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家族が亡くなり、証券口座に株式や投資信託が残っている場合は、取引していた証券会社へ連絡し、相続人名義の口座へ資産を移す手続きを進めます。
銀行預金のように「残高を引き出して終わり」ではなく、株式や投資信託は原則として、相続人名義の証券口座へ移管して引き継ぎます。
特に注意したいのがNISAです。亡くなった方のNISA口座を相続人がそのまま引き継ぐことはできません。一方で、NISAで保有していた上場株式等は相続時の時価を基準に取得価額が切り替わるため、故人のNISA内で死亡時までに生じていた値上がり分が、そのまま相続人の譲渡益として課税されるわけではありません。
また、上場株式の相続税評価では、単純に死亡日の終値だけを使うのではなく、死亡月・前月・前々月の月平均額を含む4つの価額のうち最も低い価額を使える場合があります。
この記事では、2026年8月時点の国税庁・金融庁・日本証券業協会・証券保管振替機構などの公式情報をもとに、証券口座の死亡後手続きを順番に解説します。
🔎 まず押さえたい5つのポイント
① 証券会社へ死亡を連絡し、相続手続きを開始する
② 株式・投資信託は相続人名義の口座へ移管するのが基本
③ NISA口座そのものは相続できず、特定口座または一般口座へ移す
④ 上場株式の相続税評価は4つの価額のうち最も低い額を使える
⑤ 通常の課税口座の株は、売却時の取得費・取得時期を被相続人から引き継ぐ
1. 証券口座の名義人が亡くなったら最初にすること

まず取引していた証券会社へ連絡する
故人が証券会社に口座を持っていたことが分かったら、まずその証券会社へ死亡の連絡をします。
証券会社が名義人の死亡を確認すると、通常は相続手続きが完了するまで、故人名義の口座で売買・出金などができないよう取引を制限します。
具体的な停止内容や手続き開始のタイミングは証券会社によって異なります。
連絡時に分かる範囲で用意したいもの
・故人の氏名・生年月日・住所
・証券会社の口座番号や支店名
・死亡日
・連絡している人と故人との続柄
・遺言書の有無
口座番号が分からなくても、まず証券会社へ相談してください。
故人のID・パスワードで勝手に売買しない
ネット証券のIDやパスワードが分かっていても、死亡後に相続人が故人になり代わってログインし、株式を売却したり出金したりするのは避けましょう。
死亡後は正規の相続手続きに沿って進めます。
ネット証券を含むデジタル資産を生前に整理しておく方法については、デジタル終活チェックリスト|SNS・ネット銀行・パスワード管理を解説も参考にしてください。
2. 証券口座の相続手続き|基本の流れ

【STEP1】証券会社へ死亡を連絡
相続手続きの担当部署から必要書類・手続き方法の案内を受けます。
【STEP2】残高・保有銘柄を確認
必要に応じて残高証明書等を取得し、死亡日時点の資産内容や相続税評価に必要な情報を確認します。
【STEP3】相続人・遺産分割内容を確定
遺言書がある場合は内容を確認し、必要に応じて相続人間で遺産分割協議をします。
【STEP4】必要書類を提出
証券会社所定の相続書類や戸籍関係書類等を提出します。
【STEP5】相続人名義の口座へ資産を移管
株式・投資信託等を相続人名義の口座へ移し、相続手続きを完了します。
証券口座だけでなく、死亡後は年金・保険・銀行・不動産などさまざまな手続きがあります。全体像を確認したい方は、突然死・交通事故死の後にやること|遺族の手続きチェックリスト完全版も参考にしてください。
3. 株式は「現金化」ではなく相続人の口座へ移管するのが基本

証券口座の相続では、故人が保有していた株式や投資信託を、まず相続人名義の証券口座へ移管するのが一般的です。
たとえば故人がA社株を100株持っていた場合は、原則としてA社株100株を相続人名義の口座へ移します。
相続人がその後現金化したい場合は、移管後に相続人自身の判断で売却します。
相続人側にも証券口座が必要
有価証券を受け入れるためには、相続人名義の証券口座が必要になるのが一般的です。
ただし、被相続人と同じ証券会社で口座開設が必要なのか、別の証券会社へ移管できるのかは、商品や証券会社によって異なります。
先に新規口座を作るのではなく、相続手続きの案内を受けてから、どの口座を用意すべきか確認するとよいでしょう。
4. 証券口座の相続に必要な書類

必要書類は、遺言書の有無、遺産分割の方法、相続人の人数、証券会社などによって異なります。
一般的には次のような書類が求められます。
- 証券会社所定の相続手続依頼書等
- 被相続人の戸籍・除籍・改製原戸籍等
- 相続人の戸籍関係書類
- 遺言書(ある場合)
- 遺産分割協議書(必要な場合)
- 印鑑証明書(必要な相続人分)
- 相続人の本人確認書類
- 移管先となる証券口座の情報
マイナンバー確認書類などが必要となる場合もあります。
書類を先に全部取らない
相続人全員の戸籍や印鑑証明書が必ず必要とは限りません。遺言書・遺産分割協議書・法定相続情報一覧図の有無などで必要書類は変わるため、証券会社から案内を受けてから集めるのが効率的です。
法定相続情報一覧図も利用できる
戸籍一式の代わりとして、法務局が無料で交付する法定相続情報一覧図の写しを利用できる場合があります。
法定相続情報一覧図は証券口座だけでなく、銀行、不動産登記、相続税申告など複数の相続手続きで利用できます。
相続する不動産がある場合は、【2026年版】相続登記の義務化|3年の期限・10万円以下の過料・手続きの進め方もご覧ください。
5. NISA口座は相続できない|死亡後に必要な手続き

まず「非課税口座開設者死亡届出書」を提出
故人がNISA口座を開設していた場合、相続人は死亡したことを知った日以後、遅滞なく、NISA口座が開設されている金融機関へ「非課税口座開設者死亡届出書」を提出する必要があります。
亡くなった方が過年度を含め複数の金融機関でNISA口座を開設していた場合には、それぞれの対象金融機関への届出が必要となる場合があります。
故人のNISAを相続人のNISAへ移すことはできない
故人のNISA口座そのものを相続したり、中にある上場株式等を相続人自身のNISA口座へ移したりすることはできません。
NISAで保有していた上場株式等は、相続人の特定口座または一般口座へ受け入れることになります。
ただし、特定口座に受け入れる場合には税法上の条件があります。たとえば、被相続人のNISA口座と相続人の特定口座が同じ証券会社にあることなどが必要となる場合があります。
商品や金融機関によって取扱いが異なるため、具体的な移管先はNISA口座のある金融機関へ確認してください。
NISAから相続した株の取得価額は死亡時の時価になる
ここは非常に重要です。
NISA口座に入っていた上場株式等を相続した場合、相続人は原則として、相続開始日の終値に相当する金額で取得したものとみなされます。
たとえば、
- 故人の購入価格:1株1,000円
- 死亡日の終値:1株1,800円
だった場合、相続人の取得価額は原則1株1,800円になります。
そのため、故人がNISAで保有していた間に生じた1,000円→1,800円の800円分の値上がりについては、相続人が後に株を売却するときの譲渡益として課税されません。
NISAのポイント
NISAの「非課税口座」自体は相続できません。
ただし、死亡時までNISA内で生じていた値上がり分まで、後から相続人の譲渡益として課税されるわけではありません。
一方で、NISA内の株式等も相続税の対象にはなります。
なお、投資信託などは商品ごとの時価の考え方が異なるため、具体的な取得価額については金融機関へ確認してください。
6. NISA・特定口座・一般口座|相続後の違い
| 項目 | NISAから相続 | 通常の課税口座から相続 |
|---|---|---|
| 相続人のNISAへ移せる? | 不可 | 原則、新たな買付け以外は不可 |
| 主な移管先 | 特定口座または一般口座 ※条件あり | 相続人名義の証券口座 |
| 取得費 | 原則、相続開始日の時価 | 被相続人の取得費を引き継ぐ |
| 取得時期 | 相続開始日 | 被相続人の取得時期を引き継ぐ |
| 相続税 | 対象 | 対象 |
通常の特定口座・一般口座から相続した株式は、税務上、被相続人の取得費・取得時期を引き継ぐのが基本です。
一方、NISAから相続した上場株式等は、相続開始日の時価を基準に取得価額が切り替わる点が大きな違いです。
7. 上場株式の相続税評価|4つの価額のうち最も低い額
相続税を計算するとき、上場株式は死亡日の終値だけで評価するとは限りません。
国税庁の評価ルールでは、原則として次の4つの価額のうち最も低い価額で評価できます。
| No. | 評価に使える価額 |
|---|---|
| ① | 死亡した日の最終価格(終値) |
| ② | 死亡した月の毎日の終値の月平均額 |
| ③ | 死亡した月の前月の毎日の終値の月平均額 |
| ④ | 死亡した月の前々月の毎日の終値の月平均額 |
4つを平均するわけではありません。
銘柄ごとに評価ルールを適用し、最も低くなる価額を確認します。
たとえば死亡日に株価が急上昇していた場合や、それまで株価が上昇傾向だった場合は、前月・前々月の月平均額の方が低くなることがあります。
死亡日の終値だけで計算しない
保有株が多い場合、4つの価額を確認することで相続税評価額が大きく変わることがあります。証券会社へ残高証明書等を依頼するときは「相続税申告に使う」と伝え、評価に必要な価格情報を取得できるか確認しましょう。
死亡日に最終価格がない場合や、配当・株式分割等に伴う権利落ちがある場合には別の調整が必要になることがあります。
相続税の申告期限は原則10か月
相続税の申告が必要な場合は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税します。
保有証券の調査や評価に時間がかかることもあるため、証券口座の確認は早めに進めましょう。
8. 投資信託の相続税評価は「死亡日の基準価額だけ」ではない

投資信託の評価方法は、上場株式とは異なります。
一般的な証券投資信託は、相続開始日に解約・買取請求をしたと仮定した場合に受け取れる価額を基準に評価します。
商品によっては、
- 相続開始日の基準価額
- 未収分配金
- 未収分配金にかかる税相当額
- 信託財産留保額
- 解約手数料
などを考慮します。
なお、ETFなど金融商品取引所に上場している投資信託は、上場株式の評価方法に準じて評価します。
「投資信託=死亡日の基準価額×口数」と単純に計算できないケースがあるため、相続税申告では証券会社・運用会社の評価資料を確認しましょう。
9. 相続した株を売るとき|取得費は故人から引き継ぐ

通常の課税口座から相続した株式を相続人が売却した場合、売却益を計算する際の取得費は、原則として被相続人がその株を取得したときの取得費を引き継ぎます。
「相続税の評価額」がそのまま売却時の取得費になるわけではありません。
例|相続税評価2,000万円、故人の取得費300万円の場合
たとえば、
- 相続税評価額:2,000万円
- 故人が購入したときの取得費:300万円
- 相続後の売却額:2,200万円
だったとします。
売却時の譲渡益は、原則として、
売却代金2,200万円
- 引き継いだ取得費300万円
- 売却手数料等
= 譲渡益
という考え方で計算します。
相続税評価額の2,000万円を売却時の取得費として使うわけではありません。
この点は、NISAから相続した株と通常の課税口座から相続した株で大きく異なります。
取得時期も被相続人から引き継ぐ
通常の相続では、取得費だけでなく取得時期も被相続人から引き継ぎます。
上場株式の譲渡益の税率
2026年時点では、上場株式等の譲渡所得等には、所得税・復興特別所得税と住民税を合わせて20.315%の税率が適用されるのが基本です。
ただし、具体的な税務処理は口座区分や損益通算、確定申告の有無などによって異なります。
取得費が分からない場合
故人が古くから保有していた株などで取得費が分からないことがあります。
その場合、同一銘柄ごとに売却代金の5%相当額を取得費とする方法が認められています。
ただし5%を使うと、売却代金の大部分が利益として計算される可能性があります。
まずは、
- 取引報告書
- 取引残高報告書
- 過去の確定申告書
- 証券会社に残っている取引記録
などから取得費を確認できないか調べましょう。
10. 相続税が課税された人は「取得費加算の特例」を確認

相続した株式等を売却する場合、条件を満たせば相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例を利用できることがあります。
相続税額のうち一定額を売却した財産の取得費に加えることで、譲渡所得を抑えられる制度です。
主な3つの要件
- 相続または遺贈によって財産を取得した人であること
- その財産を取得した人に相続税が課税されていること
- 相続開始日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までにその財産を譲渡していること
「相続税を実際に現金で納付したか」だけでなく、その人に相続税が課税されていることが要件です。
相続財産が基礎控除内に収まり、その人に相続税が課税されていない場合は利用できません。
この特例は自動適用ではなく、確定申告が必要です。
11. 故人がどこの証券会社を使っていたか分からない場合

まず身近な手がかりを確認する
ネット証券では紙の郵便物が少ないため、家族が口座の存在に気づかないケースがあります。
まず次のようなものを確認しましょう。
- 証券会社からの郵便物・取引残高報告書
- 株主総会招集通知・配当金計算書
- 銀行口座の入出金履歴
- 確定申告書や特定口座年間取引報告書
- パソコン・スマートフォンの証券アプリ
- メール
分からなければ「ほふり」へ開示請求
それでも証券会社が分からない場合は、証券保管振替機構(ほふり)の「登録済加入者情報の開示請求」を利用できます。
相続人が請求すると、振替株式等について、故人名義の口座が開設されている証券会社・信託銀行等を確認できます。
ただし、開示請求で分かるのは口座の開設先です。
| 確認できる | 確認できない |
|---|---|
| 証券会社・信託銀行等の口座開設先 | 株式の銘柄名 |
| 一定の担保関連情報 | 保有数量・残高 |
| ― | 取引履歴 |
| ― | 外国株式・国債・社債等の一部対象外資産の口座開設先 |
開示結果が届いたら、各証券会社へ直接連絡して残高を確認します。
開示請求は郵送のみ|結果まで約1か月
ほふりへの開示請求は郵送のみで、窓口受付は行っていません。
2026年8月現在、提出書類に不備がない場合でも、受付から結果送付まで約1か月かかると案内されています。
現在は請求が混み合っているため、さらに時間がかかる可能性があります。
2026年10月1日に料金改定予定
| 請求者 | 2026年9月30日まで ※初回郵便の消印 | 2026年10月1日以降 ※初回郵便の消印 |
|---|---|---|
| 法定相続人 法定相続情報一覧図あり | 4,950円 | 6,050円 |
| 法定相続人 法定相続情報一覧図なし | 6,050円 | 7,700円 |
| 遺言執行者 | 6,050円 | 6,050円 |
改定後料金は、初回の開示請求書を送った郵便の消印日によって判定されます。
同一株主について検索する氏名・住所の組み合わせを追加する場合、2件目以降は1件につき1,100円が加算されます。
また、調査の結果「該当なし」であっても費用はかかります。
ほふりは「最後の手段」として利用
心当たりのある証券会社がある場合は、まず各社へ問い合わせてください。開示請求には費用と時間がかかるため、郵便物・メール・銀行履歴等を先に確認すると効率的です。
12. 特別口座・単元未満株がある場合

「特別口座」は通常の証券口座とは別
2009年の株券電子化までに証券会社へ株券を預けていなかった株主などについては、発行会社が指定する信託銀行等に「特別口座」が開設され、そこで株主の権利が管理されている場合があります。
特別口座に株式がある場合、相続手続きの窓口は通常の証券会社ではなく、株主名簿管理人となっている信託銀行等です。
単元未満株だから必ず特別口座ではない
単元未満株=特別口座ではありません。
現在の証券会社の通常口座で単元未満株を保有しているケースもあります。
そのため、単元未満株が見つかった場合は、
- 証券会社の通常口座にあるのか
- 信託銀行等の特別口座にあるのか
をまず確認してください。
特別口座にある単元未満株については、発行会社への買取請求などを利用できる場合があります。通常の証券口座にある単元未満株の売却方法は証券会社によって異なります。
13. 外国株・信用取引がある場合は証券会社へ個別確認

外国株式
外国株式は、証券保管振替機構の「登録済加入者情報の開示請求」で口座開設先を確認できない場合があります。
郵便物、銀行履歴、確定申告書、スマートフォン等から取引先を探し、証券会社へ直接確認します。
外国株式の移管可否や相続方法も、証券会社・市場・銘柄によって異なります。
信用取引
故人の口座に未決済の信用建玉がある場合、その後の取扱いは証券会社の約款や取引状況によって異なります。
信用取引があったことが分かった場合は早めに証券会社へ連絡し、建玉の決済方法、不足金や債務の有無などを確認してください。
相続人が故人の口座へログインして自己判断で決済するのは避けましょう。
14. 相続放棄を検討している場合は株を動かさない

相続放棄を検討している場合は、故人の株式を自己判断で売却したり、売却代金を使用したりしないことが重要です。
相続人には原則として、自己のために相続が開始したことを知った時から3か月の熟慮期間があります。
この期間内に、
- 単純承認
- 相続放棄
- 限定承認
のいずれにするか判断します。
相続財産を処分する行為は、単純承認とみなされる問題につながる可能性があります。
相続放棄を考えているなら
借金、連帯保証、信用取引の不足金などがある可能性が分からない間は、株式の売却や売却代金の使用を避けましょう。
財産・債務の調査に時間が必要な場合は、家庭裁判所へ熟慮期間の伸長を申し立てる制度もあります。
配当金が自動入金されただけなら自己判断で慌てない
故人名義の口座等へ配当金が自動的に入金されたという事実だけで、直ちに「相続放棄ができなくなった」と断定することはできません。
ただし、入金された配当金を相続人が自分のために使用したり、株式を売却したりした場合は法的判断に影響する可能性があります。
相続放棄を検討している場合は、財産を動かす前に弁護士等へ相談してください。
15. 証券口座の相続手続きチェックリスト

【最初に確認】
□ 故人が利用していた証券会社を確認した
□ 証券会社へ死亡を連絡した
□ NISA口座の有無を確認した
□ NISAがあれば非課税口座開設者死亡届出書を確認した
□ 保有銘柄・残高を確認した
□ 信用取引・外国株・投資信託の有無を確認した
【相続関係】
□ 相続人を確認した
□ 遺言書の有無を確認した
□ 必要に応じて遺産分割協議を行った
□ 戸籍等の必要書類を確認した
□ 法定相続情報一覧図を利用するか検討した
【税金】
□ 上場株式の相続税評価4パターンを確認した
□ 投資信託の評価方法を確認した
□ 通常の株式は故人の取得費を確認した
□ NISAから相続した株の取得価額を確認した
□ 相続税の申告期限10か月を確認した
□ 売却予定なら取得費加算の特例を確認した
16. 証券口座の相続に関するよくある質問

Q1. 故人の株をすぐ売って現金で分けられますか?
故人名義の口座のまま相続人が自由に売却するのではなく、正規の相続手続きを経て相続人名義の口座へ移管した後に売却するのが基本です。
Q2. NISAの株を私のNISAへ移せますか?
できません。
NISAで保有されていた上場株式等は、相続人の特定口座または一般口座へ受け入れます。特定口座への受け入れには条件があるため、証券会社へ確認してください。
Q3. 故人のNISA内の含み益には税金がかかりますか?
NISAから相続した上場株式等については、相続人の取得価額が原則として相続開始日の終値相当額となります。
そのため、故人がNISAで保有していた間に生じた値上がり分が、そのまま相続人の売却時の譲渡益として課税されるわけではありません。
ただし、株式自体は相続税の対象となります。
Q4. 相続税評価は死亡日の株価だけを使いますか?
いいえ。
上場株式は、死亡日の終値、死亡月の終値平均、前月の終値平均、前々月の終値平均の4つを比較し、原則として最も低い価額を利用できます。
Q5. 相続した株を売るとき、相続税評価額が取得費になりますか?
通常の課税口座から相続した株の場合はなりません。
原則として、被相続人の取得費・取得時期を引き継ぎます。
NISAから相続した上場株式等は例外で、相続開始日の時価を基準に取得価額が切り替わります。
Q6. 故人がいくらで株を買ったか分かりません。
まず過去の取引報告書や証券会社の記録などを確認しましょう。
それでも取得費が分からない場合には、同一銘柄ごとに売却代金の5%相当額を取得費とする方法があります。
Q7. ほふりへ開示請求すると銘柄・残高まで分かりますか?
分かりません。
ほふりの開示請求では、主に口座が開設されている証券会社・信託銀行等を確認します。銘柄、保有数量、残高、取引履歴は、開示結果をもとに各金融機関へ確認します。
Q8. ほふりの結果はどのくらいで届きますか?
2026年8月時点では、書類に不備がなくても受付から結果送付まで約1か月と案内されています。
現在は手続きが混み合っており、それ以上かかる可能性もあります。
Q9. 特定口座なら取得費は証券会社に任せれば大丈夫ですか?
特定口座では証券会社が譲渡損益の計算を行う仕組みがありますが、相続による受け入れ条件や取得価額の登録状況は確認しておくのが安心です。
特に他社への移管や一般口座を含む場合は、取得費を確認できる資料を保管しておきましょう。
Q10. 相続放棄を検討しています。故人の口座に配当金が入ってしまいました。
自動的に入金されたという事実だけで、直ちに相続放棄ができなくなると断定することはできません。
ただし、その配当金を使用したり、株式を売却したりすると法的判断に影響する可能性があります。財産を動かさず、弁護士等へ相談してください。
17. まとめ|証券口座はNISA・評価額・取得費の3点に注意
- 証券会社へ死亡を連絡し、正規の相続手続きを始める。
- 株式・投資信託は相続人名義の証券口座へ移管するのが基本。
- NISA口座がある場合は「非課税口座開設者死亡届出書」を遅滞なく提出する。
- 故人のNISAを相続人のNISAへ引き継ぐことはできない。
- NISAから相続した上場株式等の取得価額は、原則として相続開始日の時価になる。
- 通常の課税口座から相続した株は、故人の取得費・取得時期を引き継ぐ。
- 上場株式の相続税評価は4つの価額を比較する。
- 投資信託は単純に死亡日の基準価額だけで評価できない場合がある。
- 証券会社が分からない場合は、ほふりの登録済加入者情報の開示請求を利用できる。
- 相続放棄を検討中なら、自己判断で株式を売却・処分しない。
証券口座の相続では、「相続時の評価額」と「将来売ったときの取得費」が別のルールで動くため、混乱しやすいところです。
まずは証券会社へ死亡を連絡し、故人が何を保有していたかを把握してください。
そのうえで、NISA、相続税評価、取得費の3点を分けて考えると、手続きがかなり整理しやすくなります。
📞 証券口座の相続で困ったときの相談先
まずは故人が利用していた証券会社へ連絡し、相続手続きの担当窓口へ相談してください。
証券保管振替機構(ほふり) 開示請求事務センター
03-5665-3642
受付:10:00~16:00
※土日祝・年末年始を除く
※電話で故人の口座開設先や開示結果そのものを回答してもらうことはできません。開示請求の手続きについての問い合わせ先です。
▶ 証券保管振替機構「亡くなった方の口座開設先を確認したい場合」
▶ 国税庁「税についての相談窓口」
相続税評価や取得費、取得費加算の特例などは個別事情によって計算が変わります。相続税申告が必要な場合や保有証券が多い場合は、税理士への相談も検討してください。
主な公式情報・出典
- 国税庁「NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等について」
- 日本証券業協会「NISAのよくある質問」
- 国税庁 No.1464「譲渡した株式等の取得費」
- 国税庁 No.1476「特定口座制度」
- 国税庁 No.4632「上場株式の評価」
- 国税庁 No.4644「貸付信託・証券投資信託の評価」
- 国税庁 No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
- 国税庁 No.4205「相続税の申告と納税」
- 証券保管振替機構「登録済加入者情報の開示請求」
- 証券保管振替機構「ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合」
- 証券保管振替機構「登録済加入者情報の開示請求に係る費用改定のお知らせ」
- 日本証券業協会「株券の電子化」
- 法務局「法定相続情報証明制度について」
- 裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
【免責事項】
本記事は、2026年8月時点で国税庁、日本証券業協会、証券保管振替機構、法務局、裁判所等が公表している情報をもとに、証券口座・株式等の相続手続きに関する一般的な情報を整理したものです。制度・税率・手数料・金融機関の取扱いは変更される場合があります。
証券口座の凍結、必要書類、株式・投資信託等の移管先、特定口座への受入れ条件、信用取引・外国株式等の取扱いは、証券会社・金融機関・商品によって異なります。実際の手続きでは、故人が利用していた証券会社等の最新案内をご確認ください。
また、株式等の相続税評価、取得費、取得費加算の特例、譲渡所得等の税務処理は、個別の保有状況や相続内容によって異なります。相続税申告や株式売却に伴う税務判断については、税務署または税理士へご相談ください。
相続放棄・限定承認・相続財産の処分など法的な判断が必要な場合は、家庭裁判所の案内を確認し、必要に応じて弁護士等へご相談ください。本記事は個別具体的な法律・税務・投資上の助言を目的とするものではありません。























