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遺品をメルカリなどのフリマアプリで売ってみようかな、と考えていらっしゃる方へ。実は、売る前に確認しておいたほうがいいことが、いくつかあります。
故人が大切にしていた品物を、捨ててしまうのは忍びない。でも、置いておく場所もない。そんなとき、フリマアプリは「必要としてくれる方に引き継いでもらう」という、ありがたい選択肢になります。ただ、遺品ならではの落とし穴もあるんです。この記事では、公式に公開されている情報だけをもとに、順を追ってご説明していきます。難しく考えなくて大丈夫ですよ。
遺品をメルカリで売る前に|必ず確かめておきたい3つのこと

1. 遺品も、りっぱな「相続財産」です
お茶碗ひとつ、腕時計ひとつでも、亡くなった方が残した品物は相続財産にあたります。相続税の対象となる財産には、現金や預貯金、有価証券のほか、宝石や土地・家屋など、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものが含まれるとされています。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.4105「相続税がかかる財産」)
つまり「もう要らないもの」と思っていた品物も、手続きの上では財産の一部として扱われます。ここを知らずに動いてしまうと、あとで困ることがあります。
2. 相続放棄を考えているなら、遺品を売ってはいけません
ここが、いちばん大事なところです。民法では、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなすと定められています(民法第921条第1号)。単純承認をすると、相続人は無限に亡くなった方の権利義務を承継することになります(民法第920条)。
(出典:e-Gov法令検索「民法」(明治二十九年法律第八十九号))
わかりやすく言えば、借金も含めてすべて引き継ぐ、という意味になります。「形見の指輪を1つだけメルカリで売った」つもりが、相続放棄ができなくなってしまうこともあるわけです。故人に借入金があるかもしれない、という場合は、売る前にいったん手を止めてください。
また、相続放棄や限定承認をした後であっても、相続財産を隠したり勝手に使ったりした場合には、やはり単純承認したものとみなされる、と定められています(民法第921条第3号)。
(出典:e-Gov法令検索「民法」)
なお、相続放棄の申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所へ行う必要があります。3か月以内に財産の状況を調べてもまだ判断がつかない場合は、家庭裁判所に期間を伸ばしてもらう申立てもできます。
(出典:裁判所「相続の放棄の申述」)
3. 相続人が複数いるなら、独断で売らないこと
民法では、相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属するとされています(民法第898条)。ご兄弟やご親族が他にもいらっしゃる場合、遺品は皆さんの共有物ということになります。
(出典:e-Gov法令検索「民法」)
金額の大小ではなく、「勝手に売られた」という気持ちがしこりになってしまうことがあります。売る前にひと声かけておく。これだけで、あとの関係がずいぶん穏やかになります。
ここまで確認できたら、あとは落ち着いて進めていけば大丈夫です。
遺品をメルカリで売る手順|出品から発送までの流れ
出品はこの順番で進みます
メルカリの公式ガイドでは、出品の手順として、商品写真を登録する→商品名を入力する→カテゴリーと商品の状態を設定する→販売価格を設定する→「出品する」をタップする、という流れが案内されています。写真は20枚まで登録でき、正面・横・裏側・傷がある部分など、商品の詳細が伝わるように撮ることがすすめられています。
(出典:メルカリ ガイド「メルカリ出品までの流れ・売り方」)
商品の状態は「新品、未使用」から「全体的に状態が悪い」まで6つのレベルから選ぶ形になっており、販売価格は300円から9,999,999円の範囲で設定できます。
(出典:メルカリ ガイド「メルカリ出品までの流れ・売り方」)
遺品は年季が入っているものが多いですから、傷や汚れは隠さずに撮っておいたほうが、結果的にもめずに済みます。正直に書いてあるほうが、かえって信頼されるものです。
売れたあとの流れ
商品が売れたあとは、購入者の支払い完了を待つ→商品を梱包し発送する→購入者の受取評価を待つ→購入者を評価して取引を完了する、という順に進みます。出品者が購入者を評価すると取引完了となり、販売利益が残高へ反映されます。
(出典:メルカリ ガイド「商品が売れた後の流れ」)
手数料と、住所を知られたくないときの配送
メルカリの公式サイトによれば、販売手数料は10%で、売上金を指定口座へ引き出すときの振込手数料は一律200円とされています(内容は変更される場合がありますので、最新の条件は公式ガイドでご確認ください)。
(出典:メルカリ公式コラム「メルカリで利益を出すには?」)
「知らない相手に住所を知られるのは、ちょっと怖い」という声はとても多いです。安心してください。匿名配送は、配送方法に「メルカリ便」が選択されている商品に限り利用できるサービスとして案内されています。出品するときに配送方法をメルカリ便にしておけばよい、ということですね。
(出典:メルカリ ガイド「配送方法 早わかり表」)
ご自分のペースで、1品ずつで構いません。
遺品ならではの落とし穴|メルカリに出品できないもの
ここは意外と知られていないところです。故人のお宅から出てきやすい品物の中に、出品が禁止されているものが少なからずあります。
お金に近いもの・記念の品
メルカリでは、現金、金銭、金、その他これらに類するとみなされるものの出品を禁止しています。具体例として、現在有効な国内の銀行券(紙幣)や貨幣、現在有効な記念貨幣、貴金属の地金(インゴット・延べ棒など)、地金型金貨、商品券・旅行券、残高のあるプリペイドカード類(QUOカード、図書カード、テレホンカードなど)、未使用の切手(円)、収入印紙などが挙げられています。
(出典:メルカリ ガイド「現金、金銭、金、その他これらに類するとみなされるもの」)
タンスの引き出しから出てきた記念硬貨や切手シート、いただきものの商品券。まさにこの類ですので、フリマアプリではなく、別の方法を考えることになります。
象牙の製品
印鑑や置物、三味線の部品などで見かける象牙にも、法律上の決まりがあります。環境省によれば、生牙・磨牙・彫牙など全形を保持した象牙は、「種の保存法」で譲渡し等(売買等)が原則禁止されています。規制前に取得されたもの等は登録を受けることが可能で、登録番号を示した上でのオークションサイト等への出品を含む広告と、登録票を伴う譲渡しができるとされています。
(出典:環境省「象牙等はルールを守って取引しましょう!」)
そのうえでメルカリでは、象牙の全形・カットピースおよび象牙の加工品全般について、出品を禁止すると案内しています。
(出典:メルカリ ガイド「象牙および希少野生動植物種の個体などのうち、種の保存法により必要とされている登録がないもの」)
刀剣類
蔵や押し入れから日本刀が出てくる、というのは実際にあるお話です。メルカリでは、銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)で所持が規制される刀剣類および銃砲は出品できないとされ、刀、短刀、やり、なぎなたなどが具体例として示されています。しかも銃砲刀剣類登録証などの掲載がある場合でも出品できないと明記されています。
(出典:メルカリ ガイド「殺傷能力があり武器として使用できる可能性が高いもの」)
お薬・たばこ・証明書類
禁止されている出品物の一覧には、医薬品や医療機器、たばこ、農薬・肥料なども挙げられています。
(出典:メルカリ ガイド「禁止されている出品物」)
また、領収書やレシート、運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど、公的機関で発行される個人を特定する情報が記載された証明書類も出品できません。
(出典:メルカリ ガイド「領収書や公的証明書類」)
古い電化製品
経済産業省の資料では、電気用品を販売または販売目的で陳列する場合には、PSEマークの表示が必要になると説明されています。
(出典:経済産業省「電気用品安全法の概要や義務について」2026年2月)
これを受けて、メルカリでもPSマークの表示がなく製品の安全性が確認できないものは出品できないとされています。あわせて、石綿(アスベスト)を含有するもの、使用期限切れの化粧品類、開封済みの衛生用品なども禁止対象です。
(出典:メルカリ ガイド「危険物や安全性に問題があるもの」)
「代わりに出品してあげる」も、実は禁止です
意外に思われるかもしれませんが、メルカリの禁止されている行為には「出品者とは別の第三者の商品を代理で出品すること」が含まれています。同じ一覧に、個人情報を含む出品や、商品の状態がわかる画像を掲載しないことも挙げられています。
(出典:メルカリ ガイド「禁止されている行為」)
「お母さんの遺品を、私のアカウントで代わりに」という場合は、まず遺産分割で誰のものになったのかをはっきりさせてから、その方ご自身のアカウントで出品する、という順序になります。
ひとつずつ確かめていけば、迷うことはありません。
遺品を売ったお金に、税金はかかるの?

ふだん使いの品物なら、原則として税金はかかりません
国税庁によれば、家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得には、所得税は課税されないとされています。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.3105「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」)
お洋服や食器、家具などを整理して売る分には、基本的に心配はいらない、ということですね。
ただし、高価な貴金属や骨とうは別扱いです
同じ国税庁の説明では、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は、この非課税の対象から除かれるとされています。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.3105)
また、資産を相当の期間にわたり継続的に譲渡している場合の所得は、事業所得または雑所得となるとも書かれています。遺品整理のつもりが、いつのまにか毎月たくさん出品している、という状態になったときは、一度税務署にご相談いただくのが安心です。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.3105)
「古物商の許可」は必要?
ご自分の物を売るだけなら、と気になる方も多いところです。古物営業法では、古物営業のうち「古物商」にあたる営業について、古物を売却することのみを行うものは除くと定められています。
(出典:e-Gov法令検索「古物営業法」(昭和二十四年法律第百八号)第2条)
古物営業や許可の制度そのものについては、警察庁のページでも案内されています。判断に迷う場合は、お住まいの地域を管轄する警察署にご確認ください。
(出典:警察庁「古物営業・質屋営業について」)
トラブルを防ぐために|国民生活センターが伝えていること

フリマアプリは「個人と個人の取引」です
国民生活センターは、フリマサービスについて、多くの利用規約ではトラブルが発生した場合、その解決は当事者間(個人間)で図ることが求められている点を理解して利用するよう呼びかけています。
(出典:国民生活センター「購入・出品した商品が偽物?!フリマサービスのトラブルに注意!」2025年9月2日公表)
お店で買うのとは、そこが大きく違います。何かあったとき、運営会社が全部間に入ってくれるわけではない、ということですね。
出品する側が気をつけたいこと
- 利用規約やご利用ガイドなど、運営事業者からの案内をよく読み、使い方を理解したうえで利用する(出典:国民生活センター 2025年9月2日公表)
- 商品を発送する際は、追跡が可能な方法を採る(出典:国民生活センター 2025年9月2日公表)
- 商品についての疑問点は、購入者から質問を受けたときにきちんと回答するなど、トラブルの未然防止を心がける(出典:国民生活センター 見守り新鮮情報 第536号「フリマサービスのトラブルに注意!」2026年3月5日)
- トラブルになった場合は、まず当事者間で十分に話し合い、解決しないときは運営事業者に事情を伝え、鑑定サービス・補償制度の利用や調査等の協力が得られないか確認する(出典:国民生活センター 見守り新鮮情報 第536号)
実際の相談事例としては、出品したブランドバッグについて購入者から偽物だと苦情があり、返品を受けたところ別のバッグにすり替えられて戻ってきた、というものも紹介されています。
(出典:国民生活センター「ネットで購入・出品した商品が偽物?!フリマサービスのトラブルに注意!」PDF)
遺品は、ご本人に「どこで買ったのか」を確認できないという事情があります。ブランド品などで正規品かどうか判断がつかないものは、無理に出品なさらないほうが穏やかです。メルカリでも、偽ブランド品や正規品と確証のないものは禁止されている出品物として挙げられています。
(出典:メルカリ ガイド「禁止されている出品物」)
困ったときに相談できる場所は、ちゃんと用意されています。
相談窓口・次のアクション
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」:お住まいの地域の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。相談は無料です(通話料はご負担となります)。(出典:消費者庁「消費者ホットライン」)
- お近くの消費生活センターを探す:国民生活センター「全国の消費生活センター等」
- 相続放棄・限定承認の手続きについて:裁判所「相続の放棄の申述」
- 相続の手続き全般の相談:日本司法書士会連合会
- 遺言書の保管制度について:法務省「自筆証書遺言書保管制度」
まとめ|遺品をメルカリで売るときの5つのポイント
- 遺品も相続財産です。宝石など金銭に見積もることができる経済的価値のあるものは相続税の対象となります(出典:国税庁 No.4105)
- 相続放棄を考えているなら売らないこと。相続財産の全部または一部を処分すると単純承認をしたものとみなされます(出典:e-Gov法令検索「民法」第921条)
- 記念貨幣・地金・商品券・未使用の切手・象牙・刀剣類・医薬品・証明書類などは出品できません(出典:メルカリ ガイド「禁止されている出品物」)
- 生活に通常必要な動産の譲渡は非課税。ただし1個または1組30万円を超える貴金属・宝石・書画・骨とうは除かれます(出典:国税庁 No.3105)
- フリマサービスのトラブル解決は原則として当事者間。発送は追跡が可能な方法を選びましょう(出典:国民生活センター 2025年9月2日公表)
遺品を手放すのは、それだけで気持ちの重い作業です。全部を一度に片づけようとせず、今日は引き出しひとつ、と決めて進めていくくらいでちょうどいいのだと思います。
📞 無料相談窓口のご案内
「これは売っていいものだろうか」「相続放棄をするか迷っている」——そんなときは、ご自分だけで判断なさらず、専門の窓口にお声がけください。電話一本で、状況に合った案内をしてもらえます。
▶ 消費者ホットライン「188」について(消費者庁)
▶ お近くの消費生活センターを探す(国民生活センター)
▶ 相続の手続きを司法書士に相談する(日本司法書士会連合会)
この記事についてのお断り
この記事は、国税庁・法務省・裁判所・環境省・経済産業省・警察庁・消費者庁・国民生活センター等が公表している資料と、フリマサービス運営事業者の公式ガイドをもとに、内容をわかりやすく整理したものです。特定の方の状況に対する税務・法律上の助言を行うものではありません。
相続放棄をすべきかどうか、売却したお金に申告が必要かどうかといった個別の判断は、ご事情によって結論が変わります。実際に手続きを進める際は、税務署・税理士・司法書士・弁護士など、それぞれの専門家や公的な窓口にご確認ください。
また、制度や各サービスのルールは変更されることがあります。掲載している内容は執筆時点のものですので、お手続きの前に、各出典元の最新の情報をあわせてご覧いただけますと安心です。























