自分史の書き方|年表の作り方と50の質問・エンディングノートとの違い

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自分史とは、自分が歩んできた道のりを、自分の言葉で記録に残したものです。立派な文章である必要も、波乱に富んだ人生である必要もありません。家族が知らないことを1つでも残せれば、それで役目を果たします。この記事では、4つの作り方から自分に合う型を選び、年表を作り、50の質問に答えていくだけで1冊になる手順をまとめます。書けなくなったときの対処と、家族に聞き書きしてもらう方法も載せました。

この記事の結論

  • 自分史に決まった形式はありません。4つの型から、自分に合うものを1つ選べば十分です
  • 最初にやるのは文章ではなく年表です。西暦・年齢・出来事の3列だけで作れます
  • 書くことが浮かばないときは、この記事の50の質問に1つずつ答えてください。それがそのまま本文になります
  • エンディングノートとは役割が違います。あちらは「家族が困らないための情報」、自分史は「自分がどう生きたかの記録」です
  • 他人の悪口と、他人の個人情報は書かない。この2つだけ守れば失敗しません
  • 途中でやめて構いません。年表1枚だけでも、家族には十分な贈り物になります

この記事でわかること

  1. 自分史とは何か、なぜ終活で書くのか
  2. エンディングノート・遺言書との違い
  3. 4つの型と、自分に合う型の選び方
  4. 年表の作り方(3列だけ)
  5. そのまま使える50の質問
  6. 写真の選び方と入れ方
  7. 手書き・パソコン・業者依頼の比較と費用
  8. 製本の方法と、書けないときの対処

自分史とは何か

自分史とは、自分の人生を自分で記録したものです。本の形にする人もいれば、大学ノート1冊で終える人もいます。決まった形式はありません。

「書くほどの人生じゃない」と思う方へ

自分史でいちばん多い声がこれです。しかし家族が知りたいのは、立派な業績ではありません。どんな家に生まれ、何を食べて育ち、どんな仕事をして、何に困り、何を楽しみにしていたか。ごく普通の暮らしの記録こそが、あとから読む人にとっては貴重です。

実際、遺品整理で見つかった手帳や日記が、遺族にとって最も大切な形見になることは珍しくありません。自分史は、その手帳を自分の意思で整えて残す作業です。

終活で自分史を書く4つの意味

  • 家族が知らないことが残る戦後の暮らし、若い頃の仕事、親戚のつながり。本人に聞かなければ二度と分からないことが、驚くほど多くあります。亡くなってから「聞いておけばよかった」と言われるのがこれです。
  • 自分の整理になる書き出すと、自分が何を大事にしてきたかが見えてきます。その結果、これから何をしたいかも決めやすくなります。
  • 頭を使う習慣になる思い出して言葉にする作業は、脳を広く使います。介護の現場で用いられる回想法という手法も、昔のことを思い出して語り合うものです。
  • 会話のきっかけになる「これ、どういうこと」と家族に聞かれます。終活の話を切り出しにくい方にとって、自分史はとても自然な入口になります。

エンディングノート・遺言書との違い

比べる点自分史エンディングノート遺言書
何を書くかどう生きてきたか家族が困らないための情報財産を誰に渡すか
読む相手家族・子孫・自分家族・手続きをする人相続人・遺言執行者
法的な効力なしなしあり
形式の決まりなしなし厳格にあります
書く順番3番目でよい先に書くべき必要があれば
途中でやめても問題なし問題なし不完全だと無効になり得ます

順番を間違えないでください

自分史は楽しい作業なので、つい先に手をつけたくなります。しかし家族がすぐ必要とするのは、口座・保険・連絡先といった実務の情報です。それが書かれていない状態で自分史だけが残ると、家族は困ります。

エンディングノートの実務欄を先に埋め、そのうえで自分史に取りかかってください。実務欄は30分あれば形になります。

4つの型から選ぶ

作り方向いている人手間
年表型西暦・年齢・出来事を並べるだけ。文章はなくてもよい文章が苦手な人。まず何か形にしたい人
テーマ型「仕事」「家族」「旅」など、テーマごとに書く語りたいことがはっきりしている人
写真集型写真を並べ、1枚ずつ短い説明を添える写真が多い人。文章を書きたくない人
聞き書き型家族が質問し、話したことを書き取る書くのが難しい人。高齢の親に残してほしい場合中(相手が必要)

迷ったら年表型から

年表は、どの型を選んでも結局は必要になります。先に作っておけば、あとからテーマ型や写真集型に発展させられます。逆に、年表なしでいきなり文章を書き始めると、時系列が混乱して途中で止まります。最初の1時間は、必ず年表に使ってください。

年表の作り方

用意するのは3列だけです。これ以上増やすと手が止まります。

西暦年齢自分の出来事
1948年0歳◯◯県◯◯町で生まれる。三人きょうだいの次男
1955年7歳◯◯小学校に入学。学校まで歩いて40分
1967年19歳集団就職で上京。最初の職場は町工場
1973年25歳結婚。同じ職場の同僚の紹介だった
1975年27歳長女が生まれる。社宅からアパートへ引っ越し
1988年40歳自宅を購入。頭金を貯めるのに8年かかった
2008年60歳定年退職。翌年から嘱託として3年勤める

思い出せないときは、この4つを手がかりに

  • 住所の履歴……住んだ場所を順に並べると、時期が芋づる式に思い出せます
  • 学校と職場……卒業年・入社年・異動は、記録が残っていることが多いものです
  • 家族の年齢から逆算……子や孫の生まれ年を起点にすると、前後が並びます
  • アルバムの写真……日付が入っていなくても、服装や背景で年代の見当がつきます

年表ができたら、出来事の多い時期と、少ない時期が見えてきます。多い時期がその人の山場です。文章を書くなら、そこから手をつけてください。

そのまま使える50の質問

この記事の中心です。1問につき3行から5行答えれば、それだけで原稿用紙40枚分ほどになります。順番どおりに答える必要はありません。答えられるものから埋めてください。

分野質問
生まれと家1 生まれた場所は、どんなところでしたか
2 子どもの頃、家はどんな造りでしたか
3 家族は何人で、どんな人たちでしたか
4 家の中でいちばん覚えている場所はどこですか
5 名前の由来を知っていますか
子ども時代6 どんな遊びをしていましたか
7 いちばん仲がよかった友だちは誰ですか
8 好きだった食べ物と、苦手だった食べ物は
9 叱られた思い出で覚えているものは
10 当時の家の中で、いちばん新しかった道具は何ですか
学校11 通学路はどんな道でしたか
12 得意だった科目、苦手だった科目は
13 覚えている先生はいますか
14 部活や習い事はしていましたか
15 進路はどうやって決めましたか
仕事16 最初の職場はどんなところでしたか
17 初任給で何を買いましたか
18 いちばん大変だった時期はいつですか
19 仕事で覚えている一日はありますか
20 やり残したと思うことはありますか
出会いと家族21 配偶者や大切な人と、どこで出会いましたか
22 結婚を決めたきっかけは何でしたか
23 子どもが生まれた日のことを覚えていますか
24 子育てで大変だったこと、うれしかったことは
25 家族で行った旅行で覚えているものは
住まいと暮らし26 これまでに住んだ家を順に挙げてください
27 いちばん気に入っていた家はどれですか
28 毎日の食卓によく出ていた料理は何ですか
29 欠かさず見ていた番組や、読んでいたものは
30 休みの日は何をして過ごしていましたか
お金と苦労31 いちばんお金に困ったのはいつですか
32 大きな買い物で覚えているものは何ですか
33 人に助けられた経験はありますか
34 乗り越えるためにやったことは何でしたか
35 あの頃の自分に言ってやりたいことは
時代の記憶36 いちばん驚いた出来事は何でしたか
37 街の風景で、いまと大きく変わったところは
38 初めて手にしたときに感動した品物は
39 当時よく歌われていた歌はありますか
40 いまの若い人に説明しても伝わらないことは
大切なもの41 ずっと手放さずにいる物はありますか
42 それはどうやって手に入れましたか
43 行ってよかった場所はどこですか
44 もう一度食べたいものは何ですか
45 好きな季節と、その理由は
これから46 いま楽しみにしていることは何ですか
47 まだやってみたいことはありますか
48 家族に伝えておきたいことはありますか
49 お世話になった人に、いま伝えるとしたら
50 自分の人生を一言でいうと、どんな人生でしたか

記入例(質問17「初任給で何を買いましたか」)

初任給は手取りで1万8千円ほどでした。寮に入っていたので、食費と風呂代を引くと手元にはあまり残りません。

それでも最初の給料で母に肌着を送りました。包んでくれた店員さんに「初めての給料で」と言ったら、包装紙を上等なものに替えてくれたのを覚えています。

母からは礼状も何も来ませんでしたが、亡くなったあと、その肌着が一度も袖を通されないまま箪笥の奥にしまってありました。

※ 3行から5行で十分です。うまく書こうとすると手が止まります。思い出した順に、話し言葉のまま書いてください。

書けないときの対処

止まった状況対処
何を書けばいいか浮かばない50の質問から、答えやすいものを1つ選ぶ。テーマを探すのをやめると進みます
文章がうまく書けない話すように書いてください。読むのは家族です。整った文章より、その人の口調のほうが残ります
思い出すとつらい時期がある飛ばして構いません。書かなかった時期があっても、自分史として不完全ではありません
年が思い出せない「たしか長男が小学校の頃」で構いません。正確さより、出来事のほうが大事です
手が疲れて長く書けない録音してから書き起こす方法があります。家族に聞き手になってもらうとさらに楽です
途中で飽きた年表だけ完成させて終わりにしてください。それでも十分な記録になります

写真の選び方と入れ方

  • 1つの出来事につき1枚に絞る。迷ったら、写っている人の顔がよく見えるほうを選びます
  • 裏か余白に、いつ・どこで・誰が写っているかを書く。これがないと、家族には分かりません
  • 集合写真は名前を書き添えると価値が跳ね上がります
  • 他人が写っている写真を本にする場合は、その人に確認するのが望ましい形です
  • 大切な写真は複製を使い、原本は残しておきます
  • 枚数の目安は10ページに1枚程度。多すぎると文章が読まれなくなります

写真の整理そのものは、別作業として分けてください

アルバムを開くと必ず手が止まります。自分史に入れる写真を選ぶ作業と、家じゅうの写真を整理する作業は、まったく別のものです。いま必要なのは「この出来事に添える1枚」を選ぶことだけです。アルバム全体の整理は、自分史が終わってから取りかかってください。

手書き・パソコン・業者依頼の比較

方法利点注意点費用の性質
手書き(ノート)今日から始められる。筆跡が残る書き直しや順番の入れ替えが難しいノート代のみ
手書き(市販の自分史ノート)質問が印刷されており、埋めるだけ項目が合わないことがある冊子の代金
パソコン書き直しと並べ替えが自由操作に慣れが必要。保存を忘れると消えますかからない
録音してから書き起こす話すだけでよい。手が疲れない書き起こす人が必要かからない
家族に聞き書きしてもらう本人が書けなくても残せる聞き手の時間が必要かからない
制作の事業者に依頼する取材・執筆・製本まで任せられる内容の主導権が薄れることがあります大きくなります

※ 事業者に依頼する場合の費用は、取材の回数、ページ数、部数によって大きく変わります。編集部が公開情報をもとに費用の性質のみを整理したもので、金額の目安を示すものではありません。必ず複数の事業者から見積もりを取って比べてください。

家族に聞き書きしてもらう手順

親に自分史を残してほしい場合、この方法がいちばん現実的です。「書いて」と頼むと、たいてい断られます。

  1. 1回30分と決める長いと疲れます。短く、何度かに分けるほうが続きます。
  2. 質問を3つだけ用意するこの記事の50の質問から選びます。3つ以上は聞かないでください。
  3. 録音する許可を取る「あとで書き起こしたいから」と伝えます。メモを取りながらだと話が途切れます。
  4. 途中でさえぎらない話が脱線しても止めないでください。脱線した先にいちばんよい話があります。
  5. 写真を1枚持っていく写真があると、記憶の扉が開きます。無言の時間が減ります。
  6. 書き起こして、本人に見せる間違いを直してもらいます。これが次回の呼び水になります。

頼み方のひと言

「自分史を書いて」ではなく、「昔のこと、聞かせてほしい」と言ってください。前者は仕事を頼まれた感じになりますが、後者は喜ばれます。結果として残るものは同じです。

書いてはいけないこと

内容判断理由
自分の失敗・苦労書いてよい自分史でいちばん読まれる部分です
家族への感謝書いてよい面と向かって言えないことが残せます
実名を挙げた他人の批判書かない残り続けます。その人の家族が読む可能性があります
他人の病気・離婚・借金書かない本人の同意がありません
他人の住所・電話番号書かない配る場合はとくに危険です
相続についての希望書かない自分史に法的な効力はありません。遺言書に書いてください
特定の家族だけへの不満慎重に読んだ家族の関係が壊れることがあります
他人が写っている写真確認してから配る部数が多いほど配慮が必要です

1週間で仕上げる進め方

「いつか書こう」では始まりません。7日分の作業に割り振ってしまうのがいちばん確実です。

やること時間の目安
1日目年表の骨組み。これまで住んだ場所を順に書き出す30分
2日目学校・職場・家族の出来事を年表に足す30分
3日目質問1〜5(生まれと家)に答える30分
4日目質問6〜10(子ども時代)に答える30分
5日目質問16〜20(仕事)に答える30分
6日目質問46〜50(これから)に答える30分
7日目写真を5枚選び、いつ・どこで・誰かを書き添える30分

合計3時間半で、年表と20問分の文章、写真5枚がそろいます。これで十分に読み物として成立します。物足りなければ、残りの30問を月に数問ずつ足していけば構いません。

家族が受け取ったときに困らない工夫

  • 1ページ目に「これは自分史です」と書く。遺言書と誤解されないためです
  • 書いた日付を入れる。あとから書き足したときも、その都度日付を入れます
  • 登場する家族の呼び方を統一する(「長女」「妻」など。あだ名だけにしない)
  • 地名は市区町村まで書く。「あの町」では家族に分かりません
  • 年が不確かなところは「たしか」と書き添える。断定すると誤って伝わります
  • 最後のページに「気が向いたら書き足します」と入れる。未完成でも渡しやすくなります

製本して形にする

方法向いている場合費用の性質
ノートのまま残す自分と家族だけが読むかからない
印刷して紙ばさみにとじる数人に配りたい用紙代のみ
簡易製本のサービスを使う数冊から十数冊部数に応じて
写真集の形にする写真が中心ページ数と部数に応じて
電子の形で保存するいつでも直したいかからない

部数は控えめに

「せっかくだから」と多く作ると、たいてい余ります。まず必要な人数分だけ作り、足りなければ追加するのが確実です。また、電子の形でも保存しておくと、あとから直せます。紙だけにすると、誤りが見つかったときに直せません。

分量の目安

分量かかる期間の目安
年表だけ1〜2ページ1〜2時間
年表+10の質問10ページ前後1週間
年表+50の質問40〜60ページ2〜3か月
テーマ型でしっかり書く100ページ前後半年〜1年

おすすめは「年表+10の質問」です。1週間で形になり、家族に渡せます。物足りなければ、そこから質問を増やしていけば構いません。最初から50問を目標にすると、多くの人が途中で止まります。

年代別の始め方

年代おすすめの入り方理由
50代年表だけ作っておく親に聞ける最後の時期です。自分の年表と一緒に親の分も聞いておけます
60代年表+仕事の章退職前後は、仕事の記憶がいちばん鮮明な時期です
70代年表+50の質問時間が取れ、記憶もはっきりしている時期です
80代以降聞き書き型書く負担がありません。家族との時間にもなります
親に残してほしい場合聞き書き型「書いて」ではなく「聞かせて」と頼みます

できあがったら、どうするか

  • 置き場所を家族に伝える。これをやらないと、存在しないのと同じです
  • 渡す相手を決める(全員に配る必要はありません)
  • 電子の形でも保存し、その場所も伝える
  • エンディングノートと同じ場所にまとめておく
  • 「直したくなったら書き足す」と決めておく。完成させなくて構いません
  • 渡すときは「読まなくていいから、置いておいて」と添えると受け取りやすくなります

よくある失敗

失敗どうなったか
年表を作らずに書き始めた時系列が混乱し、途中で止まった
最初から立派な本を目指した1行目が書けないまま何か月も過ぎた
写真の整理から始めたアルバムを開いた時点で手が止まった
他人の実名で不満を書いた読んだ家族が気まずくなり、渡せなくなった
相続の希望を書いた法的な効力がなく、かえって争いのもとになった
大量に製本した配り先がなく、多くの部数が残った
紙にしか残さなかった誤りが見つかっても直せなかった
置き場所を伝えていなかった亡くなったあと、遺品整理で偶然見つかった

よくある質問

文章が下手でも大丈夫ですか。
まったく問題ありません。読むのは家族です。整った文章より、その人がふだん話していた言い回しのほうが残ります。誤字も直さなくて構いません。話すとおりに書いてください。
何歳から始めるものですか。
決まりはありません。ただし50代・60代のうちに「年表」だけでも作っておくことをおすすめします。理由は2つあります。記憶がはっきりしていること、そしてまだ親や年上の親族に確認できることです。生まれた土地のことや親族の関係は、本人が亡くなると調べようがなくなります。
市販の自分史ノートを買ったほうがよいですか。
買わなくても始められます。大学ノート1冊で十分です。市販のものは質問が印刷されていて楽ですが、項目が自分に合わないと、埋まらない欄が気になって手が止まります。この記事の50の質問を使えば、同じことができます。
パソコンが苦手です。
手書きで構いません。むしろ筆跡が残ることは、それ自体が価値です。書き直したい場合は、その部分に線を引いて横に書き足せば十分です。清書は不要です。どうしても長く書けない場合は、録音して家族に書き起こしてもらう方法があります。
途中でやめてしまいそうです。
やめて構いません。自分史は完成させることが目的ではありません。年表1枚だけでも、家族にとっては十分な記録です。「年表+10の質問」を1週間で仕上げて、そこでいったん終わりにする。物足りなければ、また書き足す。この進め方をおすすめします。
思い出したくない時期があります。
飛ばしてください。書かなかった時期があっても、自分史として不完全ではありません。無理に書くと、そこで作業そのものが止まります。どうしても触れたい場合は「この時期のことは書きません」と一行だけ入れておく方法もあります。
家族に読ませたくない部分があります。
2冊に分けてください。渡す用と、自分だけの用です。渡す用には書かない、と決めてしまえば筆が進みます。自分だけの用については、亡くなったあとどうするか(残す・処分する)を書き添えて、頼む相手に伝えておいてください。
自分史に相続のことを書いてもよいですか。
書かないでください。自分史に法的な効力はありません。それどころか、遺言書と食い違う内容が書かれていると、争いのもとになります。財産の希望は遺言書に、葬儀や医療の希望はエンディングノートに書いてください。自分史には、その人がどう生きたかだけを書くのが安全です。
親が「書くことなんてない」と言います。
「自分史を書いて」と頼むから断られます。「昔のこと、聞かせてほしい」に言い換えてください。そして質問を3つだけ用意して、30分で切り上げます。写真を1枚持っていくと、ほぼ確実に話が始まります。録音しておけば、あとから書き起こせます。
制作の事業者に頼むといくらかかりますか。
取材の回数、ページ数、部数によって大きく変わるため、一律の金額はありません。取材から執筆・編集・製本まで任せる場合と、原稿は自分で書いて製本だけ頼む場合では、費用がまったく異なります。必ず複数の事業者から、同じ条件で見積もりを取って比べてください。訪問販売で契約した場合は、クーリング・オフの対象になることがあります。
認知症の予防になりますか。
予防を保証するものではありません。ただし、昔のことを思い出して語り合う回想法という手法が、介護や医療の現場で用いられているのは事実です。本記事は医学的な効果を述べるものではありません。気になる症状がある場合は、かかりつけ医または地域包括支援センターにご相談ください。
まず今日、何をすればよいですか。
紙を1枚出して、3列の線を引いてください。西暦・年齢・出来事です。そしてこれまで住んだ場所を、上から順に書き出してください。住所を並べると、時期が芋づる式に思い出せます。これで年表の骨組みができます。所要時間はおよそ30分です。

まとめ|年表1枚から始めてください

自分史に、立派な文章も波乱の人生も必要ありません。家族が知らないことを1つでも残せれば、それで役目を果たします。

始め方は決まっています。紙に3列の線を引き、西暦・年齢・出来事を並べる。これだけです。住んだ場所を順に書き出せば、記憶は芋づる式に戻ってきます。所要時間は30分ほどです。

文章にするときは、この記事の50の質問から答えやすいものを選んでください。1問3行から5行で構いません。うまく書こうとせず、話すとおりに書く。それがいちばん残ります。

守ってほしいのは2つだけです。他人の悪口と、他人の個人情報は書かないこと。そして相続の希望は自分史ではなく遺言書に書くこと。この2つを外さなければ、失敗しません。

最後に順番の話を。自分史より先に、エンディングノートの実務欄を埋めてください。口座・保険・連絡先。家族がすぐ必要とするのはそちらです。実務欄は30分あれば形になります。そのうえで自分史に取りかかれば、家族に残すものは完成します。

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