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「この年齢で恋愛なんて」と思っていませんか?50代・60代・70代になっても、誰かと一緒に時間を過ごしたい、気持ちを分かち合えるパートナーがほしいと感じることは、ごく自然なことです。
実は、シニア世代の恋愛や婚活は、今や特別なことではなくなっています。人生100年時代を迎え、定年後や子育てが一段落したあとの時間は、以前よりずっと長くなりました。その時間をどう豊かに過ごすかを考えたとき、恋愛やパートナーとの時間は、選択肢の一つとして自然に浮かび上がってきます。
この記事では、シニア世代の恋愛事情や婚活の実態、メリットや注意点などを幅広くお伝えします。恋愛を勧めるというよりも、「そういう生き方もある」と知っていただくことが目的です。ご自身のことだけでなく、高齢の親の恋愛について気になっているご家族の方にも、参考にしていただければ幸いです。
目次
シニア世代の恋愛が注目される理由

シニアの恋愛が注目を集めている背景には、社会全体の大きな変化があります。長寿化や一人暮らしの増加、価値観の多様化など、いくつかの要因が重なって、シニア世代の恋愛やパートナー探しが以前よりずっと身近な話題になっています。
人生100年時代になった
かつては「老後」と聞けば、のんびりと余生を過ごすイメージがありました。しかし、今は違います。内閣府の令和7年版高齢社会白書によると、2024年10月1日時点で日本の高齢化率は29.3%に達し、令和52(2070)年には国民の2.6人に1人が65歳以上になると推計されています。
人生100年時代という言葉が現実味を帯びるなかで、60歳・70歳はまだ人生の折り返し地点ともいえます。残りの数十年を、いかに充実して過ごすかを真剣に考える人が増えているのは、ごく自然な流れです。恋愛もその選択肢の一つとして、注目が高まっています。
子育てや仕事が一段落する時期だから
50代・60代になると、子育てが終わり、仕事も定年を迎えるなど、これまで忙しく過ごしてきた日常が一変する時期です。それまで家族や仕事に注いできたエネルギーが、ようやく自分自身に向けられる。そんな「第二の人生のスタート」を迎えた方も多いのではないでしょうか。
時間と自由を手にしたとき、「誰かと一緒に旅行したい」「気持ちを話せる相手がほしい」という気持ちが自然と芽生えることがあります。これは決して弱さではなく、新たな人生のステージを豊かにしたいという、前向きな欲求です。
一人暮らしや死別後の新たな出会いが増えている
もう一つの背景として、一人暮らしの高齢者の増加があります。内閣府の高齢社会白書によれば、令和2年には65歳以上で一人暮らしをしている方の割合は男性15.0%、女性22.1%にのぼり、昭和55年(男性4.3%、女性11.2%)と比較すると、大幅に増加しています。さらに令和32年には男性26.1%、女性29.3%になると見込まれています。
配偶者との死別や離婚など、様々な事情で一人になる方が増えているなかで、新たな出会いを求めることは、ごく自然な行動です。「一人でいることが当たり前」という時代は、少しずつ変わりつつあります。
シニア世代でも恋愛を楽しむ人は増えている

「シニアの恋愛なんて珍しい」と思われていた時代は、もはや過去のものかもしれません。実際に調査データを見ると、シニア世代のなかにも恋愛やパートナー探しに前向きな方は、決して少数ではないことがわかります。
高齢者の恋愛に関する調査データ
婚活支援サービスを展開するパートナーエージェント(現タメニー株式会社)が2017年に実施した「シニア世代の結婚」に関するアンケート調査(50〜69歳の独身男女2,000人対象)によると、50〜60代の独身男女のうち23.4%が婚活経験ありと回答しています。また、そのうち7.6%が過去10年以内に婚活をしていたことも明らかになっています。
また同調査では、結婚・事実婚・同棲などを含む、何らかのパートナーを望む理由として、男女ともに最も多かった回答が「安心・信頼できるパートナーがほしいから」という結果でした。恋愛や婚活への動機は、若い世代と大きく変わるものではないようです。
パートナーを求める独身シニアは少なくない
同調査では、50〜60代の独身男性において、結婚相手・事実婚・同棲・恋人など、何らかの形でパートナーを望む人が49.1%にのぼることがわかっています。つまり、独身のシニア男性の約半数がパートナーを求めているということです。
女性の場合は31.1%と男性よりは低いものの、それでも3人に1人近くが何らかの形でのパートナーを望んでいます。シニア世代における恋愛やパートナーへの願望は、ごく一部の人のものではなく、多くの方が抱くごく普通の感情といえそうです。
熟年恋愛が珍しくなくなっている背景
シニアの恋愛が珍しくなくなった理由は、数字だけではありません。シニア向けの出会いの場や婚活サービスが整備されてきたことも大きな理由の一つです。趣味のサークルや地域のコミュニティ、シニア専門の婚活イベントやマッチングアプリなど、以前は存在しなかった出会いの機会が増えています。
また、「高齢者だから恋愛は無縁」という固定観念自体が、少しずつ薄れてきています。テレビや雑誌でもシニアの恋愛が取り上げられるようになり、社会全体の意識が変化しつつあります。
シニアが恋愛をするメリット

恋愛はただ楽しいだけでなく、生活全体にさまざまなよい影響をもたらす可能性があります。もちろん個人差はありますが、参考として代表的なメリットをご紹介します。
毎日に張り合いが生まれる
「明日、また会える」「次は何をしようか」——好きな人や気になる人がいると、日々の生活に張り合いが生まれます。退職後や子育て後に生活のリズムを見失いがちな時期に、気持ちの上での目標ができることは、生きる活力につながります。
「誰かのために身なりを整える」「料理を工夫する」といった小さな変化も、日常をいきいきとさせる力があります。
孤独感の軽減につながる
一人暮らしや死別後の生活では、孤独を感じやすくなることがあります。気軽に連絡できる人、近況を話せる人がそばにいるだけで、孤独感はかなり和らぎます。
深い信頼関係を持てるパートナーがいることは、精神的な支えになります。何かあったときに頼れる存在がいるという安心感は、日常生活の質を上げてくれることがあります。
外出や趣味の機会が増える
一人ではなかなか腰が上がらないことも、誰かと一緒なら出かけやすくなることがあります。旅行・コンサート・グルメ・スポーツ観戦など、パートナーがいることで活動の幅が広がるケースは少なくありません。
外出や趣味を通じて新しい経験を重ねることは、毎日をより彩り豊かにしてくれます。「また行きたい場所ができた」「新しいことを始めてみた」という小さな積み重ねが、人生の充実感を高めていきます。
心身の健康維持につながる可能性がある
恋愛が心身の健康にポジティブな影響を与える可能性については、さまざまな観点から研究が進んでいます。もちろん恋愛が万能というわけではありませんが、精神的な充実感や外出機会の増加、生活リズムの安定などを通じて、健康的な生活習慣を支える一つの要因になる可能性はあります。
あくまで個人差があるため断言はできませんが、「誰かのために元気でいたい」という気持ちが、健康への意識を高めることにつながる方もいらっしゃいます。
シニアの恋愛と婚活・再婚の違い

シニア世代の「パートナーとの関わり方」には、いくつかの選択肢があります。結婚という形にこだわらず、自分のライフスタイルに合った関係を選ぶ方も増えています。
恋愛を楽しみたい人
法律上の婚姻にこだわらず、交際相手として素敵な時間を共有することを目的に、出会いを探す方もいます。月に数回会って食事をしたり、旅行を楽しんだりと、お互いの生活を尊重しながら関係を育てるスタイルです。
「結婚は考えていないけれど、気の合う人と過ごしたい」という方にとっては、この形が自然に合っている場合もあります。
再婚を考える人
一方で、死別や離婚を経験したあとに、法律上の婚姻(入籍)を望む方もいます。再婚を選ぶ理由はさまざまですが、パートナーエージェントの調査では、「安心・信頼できるパートナーがほしいから」という理由が最も多く、精神的なつながりを重視している様子がうかがえます。
再婚の場合は、財産や相続に関わる手続きが生じるため、事前に整理しておくべき点もあります(後述)。
事実婚や別居婚という選択肢
近年、事実婚(法律上の入籍をしない婚姻関係)や別居婚(それぞれの住まいを維持しながら交際を続けるスタイル)を選ぶシニアも増えています。
それぞれの自立した生活を守りながら、精神的なパートナーとして支え合う形です。子どもへの財産の問題を避けたい場合や、長年の生活スタイルを変えたくない場合に、この選択肢を選ぶ方もいます。どの形が正解ということはなく、お互いが納得できる関係を選ぶことが大切です。
老いらくの恋とは

「老いらくの恋」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。ネガティブな印象を持つ人もいれば、温かみを感じる人もいる、独特の言葉です。
言葉の意味と由来
「老いらく」とは「老いさらばえること」を意味する古語で、「老いらくの恋」は高齢になってからの恋愛を指します。もともとは万葉集に端を発する表現で、歌人・柳原白蓮の歌などにも見られます。
昭和23年ごろには歌人の川田順が60代後半に交際を始め話題になったことから、「老いらくの恋」という表現が一般にも広まったとされています。
現代における老いらくの恋
かつては、どこか恥ずかしいこと、あるいは珍しいこととして語られることも多かった「老いらくの恋」。しかし現代では、高齢になっても恋愛を楽しむこと自体は珍しくなく、その意味でこの言葉もずいぶんと変化してきました。
高齢の俳優や著名人の恋愛・再婚が普通にニュースで報じられ、「なるほど、そういうこともあるよね」と受け取られる社会になってきています。
ネガティブな言葉ではなくなりつつある理由
「老いらくの恋」が以前よりポジティブに受け取られるようになった背景には、長寿化と価値観の多様化があります。人生が長くなった分、恋愛やパートナーシップの可能性が広がったとも言えます。
また、高齢者の活動的なライフスタイルが注目されるようになったことも影響しています。「年齢に関係なく、自分らしく生きる」という意識が社会全体に浸透しつつあり、それが高齢者の恋愛を肯定する空気をつくり出しています。
シニアが恋愛を始める方法

「新しい出会いなんて、どこで見つければいいの?」と戸惑う方もいるかもしれません。実は、シニア世代が自然に出会いを広げられる場は、思っているよりたくさんあります。
趣味サークル
共通の趣味を持つ仲間と交流するなかで、自然に距離が縮まることがあります。合唱・俳句・絵画・ダンス・山歩き・写真撮影など、地域の公民館やカルチャーセンターで開催されているサークルは、シニア世代の出会いの場として昔から定番です。
共通の話題があるため会話が弾みやすく、相手の人柄もじっくり見えてくるという安心感があります。
地域活動やボランティア
町内会の活動やボランティア、NPO活動なども出会いの場になります。地域のために一緒に働くなかで信頼関係が生まれ、それが恋愛に発展することもあります。
社会貢献を通じた出会いは、お互いの価値観を確認しやすいという利点もあります。
シニア向け婚活サービス
シニア世代を対象にした婚活パーティーや結婚相談所も、全国的に広がっています。同世代の参加者が多く、目的がはっきりしているため、真剣に出会いを求めている方には合っている場合もあります。
スタッフがサポートしてくれる結婚相談所では、初めての方でも安心して活動できる環境が整っていることが多いです。
マッチングサービス
近年は、シニア向けのマッチングアプリやサービスも登場しています。外出が難しい方や、まずは気軽に交流したいという方には選択肢の一つになります。
ただし、インターネット上のサービスには注意が必要な面もあります(後述)。利用する場合は、信頼できるサービスを選び、個人情報の取り扱いなどに十分注意してください。
シニアの恋愛で気を付けたいこと

恋愛はよいことばかりではなく、シニア世代特有のリスクや気をつけるべき点もあります。楽しい出会いを大切にしながら、賢く備えることが大切です。
金銭トラブル
交際相手から金銭を要求されたり、気づかないうちに多額のお金を使うよう誘導されたりするケースは、残念ながら存在します。「相手を信じたい」という気持ちが先行して、判断が鈍ることもあります。
お金の話が出てきたときは慎重に。交際の初期から金銭を要求してくる相手には、特に注意が必要です。信頼できる家族や友人に相談することも、一つの自衛策です。
結婚詐欺
シニア世代をターゲットにした結婚詐欺も報告されています。「資産が目当てで近づいてくる」ケースは珍しくなく、特にマッチングアプリや出会い系サービスを通じた出会いでは、慎重な見極めが必要です。
相手の素性を確認できない状況で急に関係が深まる場合は、立ち止まって考える余裕を持つことが大切です。周囲の人に話を聞いてもらうことも有効です。
相続への影響
再婚や事実婚を選ぶ場合、相続関係に大きな変化が生じることがあります。法律上の婚姻をすると、配偶者には遺産相続の権利が発生します。これにより、子どもへの相続に影響が出ることも考えられます。
「再婚したい」と思ったときには、事前に子どもと話し合い、必要に応じて遺言書の作成や財産整理を行うことを検討してください。専門家(弁護士・司法書士など)への相談も選択肢の一つです。
家族との関係
シニアの恋愛や再婚は、子どもや孫との関係に影響を与えることがあります。「親に新しいパートナーができた」と知ったとき、複雑な気持ちを抱く家族もいます。
家族への報告は早めに、丁寧に行うことをおすすめします。いきなり「結婚する」と告げるのではなく、少しずつ関係を見せながら、家族が受け入れやすい環境をつくっていくことが大切です。家族との対話を大切にしながら進めることが、長い目で見てもよい結果につながることが多いようです。
シニアの恋愛は人生を豊かにする選択肢
恋愛は、決して若い人だけのものではありません。50代・60代・70代になっても、誰かと出会い、気持ちを交わし、一緒に時間を過ごすことは、人生をより深く豊かにしてくれる可能性があります。
「この年齢で恋愛なんて」「今さら遅い」と感じている方がいれば、ぜひ一度、その固定観念を手放してみてください。内閣府の白書が示す通り、65歳以上の一人暮らしは年々増え、人生は以前よりずっと長くなっています。その時間をどう生きるかは、あなた自身が選ぶことができます。
恋愛は「終活」そのものではありません。けれど、残りの人生をより充実させる活動の一つであることは確かです。新しいパートナーとの時間、共に過ごす日々、心を開いて話せる相手がいること——そういった豊かさが、日々の生活に温かみをもたらしてくれることがあります。
もちろん、恋愛を選ばないことも、立派な選択です。大切なのは、自分らしい人生を、自分のペースで歩んでいくこと。その道のりの中に、もし誰かとの新しい出会いがあったとしたら、それはきっと素敵なことだと思います。
あなた自身の人生を、あなたらしく。シニア世代の恋愛やパートナーとの時間は、その一つの可能性として、心に留めておいていただければ幸いです。
参考資料
- 内閣府「令和7年版 高齢社会白書」
- 内閣府「令和6年版 高齢社会白書」
- 内閣府「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」
- タメニー株式会社(旧パートナーエージェント)「シニア世代の結婚に関するアンケート調査」(2017年)









