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部屋の掃除や介護など、高齢者への生活支援サービス(終活サービス)を行う会社の社長と従業員が逮捕されたというニュースが報道されました。(2020年1月21日付)
経緯としては、購入商品などを一定期間内に解約できるクーリングオフに関する契約書面を消費者と交付せずに契約した疑いがあるとのことです。
この記事では特に高齢者の方へ、何かしらの商品や商材の購入・サービスを受ける際の契約書面に関して・クーリングオフに関して知っておくべきことをまとめたものになります。
目次
終活サービス違法契約の概要
記事冒頭でも触れましたが、今回の終活サービスの違法契約に関する概要は次の通りです。
▼事件概要
高齢者への生活支援サービスを行う会社社長と従業員1名が、クーリングオフに関する書面を交付せずに高齢者の女性(80代)と契約した疑い
▼商品概要
部屋の掃除や介護などが内容の「終活カウンセラー」という名目のサービス
▼被害金額
100万円※後述
▼余罪など備考
この5年間で3,200万円あまりの契約がされていた
事件発覚の理由
事件があったのは、消費者側である80代女性が金融機関で現金100万円を引き出した際、不審に思った職員の方が警察に通報したそうです。
80代女性の心意が定かではないですが、不審に感じた職員の方が警察に通報しなければ、今回のように明るみになることはなかったのかも知れません。
そう思うと、まだまだ高齢者の方が詐欺被害にあわないように努めることが大切だと感じました。
この手の契約事に関する知識の有るか無いかで、大きく変わってくるのではないでしょうか。
ここからは、今回の一件をもとに、被害にあわないための基本的な知識について解説していきます。
是非、最後までお読みください。
クーリングオフとは?
今回の事件の「クーリングオフに関する書面を交付せず契約」という部分で、”クーリングオフ”という言葉が出てきています。
一度は耳にした方も多いかと思いますが、クーリングオフとは何なのか?
簡潔に解説していきます。
ウィキペディア(Wikipedia)によると
クーリングオフ(英語: cooling-off period)とは、一定の契約に限り、一定期間、説明不要で無条件で申込みの撤回または契約を解除できる法制度である。
よりわかりやすくいうと、
・業者Aから○○というサービス(商品)を契約
↓
・クーリングオフ期間(一定期間)内であれば理由不要・無条件で、○○というサービスを解除することができる
というのがクーリングオフです。
上記例でいうと、「自分は本当に○○を契約してよかったのだろうか?」と、一定期間、頭を冷やして考え直す期間(熟慮期間)を与えた法制度です。
クーリングオフの期間
(注1):クーリングオフの行使について妨害(不実告知による誤認、又は威迫)があった場合は、妨害がなくなり「クーリング・オフ妨害解消のための書面」を受領するまでは、クーリングオフ期間は進行しない。
(注2):書面記載内容によって、クーリングオフ期間の起算が開始されていない場合もある。
上のクーリングオフ一覧表から、訪問販売や電話勧誘販売の場合、契約書面を受け取った日から8日間であることがわかるかと思います。
そしてもう一点、クーリングオフに関する法律は「特定商取引に関する法律」が関係します。
特定商取引法
特定商取引法(特定商取引に関する法律)とは、クーリングオフに関係する法律になります。
例えば訪問販売の場合、特定商取引に関する法律の第四条の条文で定められた形でなければなりません。
この条文について、消費者庁のホームページ・特定商取引法ガイド内にわかりやすく記載されています。
事業者は、契約の申込みを受けたときや契約を結んだときには、以下の事項を記載した書面を消費者に渡さなければなりません。
1.商品(権利、役務)の種類
2.販売価格(役務の対価)
3.代金(対価)の支払時期、方法
4.商品の引渡時期(権利の移転時期、役務の提供時期)
5.契約の申込みの撤回(契約の解除)に関する事項(クーリング・オフができない部分的適用除外がある場合はその旨含む。)
6.事業者の氏名(名称)、住所、電話番号、法人ならば代表者の氏名
7.契約の申込み又は締結を担当した者の氏名
8.契約の申込み又は締結の年月日
9.商品名、商品の商標または製造業者名
10.商品の型式
11.商品の数量
12.商品に隠れた瑕疵(一見しただけではわからない不具合)があった場合、販売業者の責任についての定めがあるときには、その内容
13.契約の解除に関する定めがあるときには、その内容
14.そのほか特約があるときには、その内容
上記事項から、契約書面の交付義務が規定されているということがわかるかと思います。
ここで、今回の事件概要である「クーリングオフに関する書面を交付せずに高齢者の女性(80代)と契約」という部分に再び注目です。
契約形態が訪問販売なのか電話勧誘販売なのかは定かにはなっていませんが、おそらくどちらかの形だと考えられます。
重要なのは、業者側は契約時に書面が必要なのにもかかわらず、クーリングオフに関する契約書面が無かったということです。
もし、書面があった場合のチェック方法として、上で引用紹介したウィキペディアのクーリングオフ一覧表をよりわかりやすく表したのが以下の表になります。
特定商取引法におけるクーリングオフ期間早見表
クーリングオフ期間 | 対象 |
8日間 | ・訪問販売 ⇒キャッチセールスやアポイトメントセールスなど ・特定継続的役務提供 ⇒エステや美容医療、英語など語学教室(塾や家庭教師含む)など |
10日間 | 投資顧問契約 ⇒投資顧問業者が顧客に対して株式などの有価証券の価値・投資判断に関して助言を行い、投資家が報酬を支払う契約 |
14日間 | 預託取引契約 ⇒貴金属や宝石・ゴルフ会員権などの特定商品の販売を行い、それら商品を引き渡すことなく、代わりに預かり証を交付して特定商品を購入させる契約 |
20日間 | 連鎖販売取引(マルチ商法) ⇒ねずみ講などにみられるように、個人を販売員として勧誘し、その個人に次の販売員を勧誘させて販売組織を連鎖的に拡大して商品・サービスの取引を行う |
クーリングオフ期間とその対象になりますので、頭に入れておくとよいでしょう。
注意するべき悪徳商法
今回の事件のような、いわゆる”悪徳商法”には細心の注意が必要になってきます。
クーリングオフの対象となる典型例をいくつか紹介しておきますので、前述した早見表とあわせて頭に入れておくようにしましょう。
契約形態 | 特徴・実例 |
訪問販売 | 突然自宅にセールスマンが来た |
キャッチセールス | 突然街中で声をかけられた |
電話勧誘 | ・業者から電話がかかってきた ・業者から電話がかかってきて呼び出されて契約した ※基本的に悪徳業者は商品・サービスを売るということを電話で事前に告げません |
上記のようなケースの場合で、クーリングオフに関する契約書面が無ければ契約は控えるようにするべきです。
同じように、自ら業者に連絡を入れて自宅に呼ぶのも適用外と考えましょう。
自分1人で解決できるようであれば大丈夫だと思いますが、少しでも不安があるようでしたら無理に解決しようとせず、最寄の警察や消費者センターに相談することをオススメします。
心の中で「これはおかしいかもしれない」と感じたら、そのことをしっかりと伝えるとよいでしょう。
また、通信販売であればその販売元のサイト・ホームページ・広告上に「特定商取引」に関する記載の有無を確認するようにしましょう。
※有料商品・サービスを取り扱うネットショップであれば、「特定商取引に基づく表記」といった形で必ず記載する必要があります
まとめ
今回の一件は、商品が”終活サービス”でしたが、高齢者をターゲットにした詐欺被害には気をつけなければいけません。
「契約書面がない」ということが、そもそもの問題だということがわかっていただけたかと思います。
要点をまとめると
・契約書面のない契約はしない
・契約書面がある場合でも、不備がないかしっかりと確認
クーリングオフに関すること、特定商取引に関することは、この記事に書いてあることを知っておくだけでも被害を防ぐことに繋がると思います。
終活.comでは、他にも終活関連の詐欺に関して以下の記事でまとめています。
是非あわせてご覧いただければと思います。