終活で関わる税金一覧|相続税・贈与税のほかにかかる7つの税

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終活で税金の話になると、まず出てくるのが相続税です。しかし相続税がかかる人は、亡くなった方全体のうち1割前後にとどまります。

一方で、相続税がかからない家庭でも必ず発生する税金があります。不動産の名義を変えれば登録免許税、亡くなった年の所得には準確定申告、車を持っていれば自動車税。これらは金額こそ小さいものの、期限を過ぎると加算税や過料の対象になります。

この記事では、終活で関わる税金の全体像を時系列で整理します。

この記事でわかること

  • いつ、どの税金がかかるかの時系列マップ
  • 相続税・贈与税以外の7つの税金
  • 期限のある手続き一覧(4か月・10か月・3年)
  • 相続した不動産を売るときの譲渡所得税と特例
  • 見落としやすい税金と、そのときの対処
  • 税理士に相談すべきケースの見分け方

目次

  1. 終活で関わる税金の時系列マップ
  2. 生前にかかる税金
  3. 亡くなった後にかかる税金
  4. ①相続税 — かかる人は1割前後
  5. ②贈与税 — 生前贈与するなら
  6. ③登録免許税 — 不動産の名義変更
  7. ④不動産取得税 — 相続なら非課税
  8. ⑤所得税(準確定申告) — 4か月以内
  9. ⑥住民税 — 亡くなった年の分
  10. ⑦固定資産税 — 誰が払うのか
  11. ⑧自動車税 — 名義変更を忘れずに
  12. ⑨譲渡所得税 — 相続した家を売るとき
  13. 期限のある手続き一覧
  14. 税理士に相談すべきケース
  15. よくある質問
  16. まとめ

終活で関わる税金の時系列マップ

タイミング税金誰が払うか期限
生前贈与税もらった人翌年3月15日
登録免許税(生前贈与の登記)もらった人登記時
死亡直後所得税(準確定申告)相続人4か月以内
住民税(亡くなった年度分)相続人納税通知どおり
固定資産税(その年度分)相続人納税通知どおり
10か月以内相続税相続した人10か月以内
名義変更のとき登録免許税(相続登記)相続人3年以内(登記義務)
不動産取得税取得した人相続なら非課税
自動車税・軽自動車税4月1日時点の所有者名義変更が必要
売却するとき譲渡所得税・住民税売った人翌年の確定申告

相続税がかからなくても、手続きは発生します

「うちは相続税がかからないから関係ない」と考える方が多いのですが、準確定申告・相続登記・自動車の名義変更は、相続税とは無関係に必要です。

とくに相続登記は2024年4月から義務化され、正当な理由なく3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になります。

生前にかかる税金

終活として生前に動く場合、税金が発生するのは主に財産を渡したときです。

やることかかる税金ポイント
生前贈与贈与税、登録免許税、不動産取得税相続より税負担が重くなることがある
不動産の売却譲渡所得税・住民税マイホームなら3,000万円特別控除が使える場合あり
お墓・仏壇の購入相続税は非課税祭祀財産として課税対象外。ただし生前に購入した場合
生命保険への加入死亡保険金に500万円×法定相続人の非課税枠

お墓は「生前に買う」と節税になります

お墓・仏壇・仏具は祭祀財産として相続税の課税対象外です。生前に現金でお墓を買っておけば、その分だけ課税対象の現金が減ります。

ただし、亡くなった後に相続人が購入した場合は債務控除の対象になりません。「生前に、現金で、支払いまで済ませておく」——この3点が揃って初めて効果があります。

お墓の選び方と費用はお墓の選び方と費用の記事をご覧ください。

亡くなった後にかかる税金

ここからが本題です。相続税・贈与税は専用の記事に譲り、それ以外の税金を中心に解説します。

①相続税 — かかる人は1割前後

亡くなった方の財産を受け取ったときにかかる税金です。ただし全員にかかるわけではありません。

相続税の基礎控除

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

相続人が2人なら4,200万円、3人なら4,800万円まで非課税で、申告そのものが不要です。

さらに、死亡保険金には500万円×法定相続人の数、死亡退職金にも500万円×法定相続人の数の非課税枠が別にあります。

計算方法、税率表、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例といった詳細は相続税の計算方法と申告の記事で解説しています。

特例を使う場合は「税額0円でも申告が必要」です

配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用した結果、税額が0円になったとしても、申告書の提出は必要です。「0円だから申告しなくていい」と考えると、特例が使えなくなり、後から課税されることがあります。

基礎控除以下で非課税の場合は申告不要ですが、特例で0円になる場合は申告が必要——この違いを押さえてください。

②贈与税 — 生前贈与するなら

財産をもらった人にかかる税金です。課税方法は2つあります。

暦年課税相続時精算課税
基礎控除年110万円年110万円(2024年1月から新設)
特別控除累計2,500万円
相続時の扱い一定期間内の贈与は相続財産に加算贈与財産を相続財産に加算して精算
選択の変更一度選ぶと暦年課税に戻せません

生前贈与が「損」になることがあります

相続税の基礎控除以下(相続人3人なら4,800万円以下)の家庭が生前贈与をすると、本来かからなかったはずの贈与税を払うだけになることがあります。

また、暦年課税では相続開始前一定期間内の贈与が相続財産に加算されます(2024年1月1日以後の贈与から、加算期間が段階的に3年から7年へ延長されています)。「亡くなる直前の駆け込み贈与」は効果が薄いということです。

生前贈与は「相続税がかかる家庭」のための対策です。まず自分の家庭に相続税がかかるかを確認してから検討してください。

非課税枠や特例の詳細は贈与税と生前贈与の記事をご覧ください。

③登録免許税 — 不動産の名義変更

不動産の登記をするときにかかる税金です。相続で不動産を引き継ぐなら、必ず発生します。

登記の種類税率計算のもと
相続による所有権移転0.4%固定資産税評価額
遺贈(相続人以外へ)2%固定資産税評価額
生前贈与2%固定資産税評価額
売買2%(軽減措置あり)固定資産税評価額

計算してみると

固定資産税評価額1,200万円の自宅を相続する場合
 1,200万円 × 0.4% = 4万8,000円

これに司法書士へ依頼する場合は報酬(5〜15万円程度)が加わります。自分で登記することもできます。

相続登記は2024年4月から義務です

不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。

2024年4月1日より前に相続した不動産も対象です(この場合は施行日から3年が期限)。「祖父の代から名義を変えていない土地がある」という方は、早めに司法書士に相談してください。

すぐに遺産分割がまとまらない場合は、「相続人申告登記」という簡易な手続きで義務を果たすこともできます。

④不動産取得税 — 相続なら非課税

不動産を取得したときにかかる都道府県税です。ただし相続による取得は非課税です。

取得の方法不動産取得税
相続非課税
包括遺贈非課税
相続人への特定遺贈非課税
相続人以外への特定遺贈課税される
生前贈与課税される
売買課税される

生前贈与と相続で、こんなに違います

同じ不動産を渡すのでも、

  • 相続/登録免許税0.4%のみ。不動産取得税は非課税
  • 生前贈与/登録免許税2% + 不動産取得税 + 贈与税

不動産を子に渡すなら、生前贈与より相続のほうが税負担は軽いのが通常です。生前贈与を勧められたら、この点を必ず確認してください。

⑤所得税(準確定申告) — 4か月以内

亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに確定申告を行うものです。これを準確定申告といいます。

項目内容
期限相続開始を知った日の翌日から4か月以内
誰がやるか相続人全員(連署または各自が提出)
提出先亡くなった方の住所地を管轄する税務署
必要な場合事業所得がある/不動産収入がある/給与が2,000万円超/年金収入が400万円超/複数から給与があった など

申告すると、お金が戻ってくることがあります

準確定申告は「払う」だけの手続きではありません。還付を受けられるケースが多くあります。

  • 年金や給与から源泉徴収されていた/年の途中で亡くなった場合、払いすぎになっていることが多い
  • 亡くなるまでに高額な医療費を払っていた/医療費控除が使える
  • 生命保険料・地震保険料を払っていた/保険料控除が使える

入院期間が長かった方ほど、還付額が大きくなる傾向があります。「申告義務がないから何もしない」と決める前に、還付の可能性を確認してください。

4か月は、思っているより短いです

葬儀、四十九日、遺品整理、各種の名義変更——これらに追われているうちに4か月は過ぎます。相続税の10か月より先に来る期限だということを、忘れないでください。

⑥住民税 — 亡くなった年の分

住民税は前年の所得に対して、その年の1月1日時点の住所地で課税されます。ここに落とし穴があります。

亡くなった時期その年度の住民税
1月1日より前(前年12月など)課税されません
1月1日以降課税されます(相続人が納付)

亡くなった後に納税通知書が届きます

1月2日以降に亡くなった場合、その年度分の住民税は課税され、通知書が自宅に届きます。「本人はもういないのに」と驚かれることがありますが、これは正しい取り扱いです。

相続人が納付義務を引き継ぎます。この住民税は、相続税の計算では債務として控除できます。

⑦固定資産税 — 誰が払うのか

固定資産税・都市計画税は、その年の1月1日時点の所有者に課税されます。

相続が起きた年の固定資産税

  • 1月1日時点で故人が所有していた → その年度分は故人に課税され、相続人が納付します
  • まだ遺産分割が終わっていない → 相続人全員が連帯して納付義務を負います。市区町村から代表者を指定するよう求められることがあります
  • 翌年以降 → 名義変更後の所有者に課税されます

空き家は税金が6倍になることがあります

住宅が建っている土地は「住宅用地の特例」により固定資産税が軽減されています(小規模住宅用地は6分の1)。

しかし、管理されていない空き家が「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定されると、この特例が解除されます。結果として固定資産税が大幅に上がることになります。

実家を相続して空き家になっている場合は、放置せず対応を検討してください。実家の片付けと空き家の手続きで解説しています。

⑧自動車税 — 名義変更を忘れずに

自動車税種別割は4月1日時点の所有者に課税されます。

やること内容
名義変更(移転登録)運輸支局で手続き。相続を証明する書類が必要
廃車にする抹消登録。すでに納めた自動車税は月割で還付されることがあります
売却する名義変更してから売却するのが原則
放置した場合翌年度以降も課税され続けます

乗らない車は3月中に手放すと1年分得します

4月1日時点で所有していると、その年度の自動車税が丸ごとかかります。手放すと決めているなら、3月中に廃車または名義変更を済ませるのが得です。

免許返納を検討している方は運転免許返納・シニアカー選びガイドもご覧ください。任意保険の等級を家族に引き継げる場合もあります。

⑨譲渡所得税 — 相続した家を売るとき

相続した不動産を売却して利益が出ると、譲渡所得税と住民税がかかります。ここは金額が大きくなりやすい部分です。

所有期間区分税率(所得税+住民税)
5年以下短期譲渡所得約39%
5年超長期譲渡所得約20%

※ 復興特別所得税を含めた概算です。相続した不動産の所有期間は、被相続人が取得した日から通算されますので、多くの場合は長期譲渡所得になります。

使える可能性のある2つの特例

  • 取得費加算の特例/支払った相続税の一部を取得費に加算でき、譲渡所得を圧縮できます。相続税の申告期限の翌日から3年以内の売却が条件です
  • 被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除/一定の要件を満たす空き家を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。耐震基準への適合や取り壊しなど要件が細かく、適用期限も設けられています

どちらも要件が複雑で、売却してからでは間に合わない準備があります。相続した家を売る予定があるなら、売る前に税理士に相談してください。

取得費が分からないと、税金が跳ね上がります

譲渡所得は「売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)」で計算します。取得費が分からない場合、売却価格の5%として計算されるため、税額が大幅に増えます。

3,000万円で売れた家の取得費が不明だと、取得費は150万円とみなされ、差額の大部分が課税対象になります。

不動産の売買契約書は、絶対に捨てないでください。これは終活の中でも特に重要な「捨ててはいけない書類」です。財産目録に保管場所を書いておきましょう。

期限のある手続き一覧

7日死亡届の提出死亡を知った日から7日以内。死亡届の書き方
3か月相続放棄・限定承認自分が相続人だと知った日から3か月以内。借金を引き継ぎたくない場合の唯一の手段
4か月所得税の準確定申告還付を受けられることも多い手続き
10か月相続税の申告・納付特例を使って0円になる場合も申告が必要
1年遺留分侵害額請求侵害を知った時から1年(相続開始から10年)
3年相続登記取得を知った日から3年以内。過料10万円以下
3年3か月取得費加算の特例を使った売却相続税申告期限の翌日から3年以内
5年遺族年金の請求時効は5年

最初に来る3か月が、最も重要です

相続放棄の3か月を過ぎると、借金も含めてすべてを引き継いだことになります(単純承認)。判断するには、プラスとマイナスの両方を把握していなければなりません。

だからこそ、生前に財産目録を作っておくことに意味があります。とくに連帯保証と団体信用生命保険の有無は必ず書き残してください。

税理士に相談すべきケース

すべてを自分でやる必要はありません。次のいずれかに当てはまるなら、専門家に相談する価値があります。

  • 財産の総額が基礎控除に近い、または超えそう(相続人3人なら4,800万円が目安)
  • 不動産が複数ある、または評価が難しい土地がある
  • 非上場株式(自社株)がある
  • 相続した不動産を売却する予定がある
  • 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使いたい
  • 生前贈与を検討している
  • 相続人の間で意見が分かれている(この場合は弁護士)

無料で相談できる窓口があります

  • 税務署/申告書の書き方や制度について相談できます。ただし節税の助言はしてもらえません
  • 税理士会の無料相談会/各地の税理士会が定期的に開催しています
  • 市区町村の無料相談/税理士や司法書士による相談日を設けている自治体があります。広報紙や公式サイトで確認を
  • 法テラス/収入等の条件を満たせば、無料法律相談が利用できます

まずこうした窓口で全体像を掴んでから、必要に応じて有料で依頼するのが効率的です。

相続に強い税理士を選んでください

税理士の主な仕事は法人税や所得税で、相続税の申告を毎年多く扱っている税理士は限られます。相続税は評価の判断で税額が大きく変わる分野なので、経験の差が出やすいのが実情です。

依頼する前に「年間で相続税申告を何件扱っていますか」と聞いてみてください。

よくある質問

相続税がかからなければ、税務署に何も出さなくていいですか?
基礎控除以下なら、相続税の申告は不要です。ただし準確定申告(4か月以内)は、所得の状況によって必要になります。また相続税とは別に、相続登記や自動車の名義変更は必要です。
お墓や仏壇に相続税はかかりますか?
かかりません。祭祀財産として非課税です。ただし、投資目的とみなされるような高額な純金製の仏具などは、課税対象と判断されることがあります。
香典に税金はかかりますか?
社会通念上相当な額であれば、贈与税も相続税もかかりません。香典は喪主に対する贈与とされ、非課税として扱われるのが一般的です。なお香典返しの費用は、相続税の債務控除の対象にはなりません。
葬儀費用は相続財産から引けますか?
引けます。通夜・告別式・火葬・埋葬の費用、お布施、心付けなどは債務控除の対象です。ただし香典返し、初七日以降の法要費用、墓石の購入費用は対象外です。領収書のないお布施も、メモを残しておけば認められることが一般的です。
死亡保険金にも相続税がかかりますか?
契約形態によりますが、契約者・被保険者が故人で受取人が相続人の場合は相続税の対象です。ただし500万円×法定相続人の数まで非課税です。詳しくは終活で考える保険の記事をご覧ください。
相続税を払うお金がありません
相続税は原則として現金一括納付ですが、延納(分割払い)や物納(財産そのもので納める)の制度があります。いずれも要件があり、申請期限は申告期限と同じ10か月以内です。不動産中心の相続では実際によく起きる問題なので、早めに税理士へ相談してください。
生前贈与と相続、どちらが得ですか?
一概には言えません。相続税の基礎控除以下の家庭なら、生前贈与は税金を増やすだけになることが多いです。逆に相続税がかかる家庭では、長期にわたる計画的な贈与が有効なことがあります。まず「自分の家に相続税がかかるか」を確認するのが先です。

まとめ

終活の税金・要点

  • 相続税がかかるのは1割前後。でも他の税金と手続きは全員に発生する
  • 基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数
  • 準確定申告は4か月以内。還付を受けられることが多い
  • 相続登記の登録免許税は評価額の0.4%。2024年4月から3年以内の登記が義務
  • 相続による不動産取得税は非課税。生前贈与だと課税される
  • 1月2日以降に亡くなると、その年度の住民税は課税される
  • 空き家は特例が外れて固定資産税が上がることがある
  • 車は4月1日時点の所有者に課税。手放すなら3月中に
  • 不動産の売買契約書は絶対に捨てない。取得費不明だと税額が跳ね上がる
  • 特例で税額0円になる場合も、申告は必要

税金の話は複雑ですが、終活の段階でやるべきことは実はシンプルです。①自分の家に相続税がかかるかを概算する ②不動産の書類を一か所にまとめる ③期限のある手続きを家族に伝えておく——この3つです。

まずは財産目録を作って、基礎控除と比べてみてください。それだけで、必要な対策の大きさが見えてきます。

この記事の次に読むと理解が深まります

※ 本記事は一般的な情報をまとめたものです。税率・控除額・特例の要件および適用期限は、税制改正によって変更されます。個別の税額計算や特例の適用可否については、必ず国税庁の公式情報を確認のうえ、税理士にご相談ください。地方税(住民税・固定資産税・不動産取得税・自動車税)の取り扱いは自治体によって異なる場合があります。

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