓口など、独自のルールがあります。詳しい手続きの流れは、別記事「故人のSuica・PASMO・ICOCAは解約できる?払い戻し手続きを解説」でまとめていますので、あわせてご確認ください。
⑥今のうちにできる備え:デジタル終活の視点から

アプリの中身は、家族には見えません
電子マネーの残高は、通帳のように紙で残るものではありません。
名義人本人がスマホのログイン方法を伝えていないと、ご家族は「そもそもそのアプリを使っていたこと」すら気づけない場合があります。
そこでおすすめしたいのが、エンディングノートなどに、使っているスマホ決済サービスや電子マネーの名称だけでもメモしておくことです。ログインパスワードそのものは、エンディングノートとは別の安全な場所に控えておくと、より安心です。
実は、これだけでもご家族の負担はかなり変わってきます。
⑦相談窓口・次にすること

電子マネーの相続手続きは、まず該当するサービスの公式カスタマーサポートに連絡するところから始まります。
どのサービスも、戸籍謄本や死亡の事実が分かる書類など、相続関係を証明する書類の提出を求められることが一般的です。
- PayPay:PayPay利用規約・お問い合わせ窓口一覧
- 楽天ペイ/楽天キャッシュ:楽天キャッシュ 規約・お問い合わせ
- d払い/iD:NTTドコモ「ご契約者の死亡による承継」
- au PAY:au PAY利用規約
- WAON:イオン銀行 相続のお手続き
- 楽天Edy:楽天カード「カードの契約者が亡くなった際の手続き」
電子マネー以外の遺産や相続手続き全体については、お住まいの地域の司法書士会や法務局、地域包括支援センターなどでも相談を受け付けています。詳しくはお住まいの市区町村窓口にご確認ください。
まとめ|電子マネーの相続で押さえておきたい5つのポイント
- 電子マネーは「QRコード決済」「ポストペイ型」「流通系」「交通系」で、亡くなった際の対応が大きく異なる
- PayPay・楽天キャッシュ・WAONは、正当な相続人への返金対応がある(出典:各社規約)
- d払いは「現金バリュー」のみ返金対象、nanacoと楽天Edyは原則払い戻し不可(出典:NTTドコモ、nanaco会員規約、楽天カード)
- QUICPayやiDは残高ではなく、クレジットカードの契約解約・未払い金の精算が中心
- サービス名とログイン方法をエンディングノートにメモしておくと、ご家族の負担を大きく減らせる
スマホやカードの中の電子マネーも、立派な財産のひとつです。今日のうちに、使っているサービスをひとつ書き出してみるだけでも十分な一歩になります。









