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終活をしていると、枕飾り(まくらかざり)という言葉を聞いたことがあると思います。
枕飾り(まくらかざり)とは、亡くなった方の枕元にお供えするために飾る台のことですが、宗教や宗派によってご飯や団子、お供えする花などに違いがあります。
「枕飾りという言葉をはじめて聞いた」
「なんとなくはわかるけど、詳しくは知らない」
色々な方がいると思いますが、今回は皆さんに理解していただけるように、枕飾りについて詳しく紹介したいと思います。
目次
枕飾りとは
「そもそも枕飾りとは何か?」
初めて聞く方もいると思うので、まずは「枕飾りとは何か」について紹介します。
枕飾りの意味をウィキペディア(Wikipedia)で調べてみると、以下のように記述されています。
枕飾り(まくらかざり)とは、亡くなった者を自宅に安置した際、遺体の枕元(またはその傍ら)に置く台(供物台)である。なお、地域や宗派によって台に置くものが異なることがある。
枕飾り(まくらかざり)とは、自宅に安置したときに、遺体の枕元に置く供物台のことです。
供物台とは、供養するためにお供えするための台のことです。
この枕飾りは、簡易的な祭壇として使われます。
自宅で遺体を安置している間に、弔問に駆けつける方もおり、そのような場合でも礼拝ができるようにと枕飾りが置かれます。
他には、この世からあの世へ旅立つ魂が迷うことなく成仏できるようにするためのものでもあります。
体から離れてすぐの魂は、現世への欲が残っており、この世へ残ろうとするようです。
そのため、枕飾りやお経によって魂を供養し、あの世へ旅立たせてあげる役割もあります。
また、ひとことで「枕飾り」といっても、宗教や宗派によって内容が異なることがあります。
ですので、その人の宗教や宗派に合わせた枕飾りをする必要があります。
枕飾りで必要な物・準備する物は後ほど【 宗教ごとの枕飾り 】で紹介します。
枕飾りと関連して「枕経(まくらぎょう)」と「後飾り(あとかざり)」があります。
続いては「枕経」と「後飾り」について、簡単に紹介したいと思います。
枕経と後飾りについて
枕飾りと関連して、「枕経(まくらぎょう)」と「後飾り(あとかざり)」があります。
枕経とは、仏式(仏教の儀式)の場合に行われるもので、枕飾りを置いたあとで僧侶を呼び、亡くなった方の枕もとで経を称えてもらうことです。
これを枕勤め(まくらづとめ)ともいいます。
※浄土宗や浄土真宗など、宗派によっては枕経が行われないこともあります。
後飾りとは、後飾り壇(あとかざりだん)とも呼ばれており、火葬後から納骨するまでの間、遺骨を自宅で安置するときに置かれるものです。
内容は若干異なりますが、枕飾りとほとんど変わりはありません。
また、火葬後に行うものを「後飾り」と呼ぶように、枕飾りを「前飾り(まえかざり)」と呼ぶこともあります。
後飾りについては、下の記事で詳しく紹介しています。
後飾りの意味や必要性、後飾りに必要な物や置き方など詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
宗教ごとの枕飾り
今回は例として、以下の宗教の枕飾りについてみていきたいと思います。
・仏式(仏教)
・神道(神式、神道式)
・キリスト教(キリスト教式)
ここで紹介するのは、あくまでも一つの例です。
宗教や宗派によって内容が異なるので、実際に行う際は葬儀業者などの専門家に確認し、正しい枕飾りを置くようにしましょう。
仏式の枕飾りに必要な物
はじめに仏式の枕飾りに必要な物一式を紹介していきます。
まずは枕飾りに使用する台を用意します。
仏式の枕飾りの場合は、白木の小台もしくは白い布をかけた小台を用意します。
この小台に、枕飾りに必要な物を並べていきます。
仏式の枕飾りでは、主に以下の物を並べていきます。
・花立て(花)
・一膳飯
・水
・燭台(蝋燭)
・枕団子
・線香
・香炉
・鈴
また、上記のほかに故人が好きだった食べ物を供えることもあります。
ただし、仏式の場合は生ものをおくのは良くないとされているので、この点は注意するようにしましょう。
では、上記で紹介した必要な物について、それぞれどんな物なのかを確認していきましょう。
花立て(花)
花立ては、三具足(みつぐそく・さんぐそく)の一つです。
三具足とは「花立・燭台・香炉」の三つの仏具のことをいいます。
花立ては、水を入れて使うのが一般的ですが、枕飾りのときは水を入れずに花を挿します。
このとき挿す花は「樒(しきみ)」が良いとされており、一輪挿しでお供えします。
この一輪挿しの花を「一本花」といいます。
一本花のことを「枕花(まくらばな)」と呼ぶ方もいますが、枕花は故人と親しかった方や弔問に訪れた方が、枕元に飾る生花のことをいいます。
枕飾りに飾る一本花とは異なる扱いになるので覚えておくとよいと思います。
また、樒が無い場合は菊(きく)などの仏花でも問題ありません。
一膳飯
一膳飯(いちぜんめし)とは、「枕飯(まくらめし)」とも呼ばれており、山盛りに盛ったご飯に箸を2本立てたものです。
文字通り一膳限りのご飯といったように「亡くなった方のこの世での最期の食事」という意味や、「死出の旅の食料」という意味合いを持っています。
また、このとき盛り付けるご飯の山は、高いほど良いとされています。
※浄土真宗では、人は死と同時に召されるとされている「最期の食事」や「死出の旅の食料」は必要ありません。そのため、一膳飯や枕団子は必要ないとされています。
水
水は亡くなった方が、のどの乾きでこの世を彷徨わないように置かれるものです。
このとき供える水は、水道水で問題ありません。
湯のみ茶碗やコップに入れてお供えをします。
また、死後の「水」に関連するもので「死に水(しにみず)」や「末期の水(まつごのみず)」というものもあります。
「死に水」や「末期の水」は同じ意味合いのものですが、枕飾りの水とは異なるものです。
「死に水」や「末期の水」とは、簡単に紹介すると亡くなった方の唇に、水を含ませて潤すものです。
のどの渇きを潤すために行う儀式の一つです。
燭台(蝋燭)
燭台(しょくだい)とは、仏具の一つで「蝋燭立て(ローソク立て)」のことをいいます。
枕飾りのローソクは、「火を絶やさないようにする」と言われていますが、最近はそこまで厳格なものではありません。
一晩中絶えないようにするのはご遺族の負担にもなりますし、地震などで火事になるリスクもあります。
そのため、最近では「長持ちするローソク」や、安全に配慮して「火を使わない電気ローソク」などを使うケースも増えています。
起きている時間は「長持ちするローソク」、就寝時間には「火を使わない電気ローソク」と使い分けることもできますし、火を使うことに不安があるのでしたら「火を使わない電気ローソク」のみを使う選択もできます。
枕団子
枕団子(まくらだんご)とは、枕飾りに置かれる団子のことで、うるち米の粉で作った団子をいいます。
団子を置く理由としては、「死出の旅の食料」という意味合いを持っています。
団子の数については
・六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上)を表す6個
・十三佛(十三の仏)を表す13個
・四十九日分の49個
などがあり、地域などによって供える数に違いがあります。
他には11個や故人の年齢の数だけ置く地域もあるようです。
線香
線香とは、仏壇やお墓の前などで焚く「お香」のことです。
香料を上記画像のように細い棒状に練り固めたものや、渦巻き型のものなどあります。
枕飾りの線香は何本もあげるのではなく、香炉に1本だけ立てます。
線香もローソクと同じように「火を絶やさないようにする」のですが、こちらも遺族の負担や火災リスクがあります。
そのため、火を使わない「電気線香」や、長時間利用できる「渦巻線香(うずまき線香)」などを使うケースもあります。
また、線香の役割は諸説あります。
・心身を清める
・迷わずあの世へ行けるようにする
・心を落ち着かせる
など色々とあります。
他にも線香の煙を通じて故人とお話をするという意味もあるようです。
香炉
香炉(こうろ)とは、仏具の一つでお香を焚くのに使う容器のことです。
火をつけた線香を灰が入った容器に立てたことがあると思いますが、この容器を香炉といいます。
線香立てという方もいますが、火をつける前の線香を入れておく「線香差し」を線香立てと呼ぶこともあります。
ですので混合してしまわないように、仏具の名称は覚えておいた方がよいと思います。
鈴
鈴(りん)とは、お椀型の金属製のものです。
上記画像からわかるように、僧侶がお経を唱えながら鳴らしたり、線香をあげるときに棒で叩いて「チーン」と鳴らすものです。
また、鈴を叩く棒を「りん棒」といいます。
以上が、それぞれの意味や用途などです。
続いては、枕飾りに並べるときの置き方を見ていきましょう。
仏式の枕飾りの置き方
仏式の枕飾りで必要な物を置く位置については、イメージとして以下のようになります。
後ろ | |||
花立て | 一膳飯 | 水 | 燭台 |
枕団子 | 線香 | 香炉 | 鈴 |
前 |
正面から見て奥左側から花立て、一膳飯、水、燭台と並べていきます。
手前左側から枕団子、線香、香炉、鈴の順番で並べます。
しかし、これが必ずしも正解というわけではありません。
はじめにも話したように枕飾りは宗派によって内容が異なることがあります。
そのため、同じ仏式であっても必要な物や不要な物、置き方に違いが出ることもあります。
仏式の枕飾りを行う宗派
仏式の枕飾りを行うのは、以下の宗派です。
宗派一覧 | |
曹洞宗 | 真言宗 |
日蓮宗 | 臨済宗 |
日蓮正宗 | 天理教 |
天台宗 | 時宗 |
禅宗 | 法華宗 |
本門佛立宗 | 浄土真宗 |
浄土宗 |
※上記は一部の例です。他にも沢山の宗派が存在します。
※無宗教の場合は決まった形はありませんが、弔問に訪れた方が戸惑わないように献花台や供養するための品を飾るのが一般的になようです。
神道の枕飾りに必要な物
神道の枕飾りで必要な物一式を確認していきましょう。
神道の枕飾りでは、八足机(はっそくのつくえ・やつあしのつくえ)と呼ばれるいう白木の台を使います。
八足机とは、神道の儀式で使われる机のことです。
また、神道の儀式のことを「神式」または「神道式」と呼ぶこともあります。
この八足机の上に、以下の枕飾りに必要な物を並べていきます。
・三方
・御霊代
・榊立
・水
・洗米
・塩
・お神酒
・燭台
上記のほかに、常饌(じょうせん)や故人が好きだった食べ物を供えることもあります。
常饌(じょうせん)とは、日常の食事のことをいいます。
また、仏式とは違い、生ものをおくのも良しとされています。
では、上記で紹介した必要な物について、それぞれどんな物なのかを確認していきましょう。
三方
三方(さんぼう)とは、神饌(しんせん)を載せるための台です。
神饌とは、お供え物のことを指しており「水・洗米・塩・お神酒」などのことです。
上記画像で説明すると、奥2つにあるのが「お神酒」、中心にあるのが「水」、手前の2つが「塩」と「洗米」です。
御霊代
御霊代(みたましろ)とは、故人の霊を祭るもので、霊璽(れいじ)とも呼ばれています。
仏教では、位牌にあたるものです。
白木で作られることが多く、位牌とは違い外側を覆うカバーもついています。
榊立
神道の枕飾りでは、榊立(さかきたて)と呼ばれる花立てを使います。
榊立とあるように、榊(さかき)と呼ばれる植物を入れて八足机にお供えします。
榊は上記の画像を参考にしてください。
水
水は水道水でもよいですが、「初水(はつみず)」が良いとされています。
初水とは、その日の最初に使う水のことです。
ただ、現実的に考えると「初水」を用意するのは難しい場合もあります。
そのような場合は、そういう気持ちを持ってお供えすると良いとされています。
また、ミネラルウォーターなどでも問題はありません。
水は、神具の一つ「水器(すいき)」と呼ばれるものに入れます。
水器とは、上記画像の先が尖っている陶器です。
主に、素焼きの土器ですが、白陶器、金属などの素材で作られている物もあります。
また、水器は「水玉(みずたま)」などと呼ばれることもあります。
両隣にあるのは平らなお皿は「平瓮(ひらか)」と呼ばれるもので、洗米や塩を入れる陶器になります。
洗米
洗米は、水できれいに洗ったものをお供えします。
洗米を入れるのは、神具の一つ「平瓮(ひらか)」と呼ばれる素焼きの土器になります。
塩
塩は、お清めやお祓いの意味を持つものです。
洗米と同じように「平瓮(ひらか)」と呼ばれる素焼きの土器へ入れてお供えをします。
また、塩は海の水で作られた天然の粗塩がよいとされています。
お神酒
お神酒(おみき)とは、神前に供えるお酒のことで、日本酒が供えられることが多いです。
お米や塩、水などと同じように神式において欠かせないものとなっています。
お神酒は、神具の一つである「瓶子(へいし)」と呼ばれる素焼きの土器に入れてお供えします。
瓶子は、上記画像の陶器です。
燭台
仏式と同じように、神道でもローソクを立てる燭台(しょくだい)が置かれます。
神道の枕飾りの置き方
神道の枕飾りで必要な物を置く位置については、イメージとして以下のようになります。
後ろ | |||
榊立 | 御霊代 | 榊立 | |
お神酒 | お神酒 | ||
水 | |||
燭台 | 塩 | 洗米 | 燭台 |
前 |
正面から見て奥左側から榊立、御霊代、榊立、手前左側から燭台、三方、燭台となります。
そして三方の奥両端にお神酒、中央に水、手前両端に塩と洗米を置きます。
キリスト教の枕飾りに必要な物
キリスト教では枕飾りの習慣はないのですが、日本においては枕飾りをする場合もあります。
その際は、白い布で覆った台に枕飾りに必要な物一式を置いていきます。
また、キリスト教には「カトリック系」と「プロテスタント系」があり、儀式などに違いはありますが、枕飾りの習慣はもともとありませんので、必要な物に関して大きな差はありません。
キリスト教で枕飾りをする場合において、必要となる物は以下のとおりです。
・燭台(蝋燭)
・花立て(花)
・十字架
・聖書
・パン
・水
カトリックの場合は「終油の秘跡」として、聖油を用意することもあります。
終油の秘跡については後ほど紹介するので省略しますが、カトリックの儀式の一つです。
では、上記で紹介した必要な物について、それぞれどんな物なのかを確認していきましょう。
燭台(蝋燭)
仏式や神道式と同じように、キリスト教式でも燭台が置かれます。
花立て(花)
キリスト教の花立てに飾る花は、一般的に白い花とされています。
仏式や神道式とは違い、特に決まった花はありませんが、白いユリやカーネーションなどを使うことが多いようです。
十字架
十字架はキリストの象徴とも言えるもので、キリスト教において非常に重要なものとなっています。
聖書
聖書は、十字架と同じようにキリスト教では重要なものとなっています。
このとき供える聖書は、故人が日頃から愛用していたものを使うのが一般的です。
パン
仏式や神式では、ご飯やお米をお供えしますが、キリスト教の場合はパンをお供えします。
イエス・キリストが最後の晩餐で「これは私の体と血」として、パンと葡萄酒(ぶどうしゅ)を弟子たちに分け与えられたことから、神に対する感謝の意味でお供えされます。
水
仏式や神道式と同じように水もお供えします。
供える意味はパンと同じです。
ですので本来は葡萄酒(ぶどうしゅ)、ワインとされていますが、水でも問題はないようです。
「聖油」と「終油の秘跡」について
カトリックの場合は「終油の秘跡」として聖油を用意します。
終油の秘跡とは、カトリック教会の七つの秘跡のひとつで、現在は病者の塗油(びょうしゃのとゆ)と呼ばれています。
もともとは病人の回復を祈るための儀式でしたが、時が経つにつれて臨終にある者に対して行われるようになり、「終油の秘跡」と呼ばれるようになったようです。しかし、秘跡の由来と本来的な意味の見直しが行われて「病者の塗油(びょうしゃのとゆ)」となりました。
この儀式では、神父(司祭)が故人(病人)の額と両手に聖油で十字架をしるし、罪と病から解放するために神に祈願する儀式となります。
キリスト教の枕飾りの置き方
キリスト教の枕飾りで必要な物を置く位置については、イメージとして以下のようになります。
後ろ | |||
燭台 | 花立て | ||
十字架 | 聖書 | パン | 水 |
前 |
正面から見て奥左側に燭台、置く右側に花立てを置きます。
そして、手前左側から十字架、聖書、パン、水などが置かれます。
枕飾りの費用相場
続いては枕飾りにかかる費用相場、お金に関することです。
枕飾りをする際、色々な物が必要となるのがわかったと思いますが、実際にいくらくらいかかるものなのかを紹介します。
まず、枕飾りを葬儀業者へ頼む場合は「1万円~3万円程度」となっているようです。
しかし自身で枕飾り一式を用意する場合は、選ぶ物によっては価格も大きく異なるため、相場はありません。
例えば、仏式の枕飾りで使われる三具足(花立・燭台・香炉)ですが、これらはセット販売もされています。
中には数千円程度で購入できる物もありますが、高額になると数十万円する物もあります。
ですので価格幅はとても広いものとなっています。
しかし仏具はこれから先、子や孫に受け継ぐこともできるので良い物を購入するのもよいと思います。
仏具は相続財産の課税対象外になるので、生前のうちに購入しておけば相続税対策になる可能性もあります。
ただし、投資対象になるものや骨董的価値があるものは課税されてしまうので、相続税対策も兼ねて購入を検討するのであれば、この点は気をつけなければなりません。
まとめ
最後に枕飾りについて振り返ってみましょう。
・枕飾りとは、供養するために必要なもの
・枕飾りとは、簡易的な祭壇としても使うことがある。
・枕飾りは宗教や宗派によって違いがある。
・枕飾りの内容は地域により異なるケースもある。
・枕飾り一式の費用は、葬儀業者へ依頼すると1万円~3万円程度
・自分で枕飾りを用意する場合は、高額になるケースもある
この記事では、主に上記の内容を紹介してきました。
枕飾りは自宅へ安置するときに使うものなので、自宅以外で安置する場合は用意しないケースもあります。
ですので必ず必要とするものではありませんが、基本的な知識として覚えておくとよいと思います。
終活.comでは、枕飾りのほか、葬儀に関して日本で最も多い火葬についても紹介しています。
下の記事で火葬の費用や流れ、マナーなどを解説しているので、合わせてご覧ください。