財産目録の書き方|コピーして使えるテンプレートと記入例

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財産目録とは、自分の財産と負債を一枚の表にまとめたものです。作るのに資格も費用も要りません。決まった様式もありません。

それでも作る価値があるのは、これが無いと残された家族が「宝探し」を始めることになるからです。通帳を探し、郵便物をあさり、心当たりの銀行に片っ端から問い合わせる。相続手続きで最も時間を食うのが、この探索作業です。

この記事では、そのままコピーして使える6つの表を記入例つきで用意しました。空欄のままでも構いません。作り始めることが目的です。

この記事でわかること

  • 財産目録に書く6分類と、それぞれの調べ方
  • コピーして使えるテンプレート(記入例つき)
  • 負債を必ず書くべき理由
  • 遺言書に財産目録を添付する場合のルール
  • 金額は書くべきか、書かなくていいか
  • 作ったあとの保管と更新のタイミング

目次

  1. 財産目録とは — 何のために作るのか
  2. 作らないと何が起きるか
  3. 財産目録に書く6分類
  4. 【表1】預貯金
  5. 【表2】不動産
  6. 【表3】有価証券・投資
  7. 【表4】保険
  8. 【表5】その他の財産・デジタル資産
  9. 【表6】負債・保証
  10. 表紙と保管場所メモ
  11. 金額は書くべきか
  12. 遺言書に添付する場合のルール
  13. 作り方の手順とコツ
  14. 更新のタイミング
  15. よくある質問
  16. まとめ

財産目録とは — 何のために作るのか

財産目録は、プラスの財産とマイナスの財産(負債)を一覧にした表です。法律で作成が義務づけられているものではありません。

目的は3つあります。

  1. 家族が探さなくて済むようにする最大の目的です。相続手続きは「何があるか分かる」ところから始まります。
  2. 自分の状況を正確に把握する作ってみると、思っていた金額と違うことがよくあります。老後の資金計画にも直結します。
  3. 遺言書を書く土台にする財産の一覧がなければ、遺言書は書けません。「誰に渡すか」を決めるには、「何があるか」が先に必要だからです。

エンディングノートとの違い

  • 財産目録財産と負債に特化した一覧表。数字と所在が中心
  • エンディングノート/医療の希望、葬儀、連絡先、思いなども含む幅広いノート

エンディングノートの中に財産のページがあれば、それが財産目録の役割を果たします。別々に作る必要はありません。財産が多い方は、独立した目録にしたほうが管理しやすくなります。エンディングノート全体の書き方はエンディングノートとは?書き方10項目をご覧ください。

作らないと何が起きるか

起きること内容
手続きが長期化する財産の把握だけで数か月かかることがあります
遺産分割のやり直し分割協議のあとに預金が出てくると、話し合いからやり直しになります
相続税の申告漏れあとから見つかると修正申告になり、加算税がかかることがあります
もらえるお金の取りこぼし保険金は請求しないと支払われません。会社から連絡は来ません
負債を知らずに相続相続放棄の期限(3か月)を過ぎると、借金も引き継ぎます
家族間の不信「隠しているのでは」という疑念が生まれることがあります

相続放棄には3か月の期限があります

相続人は、自分が相続人だと知った日から原則3か月以内に、相続するか放棄するかを決めなければなりません。この期間内に判断するには、プラスとマイナスの両方が分かっている必要があります。

財産目録に負債を書いておくことは、家族に「3か月で正しく判断する材料」を渡すことでもあります。これが目録を作る最大の実務的価値かもしれません。

財産目録に書く6分類

分類含まれるもの調べ方
①預貯金銀行・信金・ゆうちょ・ネット銀行通帳、キャッシュカード、郵便物
②不動産土地、建物、田畑、山林、駐車場固定資産税の納税通知書、登記事項証明書
③有価証券・投資株式、投資信託、債券、iDeCo、暗号資産取引報告書、特定口座年間取引報告書
④保険生命保険、医療保険、個人年金、火災保険保険証券、保険料控除証明書
⑤その他・デジタル車、貴金属、美術品、電子マネー、売掛金車検証、鑑定書、スマホの中
⑥負債・保証ローン、借入、未払金、連帯保証返済予定表、契約書、信用情報の開示

洗い出しの具体的な手順は終活のお金の整理|7項目の棚卸しリストで詳しく解説しています。休眠口座の探し方、忘れた保険の調べ方など、この記事と合わせて使ってください。

【表1】預貯金

テンプレート① 預貯金
金融機関名支店名種別口座番号残高の目安通帳・カードの保管場所備考
記入例○○支店普通1234567約120万円書斎の右引き出し年金振込・光熱費引落
記入例ネット銀行約30万円通帳なしスマホアプリのみ
       
       
       
       

ネット銀行は必ず書いてください

通帳もカードも無いため、本人以外にはまず見つけられません。金融機関名だけでも書いておけば、家族は問い合わせができます。

また、貸金庫を契約している場合も必ず記載してください。存在を知られないまま契約が続き、後で発覚するケースがあります。

【表2】不動産

テンプレート② 不動産
種別所在地地番・家屋番号面積固定資産税評価額持分権利証の保管場所
記入例:土地○○市○○町1-2-312番3150㎡約800万円単独自宅金庫
記入例:建物同上12番390㎡約400万円単独同上
       
       

住所ではなく「地番」で書いてください

不動産を特定するには、郵便の住所(住居表示)ではなく登記上の「地番」「家屋番号」が必要です。これらは次のいずれかで確認できます。

  • 固定資産税の納税通知書/毎年春に届きます。いちばん手軽
  • 登記事項証明書/法務局で取得できます
  • 権利証・登記識別情報

納税通知書には評価額も載っているので、この1枚があれば表2はほぼ埋まります。

忘れられがちな不動産

  • 共有名義の実家/兄弟で相続したまま放置されていることがあります
  • 先祖から引き継いだ田畑・山林/評価額が低く、納税通知書が来ないことも
  • 私道の持分/自宅前の道路に持分があるケース
  • 墓地/使用権であり、相続財産とは別扱い(祭祀財産)です

なお2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります。登記されていない不動産があるなら、目録に書いて家族に知らせておいてください。

【表3】有価証券・投資

テンプレート③ 有価証券・投資
金融機関・取引所口座種別銘柄・商品名数量評価額の目安備考
記入例:○○証券特定口座××株式200株約60万円書類は郵送停止中
記入例:○○証券NISA口座投資信託△△約100万円NISAは相続不可
      
      

NISA口座は相続人のNISA口座に移せません

NISA口座で保有していた株式や投資信託は、相続人の課税口座(特定口座・一般口座)に移されます。非課税のまま引き継げるわけではないので、誤解のないよう備考に書いておくと親切です。

証券口座の所在が分からなくなったら

証券保管振替機構(ほふり)に「登録済加入者情報の開示請求」をすると、どの証券会社に口座があるかを調べられます。本人でも、相続人でも利用できます。「そういう制度がある」と目録の備考欄に1行書いておくだけで、家族の負担が変わります。

【表4】保険

テンプレート④ 保険
保険会社名種類証券番号被保険者受取人保険金額証券の保管場所
記入例:○○生命終身保険1234-5678本人配偶者300万円書斎のファイル
記入例:○○損保火災保険9876-5432建物2,000万円同上
       
       

受取人欄を今すぐ確認してください

古い契約では、受取人が既に亡くなっている・離婚した相手のままということがよくあります。この状態だと手続きが複雑になります。変更は保険会社への連絡だけでできます。

また、死亡保険金には500万円×法定相続人の数の相続税非課税枠があります。保険の考え方は終活で考える保険の選び方で解説しています。

【表5】その他の財産・デジタル資産

テンプレート⑤ その他の財産・デジタル資産
種類内容・銘柄数量評価額の目安所在・サービス名備考
記入例:自動車○○(20××年式)1台約50万円自宅車庫車検証はダッシュボード
記入例:貴金属指輪・ネックレス数点タンス上段の桐箱鑑定書同封
記入例:電子マネー交通系IC・コード決済約2万円スマホ内ID記載、パスワードは別管理
      
      

この表に書くもの

  • 自動車・バイク・自転車
  • 貴金属・宝石・時計
  • 骨董品・美術品・着物
  • ゴルフ会員権・リゾート会員権
  • 電子マネー、コード決済の残高
  • 暗号資産(取引所名。秘密鍵は別管理
  • フリマアプリの売上金
  • 貸しているお金(借用書の有無も)
  • 未支給年金、給与の未払い分
  • ペット(法律上は財産です。託す先を書いておいてください

パスワードは目録に書かないでください

サービス名とIDまでにとどめ、パスワードそのものは書かないのが原則です。目録を紛失した時の被害が大きすぎます。

家族は「何があるか」さえ分かれば、あとは所定の手続きで解約・払い戻しができます。ただしスマホのロック解除方法だけは、信頼できる人に別の手段で伝えておいてください。ここが開かないと何も始まりません。

デジタル資産の扱いはSNS終活の記事故人のSuica・PASMOの払い戻し手続きもご覧ください。

【表6】負債・保証

財産目録で最も重要な表です。プラスの財産より先に書いてもいいくらいです。

テンプレート⑥ 負債・保証(最重要)
種類借入先残高の目安毎月の返済額完済予定備考
記入例:住宅ローン○○銀行約800万円7万円20××年団信あり(証書は金庫)
記入例:カードローン○○カード約30万円1万円
記入例:連帯保証弟の事業融資約200万円契約書は書斎
      
      

連帯保証は見落としの最多項目です

他人の借金の連帯保証人になっている場合、その義務も相続されます。本人が亡くなったあとに突然請求が来て、家族が初めて存在を知る——これが最悪のパターンです。

「昔、頼まれて判を押した」という記憶があるなら、契約書を探して目録に書いてください。金額が分からなくても、「連帯保証あり」と書くだけで家族は調べられます。

団体信用生命保険(団信)は必ず書いてください

住宅ローンに団信が付いていれば、契約者の死亡でローンは完済されます。付いていなければ残債はそのまま残ります。

この違いを知らないまま「借金がある」と判断して相続放棄すると、家まで手放すことになります。備考欄に「団信あり/なし」を必ず書いてください。

借入を一括で調べる方法

信用情報機関に開示請求すると、自分名義の借入がまとめて確認できます。CIC(クレジット・信販系)、JICC(消費者金融系)、全国銀行個人信用情報センター(銀行系)の3機関があり、それぞれ手数料がかかります。

生きているうちに3機関すべてに請求しておけば、「借金は無い」と断言できる状態を家族に残せます。子に負担を残したくない方は子供に借金を残さないための終活もご覧ください。

表紙と保管場所メモ

6つの表の前に、この1ページを付けてください。実務上いちばん役立つのは、実はこのページです。

◆ 財産目録 表紙

作成者:__________ 作成日:___年__月__日
最終更新日:___年__月__日

■ 重要書類の保管場所
通帳・キャッシュカード:________________
実印・銀行印:_____________________
印鑑登録カード:____________________
保険証券:_______________________
不動産の権利証・登記識別情報:_____________
年金手帳・年金証書:__________________
遺言書(ある場合):__________________
貸金庫の鍵・カード:__________________

■ 相談できる専門家
税理士:___________ 電話:_________
司法書士・弁護士:_______ 電話:________
保険担当者:__________ 電話:________

■ この目録の保管場所を知っている人
氏名:________ 続柄・関係:__________

この最後の1行が、目録全体を機能させます

どれだけ精密な目録を作っても、ありかが誰にも伝わっていなければゼロです。実際にいちばん多い失敗が、これです。中身を見せる必要はありません。場所だけ、誰か1人に伝えてください。

金額は書くべきか

迷う方が多い点です。結論から言うと、「概算」で十分です。

書き方メリットデメリット
正確な金額を書く相続税の見通しが立つすぐ古くなる。更新が負担になる
概算を書く(推奨)規模感が伝わり、更新も楽正確性は落ちる
金額を書かない更新不要。盗難時のリスクが低い相続放棄の判断材料にならない

「所在」は必須、「金額」は概算でよい

金額は変わりますが、所在(どこの銀行か、どこにあるか)はほとんど変わりません。だから所在を優先して書き、金額は「約○○万円」程度で構いません。

ただし負債だけは、できるだけ正確に書いてください。相続放棄を3か月以内に判断するための材料になるからです。

遺言書に添付する場合のルール

財産目録は、遺言書に添付することもできます。ここには法律上の決まりがあるので、注意が必要です。

自筆証書遺言に添付する財産目録は、手書きでなくてよい

自筆証書遺言は本文をすべて手書きする必要がありますが、添付する財産目録については手書きでなくても構いません(2019年1月13日施行の民法改正による)。

つまり次のものが使えます。

  • パソコンで作成した一覧表
  • 通帳のコピー
  • 登記事項証明書のコピー

ただし、目録の各ページに署名と押印が必要です。両面に記載がある場合は両面とも必要です。ここを外すと無効になるので、必ず守ってください。

遺言書を確実に残したいなら

自筆証書遺言は形式を外すと無効になるリスクがあります。次の2つの方法で、そのリスクを減らせます。

  • 自筆証書遺言書保管制度/法務局が遺言書を預かる制度。1件3,900円で、家庭裁判所の検認が不要になります
  • 公正証書遺言/公証人が作成。無効になるリスクが最も低い。手数料は財産額により変動します

なお、財産目録だけでは財産の分け方を指定できません。目録は「何があるか」の一覧、遺言書は「誰に渡すか」の指示。両方あって初めて機能します。

作り方の手順とコツ

  1. 書類を1か所に集める通帳、保険証券、固定資産税の納税通知書、証券会社からの郵便物、ローンの返済予定表。まずこれを机に並べるだけで、半分は終わります。
  2. 負債から書くプラスの財産より先に。最も重要で、最も見落とされやすいからです。
  3. 分かるところだけ、鉛筆で書く空欄があって構いません。「全部そろってから」と思うと、永遠に完成しません。
  4. 1日1表にする6つの表を1日で埋めようとしないこと。今日は預貯金だけ、来週は保険だけ、で十分です。
  5. 表紙の「保管場所」を埋めるここが実務上いちばん役立ちます。
  6. 誰か1人に場所を伝えるこれで完成です。

パソコンで作ると更新が楽です

表計算ソフトで作れば、金額の修正も行の追加も簡単です。ただし紙に印刷して保管することを強くおすすめします。パソコンの中だけでは、家族が開けない可能性があるからです。

印刷したものに日付を書いて、更新のたびに差し替える。この形が最も現実的です。

更新のタイミング

一度作って放置すると、情報が古くなり、かえって混乱を招きます。年に1回、日を決めて見直してください。

タイミング理由
毎年決まった月誕生月、年末年始など。固定資産税の納税通知書が届く春がおすすめ
口座を開設・解約したときその場で書き足すのがいちばん確実
保険に加入・解約したとき受取人の確認もあわせて
不動産を売買したとき登記の変更とセットで
ローンを完済したとき負債の行を消す
家族構成が変わったとき結婚、離婚、出生、死亡。受取人と相続人が変わります

よくある質問

財産目録に決まった書式はありますか?
ありません。手書きのメモでも、表計算ソフトでも構いません。ただし遺言書に添付する場合は、各ページへの署名・押印が必要です。この記事のテンプレートは自由にお使いください。
財産が少ないのですが、作る意味はありますか?
あります。むしろ財産が多い家庭は税理士や銀行が関わるので自然に洗い出されますが、財産が少ない家庭ほど、家族が自力で探すことになります。金額の大小と、手間の大小は比例しません。
負債は書きたくないのですが
お気持ちは分かりますが、負債こそ書いてください。知らずに相続してしまうと、家族が借金を背負います。相続放棄には3か月の期限があり、その判断には負債の情報が不可欠です。書きにくければ「借入あり・詳細は○○の書類」だけでも構いません。
家族に見せるべきですか?
中身を見せる必要はありません。ただし「目録があること」と「保管場所」だけは必ず伝えてください。見つけてもらえない目録は、作らなかったのと同じです。
財産目録があれば遺言書は不要ですか?
いいえ、役割が違います。財産目録は「何があるか」の一覧、遺言書は「誰に渡すか」の法的な指示です。財産の分け方を確実に指定したいなら遺言書が必要で、その遺言書を書くためにも目録が先に必要になります。
相続税がかかるかどうか、目録から分かりますか?
目安は分かります。相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。相続人が3人なら4,800万円まで非課税で、申告も不要です。ただし生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)や不動産の評価方法など複雑な要素があるため、基礎控除に近い金額なら税理士に確認してください。
認知症になったら作れませんか?
判断力が低下すると、正確な情報を書くことが難しくなります。また口座が凍結されると本人でも動かせなくなります。元気なうちに作り始めることが唯一の対策です。備えとしては任意後見制度もあわせてご検討ください。
一人暮らしですが、誰に渡せばいいですか?
兄弟姉妹、甥や姪、親しい友人、成年後見人、死後事務委任契約の受任者などが候補です。自治体によっては終活情報を登録・保管してくれる制度があります。詳しくは一人暮らしの終活をご覧ください。

まとめ

財産目録・要点

  • 決まった書式はない。手書きでもパソコンでも自由
  • 6分類で作る。預貯金/不動産/有価証券/保険/その他・デジタル/負債
  • 負債から書く。相続放棄の3か月判断に必要な、最重要の情報
  • 連帯保証と団信の有無を必ず書く
  • 金額は概算でよい。所在は正確に
  • パスワードは書かない。サービス名とIDまで
  • 不動産は住所ではなく地番で。固定資産税の納税通知書があれば埋まる
  • 遺言書に添付する目録は手書き不要。ただし各ページに署名押印が必要
  • 表紙の「保管場所」欄がいちばん役に立つ
  • 場所を誰か1人に伝えて、初めて完成

財産目録は、完璧に作る必要のない書類です。空欄だらけでも、何も無いよりはるかに家族を助けます。

今日できることは1つ。通帳を全部集めて、表1の1行目を埋めてください。それで、あなたの財産目録は始まっています。

※ 本記事は一般的な情報をまとめたものです。相続税の計算、遺言書の形式要件、相続放棄の判断、不動産の評価など個別の取り扱いについては、税理士・司法書士・弁護士などの専門家にご相談ください。法令・制度は改正されることがあります。信用情報機関への開示請求の方法や手数料は、各機関の公式案内をご確認ください。

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