電子マネーの相続はできる?残高の探し方と種類別の払い戻し手続き

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スマートフォンの中に、いくら残っているのか分からない——電子マネーの相続がむずかしいのは、まず「どこに、いくらあるのか」が見えないからです。しかも扱いは前払い式・後払い式・QRコード決済で大きく違います。この記事では、3つの型の見分け方、残高の探し方8つ、携帯電話を解約する前にやること、種類別の手続きを整理しました。交通系ICカードは別の記事にまとめています。

この記事の結論

  • 電子マネーは前払い式・後払い式・QRコード決済の3つに分けて考えます
  • 先にやるのは手続きではなく、「どこに残高があるか」を探すことです
  • 携帯電話を解約する前に、必ず中身を確認してください
  • 前払い式の残高は相続の対象になります
  • 後払い式は「未払いの債務」として引き継がれます
  • ポイントは失効することが多く、相続できないのが原則です
  • 相続放棄を考えているなら、残高を使わないでください

この記事でわかること

  1. まず残高を探す
  2. 3つの型の見分け方
  3. 前払い式
  4. 後払い式
  5. QRコード決済
  6. 交通系は別記事へ
  7. 残高の探し方8つ
  8. 携帯を解約する前に
  9. ロックが開かないとき
  10. 相続の対象になるもの
  11. 種類別の手続き
  12. 問い合わせで伝えること
  13. 必要になりやすい書類
  14. 相続放棄を考えている場合
  15. ポイントの扱い
  16. オートチャージの停止
  17. 手続きしないとどうなるか
  18. 生前にできる備え
  19. よくある質問12問

まず結論|手続きより先に「どこに残高があるか」を探します

やること理由
1スマートフォンと財布の中身を洗い出します存在が分からなければ手続きもできません
2携帯電話の解約を急がないでください解約すると中に手が届かなくなります
3型を見分けます手続きの窓口が変わります
4各サービスの公式ヘルプで手続きを確認します会社ごとに扱いが違います

電子マネーの相続でいちばん多い取りこぼしは、「あることに気づかないまま終わる」ことです。一つひとつは数千円でも、まとめると意外な額になります。そして後払い式は、気づかないと請求が残ります。だから最初にやるのは、手続きではなく棚卸しです。

電子マネーは3つの型に分かれます

見分け方残高の性質相続での扱い
前払い式(プリペイド)先にお金を入れて使います入れた分が残っています残高は相続の対象
後払い式(ポストペイ)使った分が後から請求されます残高ではなく「未払い」です債務として引き継がれます
QRコード決済アプリのコードを読み取って払います前払い式・後払い式の両方があります中身によって変わります

見分け方は「お金を先に入れたか、後から請求されるか」だけです

難しく考える必要はありません。チャージ(入金)して使っていたなら前払い式、使ったあとにクレジットカードや口座から引き落とされていたなら後払い式です。通帳やカードの明細を見れば、どちらか分かります。QRコード決済のアプリは、この2つの機能をどちらも持っていることがあります。

①前払い式(プリペイド型)

項目内容
カード型・アプリ型・アプリとカードの両方
残高チャージした分が残っています
相続残高は相続財産にあたります
払い戻しできる場合とできない場合があります
会員登録あり本人確認をして手続きできることがあります
会員登録なし(無記名)払い戻しの窓口がないこともあります
有効期限期限が定められている場合があります

「払い戻せないサービス」があります

前払い式のなかには、規約で払い戻しを行わないと定めているサービスがあります。この場合、残高を現金で受け取ることはできません。それでも解約や退会の手続きは必要なことがあるので、公式のヘルプを確認してください。「使い切ってから解約する」ことが認められるかは、規約によります。

②後払い式(ポストペイ型)

項目内容
仕組み使った分が、後日クレジットカードや口座から引き落とされます
残高ありません。あるのは「未払い」です
相続未払い分は債務として引き継がれます
紐づいている先クレジットカードまたは携帯電話の料金
手続き先紐づいているカード会社・通信会社
放置すると督促が届きます

後払い式は「もらえるお金」ではなく「払うお金」です。そのため、探すべき理由が前払い式とは違います。気づかずに放置すると、口座が凍結されて未払いになり、督促が相続人へ届きます。クレジットカードの手続きと一緒に進めてください。

③QRコード・バーコード決済

中身性質手続き
チャージした残高前払い式と同じです払い戻しの可否を確認します
クレジットカード払いの設定後払い式と同じですカード会社と合わせて処理します
銀行口座と直結した支払い口座が凍結されると使えなくなります口座の相続手続きに含めます
ポイント残高お金とは別の扱いです失効することが多いです
送金機能で受け取った分サービスによって扱いが違います公式ヘルプで確認します

1つのアプリの中に、性質の違う残高が同居しています

QRコード決済のアプリでは、「銀行から入金した残高」「クレジットカードから入金した残高」「キャンペーンでもらったポイント」が、別々に管理されていることがよくあります。払い戻せるのは、たいてい自分で入金した分だけです。アプリの残高の内訳を見て、どれがいくらなのかを確かめてください。

交通系ICカードは別の記事にまとめています

交通系ICカードそのほかの電子マネー
手続き先発行した鉄道・バス会社の窓口各サービスの問い合わせ窓口
払い戻しできます(手数料が引かれることがあります)サービスによります
デポジットあります。返却すると戻りますありません
手続きの方法窓口へ出向くのが原則電話・アプリ・郵送
定期券残っていれば急ぎます

交通系ICカードは、払い戻しの仕組みも窓口も、ほかの電子マネーとまったく違います。財布から出てきた場合は、そちらの記事を先に読んでください。この記事では、それ以外の電子マネーを扱います。

残高の探し方【8つの手がかり】

  • スマートフォンのホーム画面のアプリを全部見ます
  • 財布の中のカードを全部出します
  • 通帳の入金・引き落とし履歴を見ます(チャージの記録が残ります)
  • クレジットカードの明細を見ます
  • メールの受信箱を「チャージ」「ご利用」「決済」で検索します
  • ポイントカードと一体になっていないか確認します
  • 引き出しや鞄の中のギフトカード・商品券を探します
  • パソコンのブラウザに保存された履歴・お気に入りを見ます

いちばん確実なのは、通帳とカードの明細です

チャージ(入金)は、必ずどこかからお金が動いています。通帳やクレジットカードの明細を3か月ぶん見れば、どのサービスにいくら入れていたかが分かります。アプリの一覧を見るより、こちらのほうが確実です。金額まで見えるので、どれを優先して手続きするかも判断できます。

携帯電話を解約する前にやること【最重要】

ここがこの記事でいちばん大事なところです

死後の手続きでは、月々の料金がかかるため、携帯電話を早い段階で解約しがちです。ところが回線を解約すると、アプリへのログインに必要な認証が受け取れなくなり、中の残高に手が届かなくなります。端末を返却してしまえば、なおさらです。解約の前に、必ず中身を確認してください。

  • 決済系・電子マネー系のアプリが入っていないか確認します
  • それぞれの残高を記録します(画面を撮っておきます
  • ログインに使っているメールアドレスと電話番号を控えます
  • クレジットカードや口座の登録があるか確認します
  • オートチャージの設定がないか確認します
  • 写真・連絡先など、ほかに必要なものも取り出します
  • そのうえで、携帯電話の解約に進みます

スマートフォンのロックが開かないとき

状況できること
ロックの番号が分からない各サービスの窓口へ、別の方法で問い合わせます
指紋・顔で解除していた本人以外は解除できません
会員登録している別の端末やパソコンからログインできることがあります
登録メールが分かるそこから問い合わせられます
何度も間違えた端末が初期化されることがあります。試さないでください
どうしても開かない各サービスへ「相続手続きをしたい」と直接連絡します

端末が開かなくても、あきらめないでください。会員登録があるサービスなら、本人確認の書類をそろえて問い合わせれば、手続きできることがあります。手がかりになるのは登録に使ったメールアドレスと電話番号です。通帳や明細から、サービス名だけでも特定してください。

相続の対象になるもの・ならないもの

もの扱い
前払い式の残高(自分で入金した分)相続財産にあたります
後払い式の未払い分債務として引き継がれます
ギフトカード・商品券財産にあたります
送金機能で受け取っていた残高サービスの規約によります
×ポイント失効するのが原則です
×キャンペーンで付与された残高払い戻しの対象外のことが多いです

「自分のお金を入れた分」かどうかが分かれ目です

払い戻しや相続の対象になりやすいのは、本人が現金や口座からチャージした分です。キャンペーンでもらった分やポイントは、サービス側から付与されたものなので、規約で払い戻しの対象外とされているのが一般的です。アプリで残高の内訳が分かれているのは、このためです。

種類別の手続き【一覧】

やること窓口急ぎ度
前払い式(会員登録あり)残高の払い戻しまたは解約各サービスの問い合わせ窓口
前払い式(無記名カード)払い戻しできないことがあります発行元
後払い式未払い分の精算・利用の停止カード会社・通信会社高い
QRコード決済残高の内訳を確認し、退会します各サービス
オートチャージ設定まず停止しますカード会社・口座最も高い
ギフトカード・商品券期限内に使うか、譲渡します

問い合わせるときに伝えること

最初の問い合わせで伝える内容

「利用者が亡くなりました。相続の手続きについて教えてください。」
・故人の氏名・生年月日
登録していたメールアドレスまたは電話番号
・亡くなった年月日
問い合わせている人の氏名と続柄
・連絡先

そのうえで、次の4つを聞いてください。
残高はいくらか ②払い戻しはできるか ③必要な書類は何か ④未払いはあるか

問い合わせ先は「公式ヘルプ」から探してください

サービス名で検索すると、公式ではないページが上位に出てくることがあります。必ずアプリの中のヘルプか、公式サイトの問い合わせ窓口から連絡してください。「(サービス名)+ 相続」「(サービス名)+ 名義人 死亡」で公式のヘルプを探すと見つかります。電話番号を検索結果から拾わないでください。

必要になりやすい書類

書類何のために
死亡が分かる書類戸籍謄本・除籍謄本など
続柄が分かる書類相続人であることの確認
手続きする人の本人確認書類運転免許証など
会社所定の届出書送られてくることが多いです
受け取り先の口座情報払い戻しがある場合
カード・端末返却や確認を求められることがあります

必要書類はサービスによって異なります。まず問い合わせて確認してください。金融機関の相続手続きで使う戸籍は、まとめて多めに取っておくと効率的です。

相続放棄を考えているなら、残高を使わないでください

金額の大小は関係ありません

故人の財産を使うと、相続を承認したとみなされることがあります。電子マネーの残高も故人の財産です。「数千円だから」「もったいないから」と使ってしまうと、あとから相続放棄ができなくなるおそれがあります。借金の有無がはっきりしないうちは、使わず、払い戻さず、そのままにしておいてください。判断は弁護士・司法書士へご相談ください。

行為扱われ方の傾向
×残高で買い物をする承認とみなされるおそれがあります
×残高を払い戻して受け取る同上
×ポイントを使う財産の処分にあたりえます
×未払い分を代わりに支払う同上
残高がいくらあるか問い合わせる調べるだけなら問題になりにくいとされます
オートチャージを止める財産の減少を防ぐ行為です

個別の事情によって判断は変わります。相続放棄を検討している場合は、動く前に必ず専門家にご確認ください。

ポイントの扱い

扱い説明
失効するのが原則会員資格に紐づくため、死亡で消えるのが一般的です
相続を認める場合もある規約で定めているサービスがあります
期限手続きの期限が定められていることがあります
確認先各サービスの規約・公式ヘルプ
相続放棄を考えている場合使わないでください

ポイントは「お金」ではなく「サービスを受ける権利」として扱われるのが一般的です。そのため、相続の対象にならないと規約で定めているサービスが多くあります。まとまった数がある場合だけ、問い合わせて確認してみてください。

オートチャージの停止

状況起きることやること
オートチャージが有効なまま残高が減ると自動で入金され続けますまず停止します
紐づいているカードを先に解約したチャージが失敗し、未払いになることがあります順番を確認します
口座から直接チャージしていた口座が凍結されると止まります
家族が使えるようにしていたそのまま使うと財産の処分になりえます使用を止めます

いちばん先に止めるのは、オートチャージです

残高の払い戻しは急ぎませんが、オートチャージは放っておくとお金が動き続けます。死後の手続きの優先順位は単純で、「放っておくとお金が出ていくもの」から手をつけるのが原則です。設定の停止だけなら、すぐにできます。

手続きしないとどうなるか

放置した場合
前払い式残高が使われないまま残ります。有効期限で消えることもあります
後払い式未払いとして督促が届きます
オートチャージ引き落としが続きます
アカウントそのまま残り、不正に使われるおそれがあります
ポイント失効します
相続の手続き全体財産の全体像が固まりません

生前にできる備え

  • 使っているサービスの名前を、紙に書き出しておきます
  • 暗証番号やパスワードは書きません
  • 使っていないサービスは元気なうちに退会します
  • チャージする金額を、少額にとどめておきます
  • オートチャージの設定を見直します
  • スマートフォンのロック解除の方法を、封筒に入れて家族が知る場所に置きます
  • 登録に使っているメールアドレスを書き残します
  • その紙の置き場所を、家族に伝えます

「サービス名」だけで、家族はたどり着けます

残高もパスワードも書く必要はありません。「◯◯という決済アプリを使っています」と名前だけ分かれば、家族は公式の窓口に問い合わせられます。いちばん困るのは、存在自体が分からないことです。デジタルの持ち物を1枚にまとめる方法は、別の記事にまとめています。

よくある失敗6つ

失敗防ぎ方
1携帯を先に解約して、中身に手が届かなくなった解約の前に中身を確認します
2残高があること自体に気づかなかった通帳とカードの明細を3か月ぶん見ます
3オートチャージを止めず、引き落としが続いたいちばん先に停止します
4後払い式の未払いを放置して督促が来たカード会社と一緒に処理します
5相続放棄を考えているのに残高を使った金額の大小に関わらず使いません
6検索で出てきた番号に電話してしまった公式のヘルプから問い合わせます

よくある質問

電子マネーの残高は相続できますか
前払い式の残高は相続財産にあたります。ただし払い戻しができるかどうかは、サービスの規約によります。公式のヘルプで確認してください。
まず何をすればよいですか
手続きより先に、どこに残高があるかを探してください。スマートフォンのアプリ、財布のカード、そして通帳とクレジットカードの明細を見るのがいちばん確実です。
携帯電話はいつ解約すればよいですか
中身を確認してからです。回線を解約すると、ログインに必要な認証が受け取れなくなり、残高に手が届かなくなります。写真や連絡先も含め、必要なものを取り出してから解約してください。
スマートフォンのロックが開きません
各サービスの窓口へ直接連絡してください。会員登録があれば、本人確認の書類をそろえて手続きできることがあります。手がかりは、登録に使ったメールアドレスと電話番号です。
後払い式のものはどうすればよいですか
紐づいているクレジットカード会社や通信会社が窓口です。未払い分は債務として相続の対象になります。放置すると督促が届きます。
ポイントは引き継げますか
失効するのが原則です。ただし規約で相続を認めているサービスもあります。まとまった数がある場合は、問い合わせて確認してください。
キャンペーンでもらった残高はどうなりますか
払い戻しの対象外とされていることが多いです。払い戻せるのは、本人が現金や口座から入金した分が中心です。アプリで残高の内訳を確認してください。
相続放棄を考えています。残高を使ってもよいですか
使わないでください。金額の大小に関わらず、相続を承認したとみなされることがあります。調べるだけなら問題になりにくいとされますが、判断は専門家へご相談ください。
オートチャージはどうすればよいですか
いちばん先に停止してください。放置すると引き落としが続きます。死後の手続きは「放っておくとお金が出ていくもの」から手をつけるのが原則です。
交通系ICカードも同じ手続きですか
違います。交通系は発行した鉄道・バス会社の窓口で、デポジットも戻ります。そちらは別の記事にまとめています。
問い合わせ先はどう探せばよいですか
アプリの中のヘルプか、公式サイトの問い合わせ窓口から連絡してください。「(サービス名)+ 相続」で公式のヘルプを探せます。検索結果に出てきた電話番号を拾わないでください。
金額が小さいので、放っておいてもよいですか
前払い式なら急ぎませんが、後払い式とオートチャージは放置しないでください。前者は督促につながり、後者はお金が出ていき続けます。

まとめ

この記事の要点

  • 手続きより先に「どこに残高があるか」を探します
  • 電子マネーは前払い式・後払い式・QRコード決済の3つ
  • 見分け方は「先に入れたか、後から請求されるか」だけ
  • 携帯電話を解約する前に、必ず中身を確認してください
  • いちばん先に止めるのはオートチャージ
  • 払い戻せるのは本人が入金した分が中心。ポイントは失効が原則
  • 後払い式の未払いは債務として引き継がれます
  • 相続放棄を考えているなら残高を使わないでください

電子マネーの相続は、金額としては大きくないことがほとんどです。それでも、存在に気づかないまま消えてしまうお金があり、気づかないまま請求が残る契約もあります。通帳とカードの明細を3か月ぶん見る。それだけで、その両方が見つかります。携帯電話を解約する前に、それだけはやっておいてください。

本記事は一般的な情報を整理したものです。電子マネーやQRコード決済の残高の払い戻しの可否、必要書類、ポイントの取り扱いは、サービスを提供する各事業者の規約によって異なり、変更されることもあります。実際に手続きされる際は、各サービスの公式ヘルプおよび問い合わせ窓口にご確認ください。相続放棄や債務の承継に関する判断は、弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。

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