ゴルフ終活|会員権と道具の整理・相続とやめどきの決め方

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ゴルフ終活という言葉には、正反対の2つの意味があります。ゴルフをやめる準備と、これから始めるという老後の過ごし方です。どちらの話かで、やることはまったく変わります。そして、やめる側で圧倒的に厄介なのが会員権です。家族が存在に気づかない、名義書換ができない、放置すると年会費が続く。この記事は、その実務を中心にまとめたものです。

この記事の結論

  • やめる側で最も重いのは道具ではなく会員権
  • 会員権は相続財産になる。しかも家族が存在を知らないことが多い
  • 名義書換を停止しているクラブがある。売れる前提で考えないこと
  • 放置すると年会費が発生し続ける。何もしないのが最悪の選択
  • 始める側は、やめどきを先に決めておくと長く続きます

この記事でわかること

  1. ゴルフ終活の2つの意味と、自分がどちらか
  2. やめどきの判断基準とサイン
  3. 会員権の種類と、手放す3つの方法
  4. 名義書換・預託金の落とし穴
  5. 会員権が相続でどう扱われるか
  6. 道具・ロッカーの整理
  7. シニアから始める場合の注意
  8. エンディングノートに書いておくこと

ゴルフ終活には2つの意味があります

やめる側始める側
目的持っているものを整理する残りの時間を充実させる
主な対象会員権、道具、ロッカー、仲間体力、費用、仲間
急ぐ度合い会員権があるなら急ぐ急がない
家族への影響大きい小さい
費用手放すのに費用がかかることがあるかかる

この記事は前半を「やめる側」、後半を「始める側」で構成しています。会員権を持っている方は、前半を必ずお読みください。

やめる側:まず確認する4つのこと

  • 会員権を持っているか(預託金証書や株券があるか)
  • 年会費を払い続けているか(通帳の引き落としを確認)
  • ロッカーやクラブハウスに預けているものがあるか
  • 家族はこれらの存在を知っているか

最後の項目が最も重要です

ゴルフ会員権は、家族が存在を知らないまま残される代表的な資産です。証書が引き出しの奥にあり、年会費だけが引き落とされ続けている。この状態で亡くなると、家族は気づくのに時間がかかり、その間も費用が発生します。

やめどきの判断基準

「まだやれる」と思っているうちは、なかなか決められません。次の基準で考えてみてください。

見るところやめどきに近いサイン
回数年に数回しか行かなくなった
ラウンド後に数日響くようになった
移動コースまでの運転が負担になってきた
仲間一緒に回っていた人が減った
費用年会費に対して、行く回数が見合わない
気持ち誘われても、行くかどうか迷うようになった

やめる=ゴルフとの縁が切れる、ではありません

会員権を手放しても、ビジター(一般の利用者)としてプレーは続けられます。「会員でなくなること」と「ゴルフをやめること」は別です。ここを混同していると、判断が遅れます。

会員権を持っている場合が最も複雑

会員権は、単なる「利用証」ではありません。財産としての性質を持ち、義務も伴います。

性質内容
財産である売買の対象になり、相続の対象にもなる
義務がある会員である限り年会費が発生する
自由に譲れないクラブの承認と名義書換が必要
価値が変動する相場があるものと、実質的に売れないものがある
会則に従うクラブごとにルールが違う

会員権の種類

種類仕組み手放すときの論点
預託金制クラブに預託金を預けて会員になる形返還を求められるか、据置期間はどうか
株主制運営会社の株主になる形株式としての扱い。譲渡制限の有無
社団法人制社団の社員になる形譲渡や相続の可否が会則で定められている

まず「自分のはどれか」を確認してください

手元の証書か、クラブの会則に書かれています。会則はクラブに請求すれば入手できます。種類が分からないまま話を進めると、判断を誤ります。

会員権を手放す3つの方法

方法内容できない場合
売却する専門の業者などを通じて第三者に譲る名義書換を停止しているクラブでは難しい
退会するクラブを退会する預託金が戻るとは限らない
家族に引き継ぐ生前に名義を変える名義書換料がかかる。家族が使うかは要検討
  • 売却する相場のある会員権なら、専門に扱う業者を通じて売れる場合があります。ただしクラブの承認と名義書換が前提です。複数の業者から見積もりを取ってください。
  • 退会する会員をやめて年会費の負担をなくす方法です。預託金制の場合、返還を求められるかどうかは会則と据置期間、そしてクラブの状況によります。
  • 家族に引き継ぐ生前に名義を変えておく方法です。ただし家族がゴルフをしないなら、負担を渡すだけになります。年会費が続くことを忘れないでください。

名義書換ができないクラブがあります

「売れるはず」という前提で考えないでください

クラブによっては名義書換を停止している場合があります。この状態では、第三者への売却が事実上できません。また、名義書換ができる場合でも名義書換料がかかり、クラブの承認が必要です。まず自分のクラブが現在どういう扱いなのかを、直接確認してください。

クラブに確認すること
いま名義書換を受け付けているか
名義書換料はいくらか
承認の条件(推薦人が必要かなど)
退会したい場合の手続き
預託金の据置期間と、返還の取り扱い
会員が亡くなった場合、相続はどう扱われるか
相続の場合も名義書換料がかかるか
年会費はいつまで発生するか

この8項目を聞いて、答えを紙に書いておく

それだけで、家族があとで調べる手間がなくなります。会則と一緒に、証書のそばに入れておいてください。

預託金の返還は思うようにいかないことがあります

預託金制の会員権では、一定の期間(据置期間)が過ぎたあとに返還を求められる仕組みになっていることがあります。ただし現実には、次のような事情があります。

  • 据置期間が延長されている場合がある
  • クラブの経営状況によって、返還が難しい場合がある
  • 返還を求めると会員資格を失う
  • 手続きに時間がかかる
  • 全額が戻るとは限らない

預託金を「確実な財産」と考えないでください

取り扱いはクラブの会則と経営状況によって大きく異なります。返ってくる前提で老後の資金計画を立てるのは避けてください。個別の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。

放置するとどうなるか

放置した状態起きること
行かなくなったが会員のまま年会費が発生し続ける
年会費を滞納する会則により資格を失う場合がある
家族が存在を知らない亡くなったあとも引き落としが続く
証書の場所が分からない手続きに時間がかかる
相続の申告で漏れるあとで問題になる可能性がある

何もしないのが、いちばん高くつきます

行かなくなっても、会員である限り費用は出ていきます。「そのうち考える」で年単位の年会費が消えているケースは珍しくありません。

会員権は相続財産になります

ここが家族にとって最も重要な部分です。

論点一般的な扱い
相続の対象になるか財産的な価値があるものは対象になりうる
会則の定め相続を認めるか、名義書換が要るかはクラブによる
名義書換料相続の場合もかかることがある
相続税の評価国税庁の定めに基づいて評価される
年会費手続きが済むまで発生し続けることがある
家族が使わない場合それでも手続きは必要になる

※ 相続の可否、名義書換の要否、相続税の評価方法は、クラブの会則や会員権の種類によって異なります。具体的な取り扱いはクラブに、税務上の判断は税務署または税理士にご確認ください。相続の流れはお金の終活で知っておきたい遺産相続の流れを参照してください。

生前にやっておくと家族が助かること

  • 証書の保管場所を伝える預託金証書、株券、会員証。どこにあるかを書いておきます。
  • クラブ名と連絡先を書く家族が最初に電話する先です。
  • 会員権の種類を書く預託金制か株主制か。これで話が早くなります。
  • 会則を一緒に保管するクラブに請求すれば入手できます。
  • 希望を書く「売ってよい」「引き継がなくてよい」など、方針を1行。
  • 年会費の引き落とし口座を書く止める手続きに必要です。

終活ノートへの書き方の例

【ゴルフ会員権】〇〇カントリークラブ(電話:〇〇〇)
・預託金制です。証書は書斎の金庫ではなく、机の右下引き出しの茶封筒に入れています
・年会費は〇〇銀行の口座から毎年〇月に引き落とし
・名義書換は現在受け付けていると聞いています(〇年〇月に確認)
・引き継がなくて構いません。売れるようなら売ってください
・会則のコピーを同じ封筒に入れてあります

「引き継がなくて構いません」の一行が効きます

家族は、本人が大切にしていたものを勝手に手放してよいのか迷います。方針が書いてあれば、迷わず判断できます。

道具の整理

もの手放し方注意点
クラブ(一式)買取、譲る、フリマ状態と本数で評価が変わる
キャディバッグクラブと一緒に単体では値がつきにくい
シューズ・ウェア使えるものは譲るサイズが合う人がいるか
練習用具処分が中心場所を取る
トロフィー・記念品写真に撮って処分本人以外には意味が伝わらない
スコアカード・記録本人が判断する思い出の品として残す選択も

トロフィーは写真に撮ってから

本人にとっては大切でも、家族には処分の判断がつきません。結果として何年も置かれたままになります。写真に撮って記録を残し、実物は本人が元気なうちに整理するのが最も納得のいく形です。

売る場合の手順は終活でメルカリを始める手順、まとめて買取に出す場合は遺品買取の相場と業者選びを参照してください。

ロッカーと預けているもの

  • クラブハウスのロッカーに何を置いているか
  • ロッカーの使用料は別に発生していないか
  • クラブを預けたままになっていないか
  • ロッカーの鍵はどこにあるか
  • 家族はロッカーの存在を知っているか

ロッカーは忘れられやすい場所です

会員権の手続きは進んでも、ロッカーの中身が残ったままということがあります。退会や名義書換の前に、必ず中身を引き取ってください。

仲間への伝え方

長く一緒に回ってきた相手には、事務的な連絡では終わらない部分があります。

文例:やめることを伝える

長いこと一緒に回っていただき、ありがとうございました。膝の具合もあって、そろそろ区切りをつけようと思っています。会員はやめますが、たまにご一緒できればうれしいです。

連絡先は必ず書き残してください

ゴルフ仲間は、家族がまったく知らない交友関係であることがよくあります。亡くなったときに知らせてほしい相手なら、名前と電話番号を終活ノートに書いておいてください。

始める側:シニアからのゴルフ

ここからは、これから始める、あるいは続けたい方向けです。

ゴルフが老後に向いている理由内容
歩く量が確保できる1ラウンドでかなりの距離を歩く
予定が入る約束があると外出が習慣になる
会話がある数時間、人と一緒に過ごせる
年齢差があっても成立するハンディの仕組みがある
長く続けられる強度を調整しやすい

老活としての位置づけは終活と老活の違いで扱っています。週に1回、決まった予定があることが、老後の生活で最も効く要素です。

体に負担をかけない始め方

  • 始める前に医師に相談する持病がある場合、とくに心臓・腰・膝に不安がある場合は必ず確認してください。
  • 練習場から始めるいきなりコースに出ず、まず打つ動作に体を慣らします。
  • カートを使う歩くことにこだわらないでください。続けることのほうが大事です。
  • ハーフから始める18ホールを前提にしないこと。9ホールで十分です。
  • 暑い時期・寒い時期を避ける体調を崩す原因の多くがここです。
  • 水分と休憩を我慢しない周りに合わせず、自分の間隔で取ってください。

熱中症と、体調の変化に注意してください

屋外で数時間過ごすスポーツです。暑い時期は時間帯を選び、無理をしないでください。持病がある場合や薬を飲んでいる場合は、事前に主治医にご相談ください。

費用の抑え方

方法内容
会員権を買わないビジターとしてプレーする。今は選択肢が多い
中古の道具から始める続くかどうか分かってから買い替える
平日に行く時間の自由が利く世代の利点
ハーフラウンドを選ぶ費用も体力も半分で済む
練習場を中心にするコースに出なくても続けられる
近場を選ぶ移動の費用と負担が最も大きい

いまから会員権を買う必要は、ほとんどありません

ビジターでプレーできる環境が整っています。会員権は「財産」であると同時に「義務」でもあるため、この年代から新たに持つ意味は小さくなっています。将来、家族に手続きを残すことにもなります。

プレーをやめても続けられる関わり方

  • 練習場だけ通う(コースに出なくてよい)
  • 短いコースや、パターだけの施設を使う
  • 仲間の集まりには顔を出す
  • 観戦する(試合を見に行く、中継を見る)
  • 道具の手入れを楽しむ
  • 若い世代に教える

やめるのは「プレー」であって「関わり」ではありません

体力の問題でラウンドできなくなっても、仲間との関係は続けられます。老活で最も大事なのは、人とのつながりが切れないことです。ここを意識しておくと、やめる決断がしやすくなります。

やめる前にやっておく1か月の手順

1週目現状を確認する会員権の有無と種類、年会費の引き落とし、ロッカーの中身を確認します。
2週目クラブに問い合わせる名義書換の可否、名義書換料、退会の手続き、預託金の扱いを聞きます。
3週目方針を決める売るか、退会するか、引き継ぐか。家族にも相談します。
4週目書き残す証書の場所、クラブの連絡先、方針、仲間の連絡先を終活ノートに書きます。

エンディングノートに書いておくこと

  • 会員権の有無、クラブ名、連絡先
  • 会員権の種類(預託金制・株主制など)
  • 証書・会員証の保管場所
  • 年会費の引き落とし口座と時期
  • 名義書換について確認した内容と、確認した日付
  • 売ってよいか、引き継いでほしいかの方針
  • ロッカーの有無と鍵の場所
  • 知らせてほしい仲間の名前と連絡先
  • 道具をどうしてほしいか

書き方は終活ノートの書き方例を参照してください。

よくある質問

ゴルフ会員権は相続の対象になりますか。
財産的な価値があるものは対象になりえます。ただし相続を認めるか、名義書換が必要かはクラブの会則によって異なります。まずクラブに確認してください。
会員権は必ず売れますか。
いいえ。クラブによっては名義書換を停止しており、その場合は第三者への売却が事実上できません。「売れるはず」という前提で考えないでください。
預託金は戻ってきますか。
会則の据置期間やクラブの経営状況によって異なり、全額が戻るとは限りません。老後の資金計画に組み込むのは避けてください。
行かなくなったら、そのままでよいですか。
よくありません。会員である限り年会費が発生し続けます。行く回数が年に数回まで減ったら、退会や売却を検討する時期です。
家族に引き継いだほうがよいですか。
家族がゴルフをするなら選択肢になりますが、しないなら年会費という負担を渡すだけになります。名義書換料もかかります。よく相談してください。
クラブに何を聞けばよいですか。
名義書換を受け付けているか、名義書換料はいくらか、承認の条件、退会の手続き、預託金の扱い、相続時の取り扱い、年会費の発生時期。この7点を聞いて、答えを紙に書いておいてください。
道具はどうすればよいですか。
クラブ一式は買取に出すか譲るのが一般的です。トロフィーや記念品は、家族には判断がつかないため、写真に撮って本人が元気なうちに整理してください。
ロッカーを借りていることを忘れていました。
退会や名義書換の前に、必ず中身を引き取ってください。使用料が別に発生している場合もあります。
70代から始めても大丈夫ですか。
始められます。ただし持病がある場合は事前に主治医に相談してください。練習場から始め、ハーフラウンドやカートの利用など、無理のない形にしてください。
いまから会員権を買うべきですか。
その必要はほとんどありません。ビジターとしてプレーできます。会員権は財産であると同時に義務でもあり、将来家族に手続きを残すことにもなります。
体力的にもうラウンドできません。
プレーをやめても、関わりは続けられます。練習場に通う、短い施設を使う、仲間の集まりに顔を出す、観戦する。つながりが切れないことが最も大事です。
まず何から始めればよいですか。
通帳を見て、年会費の引き落としがあるか確認してください。あれば会員権があります。次にクラブに電話して、名義書換の現状を聞いてください。この2つで方針が決まります。

まとめ

ゴルフ終活で本当に手間がかかるのは、道具ではなく会員権です。財産であり、義務でもあり、しかも家族が存在を知らないことが多いという三重の厄介さがあります。

まずやることは2つだけです。通帳で年会費の引き落としを確認すること。そしてクラブに電話して、名義書換の現状を聞くこと。この2つで、売れるのか、退会するしかないのかが分かります。

そして放置がいちばん高くつきます。行かなくなっても年会費は出ていき、亡くなったあとも手続きが済むまで続きます。方針を決めたら、証書の場所とクラブの連絡先を書き残してください。「引き継がなくて構いません」の一行があるだけで、家族は迷いません。

始める側の方へ。ゴルフは、週に1回の予定と、人とのつながりが同時に手に入る数少ない趣味です。会員権を買う必要はありません。無理のない形で、長く続けてください。そして、いつかやめるときのことも、少しだけ考えておいてください。

本記事は、編集部が公開情報と一般的な実務の流れをもとにまとめたものです。特定のゴルフ場・クラブ・買取業者の紹介や順位付けは行っておらず、金額も掲載していません。会員権の種類、名義書換の可否と費用、預託金の据置期間と返還の取り扱い、相続時の扱いは、クラブの会則によって定められており、クラブごとに大きく異なります。必ず所属するクラブに直接ご確認ください。相続税の評価方法については税務署または税理士に、預託金の返還など法的な判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。プレーの可否は、持病のある方は事前に主治医にご相談ください。

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