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遺体を修復しつつ、腐敗しないように長期保存するための方法をエンバーミングといいます。
「エンバーマーライセンス」を所有する人がエンバーミング処理を行うことができます。
遺体衛生保全士(エンバーマー)は漫画やドラマでも題材に取り上げられたり、このほど結婚されたタレントの壇蜜さんも有資格者です。
この記事では、遺体衛生保全士の基本的な情報などをわかりやすく書いたので是非最後までお読みください。
目次
エンバーマーとは?
冒頭で少し触れましたが、遺体衛生保全士(エンバーマー・embalmer)とは、エンバーミング処理を行う人のことです。
エンバーミングは遺体を消毒・洗浄し、最後に着付け(身繕い)と化粧(エンゼルケアまたはエンゼルメイク)を施すというのが基本的な工程になっています。
そういった一連のエンバーミング処理を行う人が遺体衛生保全士(以下エンバーマーで表記)と呼ばれる有資格者になります。
エンバーマーの資格は国家資格ではない
人の体に、それも遺体に直接触れるようなデリケートな仕事内容なのに、なぜ国家資格じゃないのか?
なぜそんなデリケートなことなのに国家資格ではなく、民間資格なのか?
と、疑問に感じる人もいるんじゃないでしょうか。
現状の日本において、エンバーマーが国家資格じゃない理由について考えてみましたが、
火葬文化だから
というのが理由として大きいのではと見解しています。
アメリカやカナダではエンバーミングは一般的で、その理由は土葬文化だから・土葬が主流だからです。
エンバーマーを日本語では「遺体衛生保全士」といわれていますが、これはエンバーミングが日本語で「遺体衛生保全」に準じたものです。
衛生保全、つまり「衛生的に綺麗に保つ」という意味です。
アメリカやカナダのように、土葬が主流の場合、遺体から「感染症」となってしまうことを防止する目的があるため、火葬主流の日本とはエンバーミングに対する考え方が違うため、需要的な観点からも国家資格ではなく民間資格という形なのではと考えらるのではないでしょうか。
エンバーミングに関する法律がない
上で「デリケートな仕事内容」と書きましたが、その理由は次のようなことが実際にあったからです。
1994年、千葉県である告発がありました。
争点はエンバーミングが「死体損壊罪」(刑法190条)に該当するのではないか、というものです。
結果、エンバーミングは死体損壊罪には当たらないということが認められたわけですが、こうしたデリケートな内容の資格でありながら未だに「エンバーミングに関する法律」は日本にはありません。
エンバーマーはオンリーワン
遺体・亡くなられた故人をサポートするという意味では、映画「おくりびと」で広く知られることにもなった「納棺師」や、湯灌師(ゆかんし)といった専門の方もいます。
ですが、感染防止・衛生面や死後変化について適正な工程を学び、資格試験をクリアして従事しているのはエンバーマーだけだといわれています。
つまり、エンバーマーはオンリーワンの存在だともいえます。
今後、エンバーミングの法整備がなされ、エンバーマーが国家資格になった時には、法的にも今以上より適正なエンバーミング処理に従事する資格となるのではないでしょうか。
それだけデリケートで代えの利かない唯一無二な資格であると考えています。
タレントの壇蜜さんは遺体衛生保全士の有資格者
#壇蜜 さんが結婚 お相手は #清野とおる さん『こんなマイナーカルト漫画家と、壇蜜さんが北区役所で「入籍」とか意味がわからないですよね…。』https://t.co/CvgSn9STTm
— Twitter モーメント (@MomentsJapan) November 22, 2019
2019年11月22日、「いい夫婦の日」に東京都内で婚姻届を提出したタレントの壇蜜さんは「エンバーマーライセンス」を持っています。
壇蜜さんといえば、葬祭関連に携わっている方には知られていることだとは思いますが、冠婚葬祭の専門学校「日本ヒューマンセレモニー専門学校」に通学し、民間資格である「遺体衛生保全士資格(エンバーマーライセンス)」を取得されています。
葬祭学校出身の壇蜜さんは、終活について様々なことが学べる終活読本「ソナエ」の表紙を飾ったこともあり、終活関連のイベントなどにも招かれています。
▼壇蜜さんが表紙を飾る2013年7月に発売された終活読本「ソナエ」は、現在でも購入することが可能です
ちなみに、「なぜ壇蜜さんがエンバーマーの資格を?」と気になる方は多いかと思います。
直接的にエンバーマーという存在を知るきっかけとなったのは、壇蜜さんが高校時代に本屋さんで見つけたという”ある漫画”だと、これまでのインタビューなどで語られています。
その漫画というのが「黒鷲死体宅急便」です。
「黒鷲死体宅急便」とは?死体の声が聞こえるというイタコに近い能力、死体を発見できるダウンジング能力、エンバーミングで死体修復できる能力、ハッキングで死体に関する情報収集できる能力、宇宙人と交信ができる能力、それぞれ特殊な能力を持つ若者5人。
そんな5人が起業した宅配業者「黒鷺死体宅配便」は単なる宅配業者ではなく、死体を捜索し、エンバーミングを行い、死体の望みを聞き、報酬と引き換えに死体の希望場所へ届けるというもの。
ちなみに壇蜜さんは「黒鷺死体宅配便」を読んで、ダウンジングとかは無理でも「エンバーミングならできるんじゃないか」と感じたそうです。
そんな壇蜜さんに影響を与えた漫画「黒鷺死体宅配便」はアマゾンでも以前から評価は高めで、中には「1巻だけで判断しないでほしい」と声を上げている方もいます。
また、壇蜜さんは、20代前半にお母様の恩師が突然死したことをきっかけに、「死」について探求するようになったそうです。
「エンバーマー」の存在を知り、「生と死」について学び、死に関わる仕事がしたいとまで考えるようになった壇蜜さんは、専門の学校で「遺体衛生保全士(エンバーマー)」の資格を取得することになりました。(芸能界入りのきっかけは同級生紹介のオーディションだといわれています)
エンバーマーになるには?
エンバーマー(遺体衛生保全士)になるにはどうしたらいいのか?
ここまででも触れたように、エンバーマーになるには「遺体衛生保全士」の資格を取得する必要があります。
エンバーマー=遺体衛生保全士資格は民間資格です。
「エンバーマーの資格を取りたい」
「エンバーマーの資格が気になる」
そんな方はIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)のホームページを一度チェックしてみるとよいでしょう。
IFSAの認定を受けたエンバーマー養成校が、下記募集要項で開校されています。
出典:IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)
壇蜜さんが取得されている遺体衛生保全士(エンバーマーライセンス)資格も、IFSA認定のものとなっています。
資格取得の費用に関して、募集要項を見ると
1年目で合計98.5万円
2年目に83.5万円
別途費用として2年間で58万円
+入学検定料2万円
エンバーマーになるための費用は概算で240万円前後かかるということが伺えます。
検討の際はお問い合わせの上、ご自身が気になることなどをしっかり確認するようにしましょう。
募集要項に記載されているIFSA加盟企業のエンバーミングセンターというのは、札幌(北海道)から鹿児島まであるようです(IFSA公式ホームページによると計55施設)
この辺のことは資格取得後の求人情報としてもチェックしておきたいところでもあるかと思いますので、資格取得の際、問い合わせるなりして確認しておくのも1つです。
ただ、海外で取得する場合はビザ取得の関係で何かと手間や問題が生じてくる可能性もあるため、IFSA認定の養成学校へ通うのがいいでしょう。
他、この後の【エンバーマーの求人や年収について】もご参考いただければと思います。
IFSA認定のエンバーマー資格についてのお問い合わせ(以下)は、壇蜜さんも通学された「日本ヒューマンセレモニー専門学校」になっています。
▼IFSA認定エンバーマー・資格についてのお問い合わせ
住所:神奈川県平塚市八重咲町7-30
TEL:0463-27-2002
学校法人鶴嶺学園
日本ヒューマンセレモニー専門学校 エンバーマーコース
ちなみに、日本でエンバーマー(遺体衛生保全士)の有資格者は2017年時点で約160人だというのをIFSA認定のエンバーマーの方が出演されていたラジオ番組で聞いたことがあります。
※現在の正確な実数などは把握しきれていませんが、便宜情報がわかり次第追記したいと思います
エンバーマーの求人や年収について
2019年11月現在、冠婚葬祭企業で知られる「株式会社セルモ」の募集要項が確認できました。
掲載されている募集要項にはエンバーマーの他にも営業職や一般事務などの募集要項も書かれています。
※株式会社セルモのホームページに、「エンバーマー(IFSA認定)」と記載あり
給与・福利厚生にはベーシックコースからキャリアコースまで3つのコースが掲載されています。
3つのコースそれぞれ年俸制+各種手当といった旨で書かれています。
気になる方は一度ホームページをチェックしてみるとよいでしょう。
▼「株式会社セルモ」
事業内容:冠婚葬祭互助会
本社:〒860-0823 熊本県熊本市中央区世安町155番地
エンバーマーに関する漫画
前述したように壇蜜さんがエンバーマーを知るきっかけとなった漫画以外にも、”エンバーマーの漫画”は幾つかあります。
エンバーマーを題材にした漫画は、「終活」という造語の登場する以前から雑誌で連載されていました。
それが三原ミツカズさんが書かれた「死化粧師(しげしょうし)」です。
漫画「死化粧師」とは?
エンバーマー・間宮心十郎が主人公のヒューマンストーリーで、2007年にはテレビドラマ(テレビ東京・The icon製作)にもなりました。
「FEEL YOUNG」にて2002年6月号~2013年5月号まで連載されていた同作品ですが、現在でもamazon(アマゾン)で購入することができます。
残された者が「死」というものをどう乗り越えていくか?
そこに重きを置いた描写の漫画・死化粧師、老若男女問わず、読みやすいかと思います。
この他、俳優の佐藤健さん主演で話題にもなった「るろうに剣心」の作者・和月伸宏さんの「エンバーミング」(2007年発表)などの漫画もあります。
エンバーマーに関する映画
上の動画は、エンバーマーに関する映画「エンバーミング(EM)」のプレビュー動画になります。
元レースクイーンでモータースポーツの国内A級ライセンスを持つ女優の高島礼子さん、近年では「孤独のグルメ」で知られる俳優の松重豊さんなどが出演しています。
1999年に製作された映画なので、2010年に新語・流行語大賞にノミネートされた「終活」という言葉よりもずっと前に「エンバーマー」という言葉が確かにあったということが伺えます。
高島礼子さんがエンバーマーの役を演じていますが、この映画の原作は雨宮早希さんです。
雨宮早希さんという名前はペンネームで、ノンフィクション作家として活動する松田美智子さんが初めて執筆したものだそうです。
(余談ですが松田美智子さんといえば、「探偵物語」で知られる故・松田優作さんの元奥様です)
映画「エンバーミング」はDVD化されています。
「全編観たい」という方は是非。
まとめ
・エンバーマーとは遺体衛生保全士のこと
・遺体衛生保全士(エンバーマーライセンス)資格は民間資格
・同資格はタレントの壇蜜さんも取得されている
・同資格はIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)認定
・エンバーマーの求人は現状多くはない
・エンバーマーやエンバーミングを題材にした漫画や映画もある
以前からIFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)としては国家資格化を目指し、若い世代の方たちへの認知・布教に強化しているというエンバーマー(遺体衛生保全士)について、今回紹介させていただきました。
本記事内の情報は2019年11月22日現在のものとなります。
記事掲載の額面等、場合によっては多少の差異が生じる可能性もありますが、その際はご理解・ご了承の程お願い致します。
壇蜜さんが資格取得されたきっかけでも触れましたが、「死とは何か」と意識するのは、お墓の形なども多様化する現代において「生」や「死」への価値観は変化が生じてきているように感じられます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
下記事にて、エンバーミング(遺体衛生保全)は具体的に何をするのか、手順・工程などを紹介しています。
エンバーマーについても簡単に触れていますので、是非あわせてお読みいただければと思います。
▼「エンバーミングの記事から飛んできた!」という方は
エンバーミングやエンバーマーは「生」や「死」を考えるべくものですが、以下の記事で多様な「性」についても知っておくとよいでしょう。