離れて暮らす親の健康チェック4項目|食事・聞こえ・足腰・口の衰えサイン

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年に数回しか実家に帰れない。電話では「元気だよ」としか言わない。それでも、玄関を入った瞬間に「前と何か違う」と感じることがあります。

ただ、その違和感を人に説明しようとすると言葉にならず、結局「まあ大丈夫か」で帰ってくる——離れて暮らす家族の多くが、この繰り返しの中にいます。

結論|本人に聞くのではなく、家の中を見る

結論から申し上げます。離れて暮らす親の健康は、質問しても分かりません。「ちゃんと食べてる?」と聞けば「食べてる」と返ってくるからです。嘘をついているのではなく、本人にも自覚がないことがほとんどです。

代わりに見るのは、家の中に残っている痕跡です。冷蔵庫の中身、ゴミ箱、床に置かれた物、歯ブラシの状態、テレビの音量。これらは本人の申告と違って、嘘をつきません。

見る対象は、次の4つに絞れば足ります。

① 食事 やせてきていないか。何を食べているか
② 聞こえ 会話が通じているか。テレビの音量は
③ 足腰 立ち上がり方、歩き方、床の物の置かれ方
④ 口 むせていないか。噛めているか。滑舌は

この4つを選んだのには理由があります。国が要介護のリスクを判定するために使っている質問票の構成と、ほぼ一致するからです。詳しくは次の章で説明します。

この記事でわかること

  • 帰省中に、家のどこを見れば親の状態が分かるのか
  • 食事・聞こえ・足腰・口の4分野で、何が危険なサインか
  • 道具なしでその場でできる3つのテスト(指輪っか・立ち上がり・OF-5)
  • 4つの衰えが互いを呼び込む「負の連鎖」の順番
  • 気になったときに連絡する公的な窓口と、その使い方

30秒でわかる|4分野・どこを見るか

帰省中に見る場所と、危険なサインを一覧にしました。

分野見る場所危険なサイン
食事冷蔵庫の中身/ゴミ箱/体重計/服のゆるみ同じ総菜が並ぶ。肉・魚・卵がない。指輪っかで隙間ができる
聞こえテレビの音量/電話の様子/会話の返り方音量が家族には大きすぎる。返事がずれる。電話に出たがらない
足腰床の物の置かれ方/靴/立ち上がる動作物につかまって立つ。すり足。かかとを踏んだ靴
食事中のむせ/歯ブラシ/会話の滑舌水やお茶でむせる。硬いものを避ける。言葉が聞き取りにくい

※どれか1つが当てはまっただけで慌てる必要はありません。判断の目安は、この記事の各章で示します。

なぜ、この4つを見るのか

健康チェックの項目は無数に作れます。血圧、睡眠、物忘れ、外出の頻度——どれも大事です。それでも4つに絞る根拠を説明します。

国の「基本チェックリスト」の構成と重なる

市区町村が高齢者の状態を把握するために使う質問票に、基本チェックリストがあります。介護予防・日常生活支援総合事業のサービスを利用できるかどうかを判定するもので、全25項目です。

その25項目は、次のように配分されています。

分野項目数この記事の4分野との対応
日常生活の動作(No.1〜5)5
運動器(No.6〜10)5③ 足腰
栄養(No.11〜12)2① 食事
口腔(No.13〜15)3④ 口
閉じこもり(No.16〜17)2
認知機能(No.18〜20)3
うつ(No.21〜25)5

※項目数の配分は厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン」に基づきます。

運動器・栄養・口腔の3分野で、25項目のうち10項目を占めます。国が「ここを見れば生活機能の低下が拾える」と判断している中心が、まさに足腰・食事・口です。

ただし、聞こえの項目は入っていません

ここは正直に書きます。基本チェックリストの25項目に、聞こえに関する質問は1つもありません。それでもこの記事が聞こえを4分野の1つに入れているのには理由があります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、65〜74歳の3人に1人、75歳以上では約半数が難聴であるとし、難聴が認知症の発症リスクを大きくすることを示しています。頻度が高く、影響も大きい。それにもかかわらず、聞こえの衰えは本人がほとんど自覚しないため、質問票では拾えません。

拾えるのは、同じ部屋で会話をした家族だけです。だからこそ、帰省の機会に見る価値があります。

4つはバラバラではなく、つながっている

もう1つの理由は、この4つが互いを呼び込む関係にあることです。

口の衰え
噛みにくい・むせる

食事が偏る
軟らかいものばかりになり、肉・魚が減る

筋肉が落ちる
たんぱく質不足で足腰が弱る

外出が減る
転ぶのが怖くなり、家から出なくなる

会話が減る
聞こえにくさが加わると、さらに人を避けるようになる

国立長寿医療研究センターは、口の衰えについて噛めない→軟らかい食べ物を選ぶ→噛む筋肉が低下する→栄養が偏る→全身の機能が低下する、という負の連鎖を指摘しています。4分野のうち1つが崩れると、残りが順に引きずられます。逆に言えば、どこか1つで早く気づければ、連鎖を止められます。

4点チェック|帰省中に何を見るか

① 食事|冷蔵庫とゴミ箱を見る

食事の状態は、本人に聞くより冷蔵庫とゴミ箱のほうが正確です。見るのは次の3か所です。

冷蔵庫 肉・魚・卵・豆腐があるか。同じ総菜が何個も入っていないか。賞味期限の切れたものが奥に溜まっていないか
ゴミ箱 同じ商品の包装ばかりが出ていないか。調理の跡(野菜くずなど)があるか
体重計 そもそも家にあるか。埃をかぶっていないか

特に注意したいのは、同じものが繰り返し出てくるパターンです。パンと牛乳だけ、うどんだけ、といった単調な食事は、調理の負担を減らすために起きます。本人は「食べている」と認識しており、嘘ではありません。しかし内容が偏れば、たんぱく質が不足します。

体重が落ちているかどうかは、服のゆるみ、ベルトの穴、指輪の緩みで見当がつきます。日本サルコペニア・フレイル学会などが用いるフレイルの判定基準では、6か月間で2kg以上の意図しない体重減少が該当項目の1つとされています。

その場でできる|指輪っかテスト

親指と人差し指で輪を作り、ふくらはぎの一番太い部分を囲みます。判定は3段階です。

囲めない 筋肉量は保たれている可能性が高い
ちょうど囲める 同上
隙間ができる 筋肉量が減っている可能性がある

東京大学高齢社会総合研究機構が千葉県柏市で行った大規模調査(柏スタディ)では、「隙間ができる」と答えた群は「囲めない」群に比べ、サルコペニアの該当率が6.6倍だったと報告されています。道具が要らず、風呂上がりなどに自然に試せます。

食事の詳しい見分け方と、家族が今日からできる対応は高齢者の低栄養|親の食事が心配なときに見る5つのサインとチェックリストにまとめています。

② 聞こえ|テレビの音量と、返事のずれ方

聞こえの衰えは、次の3つに表れます。

見るところ気にする状態
テレビの音量家族が「大きい」と感じる。以前より確実に上がっている
会話の返り方聞き返しが増えた。返事はするが、内容がずれている
電話出たがらない。用件が伝わらず、何度も言い直す

加齢性難聴で最初に落ちるのは高い音で、言葉の輪郭を作る子音がそこに含まれます。そのため「音は聞こえているのに、言葉が分からない」という状態になります。返事がかみ合わないのは、聞く気がないからでも、物忘れでもありません。

ここで家族がやりがちなのが、声を張り上げることです。大きな声は低い音の母音ばかりを強めるため、言葉の聞き取りはほとんど改善しません。通じるのは、静かな場所で、正面から、低めの声でゆっくり話したときです。

聞こえの詳しいセルフチェックは加齢性難聴は認知症のサイン?聞こえにくさの原因とセルフチェック、通じる話し方の具体策は耳が遠い親との話し方7つのコツ|大声が逆効果になる理由と聞こえを補う道具にあります。

③ 足腰|床の物と、立ち上がる動作

足腰は、本人が最も隠したがる分野です。転倒を認めると「もう歳だ」と言われることを警戒するため、こちらから聞いても出てきません。見るのは動作と、家の状態です。

立ち上がる動作 椅子から立つとき、机や肘掛けに手をつくようになっていないか
歩き方 すり足になっていないか。歩幅が小さくなっていないか
 新聞、雑誌、電気コードが通り道に置かれていないか
 かかとを踏んでいないか。脱ぎ履きしやすいものだけになっていないか
壁と家具 廊下や壁に、手をついた跡や汚れがついていないか

床に物が増えるのは、しゃがんで拾う動作がつらくなっているサインでもあります。同時に、それが転倒の原因にもなります。片づけて帰るだけでも意味があります。

その場でできる|立ち上がりテスト(日本整形外科学会)

高さ40cmの台(多くの椅子の座面がこの前後)に腕を組んで腰かけ、反動をつけずに立ち上がり、3秒間そのまま保ちます。

片脚で40cmから立てる 問題なし
片脚では40cmから立てないが、両脚で20cm以上から立てる ロコモ度1(移動機能の低下が始まっている)
両脚で20cmから立てず、30cmからは立てる ロコモ度2(移動機能の低下が進行している)

ロコモ度2に該当する場合、整形外科専門医の受診がすすめられています。日本整形外科学会のロコモONLINEに、正しい姿勢の図解があります。

※ふらつきや痛みがある場合は無理に行わないでください。必ず誰かがそばについた状態で試します。

④ 口|むせと、噛めるものの変化

4分野の中で、最も見落とされるのが口です。しかも最初に崩れるのがここで、連鎖の起点になります。

2024年4月、日本老年医学会・日本老年歯科医学会・日本サルコペニア・フレイル学会の3学会が合同でステートメントを公表し、オーラルフレイルの定義と評価法が整理されました。オーラルフレイルは「口の機能の健常な状態と、口の機能低下との間にある状態」と定義され、早期に気づけば改善が可能な、可逆的な段階として位置づけられています。

あわせて示されたのが、道具を使わずに確認できる5項目のチェック(OF-5)です。

OF-5|2項目以上であてはまればオーラルフレイル

  1. 残存歯数の減少(歯が減ってきた)
  2. 咀嚼困難感(硬いものが噛みにくい)
  3. 嚥下困難感(飲み込みにくい)
  4. 口腔乾燥感(口が渇く)
  5. 滑舌低下(言葉が言いにくくなった)

家族が観察で拾えるのは、主に2つ目・3つ目・5つ目です。食事中に水やお茶でむせる、硬いものを残す、話しづらそうにしている——このあたりが目印になります。歯ブラシの毛先の開き方、入れ歯洗浄剤の減り方も手がかりです。

国立長寿医療研究センターは、オーラルフレイルに該当する人は2年以内に身体的フレイルを発症する確率が2.4倍、4年以内の死亡リスクが約2倍と報告されていることを紹介しています。口の衰えは、単に食べにくいという話では終わりません。

「むせ」だけは、相談先が歯科ではありません。
硬いものが噛みにくい、滑舌が落ちたという相談はかかりつけの歯科で構いません。しかし飲み込みでむせる場合の入口は耳鼻咽喉科です。鼻から細い内視鏡を入れて飲み込む様子を直接確認する検査(嚥下内視鏡検査)が外来で受けられ、のどに原因がなければリハビリテーション科へ引き継がれます。むせを繰り返す状態は誤嚥性肺炎につながるため、様子を見ずに受診してください。

やりがちな聞き方と、答えが返ってくる聞き方

観察と並行して会話もします。ただし聞き方によって、返ってくる情報の量がまったく変わります。

✕「ちゃんと食べてる?」
 ○ 「昨日の晩ごはん、何食べた?」(具体的な事実を聞く)

✕「転んでない?」
 ○ 「最近、ひやっとしたことある?」(転倒を認めさせない形で聞く)

✕「耳、遠くなった?」
 ○ 「私の声、聞き取りにくくない?」(原因を自分側に置く)

✕「歯は大丈夫?」
 ○ 「最近、食べにくいものある?」(能力ではなく食べ物を主語にする)

✕「もう歳なんだから気をつけて」
 ○ 「これ、一緒にやってみようよ」(指示ではなく共同作業にする)

共通しているのは、能力を問う質問を避け、出来事を尋ねる形にすることです。「食べてる?」は能力を問う質問なので、防衛的な答えが返ります。「昨日何を食べたか」は事実の質問なので、そのまま答えが返ってきます。

帰省中にやっておく3つのこと

観察だけで終わらせず、離れてからも状態が追えるように、次の3つを済ませて帰ります。

STEP 1

体重計を出しておく
見える場所に置き、月1回で構いませんので記録してもらう。体重は最も確実な指標

STEP 2

地域包括支援センターの連絡先を控える
親の住所地の担当窓口。困る前に控えておくと、いざというとき探さずに済む

STEP 3

冷蔵庫の中と、薬の場所を写真に撮る
次の帰省で見比べれば、変化が主観ではなく事実として分かる

3つ目の写真は、特に効きます。半年前と比べて何が減ったかは、記憶では正確に思い出せません。写真があれば、「気のせいかもしれない」で流していた変化を、根拠を持って話せます。きょうだいと相談するときにも共有できます。

よくある失敗 3つ

1. 気づいた点を、その場で全部指摘する

短い滞在の間に「食事が偏っている」「耳が遠い」「片づけて」と並べると、親からは説教に聞こえます。次の帰省では身構えられ、隠されるようになります。指摘は1回につき1つまでにして、残りは記録に留めるほうが、長い目で見て情報が集まります。

2. きょうだいの誰か一人だけが把握している

近くに住む一人に負担と情報が集中すると、判断も一人にのしかかります。観察したこと、地域包括支援センターの連絡先、かかりつけ医の名前は、家族の共有メモに置いてください。誰が対応することになっても同じ情報にアクセスできます。

3. 「まだ元気だから」と、窓口を調べないまま帰る

地域包括支援センターは、要介護認定を受けていなくても、介護が始まっていなくても相談できます。困ってから探すと、どこに電話すればいいのか分からない状態で慌てることになります。連絡先を控えるだけなら5分で済みます。

気づいたサイン別|次にどこへ動くか

観察して終わりでは意味がありません。拾ったサインごとに、次の行き先を決めておきます。

気づいたこと最初に動く先急ぐ度合い
半年で明らかにやせたかかりつけ医早めに(病気が隠れていることがある)
水やお茶でむせる耳鼻咽喉科/かかりつけ医早めに(誤嚥のリスク)
食事が単調になっている地域包括支援センター次の帰省までに相談
聞き返しが増えた/テレビが大きい耳鼻咽喉科数か月以内に一度
立ち上がるとき手をつく整形外科/地域包括支援センター数か月以内に一度
硬いものを残す/滑舌が落ちたかかりつけの歯科次の定期受診で相談
何が問題か絞りきれない地域包括支援センターまず電話で状況を伝える

迷ったときの行き先は、親が住む市区町村の地域包括支援センターで構いません。医療につなぐべきか、介護の制度を使うべきかの仕分けも含めて相談できます。

ただし、上の表の最初の2行——半年での明らかな体重減少と、水分でのむせ——は、相談窓口より先に医療機関です。前者は消化器の病気や甲状腺の異常が隠れていることがあり、後者は肺炎につながる誤嚥のサインだからです。この2つだけは「様子を見る」を選ばないでください。

関連する制度・窓口

この記事で触れた窓口と制度を、一覧にまとめます。いずれも、介護が始まっていなくても使えます。

窓口・制度できること費用
地域包括支援センター総合相談。要介護認定の申請代行、サービスの案内、本人への働きかけ無料
基本チェックリスト25項目で生活機能を判定。該当すれば総合事業のサービスを利用できる無料
要介護認定の申請介護保険のサービス利用に必要。申請先は市区町村の介護保険担当窓口申請は無料
医療機関の受診聞こえは耳鼻咽喉科、口は歯科、足腰は整形外科保険適用
見守り・緊急通報日常的な安否確認。自治体が費用を助成している場合がある自治体・事業者により異なる

地域包括支援センター

高齢者の相談を無料で受ける公的な窓口です。相談先は、親が実際に住んでいる市区町村のセンターです。担当エリアは親の住所で決まるため、離れて暮らす家族が自分の住所地に相談しても管轄が違います。

電話での相談も受け付けており、離れて暮らす家族からの「様子が気になる」という相談も対象です。要介護認定の申請を代行してもらうこともできます。

基本チェックリスト

この記事の4分野の根拠になっている25項目の質問票です。市区町村の窓口や地域包括支援センターで実施でき、要介護認定を受けていなくても、該当すれば介護予防・日常生活支援総合事業のサービス(体操教室、栄養改善、口腔機能向上など)を利用できます。

認定申請より手続きが軽いため、「介護保険を申請するほどではないが、何か手を打ちたい」という段階に向いています。

要介護認定の申請

申請先は、親が住んでいる市区町村の介護保険担当窓口です。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に申請を代行してもらうこともできます。認定が出れば、介護保険のサービスが1〜3割の自己負担で使えるようになります。

配食サービスと介護保険の関係については配食サービスは介護保険で使える?自治体の助成・申請の流れと自己負担で詳しく整理しています。

かかりつけ医・耳鼻咽喉科・歯科

気になる分野が特定できたら、対応する診療科につなぎます。聞こえは耳鼻咽喉科、噛みにくさや滑舌はかかりつけの歯科、足腰は整形外科です。ただし飲み込みでむせる場合は、歯科ではなく耳鼻咽喉科になります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、聞こえにくさを「年のせい」と決めつけずに耳鼻咽喉科医に診てもらうよう促しています。

受診が必要だと分かっても、離れて暮らしていると「誰が連れて行くのか」という次の壁にぶつかります。介護保険の通院等乗降介助、民間の介護タクシー、オンライン診療への切り替えといった選択肢は親の通院に付き添えない時の対処法|遠方からできる移動サポートにまとめています。

見守りサービス

帰省の間隔が長い場合は、日常的な見守りの仕組みを入れる方法もあります。緊急通報システムには自治体が費用を助成しているものもあります。選択肢の比較は単身高齢者の見守りサービス・緊急通報システム比較にまとめています。

よくある質問

Q. 帰省が年1回しかありません。それでも意味はありますか

あります。むしろ間隔が空くほど、変化は分かりやすく現れます。毎日会っている家族は少しずつの変化に慣れてしまい、気づきにくいという性質があります。年1回しか会わない家族のほうが、比較の精度は高くなります。写真を残しておけば、その精度はさらに上がります。

Q. 4分野のうち、1つだけ当てはまりました。受診すべきですか

1つだけで慌てる必要はありませんが、記録して次の帰省で見比べてください。ただし例外が2つあります。ここ半年で明らかに体重が落ちている場合と、水やお茶でむせる場合です。前者は病気が隠れていること、後者は誤嚥のリスクに直結するため、1つだけでも医療機関に相談してください。

Q. 本人が受診を嫌がります

「健康診断のついでに」「一緒に行くから」という形にすると、本人の抵抗が下がります。それでも動かない場合は、地域包括支援センターに家族から相談してください。本人を説得する段階から、公的な窓口に間に入ってもらえます。親に終活や健康の話を切り出す方法は親が終活をしない理由と切り出し方|嫌がる親への声かけ例文集も参考になります。

Q. 認知症のチェックは含まれていないのですか

この記事の4分野には含めていません。基本チェックリストでは認知機能がNo.18〜20の3項目として設けられていますが、短時間の観察で判断するのは難しく、聞こえの問題と混同されやすい領域だからです。返事がかみ合わない場合、まず聞こえを疑うほうが順序として適切です。紙に書いて渡して正しく答えられるなら、詰まっているのは耳の側です。

Q. 指輪っかテストや立ち上がりテストは、診断になりますか

なりません。いずれも簡易な目安で、診断は医療機関が行います。受診するかどうかを判断するための材料として使ってください。

Q. 親が一人暮らしで、家に入れてもらえません

玄関先でも分かることがあります。靴の状態、郵便物の溜まり方、玄関の段差での動作、話したときの声の返り方です。それでも状況がつかめない場合は、地域包括支援センターに相談すると、必要に応じて訪問してもらえることがあります。

Q. 何から手をつければいいか分かりません

帰省の予定があるなら、まず体重計を出すことと、地域包括支援センターの連絡先を控えることの2つで足ります。両方とも30分かからず、どちらも後から効いてきます。

まとめ

離れて暮らす親の健康は、質問では見えません。見えるのは、冷蔵庫の中身、床に置かれた物、テレビの音量、食事中のむせ——本人が意識していない痕跡のほうです。

帰省中に見る4分野

  1. 食事——冷蔵庫とゴミ箱。ふくらはぎを指輪っかで囲めるか
  2. 聞こえ——テレビの音量と、返事のずれ方
  3. 足腰——立ち上がる動作と、床に置かれた物
  4. ——むせ、噛めるものの変化、滑舌(OF-5で2項目以上なら該当)

この4つは独立していません。口が崩れると食事が偏り、食事が偏ると筋肉が落ち、筋肉が落ちると外出が減り、外出が減ると会話が失われます。どこか1つで早く気づくことが、連鎖全体を止める手段になります。

そして、気づいたあとに動く先は決まっています。親が住む市区町村の地域包括支援センターです。要介護認定を受けていなくても、介護が始まっていなくても相談できます。帰省の最後に連絡先を控えるだけでも、次に何かあったときの動き出しが変わります。

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※本記事は、厚生労働省、日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会、国立長寿医療研究センター、日本整形外科学会、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の公表資料をもとにまとめたものです。
※記載の基準・項目は執筆時点のものです。制度や評価法は改定されることがあります。
※本記事で紹介したチェックは簡易な目安であり、診断ではありません。気になる状態が続く場合は医療機関を受診してください。

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