健康保険証は死亡後に返却が必要?資格確認書の扱いと葬祭費・埋葬料の申請

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身近な方が亡くなったあと、健康保険証や資格確認書を死亡後に返却しなければならないのか、迷われる方はとても多いです。返すものと返さなくてよいものが、実ははっきり分かれています。

そしてもうひとつ。保険の手続きには「返す」だけでなく「申請すれば受け取れる」ものが含まれています。葬祭費や埋葬料がそれで、こちらから申請しなければ支給されません。慌ただしい時期だからこそ、何をどこへ出すのかを一度整理しておくと、後がずいぶん楽になります。


健康保険証の死亡後の返却|まず知っておきたい制度の変更

健康保険証の死亡後の返却とマイナ保険証への移行を説明するイメージ
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紙の健康保険証はすでに役目を終えています

前提として、保険証の仕組みそのものが変わりました。令和7年12月1日をもって、すべての保険者において発行済みの健康保険証の有効期限が到来し、マイナ保険証を基本とする仕組みへ移行しています
(出典:マイナポータル よくあるご質問「健康保険証や医療券・調剤券はいつから使えなくなりますか。」

マイナンバーカードを持っていない方も保険診療を受けられるよう、保険者から資格確認書が交付される仕組みになっています。故人の引き出しから古い健康保険証が出てきても、それはもう期限が切れているものだとお考えください。

マイナ保険証は死亡届を出せば自動で止まります

マイナンバーカードを保険証として使っていた場合は、安心していただいて大丈夫です。亡くなった方の死亡届が自治体で受理されると、マイナンバーカードは自動的に失効し、健康保険証としての利用もできなくなります
(出典:マイナポータル よくあるご質問「亡くなった方のマイナンバーカードの健康保険証の登録は自動で解除されますか。」

ただし、カードが止まることと保険の資格を抜くことは別ものです。同じ案内には、ご遺族の方等はお勤め先または市区町村の医療保険担当窓口を通じて、死亡による資格喪失の手続きを行うようにと明記されています。カードそのものの扱いは、マイナンバーカードの死亡時手続きの記事でも整理しています。

制度が変わったばかりで分かりにくいところですが、順番に見ていけば大丈夫ですよ。


返却先と期限は、加入していた保険で変わります

国民健康保険・後期高齢者医療・会社の健康保険で返却先が分かれることを示すイメージ
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国民健康保険の場合

市区町村の窓口が入口になります。国民健康保険の届出は、資格の取得や喪失、世帯主の変更など、いずれも原則14日以内と省令で定められています。そして届書には、その届出に係る資格確認書を添えなければならないとされています。つまり、返却は届出とセットで行うのが基本の形です。
(出典:厚生労働省法令等データベース「国民健康保険法施行規則」第2条・第10条の2・第13条・第15条

後期高齢者医療制度の場合

こちらもほぼ同じ形です。被保険者が資格を喪失したときは14日以内に届書を提出することとされ、資格確認書の交付を受けている場合は届書にそれを添えることになっています。
(出典:e-Gov法令検索「高齢者の医療の確保に関する法律施行規則」第26条・第27条

ただし、どちらの制度にも「届出の省略」という定めがあります。公簿等によって確認することができるときは、届出を省略させることができるというものです。死亡届が出ていれば喪失の届出は不要としている自治体もあるのは、このためです。実際の取扱いはお住まいの市区町村窓口にご確認ください。
(出典:高齢者の医療の確保に関する法律施行規則 第28条国民健康保険法施行規則 第13条第2項

会社の健康保険(協会けんぽ・健保組合)の場合

お勤めだった方は、ご遺族が直接持ち込むのではなく、勤務先の健康保険事務のご担当者を経由します。協会けんぽの案内では、事業所が資格喪失届と回収した資格確認書(有効期限内のもの)を提出するよう求められています。扶養に入っていたご家族の分も必要になります。
(出典:全国健康保険協会「健康保険証等の返却について(令和7年12月2日より)」

返さなくてよいもの・返しに行けないとき

一方で、従来の健康保険証、資格情報のお知らせ、有効期限が切れた資格確認書は返却不要で、ご自身で破棄してよいとされています。古い保険証が何枚出てきても、慌てて役所へ持って行く必要はありません。こちらも同じ協会けんぽの案内に記載があります。

この扱いには経緯があります。総務省行政評価局は令和3年4月、有効期限切れの被保険者証等を保険者に返却せず自身で破棄しても差し支えないよう関係法令を見直すべきだと、厚生労働省にあっせんを行いました。その根拠として示された四国行政評価支局の調査では、被保険者自身での破棄を認めていたのは95市町村中84市町村(88.4%)と4広域連合すべてでした。返却を求めていた市町村でも、厳格な回収は行っていないとされています。
(出典:総務省行政評価局「有効期限切れとなった国民健康保険被保険者証等の処分方法について(あっせん)」令和3年4月28日

返しそびれていたからといって責められるようなことにはなりませんので、その点はご安心ください。


申請しないともらえない葬祭費・埋葬料

葬祭費と埋葬料の申請手続きをイメージした写真

国民健康保険・後期高齢者医療の「葬祭費」

ここが最も見落とされやすいところです。国民健康保険法には、被保険者の死亡に関しては条例または規約の定めるところにより葬祭費の支給または葬祭の給付を行うものとする、と定められています。
(出典:厚生労働省法令等データベース「国民健康保険法」第58条

後期高齢者医療制度にも同じ仕組みがあり、こちらも条例の定めるところにより葬祭費の支給または葬祭の給付を行うものとするとされています。
(出典:e-Gov法令検索「高齢者の医療の確保に関する法律」第86条

お気づきかもしれませんが、どちらにも金額が書かれていません。葬祭費の金額は各自治体の条例で決まるためです。厚生労働省が示している国民健康保険条例参考例でも、該当条文は「葬祭費として、何円を支給する」という形になっており、金額の欄が空けてあります。ですから「全国いくら」とは言えないのです。実際の金額は、お住まいの市区町村窓口にご確認ください。
(出典:厚生労働省「国民健康保険条例参考例」第9条

会社の健康保険の「埋葬料」

故人が会社員だった場合は、葬祭費ではなく埋葬料という名前になります。こちらは金額が決まっていて、被保険者により生計を維持されていた方が申請すると埋葬料として50,000円が支給されます。生計維持関係にない方が実際に埋葬を行った場合は、50,000円の範囲内で実際にかかった費用が「埋葬費」として支給されます。
(出典:全国健康保険協会「埋葬料・埋葬費」

意外と知られていないのですが、退職後に亡くなった場合でも対象になることがあります。被保険者だった方が資格喪失後3か月以内に亡くなったときは、資格喪失前の被保険者期間の長さを問わず支給されると案内されています。同じ出典に記載があります。

期限は2年。ここだけは押さえてください

どの制度でも、給付を受ける権利は2年で時効になります。国民健康保険法では保険給付を受ける権利は行使できる時から2年、後期高齢者医療でも後期高齢者医療給付を受ける権利は行使できる時から2年を経過したときに時効消滅すると定められています。
(出典:厚生労働省法令等データベース「国民健康保険法」第110条e-Gov法令検索「高齢者の医療の確保に関する法律」第160条

会社の健康保険も同じ2年です。起算日が明確に示されていて、埋葬料と家族埋葬料は死亡年月日の翌日から、埋葬費は埋葬年月日の翌日から数えます。
(出典:全国健康保険協会「健康保険埋葬料(費)支給申請書」申請期限

葬祭費と埋葬料は、両方は受け取れません

最後にひとつ注意点を。国民健康保険条例参考例には、同一の死亡につき健康保険法や高齢者医療確保法の規定によって相当する給付を受けることができる場合には、葬祭費の支給は行わないと書かれています。どちらか一方、という整理です。
(出典:厚生労働省「国民健康保険条例参考例」第9条第2項

返す手続きばかりに気を取られて、受け取れるはずのものを逃してしまうのはもったいないことです。


相談窓口・次のアクション

市区町村の窓口で死亡後の保険手続きを相談するイメージ

加入していた保険で聞く先が変わります

国民健康保険と後期高齢者医療はお住まいの市区町村の保険担当窓口、会社の健康保険は勤務先または加入していた健康保険組合・協会けんぽが窓口です。故人の保険がどれだったか分からないときは、まず市区町村に相談すれば整理を手伝ってもらえます。

お住まいの自治体でも、亡くなった後の手続きをまとめた冊子やチェックリストを配っていることが多いので、窓口で尋ねてみてください。担当の方が該当するものを一つずつ確認してくれますので、難しく考えなくて大丈夫ですよ。


まとめ|健康保険証の死亡後の手続き 5つのポイント

返すもの、返さなくてよいもの、そして受け取れるもの。この三つが分かっていれば、取りこぼしはまず起きません。


📞 まずはお住まいの窓口へご相談ください

資格喪失の届出も葬祭費の申請も、加入していた保険によって窓口が分かれます。国民健康保険・後期高齢者医療はお住まいの市区町村の保険担当課、会社の健康保険は勤務先または加入先の健康保険組合・協会けんぽへ。葬祭費の金額と必要書類は自治体ごとに異なりますので、事前に電話で確認しておくと一度の来庁で終わります。

埋葬料の支給要件を確認する(協会けんぽ)
マイナ保険証の扱いを確認する(マイナポータル)

分からないことは、遠慮なく窓口で聞いてみましょう。

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