
本ページはプロモーションが含まれている場合があります。
子どものいない夫婦にとって、いちばん見落とされているのが「配偶者がすべてを相続するわけではない」という事実です。何も準備しなければ、故人の親、いなければ兄弟姉妹(すでに亡くなっていれば甥や姪)が、配偶者と一緒に相続人になります。預金を解約するにも、家の名義を変えるにも、その方たちの署名と印鑑証明が必要になります。この記事では、誰が相続人になるのか、なぜ遺言があれば配偶者に全部残せるのか、そして何から手をつければよいのかを整理しました。
結論
- 配偶者だけが相続人になるのは、故人の親も兄弟姉妹も甥姪もいない場合だけです
- 相続分は配偶者と親なら2対1、配偶者と兄弟姉妹なら3対1です
- 兄弟姉妹には遺留分がありません。だから遺言があれば配偶者に全部残せます
- ただし親が存命の場合は遺留分があります(相続分の2分の1)
- 遺言がないと、疎遠な甥姪の署名と印鑑証明を集めることになります
- 相続登記は義務化されました。3年以内に行わないと過料の対象です
- 夫婦は「それぞれ」遺言を書く必要があります。1通では足りません
目次
- 遺言がないとどうなるか
- 法定相続分の早見表
- 誰が相続人になるか
- 甥・姪が相続人になる場合
- 兄弟姉妹に遺留分がない意味
- 遺言の方式と選び方
- 遺言に書いておくこと
- 遺言執行者を決める理由
- 預貯金と不動産の手続き
- 配偶者居住権
- 二次相続の問題
- 相続税はかかるのか
- 何から始めるか
- 子なし夫婦の相続の疑問
まず結論|遺言がないと、配偶者は全部を受け取れません
いちばん多い誤解です
「子どもがいないのだから、財産はすべて配偶者のもの」。これは誤りです。子がいない場合、故人の親(存命なら)、親がいなければ兄弟姉妹、兄弟姉妹が亡くなっていればその子(甥・姪)が、配偶者と一緒に相続人になります。そのため、預金の解約にも、家の名義変更にも、その方たちの協力が必要になります。
| 準備の有無 | 何が起きるか |
|---|---|
| 遺言がある | 配偶者が単独で手続きを進められます |
| 遺言がない | 相続人全員で話し合い、全員の署名と印鑑証明が要ります |
| 相続人と連絡がつかない | 手続きが止まります |
| 相続人が認知症 | その方の後見人を立てる必要があります |
| 相続人が海外にいる | 書類を取り寄せるのに時間がかかります |
子なし夫婦の法定相続分【早見表】
| 状況 | 相続人 | 配偶者の取り分 | 他方の取り分 |
|---|---|---|---|
| 故人の親が存命 | 配偶者+親 | 3分の2 | 親が3分の1 |
| 親は他界、兄弟姉妹がいる | 配偶者+兄弟姉妹 | 4分の3 | 兄弟姉妹で4分の1を分けます |
| 兄弟姉妹も他界、甥姪がいる | 配偶者+甥姪 | 4分の3 | 甥姪が親の分を引き継ぎます |
| 親も兄弟姉妹も甥姪もいない | 配偶者のみ | すべて | - |
| 祖父母が存命(親は他界) | 配偶者+祖父母 | 3分の2 | 祖父母が3分の1 |
順番は決まっています
相続人になる順番は法律で決まっていて、①子 ②親などの直系尊属 ③兄弟姉妹です。子がいない場合、②の親が存命なら親が相続人になり、兄弟姉妹は相続人になりません。親が全員亡くなっていて初めて、③の兄弟姉妹が相続人になります。配偶者は、この順番とは関係なく常に相続人です。
パターン① 配偶者と、故人の親
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相続分 | 配偶者3分の2、親3分の1 |
| 親が2人とも存命 | 3分の1を2人で分けます |
| 遺留分 | 親にはあります(法定相続分の2分の1) |
| 遺言があれば | 配偶者に全部と書けますが、遺留分は請求される可能性があります |
| 手続き | 親の署名と印鑑証明が必要です |
親が存命の場合だけは、遺言があっても遺留分の問題が残ります。ただし実務では、親が配偶者に譲る意思を示すことが多く、実際に請求まで至る例は多くありません。それでも「請求できる権利がある」という点は理解しておいてください。
パターン② 配偶者と、故人の兄弟姉妹
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相続分 | 配偶者4分の3、兄弟姉妹で4分の1 |
| 兄弟姉妹が3人 | 4分の1を3人で分けます |
| 半血のきょうだい | 取り分が2分の1になります |
| 遺留分 | ありません |
| 遺言があれば | 配偶者に全部を残せます |
| 遺言がないと | 全員の署名と印鑑証明が必要になります |
パターン③ 配偶者と、甥・姪
兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子(甥・姪)が代わりに相続人になります。これを代襲相続といいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 誰が相続人になるか | 亡くなった兄弟姉妹の子(甥・姪) |
| 取り分 | 亡くなった親の分を、甥姪で分けます |
| さらにその子は | 兄弟姉妹の場合、代襲は甥姪の一代限りです |
| 遺留分 | ありません |
| 実務上の問題 | 面識がない場合が多く、連絡がつきにくい |
ここが実際にいちばん困る場面です
配偶者から見て、一度も会ったことのない夫(妻)の兄弟の子に、「亡くなった夫の預金を解約したいので、署名と実印と印鑑証明をください」と連絡することになります。相手にとっても突然の話です。快く応じてくださる方がほとんどですが、住所が分からない、返事が来ない、相続分を主張されるといった事態も実際に起きています。そして1人でも欠けると、手続きは進みません。
相続人が何人になるか、数えてみる
まず自分の場合に何人になるか、紙に書き出してみてください。これで必要な準備がはっきりします。
- 配偶者:1人(必ず相続人です)
- 自分の親が存命か。存命なら、そこで確定します(兄弟姉妹は相続人になりません)
- 親が全員他界していれば、自分のきょうだいの人数を数えます
- すでに亡くなっているきょうだいがいれば、その子(甥・姪)の人数を数えます
- 合計が「配偶者が連絡を取ることになる人数」です
3人を超えたら、遺言は必須と考えてください
相続人が配偶者のほかに3人を超えると、全員から署名と印鑑証明を集めるだけで数か月かかることがあります。その間、預金は動かせません。配偶者が高齢であればなおさら負担が大きくなります。数えてみて多いと感じたら、それが遺言を書く理由です。
兄弟姉妹には遺留分がありません【最重要】
この一点が、子なし夫婦にとっての救いです
遺留分とは、遺言があっても最低限受け取れる取り分のことです。配偶者・子・親にはありますが、兄弟姉妹と甥姪にはありません。ですから、「全財産を妻に相続させる」と遺言に書けば、そのとおりになります。兄弟姉妹が異議を唱えても、法律上、請求できる権利がありません。
| 相続人 | 遺留分 | 遺言で全部を配偶者に |
|---|---|---|
| 配偶者 | あります | - |
| 子 | あります | 該当しません |
| 親・祖父母 | あります(相続分の2分の1) | 請求される可能性が残ります |
| 兄弟姉妹 | ありません | 完全に実現できます |
| 甥・姪 | ありません | 完全に実現できます |
だから、遺言があれば配偶者に全部残せます
遺言がある場合
- 配偶者が単独で手続きできる
- 兄弟姉妹の署名は不要
- 数週間で預金が動く
- 不動産の名義変更もできる
- 親族と話し合わずに済む
遺言がない場合
- 相続人全員の同意が必要
- 戸籍を大量に集める
- 数か月かかることも
- 1人でも欠けると進まない
- 関係が壊れることがある
遺言の方式|自筆証書と公正証書の違い
| 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | |
|---|---|---|
| 作り方 | 自分で書きます | 公証役場で作ります |
| 費用 | ほとんどかかりません | 財産額に応じた手数料 |
| 証人 | 不要 | 2名必要です |
| 形式の不備 | あると無効になります | 公証人が確認します |
| 保管 | 自分で保管、または法務局 | 公証役場が原本を保管します |
| 家庭裁判所の検認 | 必要(法務局に預ければ不要) | 不要です |
| 見つけてもらえるか | 自宅保管だと見つからないことがあります | 照会で確認できます |
| おすすめ | 財産が単純で、費用を抑えたい | 確実に実現したい |
どちらを選ぶか
| こんな場合 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 不動産がある | 公正証書 | 登記の手続きが確実です |
| 相続人が多い・疎遠 | 公正証書 | 争いを避けられます |
| 財産が預金だけ | 自筆証書+法務局保管 | 費用を抑えられます |
| 体調に不安がある | 公正証書 | 出張して作成してもらえます |
| とにかく早く残したい | まず自筆で書く | あとから公正証書にできます |
| 手が震えて書けない | 公正証書 | 自筆証書は全文を手書きする必要があります |
迷ったら、まず自筆で1通書いてください
「公正証書のほうがよい」と分かっていても、手続きを面倒に感じて何年も先延ばしにする方が多くいます。それなら今日、自筆で1通書いてしまうほうがはるかに良いです。あとから公正証書に作り直せます。いちばん困るのは「1通もない」状態です。
遺言に書いておくこと
- 誰に、何を相続させるか(「全財産を妻◯◯に相続させる」で足ります)
- 配偶者の氏名と生年月日(特定できる形で)
- 不動産は登記のとおりに書きます(住所ではなく地番・家屋番号)
- 預貯金は金融機関名と支店名
- 遺言執行者を指定する
- 配偶者が先に亡くなっていた場合の指定(これがないと無意味になることがあります)
- 祭祀を承継する人(お墓を誰が引き継ぐか)
- 付言事項(気持ちを書く欄。法的な効力はありませんが、争いを防ぎます)
- 日付と署名、押印(自筆証書ではこれがないと無効です)
「配偶者が先に亡くなっていたら」を必ず書いてください
「全財産を妻に相続させる」とだけ書いた遺言は、妻が先に亡くなっていた場合、その部分が効力を持ちません。そうなると結局、兄弟姉妹や甥姪との話し合いになります。「妻が先に死亡していた場合は、◯◯に遺贈する」という一文を必ず入れてください。寄付先を指定することもできます。
遺言執行者を決めておく理由
| 遺言執行者がいる | いない | |
|---|---|---|
| 手続き | その人が単独で進められます | 相続人が自分で行います |
| 金融機関の対応 | 比較的スムーズです | 追加の書類を求められることがあります |
| 配偶者の負担 | 軽くなります | 高齢だと大きな負担です |
| 誰を指定するか | 配偶者本人でも、専門家でも構いません | |
遺言がないと、手続きはこう止まります
- 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をすべて集めます
- 親が他界していれば、親の出生から死亡までの戸籍も集めます
- 兄弟姉妹の戸籍を集め、亡くなっている人がいればその子の戸籍も集めます
- 相続人全員の現住所を調べ、連絡を取ります
- 遺産分割協議書を作り、全員に署名と実印をもらいます
- 全員の印鑑登録証明書を集めます
- そろって初めて、預金の解約と不動産の名義変更ができます
戸籍集めだけで数か月かかることがあります
本籍を何度も移している方の場合、全国の市区町村に順に請求していくことになります。1か所につき1〜2週間。それが何か所も続きます。この作業を、配偶者を亡くしたばかりの高齢の方が行う。それが、遺言がない場合に実際に起きることです。
預貯金の解約に必要なもの
| 遺言がある場合 | 遺言がない場合 | |
|---|---|---|
| 遺言書 | 必要(正本または謄本) | - |
| 戸籍 | 死亡の記載があるもの | 出生から死亡までの全部 |
| 相続人の戸籍 | 受け取る人の分 | 全員分 |
| 遺産分割協議書 | 不要 | 必要(全員の署名と実印) |
| 印鑑登録証明書 | 受け取る人の分 | 全員分 |
| かかる期間 | 数週間 | 数か月 |
不動産の名義変更(相続登記は義務です)
相続登記は義務化されています
不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記しなければ、過料の対象になります。これは以前に相続したものも対象です。「名義はそのままでいい」という時代は終わりました。遺言があれば配偶者が単独で登記できますが、なければ相続人全員の協力が要ります。詳しくは相続登記の記事にまとめています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期限 | 取得を知った日から3年以内 |
| 過料 | 10万円以下 |
| どこで | 不動産の所在地を管轄する法務局 |
| 誰ができるか | 遺言があれば、受け取る人が単独で |
| まとまらないとき | 相続人申告登記という手続きがあります |
| 自分でできるか | できますが、司法書士に頼む方が多くあります |
配偶者居住権という選択
自宅の名義を配偶者以外が取得することになった場合でも、配偶者がその家に住み続けられる権利があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 何ができるか | 亡くなるまで(または定めた期間)その家に住めます |
| どう決めるか | 遺言または遺産分割の話し合いで |
| 登記 | 登記しないと第三者に対抗できません |
| 利点 | 家を確保しつつ、預金も多く取れる場合があります |
| 注意 | 売却や賃貸はできません |
| 子なし夫婦の場合 | そもそも遺言で全部を配偶者にすれば、この権利は不要です |
二次相続|残された配偶者が亡くなったあと
ここまで考えておかないと、意味が半分になります
遺言で配偶者に全財産を残したとします。では、その配偶者が亡くなったとき、その財産はどこへ行きますか。配偶者の側の親族(配偶者の兄弟姉妹や甥姪)が相続します。その結果、自分の側の親族には何も残りません。それでよいのか、それとも一部は自分の甥姪に残したいのか。ここは夫婦で話しておくべき点です。
| 選択 | 結果 |
|---|---|
| 全部を配偶者に | 最終的に配偶者側の親族へ行きます |
| 一部を自分の甥姪に | 意思を反映できます |
| 一部を寄付する | 遺贈という形で指定できます |
| 配偶者にも遺言を書いてもらう | 二次相続まで意思を通せます |
| 何もしない | 法律の定めどおりになります |
夫婦それぞれが遺言を書く必要があります
1通では足りません
日本では、夫婦が1通の遺言を連名で作ることはできません。2人以上が同じ書面で行った遺言は無効とされています。夫は夫の遺言、妻は妻の遺言を、それぞれ1通ずつ作ります。公証役場で作る場合も、2件分の手数料がかかります。どちらが先に亡くなるかは分からないので、両方必要です。
相続税はかかるのか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基礎控除 | 3,000万円+600万円×法定相続人の数 |
| 相続人が配偶者と兄弟2人 | 3,000万円+1,800万円=4,800万円まで非課税 |
| 配偶者の税額軽減 | 1億6,000万円、または法定相続分まで非課税 |
| 申告の期限 | 10か月以内 |
| 軽減を使う場合 | 税額がゼロでも申告が必要です |
| 子なし夫婦の傾向 | 相続人が多いほど基礎控除は増えます |
※ 税額の計算には特例や評価の方法が関わります。実際の判断は税理士または税務署にご確認ください。
亡くなったあとの手続きスケジュール【期限順】
準備する側だけでなく、残される配偶者が実際に何を、いつまでにするのかも知っておいてください。期限のあるものが並びます。
| 期限 | 手続き | 窓口 |
|---|---|---|
| 7日以内 | 死亡届 | 市区町村 |
| 10日または14日以内 | 年金の受給停止 | 年金事務所など |
| 14日以内 | 健康保険の資格喪失・世帯主変更 | 市区町村・勤務先 |
| 速やかに | 公共料金・携帯・サブスクの名義変更 | 各事業者 |
| 3か月以内 | 相続放棄・限定承認をする場合 | 家庭裁判所 |
| 4か月以内 | 準確定申告 | 税務署 |
| 10か月以内 | 相続税の申告と納付 | 税務署 |
| 1年以内 | 遺留分の請求をする場合 | - |
| 2年以内 | 葬祭費・埋葬料の申請 | 市区町村・保険者 |
| 3年以内 | 相続登記(義務) | 法務局 |
| 3年以内 | 生命保険金の請求 | 保険会社 |
| 5年以内 | 遺族年金の請求 | 年金事務所など |
3か月の期限にとくに注意してください
借金があるかどうか分からないまま3か月が過ぎると、原則として相続を承認したことになります。子なし夫婦の場合、配偶者が財産の全体を把握していないことも珍しくありません。亡くなったらまず、郵便物と通帳を1か月分だけ確認してください。借入や保証の書類が出てきたら、その時点で専門家に相談を。
もし配偶者の判断する力が落ちていたら
ここも子なし夫婦に特有の問題です。遺産分割の話し合いには、判断する力が必要です。残された配偶者が認知症などで判断できない状態だと、遺言がない限り手続きが進みません。
| 状況 | どうなるか |
|---|---|
| 遺言がある | 遺言執行者がいれば、話し合い自体が不要です |
| 遺言がなく、配偶者が判断できる | 相続人全員で話し合います |
| 遺言がなく、配偶者が判断できない | 配偶者に成年後見人を立てないと進みません |
| 後見人を立てる | 申し立てから数か月かかります |
| 後見人が付いたあと | 後見は、その後もずっと続きます |
遺言と遺言執行者が、ここでも効きます
遺言があり、遺言執行者が指定されていれば、遺産分割の話し合い自体が不要になります。そのため配偶者の判断する力が落ちていても、手続きが止まりません。これは、遺言を書く理由としてあまり語られませんが、高齢の夫婦にとっては非常に大きい効果です。任意後見とあわせて考えると、備えの形が見えてきます。
いつ、何から始めるか
- 相続人が誰になるか数える配偶者以外に何人いるかを紙に書きます
- 財産の一覧を作る金融機関名と、不動産の有無だけで構いません
- 夫婦で二次相続まで話す最終的にどこへ渡したいかを決めます
- それぞれ遺言を書くまず自筆で1通ずつ。あとから公正証書にできます
- 遺言執行者を決める配偶者本人でも構いません
- 保管場所を決めて伝える見つけてもらえなければ意味がありません
よくある失敗5つ
| 失敗 | 何が起きるか | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 「子がいないから全部配偶者」と思っていた | 甥姪の署名を集めることになります | 遺言を書きます |
| 夫だけが遺言を書いた | 妻が先に亡くなると効きません | それぞれ1通ずつ |
| 「配偶者が先の場合」を書かなかった | その部分が無効になります | 予備の指定を入れます |
| 遺言を自宅の奥にしまった | 見つけてもらえません | 法務局か公証役場に預けます |
| 不動産の書き方が住所だった | 登記できないことがあります | 登記事項証明書のとおりに書きます |
子なし夫婦の相続の疑問
- 子どもがいなければ、配偶者が全部相続しますか
- しません。故人の親、いなければ兄弟姉妹、亡くなっていれば甥姪も相続人になります。配偶者だけになるのは、それらが全員いない場合だけです。
- 配偶者に全部残すにはどうすればよいですか
- 遺言を書いてください。兄弟姉妹と甥姪には遺留分がないため、遺言があればそのとおりに実現できます。
- 親が存命の場合はどうなりますか
- 親が相続人になり、相続分は配偶者3分の2、親3分の1です。親には遺留分があるため、遺言があっても請求される可能性が残ります。
- 兄弟姉妹が反対したらどうなりますか
- 遺言があれば、反対されても関係ありません。兄弟姉妹には遺留分がないので、法律上請求できる権利がないためです。
- 甥や姪と面識がありません
- 遺言がないと、その方たちの署名と印鑑証明が必要になります。連絡先を調べるところから始めることになるため、遺言を書いておく意味がとくに大きい場合です。
- 夫婦で1通の遺言を書けますか
- 書けません。2人以上が同じ書面で作った遺言は無効です。それぞれ1通ずつ作ってください。
- 自筆と公正証書、どちらがよいですか
- 不動産がある、相続人が多い、疎遠な相手がいる場合は公正証書が確実です。財産が預金だけなら、自筆証書を法務局に預ける方法でも十分です。
- 自筆の遺言はどこに保管すればよいですか
- 法務局の保管制度を使えます。家庭裁判所の検認も不要になり、見つけてもらえないという問題も避けられます。
- 遺言はいつ書けばよいですか
- 判断する力があるうちにしか書けません。認知症が進むと書けなくなります。元気なうちが唯一の機会です。
- あとから書き直せますか
- 何度でも書き直せます。日付の新しいものが有効になります。財産や気持ちが変わったら、そのつど作り直して構いません。
- 相続登記はしないとどうなりますか
- 取得を知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料の対象になります。以前に相続した不動産も対象です。
- 相続税はかかりますか
- 3,000万円+600万円×法定相続人の数までは非課税です。さらに配偶者には1億6,000万円までの軽減があります。ただし軽減を使う場合は、税額がゼロでも申告が必要です。
配偶者に全部残すために必要なこと
要点
- 子がいなくても、配偶者が全部を相続するわけではありません
- 相続分は親なら2対1、兄弟姉妹なら3対1
- 兄弟姉妹と甥姪に遺留分はありません。だから遺言が効きます
- 親が存命の場合だけ、遺留分の問題が残ります
- 夫婦それぞれが1通ずつ遺言を書きます
- 「配偶者が先に亡くなっていた場合」の指定を必ず入れます
- 相続登記は3年以内。義務化されています
子なし夫婦の相続対策は、突き詰めれば「遺言を2通作る」というだけの話です。難しい制度を理解する必要はありません。それをするかしないかで、残された配偶者が数か月にわたって戸籍を集め、会ったこともない親族に頭を下げるかどうかが決まります。まずは、自分の相続人が何人になるかを数えてみてください。
次に読む
本記事は法制度の一般的な説明を目的としたものです。個別の相続関係、遺留分の扱い、税額の計算は、事情によって結論が変わります。実際の手続きにあたっては、弁護士、司法書士、税理士、公証役場、法務局、税務署などにご相談ください。

























