絶縁状態の家族がいる場合の終活は何をするべき?

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※この記事は二部構成になっています

前回のまとめ
・親子や兄弟姉妹間で絶縁状のやり取りがあったとしても、法律上は関係を切ることができない
・「終活として絶縁状を送る意味」とは「相続廃除」をすることを指すのではないかと考えられる

▼前回の記事を読まれていない場合は以下よりお読みいただけます。

前回の記事

 

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はじめに

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今回のテーマは

【絶縁状態の家族がいる場合の終活は何をするべき?】

ですが、前回の記事で

「終活として絶縁状を送る意味」とは「相続廃除」をすることを指すのではないかと考えられる

と見解しました。

そして絶縁状態とはいっても法的に親子関係が解消されることはなく、戸籍上も親子関係のままだということも触れました。

ただ、絶縁状の有無に関わらず「絶縁状態な家族がいる」という方は実際にいます。
絶縁状態までなってしまう理由は、その家族の家庭事情などにより様々ありますが

絶縁に相当する理由があったということは確かなのだと考えられます。

では「絶縁に相当する理由」とは一体どんなことなのか?

それを踏まえて

・相続廃除について
・絶縁状態な家族がいる場合の終活

以上の2点をわかりやすく解説していこうと思います。

 

相続廃除

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上のイラストは何とも残念で悲しくなってしまうように感じられるかと思います。
ですが、「相続廃除」をものすごく簡単に表すと上のイラストのようになります。

相続廃除はウィキペディア(Wikipedia)で調べてみると、以下のように記述されています。

被相続人が、民法892条の定めるところにより相続権を持つ人間に著しい非行の事実がある場合に、家庭裁判所に「推定相続人廃除審判申立て」をすることにより推定相続人の持っている遺留分を含む相続権を剥奪する制度である。

廃除の対象者は1028条により遺留分が認められている被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に限られる。

被相続人の兄弟姉妹も推定相続人となりうるが、これらの者については遺留分が認められていないので(1028条)、相続人は902条1項により相続分を指定することで相続させないようにすることができることから廃除の対象とはならない。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

簡単にいうと、以下のような意味となります。

相続廃除とは?
被相続人(故人)が特定の相続人を廃除し、推定相続人の遺留分の権利までも剥奪することをいいます。
推定相続人とは、相続が開始された場合に相続人になると推定されている人のことです。
▼相続廃除の対象となる相続人
民法1028条により遺留分が認められている被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に限られます。
遺留分(いりゅうぶん)とは、兄弟姉妹以外の相続人に対して最低限受け取れる遺産として保障されている取り分のことです。

つまり、相続廃除された相続人は遺産を相続することができなくなってしまうということです。

相続廃除が「相当なこと」だというのは、この時点で何となくでもイメージできるかと思います。

 

相続人廃除の申し立てをするケースとは?

what-caseここから、より詳しく相続廃除について解説していきます。

相続廃除ですが、内容的には上に書いたように「相当なこと」です。

「そんな親いる?」
「子に財産を与えないなんて親としておかしい」

中にはそう思う方もいるかもしれません。

一般的に考えて、親が子に遺産を受け取らせないということは余程のことであり、相当なことです。
親側の立場で、相続廃除が一体どんな場合に考えられるものなのか?

それは以下のような絶縁に相当する事由がある時です。

相続廃除の理由となるケース
▼被相続人を虐待した場合
・暴力
▼被相続人に対して重大な侮辱を与えた場合
・高齢の親に対して「早く死ね」などの侮辱的発言、暴言
▼推定相続人にその他の著しい非行があった場合
・浪費
・暴力団やカルト宗教など反社会的集団への加入および結成等の親泣かせの行為
・犯罪行為
・相続人が配偶者の場合、愛人と同棲するなどの家庭を省みない不貞行為
▼相続人が養子の場合、遺産目当てで戸籍上の養子になったなど縁組を継続しがたい重大な事由がある

犯罪行為においては、5年以上の懲役や死刑に該当するような犯罪行為が重大な犯罪行為として相続廃除が認められているというケースがあります。

つまり、相続廃除は申し立てたからといって必ず認められるものではなく、家庭裁判所が審判によってその相続権を喪失させるという流れになっています。

 

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相続廃除が認められる割合

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実際に相続廃除が認められるのは、申し立てた件数に対しておよそ20%ほどだといわれています。
認められない割合のほうが圧倒的に多くなっています。

裁判で認められる、つまり相続廃除事由として該当するためには「親子間・家族間の生活を破壊するほどのもの」であることが必要ともいわれています。

 

相続廃除が認められた例

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相続廃除が認められた割合が少ないものの、実際の事例を見ると以下のようなケースです。

・「死ね」などの暴言を繰り返し、継続的に言い続けた(一時的ではないというところがポイントのようです)
・犯罪による受刑、服役
・親の意に沿わない結婚(娘が暴力団員と反対を押し切って結婚した等)
・親の介護をしなかった
・親の会社乗っ取り(親が経営する会社、事業を不正に乗っ取る)

ただ、上記のようなケースでも認められない場合もあるというのも知っておいたほうがよいかもしれません。

例えば、犯罪による受刑・服役の場合、その罪の性質(上に書いたように5年以上の実刑等)やその時点での年齢、被害弁償などのために被相続人が費用負担した場合その支出額なども関係するようです。
こうしたことから、少し極論な気もしますが「相続人が刑務所に入っている場合でもなければ相続廃除とはならない」ともいわれています。

親の介護をしなかった場合については「なぜ介護を必要とするのか?」その事情だったり、親子間の従来の生活環境や関係、相続人の財産状況などが考慮されるようです。

夫婦間では?
参考までに夫婦間の場合で相続廃除が認められた事例としては主に
・執拗な暴力行為
・不貞行為によるもの
上記事由が「婚姻を継続し難い重大な事由」として認められたケースがあります。

 

遺言による相続廃除

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相続廃除の申し立ては、前述したように被相続人が生前に行う以外にも遺言で行うことができます。

①被相続人が生前に自身で相続人廃除の申し立てをする
②遺言書で相続人廃除をする

または、どちらかでしか相続廃除の申し立てはできません。

については解説した通りですが、について

「遺言書で相続人廃除って被相続人が亡くなった後なのにどうやって?」

と疑問に感じる方もいるんじゃないでしょうか。

被相続人が実際に申し立てをすることは当然できませんよね。
遺言書で相続人廃除の手続きをする場合は、「遺言執行者」を指定して書きます。

遺言執行者(ゆいごんしっこうしゃ)とは?
遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことで、遺言執行人と呼ばれることもあります。

そのため、遺言書に遺言執行人の名前を必ず書く必要があります。
遺言執行人が家庭裁判所に相続人廃除の申し立てを行うことになります。
※遺言書に遺言執行者の記載がなかったとしても、他の相続人が勝手に相続人廃除の申し立てをすることはできません

遺言執行者の記載がない場合は、他の推定相続人が家庭裁判所に申し立てをして選任してもらう流れになります。

遺言による相続廃除が認められた事例には、遺言書に「廃除」という記載がなくても認められたケースがあります。
客観的に廃除の意思を汲んでもらえることで、実際に認められることはあるということです。

 

相続人に子がいる場合は代襲相続となる

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上のイラストは、被相続人(親)が次男に対して相続廃除の申し立てを行った場合です。

相続廃除が認められると、その相続人の遺留分の権利までをも剥奪することになります。
ただ、その相続人に子がいる場合は相続権は移行されることになります。

つまり上のイラストでいうと、次男に子がいるとその子に相続権が移行されることになります。
これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)といいます。

相続廃除が認められたらどうなる?
▼被相続人が生前に相続廃除を家庭裁判所に申し立てた場合
認められると審判確定した時からその効力が生じます。
▼遺言執行者が家庭裁判所に申し立てた場合
被相続人の死亡時にさかのぼって効力が生じるとされています。

その他、戸籍の「身分事項」欄に相続人廃除の旨が記載されるようになります。

 

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姻族関係終了届

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いわゆる嫁姑問題の果てに絶縁状態となっている場合に、姻族関係終了届を考える方もいます。

姻族関係終了届(いんぞくかんけいしゅうりょうとどけ)とは?
姻族関係を終了させるための届出のことをいいます。
姻族関係とは?
実際に血の繋がりはなくとも、結婚したことによってその配偶者の血族と親戚関係になることです。

法的には、結婚することで配偶者とは婚姻関係となりますが、その配偶者の両親・兄弟などの血族と姻族関係が結ばれます。
夫婦の場合、配偶者どちらかの死亡によって婚姻関係は終了となりますが、配偶者の血族との姻族関係は配偶者の死後も継続されます。

つまり、姻族関係終了届を提出するということは

事実上の絶縁状でもあり、法的にも縁が切れることにもなります。

※ここでいう「事実上の絶縁状」とは、あくまでかねてから嫁姑問題などで配偶者の血族と絶縁状態だった場合を指しての表現です

 

絶縁状態でも注意すべき点

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絶縁状態の家族がいる場合の終活として、相続廃除について解説してきましたが、絶縁状態であるとしても注意しなければいけないことを一点紹介させてください。

前回の記事でも書いたように、絶縁状そのものには法的効力はありません。
ただ、絶縁状態の家族がいたとしても、終活として生前整理を行うことになるのは自然なことです。

生前整理とは?
自身が元気なうちに行う身辺整理のことをいいます。

絶縁状態の家族がいる場合の生前整理・身辺整理において注意しなければいけないのは「物の整理」をする際です。

以下のようなケースでは気をつけなければいけません。

▼登場人物
・母Aさん
・長男Bさん
・次男Cさん
▼例となるケース

母Aさん次男Cさんと一緒に暮らしていて、要介護の状態ではないものの、誰かがサポートしていないといけない状況で年齢的にも終活を考えている。
次男Cさんは献身的に母Aさんを支えて生活している。
一方、長男Bさんはもう何年も前から母Aさんとは絶縁状態。

このような状況下で、母Aさんは自宅内の物の整理を始めました。
長男Bさんの荷物がかなりあります。
次男Cさん長男Bさんに連絡を取っていますが、一向に応じてもらえません。
母Aさん長男Bさんとは絶縁状態にあることから、長男Bさんの荷物を本人の了承なしに処分しようと考えています。

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長男Bさんの荷物を本人の了承なしに処分してしまうと

・器物損壊罪(刑法261条)
・損害賠償請求(民法709条)

これらの法律に抵触する可能性があります。

ですので、上記のような絶縁状態の場合でも「いつまでに応答がなければ処分する」といった旨を明確に伝える必要があります。
たとえ絶縁状を送っている間柄だとしても、本人の了承なく処分してしまうことで法的に罰せられてしまう可能性があるということは知っておくべきです。

 

まとめ

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・終活として絶縁状を送る意味とは?
・絶縁状態の家族がいる場合の終活は何をするべき?

絶縁と終活と題して二部構成で紹介させていただきました。
絶縁状または絶縁状態というのは、できるだけ避けたいというのが一般的なところだと思います。

終活において、自身も周囲の人間も極力揉めごとを避け、おだやかに最期を迎えるのが理想的ではあるものの、親子間・夫婦間というのは様々なケースがあるのも事実です。

よく相続問題は「争族問題」とも表現されるため、揉めてしまうというイメージを持つ方もいます。
全てのケースが絶縁や絶縁状をというわけではありません。
各家族によって様々なケースはあるとは思いますが、遺産相続において「どんなことをするのか?」というのは知識として知っておくとよいでしょう。

遺産相続問題で、たとえ弁護士などの専門家を頼るとしても遺産相続の流れをざっとでも知っておくことで、揉めごとも回避できる可能性はあると思います。
以下の記事で遺産相続についてまとめていますので、是非あわせてお読みください。

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