終活で財産を現金化するメリットとデメリット|相続で損しない判断基準

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「どうせ住まない家なら、生きているうちに売って現金にしておいたほうが、家族も楽なのではないか」。終活を考えはじめた方から、よく出る相談です。たしかに現金は分けやすく、手続きも簡単です。ところが、相続税の計算では現金のほうが不利になることがあります。不動産の評価額は時価より低く見積もられるうえ、自宅の土地には評価を大きく下げる制度があるからです。この記事では、現金化のメリットとデメリットを並べたうえで、どちらを選ぶべきかの判断基準を整理します。

この記事の結論

  • 現金化の利点は分けやすさ・手続きの速さ・管理からの解放。ここは確実に大きい
  • 最大の落とし穴は「相続税の評価額は不動産のほうが低い」こと
  • 自宅の土地には評価を大きく下げる制度がある。売ると使えなくなる
  • ただしそもそも相続税がかからない家庭では、この不利は関係ない
  • まず「うちに相続税がかかるのか」を確かめてから判断してください
  • 判断力があるうちでないと売れない。先送りにも危険がある

この記事でわかること

  1. 現金化のメリット5つ・デメリット5つ
  2. 相続税の評価額は、現金と不動産でどう違うのか
  3. 自宅の土地の評価を下げる制度(小規模宅地等の特例)
  4. そもそも自分の家に相続税がかかるのかの確かめ方
  5. 売却したときにかかる税金と、負担を軽くする制度
  6. 現金にしたあとに待っているリスク
  7. 判断のためのチェックリストと、進め方の手順
  8. よくある質問12問

「全部現金にしておく」という発想はどこから来るのか

よくある動機その気持ちの背景
家族に手間をかけたくない不動産の名義変更や売却は面倒だと聞いている
兄弟で争ってほしくない不動産は分けられない。共有名義は問題を先送りにする
空き家にしたくない誰も住まないのに管理費と固定資産税だけかかる
老後の生活費にあてたい年金だけでは足りない不安がある
管理が体力的につらい草刈り、修繕、近隣対応が負担になってきた

どれも正当な理由です。そして、この5つのうち3つは「相続税の話とは無関係」に成り立ちます。だからこそ、税だけで判断してはいけません。まずメリットとデメリットを両方見てください。

現金化のメリット5つ

  1. 分けやすい不動産は物理的に分けられません。現金なら1円単位で分けられます。相続で最も多い争いは「分けられない財産をどう分けるか」で起きています。
  2. 手続きが速い不動産の名義変更(相続登記)には書類集めと申請が必要です。預貯金なら、必要書類がそろえば比較的短期間で手続きが進みます。
  3. 維持費がかからなくなる固定資産税、都市計画税、修繕費、火災保険。持っているだけで出ていくお金がなくなります。
  4. 空き家問題を避けられる誰も住まない家は傷みます。管理が行き届かない状態が続くと、行政から指導や勧告を受け、固定資産税の軽減が外れることもあります。
  5. 納税資金を確保できる相続税は原則として現金で納めます。不動産ばかりだと「税金を払うために慌てて売る」ことになりかねません。

現金化のデメリット5つ

  1. 相続税の評価額が上がることがあるこれが最大の論点です。次の章で詳しく説明します。
  2. 売却時に税金がかかる売って利益が出れば、譲渡所得として課税されます。買ったときより高く売れた場合が該当します。
  3. 使ってしまう・狙われるまとまった現金は、詐欺の標的になります。また、あるとつい使ってしまうという現実的な問題もあります。
  4. 住む場所がなくなる自宅を売れば、当然どこかに移らなければなりません。高齢者が賃貸を借りにくいという現実があります。
  5. 取り戻せない売ってしまえば戻せません。思い出のある家、先祖の土地。金額に換算できない価値を手放すことになります。

最大の落とし穴|相続税の評価額は不動産のほうが低い

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい点です。

財産の種類相続税の計算で使われる評価時価との関係
現金・預貯金その金額そのまま額面どおり
土地路線価などをもとに評価時価より低くなるのが一般的
建物固定資産税評価額建築費より低くなるのが一般的
人に貸している土地・建物さらに評価が下がる場合がある借りている人の権利を考慮するため

※ 編集部が公的機関の公開情報をもとにまとめた一般的な考え方です。実際の評価は個別の事情により異なります。

同じ価値でも、税金の計算では金額が変わります

たとえば時価3,000万円の土地建物を持っているとします。相続税の計算では、これが3,000万円として扱われるとは限りません。路線価や固定資産税評価額をもとにするため、時価より低い金額で評価されるのが一般的です。ところが、これを売って3,000万円の現金にすると、評価額は3,000万円そのままになります。つまり、現金化すると相続税の課税対象が増える可能性があるということです。

自宅の土地には評価を大きく下げる制度がある

さらに大きいのが小規模宅地等の特例です。

どんな制度か亡くなった方が住んでいた自宅の土地などについて、一定面積まで評価額を大きく減額できる制度
対象特定居住用宅地等(自宅の土地)のほか、事業用・貸付用の宅地にも区分がある
要件誰が相続するか、その人が住み続けるかなどで細かく決まっている
売ってしまったら土地がないので、当然使えません
注意この特例を使って相続税がゼロになる場合でも、申告は必要

生前に売ると、この制度を捨てることになります

小規模宅地等の特例は、自宅の土地の評価を大きく下げる制度です。相続税がかかりそうな家庭では、これがあるかないかで結論が変わることがあります。生前に売って現金にしてしまうと、この制度は使えません。ただし要件は細かく、誰が相続するかによっても変わります。該当しそうな場合は、判断する前に税理士か税務署にご相談ください。

そもそも、うちに相続税はかかるのか

ここまで読んで不安になった方もいるかもしれません。けれども、最初に確かめるべきはここです。

基礎控除の計算式

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

法定相続人が3人なら、3,000万円+1,800万円=4,800万円。正味の遺産額がこの金額以下なら、原則として相続税はかかりません。

法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

相続税がかからない家庭なら、税の議論は不要です

財産の合計が基礎控除の範囲に収まるなら、「不動産のほうが評価が低い」という話は関係ありません。その場合は、分けやすさ・管理の負担・空き家対策という実生活の観点だけで判断してかまいません。まず自分がどちらの側にいるのかを確かめてください。ここを飛ばして議論すると、必要のない心配をすることになります。

現金化して得する人・損する人

状況現金化の向き理由
財産が基礎控除の範囲内向いている税の不利がない。分けやすさの利点だけが残る
相続人が複数で、不動産が1つだけ向いている分けられず、争いになりやすい
誰も住まない空き家がある向いている維持費と管理責任が続く
相続税がかかる見込みで、自宅に同居家族がいる慎重に小規模宅地等の特例が使える可能性
収益を生んでいる不動産がある慎重に評価が下がる可能性があり、収入も失う
自分がいま住んでいる自宅慎重に住む場所を失う。高齢での住み替えは負担が大きい
相続人が1人だけ急がなくてよい分割の争いが起きない

売ったときにかかる税金

不動産を売って利益が出た場合、譲渡所得として課税されます。

計算の考え方

売った金額 −(買ったときの金額+売るためにかかった費用)= 譲渡所得

ここがプラスなら課税、マイナスなら原則として課税されません。買ったときの金額が分かる書類(売買契約書など)は必ず探してください。見つからないと、不利な方法で計算せざるを得ないことがあります。

所有期間区分税率の傾向
売った年の1月1日時点で5年超長期譲渡所得低い
売った年の1月1日時点で5年以下短期譲渡所得高い
10年超所有の居住用財産軽減税率の特例さらに軽くなる場合がある

※ 税率や適用要件は改正されることがあります。具体的な税額は必ず国税庁の情報および税務署・税理士にご確認ください。

「5年」の数え方に注意してください

所有期間は売った年の1月1日時点で判定します。単純に取得日から5年ではありません。年末に売るか年明けに売るかで区分が変わることがあります。売却の時期を検討している場合は、この点を必ず確認してください。

負担を軽くする制度

制度どんな場面か
居住用財産を譲渡した場合の特別控除自分が住んでいた家を売るとき
10年超所有の居住用財産の軽減税率長く住んだ自宅を売るとき
被相続人の居住用財産(空き家)の特別控除相続した実家を一定の要件のもとで売るとき
買換えの特例自宅を売って別の自宅を買うとき

※ いずれも適用要件が細かく定められており、併用できないものもあります。詳細は国税庁の情報をご確認のうえ、税務署または税理士にご相談ください。

「生前に売るか、相続後に売るか」で使える制度が違います

本人が住んでいる家を生前に売る場合と、相続人が実家を相続してから売る場合とでは、使える特例が別のものになります。どちらが有利かは、金額と要件によって変わります。「とりあえず生前に売っておく」が常に正解とは限りません。相続後に売る場合の制度については、当サイトの別記事でも扱っています。

住宅ローンが残っている不動産

状況どうなるか
団体信用生命保険に加入している亡くなるとローンが完済されるのが一般的
団信に入っていない残ったローンは相続人が引き継ぐ
売却額がローン残高を上回る差額が手元に残る
売却額がローン残高を下回る不足分を自己資金で埋める必要がある

団信に入っているなら、急いで売らないほうがよい場合があります

団体信用生命保険に加入していれば、亡くなったときにローンが完済されるのが一般的です。この場合、生前に売って現金にすると、その保障を使わないことになります。加入の有無と保障内容を、まず借入先の金融機関に確認してください。

空き家にしておくリスク

  • 固定資産税・都市計画税が毎年かかり続ける
  • 管理が行き届かない状態が続くと、行政の指導・勧告の対象になることがある
  • 勧告を受けると、住宅用地の固定資産税の軽減が外れる場合がある
  • 倒壊や落下で他人に損害を与えれば、所有者の責任が問われ得る
  • 年数が経つほど傷み、売りにくく・安くなる
  • 相続人が増えると、売るための合意が取りにくくなる

「誰も住まない家」は、時間が経つほど不利になります

相続税の観点で不動産が有利だとしても、誰も住まない家を持ち続けることには別の不利があります。とくに相続人が複数いる場合、次の代でさらに相続人が増え、売るための合意形成が困難になります。「空き家をどうするか」は、税とは別の軸で判断してください。

現金にしたあとに待っているリスク

リスク内容備え方
詐欺・悪質な勧誘まとまった現金は狙われる複数の口座に分ける。すぐ動かせる形にしない
使ってしまう目に見えると使いやすくなる用途を決めて分けて管理する
口座の凍結亡くなると口座は凍結される葬儀費用は別に用意しておく
タンス預金にする盗難・災害・発見されないおそれやめたほうがよい
判断力の低下本人が管理できなくなる任意後見契約を検討する
相続時に見つからない口座が分からないと手続きが進まない財産目録を作っておく

タンス預金にはしないでください

「口座が凍結されるなら現金で持っておこう」と考える方がいます。これは避けてください。盗難や災害で失われるおそれがあるうえ、相続の際に見つからなければ、家族に渡らないまま終わります。また、あとから発見されると相続税の申告漏れとして扱われることもあります。

判断力があるうちでないと売れない

これは現金化を「する側」にも「しない側」にも共通する問題です

認知症などで判断能力が低下すると、不動産の売買契約はできなくなります。その場合、成年後見制度を使うことになりますが、居住用の不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要で、時間も手続きもかかります。「まだ考えなくていい」と先送りにすると、選択肢そのものが消えます。売る・売らないを決めるのではなく、「元気なうちに方針を決めて書き残す」ところまでは、どちらを選ぶにしてもやっておいてください。

現金化しない場合の選択肢

方法内容注意点
遺言書で行き先を決める不動産を誰が引き継ぐかを指定するいちばん確実で、費用も抑えられる
代償分割を指定する不動産を1人が取り、他の人に金銭を払う払う側に資金が必要
生前贈与する元気なうちに渡してしまう贈与税・相続時の持ち戻しに注意
賃貸に出す収入を得ながら保有する管理の手間と空室リスク
家族信託を検討する管理を家族に託す仕組み設計に専門家の関与が必要
共有名義は避ける共有にすると次の代で動かせなくなる最も避けたい選択

まず試すべきは、遺言書です

「分けられないから売る」と考える前に、遺言書で「この不動産は◯◯に相続させる」と決めておくだけで、争いの多くは避けられます。売却の費用も税金もかかりません。現金化は、それでも解決しない場合の手段だと考えてください。

判断のためのチェックリスト

  • 財産の合計は、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えそうか
  • 自宅に同居している家族はいるか(小規模宅地等の特例に関わる)
  • 相続人は何人か。不動産は何件か
  • 誰も住まない家があるか。あと何年その状態が続きそうか
  • 買ったときの金額が分かる書類はあるか
  • その不動産の所有期間は、売る年の1月1日時点で5年を超えるか
  • 住宅ローンは残っているか。団体信用生命保険に入っているか
  • 売った場合、自分はどこに住むか
  • 現金にしたあと、誰がどう管理するか
  • 相続人の間で、不動産を欲しい人はいるか
  • 納税資金は確保できているか
  • 判断力があるうちに手続きを終えられそうか

進め方の手順

  • 財産の一覧を作る不動産、預貯金、保険、証券、借入。まず全体を見えるようにします。金額は概算で構いません。
  • 相続税がかかりそうか、ざっくり確かめる基礎控除と比べます。明らかに下回るなら、税の議論は不要です。
  • 不動産の評価を調べる固定資産税の納税通知書に評価額が載っています。土地は路線価も確認できます。
  • 相続人の意向を聞く「その家を欲しい人はいるか」。ここで結論が変わることがよくあります。
  • 税理士か税務署に相談する相続税がかかりそうな場合は、ここを省略しないでください。判断が変わります。
  • 売ると決めたら、複数社に査定を依頼する1社だけで決めないでください。
  • 売らないと決めたら、遺言書を作る行き先を決めておけば、多くの問題は起きません。
  • 決めたことを書き残すどちらを選んだにせよ、理由も含めて残してください。家族が迷わなくなります。

相談できる窓口

相談先相談できること
税務署相続税・譲渡所得税の一般的な取扱い
税理士個別の試算、特例の適用可否
法務局相続登記、自筆証書遺言書保管制度
司法書士相続登記、遺言書の作成支援
公証役場公正証書遺言、任意後見契約
市区町村の空き家相談窓口空き家の管理・活用・処分の相談
市区町村の無料法律相談相続人間の話し合いに関する相談

よくある質問

財産は全部現金にしておいたほうがよいですか。
一概には言えません。相続税がかかる見込みなら、不動産のままのほうが評価額が低くなり有利な場合があります。逆に、基礎控除の範囲に収まる家庭や、相続人が複数で分けにくい不動産がある場合は、現金化の利点が大きくなります。まず「うちに相続税がかかるのか」を確かめてください。
なぜ不動産のほうが相続税で有利なのですか。
相続税の計算で使う評価額が、時価より低くなるのが一般的だからです。土地は路線価などをもとに、建物は固定資産税評価額で評価されます。現金は額面そのままで評価されるため、同じ価値でも課税対象の金額が変わります。
小規模宅地等の特例とは何ですか。
亡くなった方が住んでいた自宅の土地などについて、一定面積まで相続税の評価額を大きく減額できる制度です。ただし誰が相続するか、その人が住み続けるかなど、要件が細かく定められています。生前に売却してしまうと使えません。該当しそうな場合は、判断の前に税理士か税務署にご相談ください。
うちは相続税がかかりますか。
基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。法定相続人が3人なら4,800万円。正味の遺産額がこれ以下なら、原則としてかかりません。不動産の評価額は固定資産税の納税通知書で目安がつきます。微妙な場合は税務署にご相談ください。
売ると税金はどれくらいかかりますか。
売った金額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡所得に対して課税されます。所有期間が売った年の1月1日時点で5年を超えるかどうかで税率が変わります。また自宅を売る場合は特別控除などの制度があります。金額は個別事情で変わるため、必ず国税庁の情報と税務署・税理士にご確認ください。
買ったときの契約書が見つかりません。
取得費が分からない場合、不利な方法で計算せざるを得ないことがあります。売買契約書、領収書、当時の住宅ローンの書類などを探してください。見つからない場合の取扱いについては、税務署にご相談ください。
相続人が1人だけです。それでも現金化すべきですか。
分割の争いが起きないため、「分けやすさ」という最大の利点は当てはまりません。判断の軸は、空き家になるかどうか、管理の負担、そして相続税がかかるかどうかになります。急ぐ必要は薄いといえます。
誰も住まない実家があります。持ち続けるべきですか。
税の有利不利とは別に、維持費・管理責任・年数による劣化・次の代で相続人が増える問題があります。とくに相続人が複数いる場合、時間が経つほど売るための合意が難しくなります。放置は最も不利な選択です。市区町村の空き家相談窓口も活用してください。
現金にしたら口座が凍結されて困りませんか。
亡くなると口座は凍結されます。ただし、これは不動産を持っている場合も同じです。対策は、葬儀費用にあてる分を別に用意しておくことと、どの金融機関に口座があるかを一覧にしておくことです。タンス預金にするのは避けてください。
売らずに争いを避ける方法はありますか。
あります。遺言書で「この不動産は◯◯に相続させる」と決めておくだけで、多くの争いは避けられます。他の相続人には金銭で調整する(代償分割)方法もあります。売却費用も譲渡所得税もかからないため、まずこちらを検討してください。ただし共有名義にするのは避けてください。次の代で動かせなくなります。
いつまでに決めればよいですか。
期限はありませんが、判断能力があるうちでなければ売買契約はできません。認知症などで判断力が低下すると、成年後見制度を使うことになり、居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要になります。「まだ先でいい」と先送りにすると、選択肢そのものが消えます。
結局、何から始めればよいですか。
財産の一覧を作ることです。不動産・預貯金・保険・証券・借入を、概算で構わないので書き出してください。それを基礎控除と比べれば、税の議論が必要かどうかが分かります。そのうえで、相続人に「この家を欲しい人はいるか」を聞いてみてください。この2つで、判断の8割は決まります。

まとめ|順番を間違えないでください

「全部現金にしておけば家族が楽になる」。この考え方には、たしかに正しい部分があります。分けやすく、手続きが速く、管理の負担がなくなる。相続人が複数いて不動産が1件しかない場合、この利点は非常に大きなものです。

ただし、相続税がかかる見込みの家庭では、逆に不利になることがあります。相続税の計算で使う評価額は、現金なら額面そのまま、不動産なら時価より低くなるのが一般的だからです。さらに自宅の土地には評価を大きく下げる制度があり、売ってしまえばそれも使えません。

ですから、判断の順番はこうです。①財産の一覧を作る → ②基礎控除と比べて、相続税がかかりそうか確かめる → ③相続人に、その不動産を欲しい人がいるか聞く。この3つで、多くの場合は結論が出ます。相続税がかかりそうなら、そこで初めて税理士に相談してください。

そして、どちらを選ぶにしても、元気なうちに決めて書き残してください。判断能力が低下すれば売買はできなくなり、遺言書も書けなくなります。「売る・売らない」を決めることより、決めたことを残すことのほうが、家族にとっては重要です。

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本記事は、編集部が国税庁をはじめとする公的機関の公開情報および一般的な制度の考え方をもとにまとめたものです。税額の試算や、特定の方法が有利であるという断定は行っていません。相続税・譲渡所得税の税率、控除額、特例の適用要件は法改正により変わることがあり、また個別の事情によって結論が大きく異なります。実際の判断にあたっては、必ず国税庁の最新情報をご確認のうえ、税務署または税理士にご相談ください。不動産の売却、遺言書の作成、成年後見に関する手続きについては、司法書士・弁護士・公証役場・法務局等の専門機関にご相談ください。特定の事業者・サービスの紹介や順位付けは行っていません。

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