
本ページはプロモーションが含まれている場合があります。
大切な方が旅立たれた後、「これから何が始まるんだろう」と不安に感じる方は多いものです。
その中でも「納棺(のうかん)」は、故人を棺に納める儀式であり、遺族が故人と最後に向き合う、かけがえのない時間です。
また近年は「エンゼルケア」という言葉も聞かれるようになり、「納棺と何が違うの?」と疑問を持たれる方も増えています。
この記事では、納棺の意味や流れ、副葬品のルール、費用の目安、そしてエンゼルケアとの違いまで、一つひとつわかりやすくまとめています。
ぜひ最後までお読みいただき、大切なお別れの時間を安心して迎えていただければと思います。
| ▼この記事を読んでわかること ・納棺とは何か?その意味と込められた想い ・エンゼルケアとの違い ・納棺式の流れと各工程の詳細 ・副葬品として入れていいもの・ダメなもの ・納棺式のマナー ・納棺師について |
目次
納棺とは?その意味

納棺(のうかん)とは、遺体を棺(ひつぎ)の中に納めることです。「入棺(じゅかん)」とも呼ばれ、地域によっては「にっかん」と言う場合もあります。
ただ遺体を棺に収めるだけでなく、故人の身支度を丁寧に整え、あの世への旅立ちを見送る儀式でもあります。そのため「納棺式」または「納棺の儀・納棺の儀式」とも呼ばれています。
納棺式に込められている大切な意味
故人の身支度を整える
化粧を施したり、髭を剃ったり、死装束を着せて「死への旅立ちの準備」を整えてあげる意味があります。
死と向き合うための大切な儀式
お通夜・葬儀の前に近親者だけで故人とゆっくり過ごせる、大切な時間でもあります。故人の死と向き合い、別れを受け入れていくための儀式です。
エンゼルケアとは?納棺との違い
「エンゼルケア」という言葉を聞いたことがある方も増えてきました。
納棺と混同されがちですが、この2つは目的も実施者も異なります。それぞれの違いを整理しておきましょう。
エンゼルケアとは
エンゼルケアとは、逝去後から納棺前までに行う死後処置全般のことで、「死後処置」「逝去時ケア」とも呼ばれます。
病院で亡くなられた場合は、主に看護師が担当します。
その目的は大きく3つあります。
| ① 故人の尊厳を守るため 長い闘病の末に亡くなった方は、点滴やチューブが挿入されたままだったり、着衣が乱れていることがあります。エンゼルケアによって、生前に近い姿に整えることが、故人の尊厳を守ることにつながります。 ② 遺族のグリーフケアのため 安らかで美しい外見に整えることで、遺族が「きれいな姿で見送れた」と感じ、気持ちの整理がしやすくなります。家族が一緒にエンゼルケアに参加できる場合もあり、最期の時間を共有できる大切な機会にもなります。 ③ 感染症を予防するため 逝去後の遺体には感染リスクがあるため、医療的知識を持った看護師等が適切に処置を行います。 |
エンゼルケアの主な手順は以下の流れで行われます。
- 医療器具(点滴・チューブなど)の抜去・処置
- 創傷部位および排泄物の処置
- 口腔ケア(臭気防止のための清潔処置)
- 詰めもの(鼻・口からの体液漏れ防止)
- 全身清拭・着衣装着
- 整容・死化粧(エンゼルメイク)
なお、エンゼルケアの費用は看護師が行う場合は1万円~2万円程度、葬儀社に依頼する場合は5万円~20万円程度とプランによって幅があります(病院の場合は無料~数万円とさまざま)。
納棺との違いをまとめると
| 項目 | エンゼルケア | 納棺(納棺式) |
| 主な目的 | 衛生・感染予防・尊厳保持 | 故人の身支度を整え棺に納める儀式 |
| 行う人 | 看護師・介護職など医療従事者が中心 | 遺族・葬儀社・湯灌師・納棺師 |
| 行う場所 | 病院・介護施設・自宅など | 自宅・葬儀式場など |
| タイミング | 逝去直後(できるだけ早く) | 逝去後~お通夜までの間 |
| 重視すること | 衛生面での安全・遺体の保全 | 生前に近い姿に整える・遺族との時間 |
つまり、エンゼルケアは病院等で行う医療的な死後処置であり、納棺式はその後に行われる「旅立ちの儀式」というのが大きな違いです。エンゼルケアをしてもらったからといって納棺式が不要になるわけではなく、役割が異なります。
エンバーミングとの違いも知っておきましょう
エンゼルケアや納棺と混同されることがあるエンバーミングは、遺体を長期間衛生的に保存することを目的とした処置で、専門資格を持つ「エンバーマー」のみが行えます。
エンゼルケアや湯灌が表面的に身体を整えるのに対し、エンバーミングは体内まで及ぶ処置が含まれる点が大きく異なります。
→ エンバーミングについて詳しくはこちら
納棺式のタイミングと流れ

▼納棺式はいつ行う?
納棺式を行うタイミングに決まりはありませんが、お亡くなりになってからお通夜までの間に行われるのが一般的です。
▼ご逝去から納棺までの全体の流れ
| ご逝去 葬儀社へ電話連絡します。 ※法律により24時間は火葬できないため、遺体の安置が必要です 搬送 葬儀社が寝台車で迎えに来てくれます。自宅安置か安置施設かを選択できます。 ≪遺族がやること≫ ・医師に死亡診断書を発行してもらう ・死亡届を提出し、火葬許可証を発行してもらう(葬儀社が代行してくれる場合もあります) ※死亡届の提出は死後7日以内 安置 自宅または葬儀社の安置室に安置します。 ≪遺族がやること≫ 葬儀社との打ち合わせ(お通夜・告別式の内容など) 納棺(納棺式) 遺体を安置している場所で納棺式が行われます。 ≪遺族がやること≫ 故人の身支度を整えて副葬品を棺に納める |
▼納棺式は誰が行う?
遺族、葬儀社の方、湯灌師(ゆかんし)、納棺師(のうかんし)
▼どこで行う?
ご自宅や葬儀式場
▼かかる時間
およそ30分〜1時間程度
納棺式の各工程を詳しく解説
仏式の納棺式は、以下の5つの工程で進みます。
| 1.末期の水(まつごのみず) |
| 2.湯灌(ゆかん) |
| 3.死化粧(しにげしょう) |
| 4.死装束(しにしょうぞく)を着せる |
| 5.副葬品を入れる |
末期の水(まつごのみず)
末期の水とは、故人があの世で渇きに苦しまないようにという願いを込めた風習です。「死に水(しにみず)」とも言います。
茶碗に水を用意し、割り箸の先に脱脂綿やガーゼを挟んで水を含ませ、故人の唇をそっと潤します。順番は、故人と関係が深かった方から行います。遺族だけでなく、友人知人が行うこともできます。
湯灌(ゆかん)
湯灌とは、納棺する前に遺体をぬるま湯に入れて清める儀式です。「この世での汚れを落とし、清い身体で来世へ」という意味があり、「湯灌の儀(ゆかんのぎ)」とも言われます。
かつては遺族が自ら行っていましたが、現在は病院で亡くなるケースが多くなったこともあり、看護師が「清拭(せいしき)」としてアルコールやお湯で遺体を拭くことが通例となっています。
湯灌と清拭の違い
湯灌……お湯に遺体を入れて洗い清める(専門業者・費用の目安:10万円前後)
清拭……アルコールやお湯で拭いて清める(病院の看護師が行うことが多い)
近年は清拭を行うケースが増えています。湯灌を希望する場合は葬儀社や専門業者への依頼が必要です。
死化粧(しにげしょう)
死化粧とは、故人の顔や髪を整え、弔問客が「生前の表情」で対面できるよう施す化粧のことです。男性は髭を剃って整え、女性は薄化粧や口紅を施します。
爪を切ることもありますが、地域や病院によっては刃物を向けることを嫌う場合があります。また、病院によっては死化粧を行わないこともあるため、その場合は納棺前に遺族や葬儀社が対応します。
死装束(しにしょうぞく)を着せる
死装束とは、納棺の際に故人に着せる着物のことで、白い着物(白装束)が一般的です。仏式では「故人が死への旅をする」という意味合いがあり、巡礼者の衣装に由来しています。
ただし近年は葬儀の多様化もあり、故人が愛用していた洋服や着物を着せるケースも増えています。必ずしも白装束でなければならないわけではありません。
| 神式(神道)やキリスト教の納棺 ▼神式の場合 死装束は「神衣(しんい)」と呼ばれる衣装を着せ、宮司と一緒に行うのが通例です。 ▼キリスト教の場合 牧師が立ち会って納棺式を行います。遺体に白い布をかけ、白い花で囲んでから棺の蓋をします。 |
副葬品(ふくそうひん)を入れる
故人が生前好きだったものや愛用品を棺の中に納めることを副葬品(ふくそうひん)といいます。原則として、副葬品は燃えるもの(可燃物)のみです。
| 副葬品として棺に入れられるもの | ||
| お花 | 手紙や寄せ書き | 故人の写真 |
| お守り | 故人が気に入っていた洋服(燃えやすい衣類) | タバコ |
| お菓子類 | 思い入れのある人形やフィギュア(素材要確認) | 御朱印帳 |
| 棺に入れてはいけないもの | ||
| ビン・缶の飲み物(紙パックはOK) | 辞書・分厚いアルバムなど | 生きている方が写った写真 |
| お金(硬貨・紙幣) ※2 | メガネ・サングラス | 入れ歯 |
| アクセサリー類(腕時計・指輪など) | ゴルフクラブ・釣竿 | 革・ビニール・プラスチック製品 ※1 |
| ゴム・ポリエステル製品 ※1 | ガラス製品 | 金属製品・発泡スチロール |
※1…人形やフィギュアなど思い入れのある品でも、ビニールやゴムなど不燃素材が含まれる場合は棺に入れられません。葬儀社の担当者に必ず確認してください。
※2…現金を燃やす行為は貨幣損傷等取締法に抵触します。ただし北海道・東北の一部地域では、お守り袋に十円玉を入れる慣習もありますので、葬儀社や年配の方の指示に従ってください。
※結婚指輪などアクセサリー類は、火葬後に骨壷へ納める形であれば問題ありません。
また、故人の体内にペースメーカーなどが入っている場合は、火葬前に必ず葬儀社へ伝えてください(火葬時に爆発の危険があります)。
納棺式のマナー

▼服装について
地域によって違いがありますが、喪服を着用するのが間違いのない選択です。自宅での納棺で親族のみ集まる場合は私服(平服)でも問題ないとされることもありますが、葬儀式場等では喪服が自然です。
▼必要な持ち物
特に決まりはありませんが、故人の遺族であれば副葬品として棺に入れるものを用意するのが一般的です。
▼誰を呼ぶか
直系親族のみというケースもあれば、故人と親しかった友人知人が参列することもあります。一概に「この範囲まで」とは言えず、故人や遺族の意向を踏まえて決めるのがよいでしょう。
▼喪主の挨拶
納棺式では特に喪主が挨拶するタイミングはなく、出棺(しゅっかん)の際に行われるのが一般的です。
地域によって異なる納棺式の慣習
地域によっては、納棺式の前に遺族でお酒とお豆腐を召し上がる習わしがあります。お酒はお清めの意味があり、お豆腐は「白いものを食べて通夜や葬儀をのりきる」といった諸説があります。
また、全員に縄を配り、腰に巻いたりたすき掛けにする地域もあります。
納棺師について

納棺師(のうかんし)とは、納棺のプロフェッショナルです。遺体と直接向き合い、故人の身支度を整えてあの世へ送り出す専門職です。
2008年に公開された映画「おくりびと」によって広く認知されるようになりました。納棺師になるために特別な国家資格は必要なく、主な方法は以下の通りです。
- 葬儀関連のコースがある専門学校へ進学する
- 葬儀会社に入社する
- 湯灌や納棺の専門業者へ就職する
- 「おくりびとアカデミー」などの養成コースを受講する
なお、葬儀社のスタッフが納棺作業にあたるケースも多く、豊富な実務経験を積んだスタッフが対応してくれることもあります。
まとめ
納棺は、ただ遺体を棺に収めるだけでなく、故人の尊厳を守り、遺族が死と向き合うための大切な儀式です。
また今回ご紹介したように、病院での「エンゼルケア」と「納棺式」はそれぞれ役割が異なります。エンゼルケアは医療的な死後処置として看護師等が行うもので、その後に遺族や納棺師とともに行う納棺式へとつながっていきます。
それぞれの意味と流れを知っておくことで、大切なお別れの時間をより落ち着いて、心を込めて過ごすことができるはずです。
合わせて「出棺(しゅっかん)」についてもわかりやすくまとめていますので、ぜひご覧ください。









