家じまいの進め方7ステップ|実家を売る・貸す・解体する費用の比較

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家じまいとは、住まなくなる家、あるいは相続した実家を、売る・貸す・解体するなどして手放すまでの一連の作業のことです。家の中の物を片付けることと混同されがちですが、家じまいで判断が難しいのは建物と土地そのものをどうするかのほうです。この記事では、4つの選択肢の比べ方、7ステップの進め方、相続登記の3年という期限、解体すると固定資産税が上がる仕組み、そして使える税の特例までを整理します。

結論

  • 選択肢は売る・貸す・解体する・持ち続けるの4つ。まずここを決めないと何も進みません
  • 相続で取得した不動産の登記は、取得を知った日から3年以内が義務です。怠ると過料の対象になります
  • 建物を解体すると、土地の固定資産税が上がります。更地にする前に必ず確認してください
  • 放置しても税金は安いままではありません。管理不全空家に指定されると、同じく税が上がります
  • 相続した実家の売却には3,000万円の特別控除が使える場合があります。ただし要件が細かく、期限があります
  • 売れない土地を国に引き取ってもらう制度もありますが、負担金が必要で、要件も厳しく設定されています

目次

  1. 家じまいで決めるべき4つの選択肢と比べ方
  2. 進め方7ステップ
  3. 相続登記の3年という期限
  4. 売る・貸す・解体するそれぞれの流れと費用の考え方
  5. 解体すると税金が上がる仕組みと、放置した場合との比較
  6. 空き家3,000万円特別控除の要件
  7. 相続土地国庫帰属制度
  8. 相談窓口と、生前にやっておくと楽なこと

家じまいとは何か

家じまいという言葉に法律上の定義はありません。実務では次の2つの場面で使われます。

自分の家の家じまい

  • 施設や子の家に移る
  • 維持できなくなった
  • 老後資金にしたい
  • 自分で判断できる
  • 売却益に自分の特例が使える

相続した実家の家じまい

  • 親が亡くなり空き家になった
  • 誰も住む予定がない
  • 遠方で管理できない
  • 相続人全員の合意が要る
  • 登記の期限がある

難しいのは後者です。判断する人が複数いて、期限があり、税の特例にも条件が付きます。この記事は主に相続した実家を想定して書いていますが、自分の家を手放す場合にも同じ手順が使えます。

家じまいが必要になる3つのタイミング

  • 施設への入居が決まったとき自宅が空き家になります。要介護認定を受けて施設に入った場合、自宅を貸してしまうと相続税の特例が使えなくなることがあります。貸す判断は慎重に行ってください。
  • 親が亡くなったとき最も多い場面です。相続登記の3年、相続税の申告の10か月、空き家特例の期限と、複数の期限が同時に走り出します。
  • 維持が負担になったとき固定資産税、修繕、庭木の手入れ、遠方への交通費。年間の維持費を一度計算すると、判断が早まります。

まず決める|売る・貸す・解体する・持ち続ける

選択肢向いている場合手元に残るお金手間主な注意点
売る誰も住む予定がなく、需要のある立地まとまって入る中相続人全員の合意が必要。特例の期限に注意
貸す需要があり、修繕に耐えられる状態毎月少しずつ大修繕費・空室・入居者対応が続きます
解体して更地にする建物が古く、土地なら売れる見込みがある先に出ていく中翌年から固定資産税が上がります
持ち続けるいずれ使う予定がある/墓地や田畑と一体出ていく一方小(管理は必要)管理不全空家に指定されると税が上がります

迷ったときの判断の順番

①誰か住む予定があるか → ②売れそうな立地か → ③建物に価値があるかの順に見ます。①がなく②があり③がなければ「解体して土地を売る」。①も②もなければ、それは持ち続けるしかない土地かもしれません。その場合は後述の相続土地国庫帰属制度を検討する余地があります。

家じまいの進め方7ステップ

  1. 名義を確認する法務局で登記事項証明書を取ります。誰の名義か、抵当権が残っていないかを確認します。ここが済んでいないと何も売れません。
  2. 相続人を確定し、話し合う戸籍をたどって相続人を確定します。売る・貸す・解体するのいずれも、共有者全員の同意が原則必要です。
  3. 相続登記をする亡くなった方の名義のままでは売却できません。取得を知った日から3年以内が義務です。
  4. 家の中を片付ける売るにも解体するにも、この作業は避けられません。仕分けの基準を決めてから始めます。
  5. 家の状態を調べる建築年、構造、境界、私道の有無、傾きや雨漏りの有無。ここで売れるかどうかが決まります。
  6. 売る・貸す・解体するを決めて動く複数の事業者から見積もりを取り、比べます。1社だけで決めないでください。
  7. 税の申告をする売却して利益が出た場合、翌年の確定申告が必要です。特例を使う場合も申告が条件になります。

STEP1|名義を確認する

取る書類どこで分かること
登記事項証明書(土地・建物)法務局(オンラインでも請求できます)所有者、面積、抵当権、共有かどうか
固定資産税の課税明細書毎年届く納税通知書に同封持っている不動産の一覧、評価額
名寄帳市区町村の資産税担当その市区町村内で持っている不動産の全部
公図・地積測量図法務局土地の形、隣地との位置関係

名寄帳は必ず取ってください

課税明細書には、非課税の土地(私道など)が載らないことがあります。そのまま手続きを進めると、私道だけが亡くなった方の名義で残り、後年になって売却できない、通行できないという問題が生じます。名寄帳を取れば、その市区町村内の不動産をまとめて確認できます。

相続登記は3年以内が義務です

2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。これは家じまいを考えるうえで最も重要な変更点です。

項目内容
期限相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内
過去の相続も対象義務化より前に発生した相続も対象です。この場合は施行日から3年以内が期限になります
怠った場合正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります
分割が決まらない場合相続人申告登記という簡易な手続きで、いったん義務を果たせます

登記は自分でもできますが、相続人が多い場合や、何代も前の名義のままになっている場合は司法書士に依頼するほうが現実的です。登記が済んでいない不動産は、売ることも担保に入れることもできません。

STEP4|家の中を片付ける

売るにしても解体するにしても、この作業からは逃げられません。ただし全部を自分でやる必要はありません。

やり方費用時間向いている場合
自分と家族でやる処分費のみ数か月近くに住んでいる、量が多くない
一部を業者に頼む中数週間大型家具・家電だけ頼みたい
全部を業者に頼む大1〜3日遠方に住んでいる、量が多い
解体とまとめて頼む中〜大1〜2日建物を壊すと決まっている場合

解体するなら、中身は残していい場合があります

建物を解体する場合、家財ごと解体してもらえることがあり、そのほうが安く済むケースがあります。ただし残置物の処分費は解体費とは別扱いになるのが一般的で、事業者によって扱いが異なります。見積もりを取るときに「残置物込みかどうか」を必ず確認してください。なお、貴重品・書類・写真だけは先に取り出しておく必要があります。

STEP5|家の状態を調べる

  • 建築年月日……登記事項証明書または建築確認済証で確認します。昭和56年5月31日以前かどうかが分かれ目になります(後述の税の特例)
  • 構造……木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造。解体費が大きく変わります
  • 境界……隣地との境界標があるか。ない場合は測量が必要になることがあります
  • 接道……道路に2メートル以上接しているか。接していないと再建築できず、価格が大きく下がります
  • 私道……前面道路が私道の場合、持分があるか、通行・掘削の承諾が取れるか
  • 建物の状態……雨漏り、傾き、シロアリ。売る前に知っておかないと、後日の紛争になります

家じまいの前に片付けておくこと

売る場合の流れ

1複数の不動産会社に査定を依頼する3社以上から取ってください。査定額は会社によって差が出ます。
2媒介契約を結ぶ一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類があります。専任系は1社に絞る代わりに、報告義務があります。
3売り出す価格を決めて広告します。反応がなければ価格を見直します。
4売買契約を結ぶ買主が決まったら契約します。共有の場合は全員が署名・押印します。
5引き渡し・決済残代金を受け取り、鍵と登記を引き渡します。
6翌年に確定申告利益が出た場合、特例を使う場合、いずれも申告が必要です。
売却でかかる費用内容
仲介手数料売買代金に応じて上限が法令で定められています
印紙税売買契約書に貼ります。契約金額に応じた額です
登記費用抵当権が残っている場合の抹消費用、司法書士報酬
測量費境界が確定していない場合に必要になることがあります
解体費更地渡しの条件で売る場合
譲渡所得税・住民税利益が出た場合。所有期間5年超かどうかで税率が変わります

貸す場合に気をつけること

「売らずに貸せば収入になる」と考えがちですが、実家を賃貸に出すのは思ったより難しい選択です。

貸す前に確認すべき5点

  • 貸せる状態にするための修繕費。水まわりと屋根が最も費用のかかる部分です
  • 借りたい人がいる立地か。空室のままなら、維持費だけが出ていきます
  • 入居者が入ると、簡単には売れなくなります。契約の種類によっては退去を求めにくくなります
  • 相続税の特例に影響することがあります。とくに施設入居中の自宅を貸すと、居住用としての扱いを失う場合があります
  • 共有名義の場合、貸すにも合意が必要です。管理行為として持分の過半数の同意が求められます

期間を区切って貸す方法もあります。定期借家契約であれば、あらかじめ定めた期間で確実に終了します。将来売るつもりがあるなら、この形が現実的です。

解体する場合の流れと費用の考え方

1現地で見積もりを取る3社以上。電話や図面だけの見積もりは、あとで増額されることがあります。
2建設業の許可・解体工事業の登録を確認する登録のない事業者に頼むと、廃棄物の処理でトラブルになる危険があります。
3近隣へあいさつする騒音・振動・粉じんが出ます。事業者が行う場合も、施主として同行すると印象が違います。
4工事・廃棄物の処理マニフェスト(産業廃棄物管理票)の写しを受け取り、適正に処理されたことを確認します。
5建物滅失登記をする解体から1か月以内に申請する義務があります。自分でも申請できます。
解体費が変わる要因どう変わるか
構造木造より鉄骨造、鉄骨造より鉄筋コンクリート造のほうが高くなります
延べ床面積広いほど高くなります。坪単価で示されることが一般的です
前面道路の広さ大型車が入れないと、手作業と小運搬が増えて高くなります
隣家との距離近いほど養生が必要になり、高くなります
残置物の量家財が残っていると別途費用がかかります
アスベストの有無使用されている場合、事前調査と特別な処理が必要で、費用が大きく変わります
付帯工事ブロック塀、庭木、物置、井戸、浄化槽などは別途扱いになることが多いです
地中埋設物掘ってみて出てきた場合、追加費用が発生します

※ 解体費の金額は構造・立地・時期によって大きく変動するため、本記事では具体的な金額を示していません。編集部が公開情報をもとに整理した「費用が変わる要因」です。必ず複数社から現地見積もりを取ってください。

解体費の補助金がある自治体があります

老朽危険空家の除却に対して補助を行っている市区町村があります。要件(建築年、老朽度の判定、所有者の要件など)と予算枠が定められており、着工前の申請が原則です。工事を始めてからでは対象になりません。解体を決めたら、まずお住まいの市区町村の空き家担当窓口に問い合わせてください。

解体すると固定資産税が上がります

これを知らずに更地にして、翌年の納税通知書に驚く方が非常に多いので、必ず押さえてください。

状態住宅用地の特例固定資産税
建物が建っている適用される軽減された額
解体して更地適用されない軽減がなくなります
建物はあるが管理不全空家・特定空家に指定され勧告を受けた適用されない解体した場合と同様に軽減がなくなります

住宅が建っている土地には住宅用地の特例があり、固定資産税の課税標準が小さく抑えられています。建物を壊すとこの特例が外れるため、土地の税額が大きく上がります。賦課の基準日は1月1日ですので、解体の時期によっては1年分の差が生まれます。

では放置すればよいのか、というと違います

2023年の空家等対策特別措置法の改正で「管理不全空家」という区分が新設されました。これまでの「特定空家」に至る前の段階でも、適切な管理が行われていない空き家は指導・勧告の対象になります。勧告を受けると、その時点で住宅用地の特例が外れます。建物を残したまま放置しても、税負担が上がる可能性があります。

使える税の特例|相続した空き家の3,000万円特別控除

相続した実家を売って利益が出た場合、一定の要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」といいます。

要件内容
建築時期昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
建物の種類区分所有建物(分譲マンションなど)は対象外です
居住の状況相続開始の直前に被相続人が一人で住んでいたこと(要介護認定を受けて施設に入所していた場合の例外があります)
相続後の使用相続してから売るまで、事業・貸付・居住に使っていないこと
売却の条件耐震基準に適合させるか、家屋を取り壊して土地を売ること
売却価額1億円以下であること
期限相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
相続人の数相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円になります
手続き市区町村が発行する被相続人居住用家屋等確認書を添えて確定申告が必要です

買主が取り壊す場合も対象になり得ます

以前は「売主が売る前に取り壊すか耐震改修する」ことが必要でしたが、2024年1月1日以後の譲渡については、買主が譲渡の翌年2月15日までに取り壊しまたは耐震改修を行った場合も対象とされました。売主が先に費用を負担しなくてよくなったため、使いやすくなっています。

※ この特例には適用期限が設けられており、これまでも延長が繰り返されています。売却を検討する時点で、最新の期限と要件を必ず国税庁の情報または税務署でご確認ください。相続税の取得費加算の特例とは選択適用(併用不可)である点にも注意が必要です。

自分が住んでいた家を売る場合の特例

相続ではなく、自分が住んでいた家を売る場合には居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除があります。こちらは建築年の要件がなく、マンションでも使えます。

比べる点空き家の特例(相続)居住用財産の特例(自分の家)
建築年の要件昭和56年5月31日以前なし
マンション対象外対象
売却価額の上限1億円以下なし
期限相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日
取壊し・耐震改修必要不要

売れない土地は国に引き取ってもらえるか

相続土地国庫帰属制度が2023年4月27日に始まりました。相続や遺贈で取得した土地を、一定の要件のもとで国に引き取ってもらえる制度です。

項目内容
対象相続または遺贈によって取得した土地。売買で買った土地は対象外です
建物があると使えません。建物は先に解体する必要があります
使えない土地の例担保権が設定されている、境界が明らかでない、通路として使われている、汚染されている、崖がある、管理に過分の費用がかかる など
申請先土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局
費用審査手数料に加え、承認された場合は10年分の管理費相当額の負担金を納めます
期間審査には数か月かかります

「いらない土地を無料で手放せる制度」ではありません。建物を解体したうえで、負担金を払って引き取ってもらう仕組みです。ただし、売れず、貸せず、管理費と税だけがかかり続ける土地については、検討する価値があります。相談は法務局で受け付けています。

相続人が複数いる場合の進め方

行為必要な同意
売る・解体する共有者全員の同意
貸す(短期)持分の過半数
修繕・草刈りなどの保存行為1人でできます

共有のまま持ち続けないでください

共有のまま次の世代に相続が起きると、共有者がねずみ算式に増えます。兄弟2人の共有が、次の代では6人、その次では十数人になることも珍しくありません。そうなると全員の同意が取れず、事実上、永久に処分できない不動産になります。遺産分割の段階で、①1人が取得して他の相続人に代償金を払う、②売却して代金を分ける(換価分割)のどちらかにしておくのが安全です。

相談窓口

相談したいこと窓口費用
空き家全般・補助金市区町村の空き家担当窓口無料
登記・相続登記法務局の手続案内、司法書士案内は無料
相続土地国庫帰属制度法務局・地方法務局相談は無料
税の特例税務署、税理士税務署は無料
相続人間の紛争弁護士、法テラス条件により無料相談あり
売却不動産会社(複数社)査定は無料が一般的
空き家の活用・移住市区町村の空き家バンク無料

生前にやっておくと家族が楽になること

  • 登記事項証明書を1通取って、名義を確認しておく(先代の名義のままになっていないか)
  • 名寄帳を取り、持っている不動産をすべて把握しておく(私道・山林・田畑の漏れを防ぎます)
  • 境界標があるか歩いて確認しておく
  • 建築確認済証・検査済証・図面の場所を家族に伝えておく
  • 火災保険の証券番号を控えておく
  • 「この家をどうしてほしいか」を1行書いておく(売ってよい/残してほしい/任せる)
  • 誰に引き継ぐかを遺言書にしておく(分割協議が不要になり、期限の問題が消えます)

よくある失敗

失敗何が起きたか
先に解体してしまった翌年から固定資産税が上がり、しかも土地が売れずに負担だけが残った
1社だけの見積もりで解体を頼んだ相場より高い契約になり、追加費用も請求された
登記をせずに放置した売る段になって相続人が10人以上に増え、同意が取れなくなった
特例の期限を過ぎた3,000万円の控除が使えず、税負担が大きく変わった
私道の名義を見落とした買主が住宅ローンを組めず、契約が流れた
片付け前に貴重品ごと処分した権利証・保険証券・現金が失われた
訪問してきた業者に即決した相場が分からないまま契約した。訪問販売はクーリング・オフの対象になる場合があります

家じまいで迷いやすいこと

相続登記は自分でもできますか。
できます。法務局には手続案内の窓口があり、必要書類や書き方を教えてもらえます。ただし相続人が多い場合、何代も前の名義のままの場合、遺産分割協議が必要な場合は手間が大きく、司法書士に依頼するほうが確実です。
空き家を放置すると、どのくらい税金が上がりますか。
管理不全空家または特定空家に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例が適用されなくなります。その結果、解体して更地にした場合と同じ扱いになります。指定されるかどうかは市区町村の判断であり、まず助言・指導から始まります。連絡が来た段階で対応すれば、勧告まで進むことは避けられます。
遠方に住んでいて管理できません。
空き家の管理を代行するサービスがあります。市区町村やシルバー人材センター、地元の事業者が行っていることがあります。月1回の通風・通水・郵便物の確認といった内容が一般的です。ただし管理費を払い続けるより、早く手放すほうが総額では小さくなることが多い点も考慮してください。
売れない家はどうすればよいですか。
順に検討する方法があります。①価格を見直す ②空き家バンクに登録する ③解体して土地として売る ④隣地の所有者に打診する ⑤自治体や団体への寄付を相談する ⑥相続土地国庫帰属制度を検討する。④は見落とされがちですが、隣地の所有者は最も買う動機のある相手です。
相続放棄すれば、家の管理をしなくて済みますか。
相続放棄をすると、その不動産を相続する権利はなくなります。ただし現にその不動産を占有している場合には、次に管理する人へ引き渡すまで保存する義務があります。また、相続放棄をしても他の相続人や相続財産清算人に引き継がれるまで時間がかかります。放棄は3か月という期限がありますので、早めに弁護士・司法書士へご相談ください。
兄弟の1人が売却に反対しています。
売却には全員の同意が必要なため、そのままでは進みません。方法としては①反対する人が持分を買い取る ②他の相続人が持分を買い取る ③共有物分割請求を裁判所に申し立てるがあります。③は時間も費用もかかるため、まず弁護士に相談し、話し合いでの解決を探るのが一般的です。
家財の中に価値のあるものがあるか分かりません。
片付けを始める前に、権利証・登記識別情報、預金通帳、保険証券、有価証券、実印と印鑑登録カード、年金手帳、貴金属だけは探し出してください。この7つを先に確保すれば、大きな損失は防げます。骨董や美術品の価値判断は、複数の事業者に見てもらうのが安全です。
解体後の建物滅失登記を忘れるとどうなりますか。
解体した日から1か月以内に申請する義務があります。放置すると、存在しない建物に固定資産税が課され続けることがあり、土地の売却時にも支障が出ます。この登記は比較的簡単で、自分でも申請できます。解体業者から取壊し証明書を受け取っておいてください。
実家を売ったお金は相続税の対象になりますか。
相続税は亡くなった時点の財産に対してかかります。その後に売って現金化しても、相続税の計算が変わるわけではありません。ただし売却によって利益が出れば、別に譲渡所得として所得税・住民税の対象になります。相続税と譲渡所得税は別の税金です。
建物を解体するタイミングはいつがよいですか。
固定資産税は1月1日時点の状況で決まります。したがって、更地の期間を短くしたいなら買主が決まってから解体するのが有利です。ただし、空き家の3,000万円特別控除を使う場合には取壊しや耐震改修が要件になるため、税の特例を使うかどうかで最適なタイミングが変わります。売却と税の両面から、事前に不動産会社と税務署の双方に確認してください。
アスベストが使われているか、どう調べますか。
一定規模以上の解体・改修工事では、事前調査と結果の報告が義務づけられています。調査は資格を持つ者が行います。建築年が古い建物ほど使用されている可能性が高く、費用が大きく変わる要因になります。見積もりを取る段階で、事前調査の費用が含まれているかを確認してください。
自分の家を先に手放して施設に入ろうと考えています。
順番に注意が必要です。自分が住んでいた家を売る場合の3,000万円特別控除には「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」という期限があります。施設に入ってから何年も空き家にしていると、この特例が使えなくなります。また、要介護認定を受けて施設に入所した場合、自宅を貸してしまうと相続税の小規模宅地等の特例に影響することがあります。入居と売却の順序は、税理士に相談してから決めることをおすすめします。

まとめ|順番を間違えなければ、家じまいは難しくありません

家じまいでつまずくのは、作業が難しいからではなく、順番と期限を知らずに動いてしまうからです。

最初にやることは、片付けでも査定でもありません。法務局で登記事項証明書を取り、市区町村で名寄帳を取ること。誰の名義で、どこに何を持っているのかが分からなければ、売ることも壊すこともできません。

そして期限が3つ走っています。相続登記は3年、相続税の申告は10か月、空き家3,000万円特別控除は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日。とくに最後の1つは、知らないまま過ぎると税負担が大きく変わります。

判断の順番も決まっています。誰か住むか → 売れる立地か → 建物に価値があるか。そして先に解体しないこと。更地にすると固定資産税が上がり、売れなければ負担だけが残ります。買主が決まってから壊す、が原則です。

最後に、生前にできることが1つあります。「この家をどうしてほしいか」を1行書いておくこと。売ってよいのか、残してほしいのか、任せるのか。これがあるだけで、残された家族は迷わずに動けます。

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本記事は、編集部が法務省・国税庁・国土交通省をはじめとする公的機関の公開情報をもとにまとめたものです。税の特例の要件および適用期限は、税制改正により変更される場合があります。とくに相続した空き家の3,000万円特別控除は適用期限が定められており、これまでも延長が行われています。売却を検討する時点で、必ず最新の要件と期限を国税庁の情報または所轄の税務署でご確認ください。解体費用は構造・立地・時期によって大きく変動するため、本記事では具体的な金額を示していません。解体・除却に対する補助金の有無、空き家の管理・活用に関する支援制度は、市区町村によって異なります。お住まいの市区町村の空き家担当窓口にお問い合わせください。登記手続きについては法務局の手続案内、相続人間の紛争については弁護士または法テラスをご利用いただけます。

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