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終活をする人が年々増加し、それに伴い終活相談をする人も増えています。
遺産相続や葬儀など、相談内容は色々とあります。
その中で意外と多いのが「後見人」に関する相談です。
当記事では後見人に焦点をあてて、様々な疑問を解決できるように紹介します。
▼この記事を読んで理解できること ・後見人とは何か ・後見人の役割 ・後見制度の種類と目的 ・後見人に関する終活相談が多い理由 など |
目次
後見人とは?
「後見人とは何か?」
一番に気になるところですね。
後見人(読み方:こうけんにん)
簡単に紹介すると、後見人とは判断能力が不十分とされる方を監督し、支援・保護する人をいいます。
判断能力が不十分とされる方というのは
・未成年者
・認知症を患っている方
・知的障害がある方
・身体障害がある方
などがいます。
後見人の制度を後見制度といいますが、この制度はいくつか種類があります。
また、ひと言で後見人といっても「未成年後見人」と「成年後見人」というものがあります。
後見人の大きな役割は先ほど紹介した通りですが、後見人・後見制度の種類によって対象となる方や後見人が持つ権限に違いがあったりします。
後見人とは何かを知るためには、それぞれの後見人の役割や後見制度の内容を把握することが大切です。
ですのでこの記事で後見人をより理解できるように、以下の内容を紹介したいと思います。
・未成年後見制度
・未成年後見人の役割
・未成年後見人の選任方法
・成年後見制度
・法定後見制度
・任意後見制度
・成年後見人の役割
・成年後見人の選任方法
それぞれの内容を確認していきましょう。
未成年後見制度
未成年後見制度とは、未成年者の後見人を選任し、未成年者を保護する制度です。
通常は、両親などの親権を持つ者(親権者)がいます。
しかし様々な理由で親権者が不在となるケースがあります。
・死亡
・行方不明
・親権停止
などの理由です。
親権者が不在になると、未成年者を養育したり法律行為を代理する人がいなくなってしまいます。
そうすると未成年者に様々な問題が発生してしまうのです。
・生活環境が悪くなる
・十分な教育を受けられなくなる
・財産を失ってしまう
こうした事態から未成年者を守るために後見人を選任します。
このとき選任される後見人を「未成年後見人」といいます。
では、未成年後見人の役割を見ていきましょう。
未成年後見人の役割
「未成年後見人の役割とは何か?」
簡単に紹介すると親権者の代わりになることです。
・監護養育
・財産管理
・法律行為の代理
など、本来なら親権者が行うことを代わりに後見人が行います。
生活環境を整えてあげたり、教育を受けさせるのも後見人の役割です。
また、未成年者は法律行為を単身ではできません。
そのため、後見人が代理または同意する必要があります。
法律行為と聞くと「未成年者と無縁」と感じるかもしれません。
しかしスマホの契約など身近なところで法律行為は行われています。
一人暮らしをすることがあれば、賃貸契約も該当します。
このときの契約や支払い(財産管理)を未成年者に代わって行うのも後見人の役割です。
次に未成年後見人の選任方法を簡単に紹介します。
未成年後見人の選任方法と費用
未成年後見人の選任方法は2つあります。
・家庭裁判所が選任する方法
・遺言にてご自身が選ぶ方法
遺言がない場合は、家庭裁判所が未成年者との関係性や候補者の経歴を考慮した上で決定します。
一般的には親族が選任されるケースが多いようです。
しかし離婚している場合は元夫や元妻が「親権者の変更」申立を行うことで、親族ではなく元夫や元妻が親権者になる可能性もあります。
ですのでご自身が望む人を後見人にしたい場合は、遺言書を作成して後見人を指定する旨を記入しておくようにしましょう。
遺言書には種類があったり、書き方を間違えると無効になってしまうケースもあります。
以下の記事で種類や注意点など紹介しているのでご参考ください。
また、家庭裁判所へ申立をする際は数千円の費用がかかります。
他、未成年後見人には報酬を受け取る権利があります。
親族の場合は「報酬なし」で行う人も多いですが、専門家などが後見人になった場合は報酬がかかることが多いです。
報酬は後見人としての職務を行った期間や、未成年者の財産を考慮した上で家庭裁判所が決定します。
成年後見制度
成年後見制度とは、判断能力が不十分とされる成人の方を支援・保護する制度です。
認知症や知的障害など理由は様々ですが、判断能力が不十分だとご自身に不利益な契約などをしてしまう可能性があります。
そのような場合に、不利益を被らないように支援するための制度が成年後見制度です。
成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つあります。
支援・保護の観点では同じですが、後見人の選任方法や権限に違いがあります。
ですのでそれぞれの内容を確認していきましょう。
法定後見制度
法定後見制度とは、法律的に後見人を選任し、被後見人(判断能力が不十分と考えられる人)を支援・保護する制度です。
ただし、自動的に後見人が付くわけではありません。
ご本人や配偶者、四親等内の親族などの申立により家庭裁判所が後見人を選任します。
四親等内の親族とは、以下の図の通りです。
また、法定後見制度では、「後見人・保佐人・補助人(以下、後見人等)」3つの類型があり、被後見人の判断能力の程度によって家庭裁判所が選任する仕組みとなっております。
後見人等になると「代理権・同意権・取消権」などの権限が与えられますが、これは後見人等により違いがあります。
▼代理権
代理権とは、本人に代わって法律行為を行う権限です。
通常、法律行為はご本人のみ(または委任状が必要)ですが、代理権がある場合は委任状など必要なく法律行為を行うことができます。
各種契約の他、金銭管理なども行うことができます。
▼同意権・取消権
同意権とは、契約などをする際に本人に代わって同意する権限です。
取消権とは、後見人等の同意なしに行われた契約(法律行為)を取消(無効)にする権限です。
例えば財産の一部を現金化するために売却を検討する際など、同意権を持つ者の同意がなければ売買契約をすることができません。
仮に同意を得ずに勝手に契約してしまった場合は、取消権を行使して取消(無効)にすることができます。
未成年後見人では遺言書にて後見人を指定することができましたが、法定後見制度は「法律的に」支援するもので原則は家庭裁判所の判断に委ねられます。
身内から選ばれることもありますし、弁護士や司法書士といった専門家が選ばれることもあります。
ご自身で後見人を指定したい場合は、次に紹介する【任意後見制度】を利用するとよいでしょう。
任意後見制度
任意後見制度とは、本人に十分な判断能力があるうちに、ご自身で後見人を選ぶことができる制度です。
法定後見制度とは違い、法律的に後見人を選任するのではなく、ご本人と後見人になってほしい人の間で結ぶ契約となります。
この契約を「任意後見契約」といいます。
同意があれば親族はもちろん、弁護士などの専門家や友人知人などに依頼することもできます。
ご自身で後見人を選択できるのは任意後見制度のメリットになります。
しかし良い点ばかりではありません。
法定後見制度では、判断能力の程度によって「後見人・保佐人・補助人」といったように分かれていたり、権限に違いがあります。
しかし任意後見制度は後見人のみで、権限についても「代理権」しかありません。
同意権や取消権がありませんので、仮に同意を得ずに契約などの法律行為があった場合でも取消をすることができません。
成年後見人の役割
「成年後見人の役割とは何か?」
簡単に紹介すると代理行為と財産管理です。
判断能力の低下に伴い、ご自身で契約をすることができなかったり、財産管理ができなくなってしまうことがあります。
そのような場合に本人に代わって契約をしたり、財産管理をするのが成年後見人です。
具体例をあげると
・介護サービスの利用契約を結ぶ
・預貯金の出し入れを行う
・不動産の管理を行う
などがあります。
本人が不利益を被らないように保護する目的もあります。
成年後見人の選任方法と費用
成年後見人の選任方法は、以下の通りです。
・法定後見制度の場合は家庭裁判所が選任する
・任意後見制度の場合はご自身で後見人になる人と契約をする
法定後見制度の場合は、家庭裁判所に申立を行うことで後見人等を選任する仕組みです。
申立をできる人は以下の通りです。
申立人一覧 | |
本人 | 配偶者 |
四親等内の親族 | 未成年後見人 |
未成年後見監督人 | 保佐人 |
保佐監督人 | 補助人 |
補助監督人 | 検察官 |
市区町村長 ※1 | 任意後見契約の受任者 ※2 |
任意後見人 ※2 | 任意後見監督人 ※2 |
※1 成年後見制度の利用が必要な状態にも関わらず、事情により申立ができない場合は、市町村長が申立をすることができます。
※2 任意後見契約が登記されている場合のみ
申立する際は「印紙代」や「送付費用」が必要となります。
他、医師の診断書や住民票なども必要となるので、これらも含めて最低で1万数千円はかかります。
また裁判所が必要と判断した場合は、医学的に判定する手続きも行われます。
この手続きは裁判所が医師に依頼する形で行われ、費用が10万円~20万円程度かかります。
任意後見制度の場合は、ご自身で後見人になる人と契約をします。
このとき口約束や自作の契約書では認められておらず、公証役場へ出向き契約書を作成する必要があります。
契約書のサンプルは以下の通りです。
また、公証役場を市区町村役場と勘違いされている方も多いですが、2つの役場は異なるので注意しましょう。
全国の公証役場は【日本公証人連合会】にて検索することができるので、出向く際は最寄の公証役場を探してみてください。
ちなみに契約書の作成には「公証役場の手数料」や「印紙代」など最低でも約15,000円程度の費用がかかります。
上記の他に「法定後見」「任意後見」で共通してかかる費用もあります。
それは後見人へ支払う報酬です。
これは後見人としての業務を果たしてくれたことへの報酬です。
親族などが後見人となった場合は「報酬なし」で行っていることも多いですが、弁護士や司法書士などの専門家となった場合は月額2万円~6万円程度かかることもあります。
後見人に関する終活相談が多い理由
終活相談で後見人に関する相談が意外と多いです。
その理由は、やはり自身の死後や老後を心配してのことだと思います。
自分が死んだときのことを考えたとき…
「子供の後見人は誰がなるんだろう?」
「ちゃんと成人まで育ててもらえるだろうか?」
自分の老後を考えたとき…
「判断能力が低下して無駄に契約とかしてしまわないか?」
「認知症になって財産を騙し取られないか?」
など、終活をしていると色々と考えさせられることがあります。
実際に成年後見制度(法定後見制度)を利用している方は増加しています。
出典:厚生労働省 成年後見制度の現状
上記表は平成24年~平成29年の推移になりますが、右肩上がりとなっているのがわかると思います。
後見制度の申立人と本人との関係別件数でみると、以下のようになっております。
出典:厚生労働省 成年後見制度の現状
申立を行うのは「子供」が一番多いです。
判断能力が低下した両親のお世話をするとなったとき、法律行為の代理や財産管理を円滑に進めるため後見制度は非常に大切なものです。
例えば認知症になってしまった場合
通帳を無くしてしまう(保管場所を忘れてしまう)
支払いをしていないのにしたと思い込んでしまう
お金を何に使ったか忘れてしまう
など、財産管理がご自身でできないため、トラブルに発展するケースもあります。
後見制度を利用していれば、財産管理は後見人が行うので上記のようなトラブルを減らすことができます。
次いで多いのは市区町村長です。
市区町村長は後見制度を必要としているにも関わらず、事情により自身や親族が申立をできない場合に行います。
事情には「申立費用がない」「一人暮らしで認知症を発症している」など、様々なケースがあります。
三番目に多いのは本人です。
高齢になると少なからず判断能力が低下してきます。
そうなるとやっぱり不安になってしまうので、まだ自身で判断できるうちに申立をする方もいます。
最後に、成年後見人等と本人との関係性にご注目ください。
出典:厚生労働省 成年後見制度の現状
一番多いのは子供だと思っていませんでしたか?
しかし実際は司法書士や弁護士などが選任されることが多いのです。
子供も三番手にきていますが、一番の司法書士の約半分です。
つまり…
「自身の子供を後見人にしたい」
「親族内で後見人を決めてほしい」
とお考えの方にとっては驚愕の事実です。
終活相談で後見人に関する内容が多い理由は、これもあるのかもしれませんね。
しかし上記の一連の内容は、あくまで法定後見制度のケースです。
この記事内でも紹介した「任意後見制度」を利用することで、ご自身が望む人を後見人にすることもできます。
後見人に関して考える場合は、この点も覚えておくとよいでしょう。
まとめ
後見人について紹介しました。
後見人の大切さが少しでも伝わったでしょうか。
まだ後見人について考えたことがない方は、是非この機会に考えてみてください。
ご自身で後見人を指定したい場合は
未成年後見人の場合は遺言書に残す
成年後見人の場合は任意後見契約をする
どちらの場合も、ご本人の判断能力がはっきりとしているときじゃないと意味がありません。
ですので、ご自身で望む人を後見人にしたい場合は早めに準備しておくことをオススメします。
後見人は全ての人が考えるべきことですが、特に考えてほしいのが一人暮らしの高齢者や一人親家庭の方です。
一人暮らしの場合は常にご家族が近くにいるわけではないので、気付かぬうちに認知症を発症してしまう可能性があります。
一人親の場合は、ご自身が死んでしまったあと親権を元夫や元妻に変更されてしまうかもしれません。
ですので両者は、特に後見人について考えておくべきだと思います。
他にも色々と考える点はありますので、以下の記事もご参考ください。
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