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「遠方にあるお墓を、もう誰も管理できなくなってしまった」「子どもたちに負担をかけたくないから、生前に整理しておきたい」——そんな悩みを抱えている方が、今とても増えています。
墓じまいは、決して「ご先祖様を粗末にする行為」ではありません。むしろ、現代の家族の形に合わせた、責任ある選択として多くの方に選ばれています。
この記事では、墓じまいの正しい意味・費用・手続き・業者選びの注意点まで、50〜70代の方とそのご家族にわかりやすくお伝えします。
目次
1. 墓じまいとは?なぜ今増えているのか

墓じまいと改葬、2つの意味をきちんと理解しよう
「墓じまい」という言葉、よく耳にするようになりましたが、正確な意味を知っている方は意外と少ないかもしれません。実は、墓じまいには2つの行為が含まれています。
■墓じまい=現在あるお墓の墓石を撤去し、墓所を更地にして、土地の使用権を霊園や寺院の管理者に返還すること
■改葬(かいそう)=お墓の中の遺骨を取り出して、新しい供養先に移すこと
→ 墓じまいをする際には、必ず改葬もセットで行います。遺骨は法律上、処分・廃棄することができないため、必ず新しい供養先に移す必要があります。
つまり「墓じまい=お墓(墓石・区画)の撤去と返還」「改葬=遺骨の引越し」です。この2つをセットで進めるのが墓じまいの全体像です。
改葬は、墓地埋葬法(墓地、埋葬等に関する法律)に基づく正式な手続きであり、市区町村への届け出と「改葬許可証」の取得が必要です。勝手に遺骨を動かすことはできませんのでご注意ください。
なぜ今、墓じまいが増えているの?
墓じまいの件数は年々増加しており、厚生労働省の統計によると年間15万件以上が行われています(※年度により異なります)。その背景には、現実的な理由がいくつかあります。
- 少子化・核家族化でお墓の継承者がいなくなった
- 故郷から遠い場所に住んでいるため、お墓の管理が難しい
- 年間管理費の支払いが続けられない
- 高齢になり、遠方のお墓参りや管理が体力的に困難になった
- 樹木葬・納骨堂など、新しい供養方法に移したい
多くの方が同じように悩まれています。「うちだけがこんな状況なのでは」と思わなくて大丈夫です。墓じまいは、時代の変化に合わせた自然な選択として広く認められています。
2. 墓じまいの費用相場と内訳

「墓じまいってどのくらいお金がかかるの?」というのは、多くの方が最初に気になるポイントです。費用は状況によって大きく変わりますが、まずは全体像をつかんでいただければと思います。
墓じまいの総費用の目安
墓じまいにかかる費用の目安は、おおよそ30〜150万円程度と言われています(目安として。お墓の規模・立地・移転先により大きく異なります)。
費用は大きく「①撤去・解体工事費」「②寺院・霊園への閉眼供養費・離檀料」「③改葬にかかる手続き費用」「④新しい供養先(移転先)の費用」の4つに分かれます。
費用内訳の詳細
| 費用項目 | 目安金額 | 内容・備考 |
|---|---|---|
| 墓石の撤去・解体工事費 | 10〜50万円 | 石材店が墓石を撤去し更地に戻す。墓石の大きさ・立地により異なる |
| 閉眼供養(魂抜き)のお布施 | 3〜10万円 | 撤去前に僧侶が行う供養の謝礼。必ず撤去工事の前に行う |
| 離檀料 | 0〜30万円 | 寺院の檀家をやめる際のお礼。法的義務はなく、一般的には3〜15万円が目安 |
| 改葬許可証の取得費用 | 無料〜数百円 | 市区町村役場での手数料。多くの自治体で無料または数百円 |
| 遺骨の搬送費 | 1〜5万円 | 遺骨を新しい供養先へ運ぶ費用 |
| 新しい供養先の費用 | 5〜150万円 | 樹木葬・永代供養墓・納骨堂・散骨など移転先によって大きく異なる |
※費用はいずれも目安です。お墓の規模・立地・寺院との関係・移転先により大きく異なります。必ず複数の業者・施設に見積もりを取ってください。
費用を左右する主な要因
① お墓の規模と立地:大きな墓石・複数の墓石がある場合は工事費が高くなります。重機が入りにくい山の中や、階段の多い場所も割高になります。
② 離檀料:費用の中で最も読みにくい項目です。「離檀料を100万円以上請求された」というトラブルも実際にあります。ただし離檀料に法的根拠はなく、一般的には3〜15万円程度が目安です。
③ 新しい供養先:樹木葬の合祀型(5〜25万円)から、納骨堂の個別タイプ(50〜150万円)まで、移転先によって費用の幅が大きく変わります。
3. 墓じまいの手続きの流れ(ステップバイステップ)

「手続きが複雑そうで不安…」という方も多いですが、一つひとつのステップはそれほど難しくありません。全体の流れを把握してから進めると、ずっとスムーズになります。
- 家族・親族と話し合い、合意を得る
墓じまいで最もトラブルになりやすいのが親族間の意見の相違です。全員の合意を得てから動くことが最優先です。 - 新しい供養先(改葬先)を決める
樹木葬・永代供養墓・納骨堂・散骨など、改葬先を先に決めておくことで書類の取得がスムーズになります。改葬先から「受入証明書」を発行してもらう必要があります。 - 現在のお墓がある寺院・霊園に相談・連絡する
突然の離檀通告はトラブルの元です。「墓じまいを検討している」と相談の形で、感謝を伝えながら話を切り出しましょう。 - 石材店・墓じまい業者に見積もりを依頼する
複数の業者から見積もりを取り、費用・対応・実績を比較してから選びましょう。 - 市区町村役場で「改葬許可証」を取得する
現在のお墓がある市区町村の役場に申請書類を提出し、改葬許可証を取得します。これが手続きの核心です(詳細は次のセクションで解説)。 - 閉眼供養(魂抜き)を行う
僧侶にお願いして、お墓の「魂」を抜く供養を行います。必ずこれをしてから墓石の撤去工事に入ります。順番を間違えないようにしましょう。 - 墓石の撤去・解体工事を行う/遺骨を取り出す
石材店が墓石を撤去し、区画を更地に戻します。同時に遺骨を取り出して骨壷に収めます。立ち会いができるか業者に確認しておきましょう。 - 遺骨を新しい供養先に移す(納骨・埋葬)
改葬許可証を新しい供養先に提出し、納骨・埋葬を行います。これで改葬の手続きが完了します。 - 開眼供養(魂入れ)を行う(必要な場合)
新しい供養先によっては開眼供養が必要な場合があります。施設の担当者に確認しましょう。
手続きにかかる期間の目安
| フェーズ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| 準備フェーズ | 家族の合意・改葬先の決定・寺院への相談 | 1〜3ヶ月 |
| 手続きフェーズ | 業者選び・書類の取得・改葬許可証の申請 | 1〜2ヶ月 |
| 実施フェーズ | 閉眼供養・撤去工事・遺骨の移転・納骨 | 1〜2ヶ月 |
| 全体の目安 | — | 3ヶ月〜1年程度 |
「すぐに終わる」と思って進めると焦りが生じます。余裕を持ったスケジュールで、ゆっくり進めることをおすすめします。
4. 必要な書類と役所手続き

墓じまいで最も重要な書類が「改葬許可証」です。これがないと遺骨を移動させることができません。難しそうに聞こえますが、手順は意外とシンプルです。
改葬許可証の取得フロー
| 手順 | 内容 | 取得先・提出先 |
|---|---|---|
| ① 改葬許可申請書を入手 | 申請書を取得する | 現在のお墓がある市区町村役場(またはウェブサイト) |
| ② 埋葬証明書を取得 | 現在のお墓に誰が埋葬されているかの証明書 | 現在の寺院・霊園の管理者に発行してもらう |
| ③ 受入証明書を取得 | 新しい供養先が受け入れ可能であることの証明書 | 新しい供養先(樹木葬・納骨堂など)に発行してもらう |
| ④ 改葬許可申請書を提出 | ①〜③の書類をそろえて役場に提出 | 現在のお墓がある市区町村役場 |
| ⑤ 改葬許可証を受け取る | 役場から改葬許可証が交付される | 現在のお墓がある市区町村役場 |
改葬許可証の取得費用は、多くの市区町村で無料または数百円程度です。書類さえ整えれば、窓口での手続き自体はそれほど時間がかかりません。
注意① 複数の遺骨がある場合
お墓に複数の方の遺骨が入っている場合、遺骨の数だけ改葬許可証が必要になるケースがあります(自治体により異なります)。事前に市区町村の窓口で確認しておきましょう。
注意② 改葬先が「散骨」の場合
散骨(海洋散骨など)に遺骨を移す場合、改葬許可証の取り扱いが通常の改葬と異なる場合があります。散骨業者に事前に確認し、必要な書類を把握しておきましょう。
5. 信頼できる業者の選び方と注意点

墓じまいを依頼する業者選びは、費用にも仕上がりにも大きく影響します。残念ながら悪質な業者によるトラブルも実際に報告されています。しっかりポイントを押さえて選びましょう。
信頼できる業者を見分ける6つのポイント
- 複数の業者から見積もりを取る
最低でも2〜3社から見積もりを取って比較しましょう。1社だけで決めるのは禁物です。 - 見積もりの内訳が明確か確認する
「撤去費・処分費・整地費」など、何にいくらかかるかが明示されている業者を選びましょう。 - 実績・口コミが確認できる
設立年数・施工実績・利用者の声を確認してください。地域の石材店や寺院からの紹介も信頼の目安になります。 - 契約書・重要事項説明書がある
口頭だけで進める業者は危険です。必ず書面で契約内容を確認してください。 - 墓石の処分方法を説明してくれる
撤去した墓石がどのように処分されるかを明示してくれる業者が誠実です。 - 遺骨の取り出しに立ち会えるか確認する
大切なご遺骨の取り出しには、できる限り立ち会えるようにしましょう。立ち会いを断る業者には注意が必要です。
注意したい業者の特徴
- 見積もりが極端に安い(後から追加費用を請求するケースあり)
- 「今すぐ契約しないと値段が上がる」など強引な勧誘をする
- 費用の内訳を教えてくれない・曖昧にする
- 契約書を発行しない・口頭だけで進めようとする
- 遺骨の取り出しへの立ち会いを断る
- 会社の所在地・実績が不明確
6. 墓じまいでよくあるトラブルと対策

墓じまいには、思いがけないトラブルが起きることがあります。事前に知っておくことで、多くのトラブルは防ぐことができます。
トラブル① 離檀料の高額請求
「檀家をやめるなら高額を払え」と言われた——これは実際に報告されているトラブルです。ただし、離檀料の支払いを法律上義務づける規定はありません。一般的な目安は3〜15万円程度です。
あまりに高額な請求があった場合は、消費者センターや弁護士に相談することも選択肢です。最初から「長年お世話になった感謝」を丁寧に伝えながら話し合う姿勢が、高額請求を避けるコツでもあります。
トラブル② 親族の反対・合意が得られない
「ご先祖様に申し訳ない」「反対だ」という親族が出てくることは多いです。強く反対する方がいると手続きが進められなくなることもあります。
対策は、「新しい供養先をきちんと用意する」「引き続き丁寧に供養することを伝える」など、反対派の不安の根っこにある「ご先祖への申し訳なさ」に寄り添うことです。
トラブル③ 業者による追加費用の請求
「見積もりより大幅に高い請求が来た」というトラブルも少なくありません。「土台の撤去が想定外に大変だった」などを理由に追加費用を請求するケースがあります。
対策は、契約前に「追加費用が発生する場合の条件と上限」を書面で確認しておくことです。
トラブル④ 遺骨の扱いに問題が生じた
悪質な業者では、遺骨を適切に扱わないケースが過去に報告されています。遺骨の取り出しには必ず立ち会い、どのように保管・搬送するかを事前に確認しておきましょう。
⚠️ よくあるトラブルと対策まとめ
| トラブル | 対策 |
|---|---|
| 離檀料の高額請求 | 感謝を伝えながら穏やかに交渉。法的義務はないと知っておく |
| 親族の反対 | 新しい供養先を先に決め、丁寧な供養継続を伝える |
| 業者の追加費用請求 | 追加費用の条件・上限を書面で確認してから契約 |
| 遺骨の不適切な扱い | 取り出しに立ち会い・搬送方法を事前に確認する |
| 手続きの遅延・放置 | スケジュールを書面で確認し、定期的に進捗を確認する |
7. 墓じまい後の供養先の選び方

墓じまいをした後、遺骨(改葬先)をどこに移すかは、とても大切な判断です。主な選択肢と特徴をご紹介します。
| 供養先 | 費用目安 | 特徴 | 向いている方 |
|---|---|---|---|
| 樹木葬 | 5〜150万円 | 樹木・草花を墓標に自然の中に埋葬。永代供養付きが多い | 自然が好き・費用を抑えたい |
| 永代供養墓 | 5〜150万円 | 霊園・寺院が永続管理。合祀型・個別型など形式が様々 | 後継ぎなし・管理を施設に任せたい |
| 納骨堂 | 10〜150万円 | 室内に安置。天候不問・都市部はアクセス良好 | 都市部在住・お参りしやすさ重視 |
| 散骨 | 3〜30万円 | 海・山などに散布。お参りの場所なし | 費用最小限・形にこだわらない |
| 手元供養 | 1〜30万円 | 自宅に遺骨を安置。アクセサリー等への加工も可 | 傍に置いておきたい・一時的な安置 |
※費用はいずれも目安です。地域・施設・プランにより大きく異なります。
それぞれの選択肢についてはシリーズの各記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
- ▶ 樹木葬について詳しく:樹木葬とは?費用・デメリット・後悔しない選び方
- ▶ 永代供養墓について詳しく:永代供養墓とは?費用・種類・選び方の完全ガイド
- ▶ 散骨について詳しく:散骨(海洋葬)の費用・手続き・業者の選び方ガイド
- ▶ 納骨堂について詳しく:納骨堂の種類・費用・メリットデメリット完全ガイド
8. 墓じまいを検討する前に確認すべきこと

「墓じまいをしたい」という気持ちが固まってきたら、実際に動く前にいくつかの点を確認しておきましょう。焦って進めると後悔につながることがあります。
確認① 本当に「墓じまい」が必要か
「管理が大変だから」という理由であれば、墓じまいの前に「お墓の管理を霊園に代行してもらう」「永代供養への切り替え」など、お墓を残したまま負担を減らす方法もあります。まず寺院・霊園に相談してみましょう。
確認② 誰が主体となって進めるか
墓じまいは、お墓の名義人(墓地使用権者)が中心となって進めるのが基本です。名義人が亡くなっている場合は、最も近い相続人が代表して動きます。事前に「誰が責任者として動くか」を決めておきましょう。
確認③ お墓の中に何体の遺骨があるか
複数の遺骨がある場合、それぞれの遺骨をどうするかを事前に家族で話し合っておくことが大切です。改葬先をまとめるのか、それぞれ別の場所に移すのかによって、手続きや費用も変わってきます。
確認④ 寺院との関係はどうなっているか
長年お世話になってきた寺院との関係は、できるだけ円満に解決したいものです。「長年のご供養に感謝しています」という気持ちを丁寧に伝えながら話し合うことが、スムーズな墓じまいへの近道です。
確認⑤ 故人への罪悪感を抱えていないか
墓じまいを考えるとき、「ご先祖様に申し訳ない」という気持ちが生じるのは、とても自然なことです。でも、大切なのはお墓の「形」ではなく、故人への「気持ち」です。新しい供養先で引き続き丁寧に手を合わせることが、何よりのご供養になります。安心してください。
9. まとめ:後悔しない墓じまいのために
この記事のポイントをおさらい
- 墓じまいとは「墓石の撤去・区画の返還」、改葬とは「遺骨を新しい供養先に移すこと」。この2つをセットで行うのが墓じまいの全体像
- 総費用の目安は30〜150万円程度(規模・立地・移転先により大きく異なる)
- 手続きの核心は「改葬許可証」の取得。現在のお墓がある市区町村役場で申請できる
- 閉眼供養(魂抜き)は必ず撤去工事の前に行う。順番を間違えないよう注意
- 業者選びは複数の見積もりを比較し、内訳明示・書面契約・遺骨への立ち会いができる業者を選ぶ
- 離檀料の高額請求・親族の反対・追加費用などのトラブルは、事前準備と丁寧なコミュニケーションで防げる
- 全体スケジュールは3ヶ月〜1年程度の余裕を持って進めることが大切
シリーズを通じて伝えてきたこと
このシリーズでは、樹木葬・費用相場・永代供養墓・散骨・お墓を持たない選択肢・納骨堂、そして今回の墓じまいまで、終活におけるお墓・供養の選択肢を幅広くご紹介してきました。
どの選択肢が「正解」ということはありません。大切なのは、ご自身の気持ちと残るご家族の気持ちを両方大切にして、納得のいく形を選ぶことです。
焦る必要はまったくありません。家族と話し合いながら、ゆっくりと自分らしい選択を探してみてください。
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