実家の片付けはどこから始める?空き家の遺品整理と公式手続きの進め方

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実家の片付けは、荷物の多さよりも「何から手をつければいいのかわからない」ことでつまずきます。この記事では、空き家になった実家の遺品整理や家財の処分について、国の公式資料に書かれていることだけをまとめました。

実家の押し入れを開けたまま、そっと閉じてしまった経験はありませんか。捨てていいのか、売っていいのか、そもそも自分が決めていいのか。迷って当然です。実は、順番さえわかっていれば、慌てずに進められる部分がとても多いのです。一つずつ見ていきましょう。


実家の片付けは、実は多くの家庭が直面していること

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空き家は900万戸を超え、その多くが一戸建て

総務省の調査によると、2023年10月1日現在、全国の空き家は900万2千戸、総住宅数に占める空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・過去最高となっています。空き家数はこの30年でおよそ2倍になりました。
(出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」

そのうち一戸建ては352万3千戸。さらに一戸建ての空き家の約8割にあたる80.9%が、賃貸用でも売却用でも別荘でもない、いわゆる使い道の決まっていない空き家です。同じ調査では、現住居以外に空き家を所有している世帯が141万6千世帯にのぼることもわかっています。
(出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査(確報集計)結果」

「片付け」は住まいの将来を決める作業でもある

国土交通省が日本司法書士会連合会・全国空き家対策推進協議会と共同でつくった「住まいのエンディングノート」では、住まいの「活かし方」「しまい方」を考えること、家財を整理すること、財産や自分の将来を家族に伝えることを、先延ばしにせずあらかじめ行動しておくことが大切だと書かれています。
(出典:国土交通省・日本司法書士会連合会・全国空き家対策推進協議会「住まいのエンディングノート」2024年6月初版

つまり、実家の片付けは単なる荷物の整理ではなく、その家をこの先どうするかを決めていく作業でもあるのです。


実家の片付けの進め方|先に「情報」を集めておくと迷いません

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まずは家の名義と権利関係を確かめる

荷物に手をつける前に、その家と土地が誰の名義になっているかを確かめておくと安心です。「住まいのエンディングノート」では、法務局が発行する登記事項証明書(登記簿謄本)や、市町村から届く固定資産税の納税通知書を確認する方法が紹介されています。複数人で共有している場合は、自分の持分や共有者が誰かも把握しておきましょう。
(出典:国土交通省ほか「住まいのエンディングノート」

「貴重な家財」を先に洗い出しておく

同じノートには、住まいに貴重な家財があるか、貴重である理由と保管場所を書き留めておく欄が設けられています。あわせて、パソコンやスマートフォンに保管している住まい関連のデジタルデータの有無も書き残せるようになっています。
(出典:国土交通省ほか「住まいのエンディングノート」

ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、これを先にやっておくと「あれはどこへ行った」と後から探し回らずに済みます。書き写すのが大変なら、取り寄せた資料をノートと一緒に保管しておくだけでも十分だと案内されています。

残すもの・処分するものを、目に見える形で分ける

国民生活センターは、大切な遺品を誤って処分されてしまうケースがあるとして、残しておくものと処分するものが誰にでも分かるようにしておき、作業時にはできるだけ立ち会うことを呼びかけています。
(出典:国民生活センター 見守り新鮮情報 第525号「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」2025年10月30日

ここまでできれば、片付けの一番難しいところは越えたようなものです。


家財やごみの正しい処分方法|ここは法律で決まっています

家庭から出るごみは、市区町村のルールで

環境省は、家電の処分方法がわからない場合はまずお住まいの市区町村の廃棄物・リサイクル担当に問い合わせるよう案内しています。家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機)は家電リサイクル券を貼って家電小売店へ引き渡すか、市区町村の案内する方法でリサイクルします。4品目以外の小型家電も市区町村のルールに従って処分します。
(出典:環境省「いらなくなった家電製品は正しくリユース・リサイクル!」

そして大事なのがここです。ご家庭の廃棄物を回収するには、廃棄物処理法に基づく「一般廃棄物収集運搬業の許可」または「市町村の委託」が必要とされています。産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では、家庭の廃棄物は回収できません。
(出典:環境省「いらなくなった家電製品は正しくリユース・リサイクル!」

解体するなら、家財は解体業者任せにできません

意外と知られていないのが、この点です。環境省の通知では、建築物の解体に伴って生じた廃棄物(解体物)の処理責任は元請業者にある一方で、解体時に所有者が残していった家財など(残置物)の処理責任は建築物の所有者等にあるとされています。そのため、建築物の解体を行う際には、解体前に所有者等が残置物を適正に処理する必要があると明記されています。
(出典:環境省「建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(通知)」平成30年6月22日

この残置物は、一般家庭が排出する場合には一般廃棄物にあたります。また、リフォーム工事など解体以外の場合でも、所有者等が残した廃棄物の処理責任は所有者等にあるとされています。
(出典:環境省「建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(通知)」

つまり「解体するから中身はそのままで」というわけにはいかない、ということですね。順番としては、片付けが先、解体が後になります。


業者に頼むときの注意点|相談件数は増えています

実際に起きているトラブル

不用品回収サービスに関する相談は、全国の消費生活センター等に2018年度1,354件、2019年度1,457件、2020年度1,788件、2021年度2,231件と寄せられており、増加傾向にあります。
(出典:国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル-市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けずに回収を行う事業者に注意-」2022年11月2日

遺品整理でも同じような相談が続いています。国民生活センターが紹介している事例では、当初20万円くらいと聞いていたのに作業後に30万円と言われた(見積書はもらっていなかった)、大切な書類は残す約束だったのにアルバムや回線のつながった電話機まで処分され、ごみ処理場に運搬済みで取り戻せないと言われた、といったものが挙げられています。
(出典:国民生活センター 見守り新鮮情報 第525号「遺品整理を頼むときは、事業者選びは慎重に」

頼む前に確認したい5つのこと

国民生活センターは、許可を持っているかどうかは市町村の窓口に照会するなどして確かめるよう案内しています。困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等に相談できます(消費者ホットライン188)。
(出典:国民生活センター「全国の消費生活センター等」

「今日決めてくれれば安くなる」と急かされても、その場で決めなくていいんです。持ち帰って構いません。


片付けの後に効いてくる、知っておきたい制度

放置すると固定資産税の軽減がなくなることがあります

空家法では、周囲に著しく悪影響を及ぼす空き家を市区町村が「特定空家」に指定して指導や勧告を行ってきました。令和5年の改正で、適切に管理されていない「特定空家予備軍」も「管理不全空家」として指導などの対象になっています。
(出典:国土交通省「空き家対策 特設サイト|空家法とは」

一般の住宅には固定資産税が減額される「住宅用地特例」(200㎡以下の部分は課税標準1/6、200㎡を超える部分は1/3)が適用されますが、管理不全空家や特定空家への指導に従わず勧告を受けると、この軽減措置が受けられなくなります
(出典:国土交通省「空き家対策 特設サイト|空家法とは」

相続登記は3年以内が義務です

令和6年4月1日から、相続(遺言を含む)で不動産の所有権を取得した相続人は、相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられました。正当な理由なく怠ったときは10万円以下の過料の対象となります。施行日より前に開始した相続でも、登記をしていなければ令和9年3月31日までに手続きが必要です。
(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」

遺産分割の話し合いがまとまらないときのために、相続人であることを法務局に申し出る「相続人申告登記」という簡易な手続きも設けられています。
(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」

売却するなら「空き家の3,000万円特別控除」を確認

相続または遺贈で取得した被相続人の居住用家屋やその敷地を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。令和6年1月1日以後の譲渡で、相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は2,000万円までとなります。
(出典:国税庁 タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」令和7年4月1日現在法令等

主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有建物登記がされていないこと、相続開始の直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったこと、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、売却代金が1億円以下であることなどです。
(出典:国税庁 タックスアンサーNo.3306

片付けとの関係で見落としがちなのが、相続の時から譲渡の時まで事業の用・貸付けの用・居住の用に供されていないことという要件です。空いた実家を人に貸したり誰かが住んだりすると、この特例の対象から外れることがあります。適用には市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」なども必要です。
(出典:国税庁 タックスアンサーNo.3306

土地を手放したいときは、先に建物の始末を

相続などで土地を取得した方は、一定の要件を満たせば土地を国庫に帰属させる「相続土地国庫帰属制度」を利用できます。ただし建物がある土地は申請できません(却下事由)。境界が明らかでない土地なども対象外です。審査手数料は土地1筆あたり14,000円で、承認された場合は10年分の標準的な管理費用を考慮した負担金の納付が必要になります。
(出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」

片付け、解体、登記、売却。バラバラに見えて、実は全部つながっています。


実家の片付けは、どこに相談すればいい?

まずは実家のある市区町村へ

「住まいのエンディングノート」では、住まいの将来について何から相談すればいいか分からない場合、まずは空き家のある市区町村に相談するよう案内されています。ごみや粗大ごみの出し方、許可を受けた収集運搬業者、自治体独自の支援制度についても、市区町村の窓口が案内してくれます。地域ごとに制度や運用が異なりますので、詳しくはお住まいの市区町村窓口にご確認ください。
(出典:国土交通省ほか「住まいのエンディングノート」


まとめ|実家の片付けで押さえておきたい5つのポイント

全部を今日やる必要はありません。まずは名義を調べる、それだけでもこの先がずいぶん違ってきます。ご家族と話す時間ができたときに、この記事をそっと開いてみてください。


📞 無料で相談できる公的窓口のご案内

実家の片付けは、ごみの出し方から相続の手続きまで、担当する窓口が分かれています。どこに聞けばいいか分からないときは、まず実家のある市区町村にご相談ください。窓口の方が該当する部署へつないでくれますので、難しく考えなくて大丈夫ですよ。

法務省「相続登記の申請義務化について」を確認する
お近くの司法書士に相談する(日本司法書士会連合会)
全国の消費生活センター等を探す(消費者ホットライン188)
「住まいのエンディングノート」をダウンロードする(国土交通省)


本記事のご利用にあたって

本記事は、総務省・国土交通省・環境省・法務省・国税庁・国民生活センターなどが公表している資料の内容を、できるだけわかりやすい言葉に置き換えてまとめたものです。記載内容はすべて各出典先の公式資料に基づいており、当サイト独自の解釈や見解を加えたものではありません。

相続、登記、税金、廃棄物処理などに関する個別具体的なご事情への判断や手続きの代理は、司法書士・弁護士・税理士といった有資格の専門家、および行政の担当窓口が行うものです。当サイトはこれらの業務を行うものではなく、本記事は法律上・税務上の助言を目的としたものではありません。

また、制度の内容や金額、期限は改正されることがあります。実際にお手続きを進める際は、必ず各出典先の最新情報をご確認いただくか、実家のある市区町村の窓口・法務局・税務署・専門家にご相談ください。本記事の情報を利用したことにより生じた損害等について、当サイトは責任を負いかねますことをご了承ください。

(記事内の各制度・数値の出典日:総務省統計は令和6年9月25日公表分、国税庁タックスアンサーは令和7年4月1日現在法令等、法務省「相続登記の申請義務化について」は令和8年4月1日更新分、国民生活センター見守り新鮮情報第525号は2025年10月30日公表分に基づいています。)

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