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「生前整理の進め方が分からない」「何から手をつければいいのか見当もつかない」——そんな方は、決して少なくありません。
実は、生前整理は一気にやろうとしなくて大丈夫です。
一つひとつの項目を、ご自身のペースで埋めていくだけで、ちゃんと前に進みます。
この記事では、法務省・日本司法書士会連合会が作成した公式資料をもとに、生前整理の具体的な進め方を順番にご紹介します。
目次
生前整理とは?まず知っておきたい全体像

生前整理は「自分のため」でもある
生前整理と聞くと、「家族のために身の回りを片付けること」というイメージを持つ方が多いかもしれません。
ですが法務省のエンディングノートでは、生前整理を「自分自身に何かあったときに備えて、ご家族が様々な判断や手続を進める際に必要な情報を残す」取り組みとして位置づけています
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
つまり生前整理は、ご家族のためだけでなく、これまでの人生を振り返り、これからの人生を考えるきっかけにもなるものなんです
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
断捨離との違いは「目的」にあります
「断捨離」が主に物を減らし身軽になることを目的とするのに対し、生前整理は物・財産・想い・情報を整理して残しておくことに重きが置かれます。
不要な物を処分するだけでなく、「何が」「どこに」「どうなっているか」を書き残しておくことが、ご家族の負担を大きく減らすことにつながります。
ちなみに、生前整理は自分が死ぬ前に自身で行うものですが、遺品整理は自分が死んだ後に残された家族が行うものとなります。
つまり生前整理は、遺品整理で家族への負担をかけないようにする思いやりとも言えます。
難しく考えなくて大丈夫です。順番に見ていきましょう。
生前整理の進め方①|まずは「わたし自身のこと」から

基本情報を書き出してみる
生前整理の最初の一歩は、ご自身の基本的な情報を整理することです。
エンディングノートでは、名前・生年月日・住所・本籍・連絡先・宗教(菩提寺など)といった項目に加え、「もしもの時の連絡先」(親類・友人・かかりつけ医など)を書き留める欄が用意されています
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
「思い出せる範囲で結構です」というスタンスなので、完璧を目指す必要はありません。
分かるところから、少しずつ埋めていけば十分です
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
家系図も書いてみましょう
意外と知られていませんが、エンディングノートには家系図を書き込む欄もあります。
ご自身の親・配偶者・子・孫・兄弟姉妹といった関係を図にしておくことで、相続が発生したときに「誰が相続人になるのか」が分かりやすくなります
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
ここまでできれば、もう生前整理は始まっています。
生前整理の進め方②|財産を「見える化」する

不動産はどこにある?まず調べることから
次に取り組みたいのが、財産の整理です。
不動産(土地・建物)については、法務局が発行する登記事項証明書(登記簿謄本)や、市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書を確認するところから始めます
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
- 土地・建物の名義人を知りたい場合は、お近くの法務局へ(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
- 地番・家屋番号・面積を知りたい場合は、市区町村の固定資産税担当課へ(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
- 複数人で所有(共有)している場合は、ご自身の持分や共有者も書き残しておきましょう(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
「資料を取り寄せて書き写すのが面倒…」という場合は、取り寄せた資料そのものをノートと一緒に保管しておくだけでも、後から確認する家族の助けになります
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
預貯金・保険・有価証券もリストにしておく
金融機関名・支店・口座番号、生命保険の種類や受取人、有価証券の証券会社や口座番号、借入金やローンの状況なども、書き出しておきたい項目です
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
「全部を覚えていなくちゃ」と気負わなくて大丈夫ですよ。分かる範囲で十分です。
生前整理の進め方③|デジタル終活

意外と見落としがちな「デジタル遺品」
携帯電話・パソコンのログイン情報、写真や動画などの保存データ、メールやSNSの各アカウント・ID・パスワード、オンライン口座(銀行・株式・FX・仮想通貨など)、有料サービス(音楽・動画配信・電子書籍など)の契約状況——これらは「デジタルデータ」として、生前整理で整理しておきたい大切な項目です
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
デジタルデータを整理しておくことで、「見られては困るデータ」の処分方法や、重要な情報が入ったフォルダへのアクセス方法を、あらかじめ決めておくことができます
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
なお、IDやパスワードを書き残す際は、他人に見られると不正アクセスにつながるおそれもあるため、ノートの保管場所には十分注意が必要です
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
実は、これだけでも家族の負担はぐっと変わってくるものです。
生前整理の進め方④|相続・遺言書を考える

相続登記は令和6年4月から義務化されています
生前整理を進めるうえで欠かせないのが、相続登記の確認です。
土地や建物を相続したのに相続登記をしないままでいると、登記上の名義人は亡くなった方のままになってしまいます
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
令和6年4月1日からは相続登記の申請が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料が科されることになっています
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
時間が経つほど相続人が増え、話し合いがまとまりにくくなったり、書類収集の手間が増えたりすることもあります
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
早めに家族で話し合っておくことが、円滑な相続への近道です。
法定相続情報証明制度で手続きがスムーズに
相続手続きでは、銀行・税務署・法務局など、複数の窓口に何度も戸除籍謄本の束を提出する必要がありました。
そこで活用したいのが法定相続情報証明制度です。法務局に戸除籍謄本などを提出すれば、登記官が内容を確認したうえで、法定相続人が誰であるかを一覧にした証明書を無料で必要な通数だけ交付してもらえます
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
これにより、相続登記だけでなく、預貯金の払戻しや相続税の申告、年金手続きなどに、同時並行で使うことができます
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
遺言書を残すかどうかも考えてみましょう
遺言書は、誰にどの財産をどれだけ相続させたいかを指定し、法的効力を持たせるものです。法律に沿って作成された遺言書の記載は、法定相続分のルールよりも優先されます
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つの形式がありますが、よく比較されるのは次の2つです。
- 自筆証書遺言:本人が全文・日付・氏名を自書し押印。費用がかからず手軽な反面、内容に不備があると無効になるおそれがあります(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
- 公正証書遺言:公証人が遺言者の口述をもとに作成し、原本は公証役場で厳重に保管されます(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
自筆証書遺言を書く場合のルールはシンプルで、①本文の内容、②作成日付、③作成者氏名、④押印の4点をすべて自書することです
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
ただし「令和〇年吉日」のような日付の書き方や、消えるボールペンの使用は認められませんので、ご注意ください
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
自筆証書遺言書保管制度という選択肢も
「自宅で保管すると紛失や改ざんが心配…」という方には、令和2年7月10日から始まった自筆証書遺言書保管制度があります。全国の法務局(遺言書保管所)で遺言書を保管してもらえる制度です
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
この制度を利用すると、家庭裁判所での検認が不要になるほか、遺言書の紛失・亡失のおそれがなくなり、遺言者の死後は相続人などに法務局から通知が届く仕組みになっています
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
遺言書の保管の申請手数料は1件3,900円。申請できる法務局は、遺言者の住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局です
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
窓口の方が丁寧に教えてくれますので、難しく考えなくて大丈夫ですよ。
生前整理の進め方⑤|介護・医療の希望を「人生会議」で共有する

もしもの時、誰がどう判断する?
生前整理は、財産や物の整理だけではありません。介護が必要になったときの希望や、病気・入院時の治療方針も、元気なうちに考えておきたい大切なテーマです。
エンディングノートには、自宅介護を希望するか施設を希望するか、延命治療や尊厳死についての考え方、病名・余命の告知についての希望などを記入する欄が用意されています
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
「人生会議」という考え方
こうした医療・ケアの希望を、前もって考え、ご家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い共有する取り組みを、厚生労働省は「人生会議」(ACP)と呼んでいます
(出典:厚生労働省「人生会議(ACP)」)。
エンディングノートへの記入と人生会議は、考え方として連動しています。一度書いたら終わりではなく、気持ちの変化に合わせて、ご家族と何度でも話し合ってみてくださいね。
一人で抱え込まなくていいんです。ご家族と一緒に考えてみましょう。
生前整理の進め方⑥|葬儀・お墓の希望と家族へのメッセージ

葬儀やお墓についての希望を書いておく
葬儀の規模(密葬・家族葬・一般葬・社葬・直葬など)や、希望する埋葬方法(先祖代々の墓・永代供養・散骨・樹木葬など)についても、エンディングノートに記入欄があります
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
葬儀の際に連絡してほしい人の名前と連絡先も、忘れずに書き残しておきたい項目です
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
最後に、想いを言葉にしてみる
エンディングノートの最後には、大切な家族や友人、お世話になった人へ伝えたい言葉や感謝の気持ちを、自由に書き残す欄もあります
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
子どもの頃、学生の頃、社会人の頃、退職してから、最近のこと——心に残っている思い出を書き留めておくことも、ご自身の人生を振り返る、かけがえのない時間になるはずです
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
お子さんやお孫さんのためにも、書いておいてよかったと感じていただけるはずです。
判断能力に不安が出てきたときは|成年後見制度

生前整理を進めるなかで、「将来、認知症などで判断能力が不十分になったらどうしよう」と気になる方もいらっしゃるかもしれません。
そんなときに備える仕組みが成年後見制度です。
判断能力が不十分になる前に自分で後見人を選んでおく「任意後見制度」と、すでに判断能力が不十分な場合に家庭裁判所が後見人などを選ぶ「法定後見制度」の2種類があります
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
どちらの制度を利用するにしても、ご本人の意思が尊重される仕組みになっていますので、早めに知っておくと安心です。
生前整理に役立つおすすめ本
終活・生前整理の考えが広がってから、生前整理におけるさまざまな書籍が出版されています。
amazon(アマゾン)等でも「生前整理」と検索すると、わりと結構な数の書籍があります。
「幸せ住空間セラピスト」としてブログ「古堅純子オフィシャルブログ あなたの暮らしに愛と笑顔を届けます!」も人気な古堅純子さんの本など、ここでは幾つか生前整理を考える際のおすすめ書籍を紹介します。
生前整理業者について
生前整理において、不用品などの荷物整理を業者へ依頼する場合、選び方はとても大切なことです。
たとえば時計や洋服・衣類などは、ほとんどの質屋やリサイクルショップに持ち込みで買取査定から実際に買取まで行ってくれます。
しかし、着物など場合によっては高額になりそうなものなど、あきらかに高価であろうダイヤモンドなどの宝石類など「どうやって処分するの?」といったように自分1人で判断できないケースも出てくることがあるかもしれません。
業者に依頼する際、どんな形で業者を選べばいいのか?チェックすべきポイントをまとめると
✔ 料金体系はしっかり公開しているか?
料金体系・料金表がホームページなどに記載されていない業者は、やはり安心に欠けます。
参考料金・目安価格など金額がわかるような掲載がされているのかチェックしましょう。
✔ 資格について
たとえば買取を行うには古物商許可、自社で家庭の廃棄物を運搬するには家庭系一般廃棄物収集運搬許可など許可や認可、資格が必要となります。
また、民間資格ですが生前整理アドバイザーや遺品整理士などの資格保有者がスタッフに在籍している等あると、業者選びにおいて安心材料にもつながります。
✔ スタッフについて
業者の方の顔が公開されていることも安心材料の一つとなります。
代表者もしくはスタッフの見た目がわかる写真などチェックしてみることも一つです(見積もり依頼時に対面して判断も)
料金・費用を重視して考えるのか?生前整理ということで専門の有資格を持つスタッフの業者で考えるのか?
判断は自身で行うことになりますが、上記3つのチェック項目は失敗しない業者選びの手順として最低限行っておくといいでしょう。
特に料金体系の明確さはとても重要で、ぼったくり請求や追加費用などのトラブル事例も実際にあるほどです。
業者名を検索して口コミや評判・評価のチェックを行ってみるのもいいですね、最新の情報を知ることで料金改定などあった場合にスムーズです。
ほかにもチェックする点の一つとして、業者の母体などの会社求人(アルバイト募集など)があればそれだけ需要もあるという判断の一つにもなりうるはずです。
「起業したばかりの会社はちょっと…」という方であれば、やはり長年実績ある会社の運営する業者を選ぶことで安心感はあるでしょう。
ちなみにトランクルームへ荷物を預ける場合は、トランクルームを管理する会社に後々のことまでしっかりと話を聞いた上で行動することをおすすめします。
トランクルームを契約していた方が亡くなると、原則的には契約解除となり、ご遺族や相続人はご自身の名義で契約するか、退去のためになるべく早く荷物を搬出するかを迫られることになると思います。
相談窓口・次のアクション
困ったときは司法書士・法務局へ
相続登記・法定相続情報証明は不動産を管轄するすべての法務局で、自筆証書遺言書保管制度は法務局の本局・支局で、それぞれ手続きを行うことができます
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)。
- 相続登記・法定相続情報証明の相談:法務省 民事局 相続登記・遺言・成年後見関連ページ
- 自筆証書遺言書保管制度の予約・相談:法務局手続案内予約サービス(24時間365日)
- 司法書士への相談:日本司法書士会連合会 相談窓口一覧
- 医療・介護の希望の整理(人生会議):厚生労働省「人生会議」ポータルサイト
なお、お住まいの地域独自のエンディングノートや終活支援事業についても、国の資料を基に作成されているケースが多くあります。詳しくはお住まいの市区町村窓口や地域包括支援センター、お近くの法務局にご確認ください。
まとめ|生前整理を今すぐ始めるための6つのポイント
- 生前整理は「自分自身のこと」を書き出すところから始めればOK(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
- 不動産・預貯金などの財産は、登記事項証明書や納税通知書をもとに「見える化」する(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
- デジタルデータ(ID・パスワード・オンライン口座など)の整理も忘れずに(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
- 相続登記は令和6年4月から義務化、放置すると10万円以下の過料の対象に(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
- 遺言書を残すなら、自筆証書遺言書保管制度(手数料3,900円)の活用も検討を(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート」2023年8月改訂)
- 介護・医療の希望は「人生会議」でご家族と繰り返し話し合う(出典:厚生労働省「人生会議(ACP)」)
すべてを一度にやろうとしなくて大丈夫です。できるところから、少しずつ進めていきましょう。
📞 無料相談窓口のご案内
生前整理の進め方で迷ったときは、お一人で悩まず、専門の窓口に相談してみてください。相続登記や遺言書保管制度については、お近くの法務局や司法書士会が丁寧に教えてくれます。
▶ 法務局 遺言書保管所の予約はこちら(24時間・無料)
▶ お近くの司法書士会に相談する
▶ 人生会議(ACP)ポータルサイトを見る
まず一つ、書ける項目から始めてみるだけで、気持ちが軽くなりますよ。


楽々できる生前整理収納 ―片づけで運気が上がる(戸田里江/著)
生前整理で幸せな老いじたく―物と心をスッキリ身軽に!(大津たまみ/著)







