生活保護を受けている人の終活

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「親が生活保護だけど葬儀費用はもらえるの?」
「生活保護には色んな扶助があるって聞いたけど?」

など、ひと口に生活保護といっても様々な疑問を抱かれる人は多いです。

この記事では生活保護受給者(生活保護を受けている人)と終活にスポットをあてています。

是非最後までお読みください。

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生活保護の終活とは

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まず生活保護とは何か、ウィキペディア(Wikipedia)では以下のように書かれています。

経済的に困窮する国民に対して、国や自治体が、健康で文化的な最低限度の生活を保障する公的扶助制度である。

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

簡単にいうと経済的に生活が苦しい人に対して国が最低限の生活保障をしてくれる制度となります。

生活保護を受けている人は2018年の時点で約210万人とされており、日本人の約50人に1人が生活保護を受け取っている計算になります。
これから高齢化社会が進むにつれて更に生活保護を受ける人が増えるとされています。

今回はそんな「生活保護を受けている人の終活」について書いていきます。

生活保護の受給者には様々な保障や、それに伴う制限があります。
そのため、終活をする場合も生活保護受給者特有の項目がいくつかあります。

生活保護を受けている人の終活では、特に以下のことを意識する必要があるでしょう。

・葬儀
・遺品整理
・相続
・医療
・介護
・老人ホーム

以下でひとつずつ紹介していきます。

 

生活保護受給者の葬儀

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終活といえば最初に葬儀のことを思い浮かべる人も多いと思います。

一般的に葬儀費用は高額な金額がかかります。
経済的に余裕がない生活保護を受け取っている方からすると将来の悩みの種かと思われます。

「そもそも生活保護者は葬儀ができるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
結論からいうと、生活保護の受給者でも葬儀を行うことは可能です。

この項目では生活保護受給者の葬儀について説明します。

 

葬祭扶助制度

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生活保護を受けている方など経済的に困っている人が葬儀をする場合、自治体から葬儀費用を支給してもらうことが可能です。
これを「葬祭扶助制度(そうさいふじょせいど)」といいます。

葬祭扶助制度を受けるには以下の二つの条件のうち、どちらかを満たす必要があります。

葬祭扶助制度の条件1.遺族が生活保護受給者で生活が苦しい場合
2.故人に身寄りがおらず、遺族以外の方が葬儀の手配をする場合

1のケースは生活保護を受けている状況で両親などが亡くなり、自身が葬儀を執り行う「施主(せしゅ)」となった場合に利用することができるという意味です。
役所によって故人や遺族の収入状況を元に葬祭扶助制度が利用可能か審査してもらい、許可された場合に利用が可能です。

葬儀を執り行う遺族が生活保護受給者だったとしても、故人に葬儀を執り行う事ができる程度の遺産がある場合は葬祭扶助制度は利用できません。
また、故人が生活保護を受けていた場合でも、遺族に葬儀費用を支払える収入がある場合には葬祭扶助を受けることはできません。
つまり、葬祭扶助制度は故人と遺族が揃って生活保護を受けていたりと経済的に困っている場合のみ利用することが可能となります。

2のケースは、故人に身寄りがおらず遺族以外の方(例えば家主など)が葬儀の手配をする場合に葬祭扶養制度が利用可能になるという意味です。
この場合は故人が残した金品などから葬儀費用分を受け取ることもできます。
そのうえで、費用が足りない場合に不足分のみ支給される形となります。

 

葬祭扶養制度で支給される金額目安

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葬祭扶助制度によって支給される金額は正確には自治体により異なる場合もありますが、基本的には以下の金額が基準額となります。

故人が大人の場合故人が子供の場合
206,000円以内164,800円以内

葬祭扶助制度では以上の金額が支給されることになります。

「葬儀をするには足りなくない?」

そう思うかもしれませんが、葬祭扶助制度を利用した葬儀はこの金額で可能な範囲の葬儀内容を行うことになります。

そのため、自己負担は完全に0円です。

 

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生活保護葬

葬祭扶助制度を利用した生活保護者向けの葬儀は「生活保護葬」と呼ばれます。

この生活保護葬の内容は、直葬(ちょくそう)と呼ばれる非常にシンプルな葬儀となります。

直葬とは、お通夜や告別式を行わず火葬のみを行う葬儀です。
そのため葬祭扶助制度で支給される金額内で執り行うことができます。

生活保護葬の流れは以下のような流れとなります。

生活保護葬の流れ1.故人が亡くなられた場所から安置施設まで搬送
2.火葬の日まで故人を安置
3.故人を棺に納棺して、火葬場へ搬送
4.火葬を行い、遺骨を骨壷に納める

 

葬祭扶助制度の申請から葬儀までの流れ

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それでは、実際に葬祭扶養制度の申請から葬儀終了後までの流れを紹介します。

一般的には以下のような流れで行うことになります。

葬祭扶養制度の申請から葬儀までの流れ1.社会福祉事務所に申請する
2.葬祭扶助の申請が通った後に葬儀社に葬祭扶助を適用した葬儀を依頼
3.葬儀を行う
4.葬儀終了後に葬儀社から社会福祉事務所に費用請求
5.社会福祉事務所が葬儀費用を支払う

以上の流れとなります。
社会福祉事務所は申請する人の住民票がある地域の事務所に申請をしましょう。

注意点として、葬祭扶養制度は葬儀が開始する前に必ず申請をすることです。

葬儀を行った後に葬祭扶養制度を申請した場合、扶養制度の申請が通りません。
これは一度支払ってしまうと、葬儀を行える資金的余裕があるとみなされてしまうからです。

 

生活保護葬の注意点

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最後に、生活保護葬の注意点をいくつか紹介します。

・葬祭扶養制度の申請タイミング
・遺族の支払い能力について
・生活保護葬は最低限の内容のみ
・香典の受け取りについて
・葬儀社選びについて

ひとつずつ説明していきます。

 

葬祭扶養制度の申請タイミング

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繰り返しになりますが、葬祭扶養制度の申請は必ず葬儀開始前に行いましょう。

生活保護法というのは、誰からも援助もしてもらえず経済面で困っている人に対しての援助というのが前提です。

一時的にどうにか葬儀費用をかき集めた場合であっても、それは「支払い能力があった」と判断されてしまい葬祭扶養制度が通らなくなってしまいます。

 

遺族の支払い能力について

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故人が生活保護受給者だったとしても、遺族が葬儀費用を支払う能力があると判断された場合は葬祭扶養制度は利用できません。

葬祭扶助制度はあくまで、故人の遺産と遺族の支払い能力を合わせても葬儀を行う事ができかない方への制度となります。

そのため、生活保護者が亡くなったからといっても必ず無料で葬儀ができるわけではありません。

 

生活保護葬は最低限の内容のみ

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こちらも先ほどお話しましたが、生活保護葬は直葬といわれる最低限の内容のみの葬儀となります。

僧侶を招いたり、お通夜や告別式を行うことはできません。

また、葬祭扶助で支給される葬儀費用に追加して遺族がその他の葬儀費用を支払い告別式等を行うといったこともできません。

葬祭扶助はあくまでも必要最低限の葬儀費用も用意することができない方向けの制度です。
直葬以外の弔いをしてあげたい場合は、葬祭扶養制度を利用せずに葬儀を行いましょう。

 

香典の受け取りについて

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生活保護葬は告別式などは行わないので大勢の人を呼ぶことはありません。
ですが、他の場などでも知人から香典を貰う可能性はあるでしょう。

この場合、香典は受け取っても問題ありません。
香典は収入とみなされないため、葬祭扶養制度の適用に関しては関係ありませんのでご安心ください。

 

葬儀社選びについて

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通常の葬儀の場合も同じですが、葬儀社選びは慎重に行いましょう。

生活保護葬の場合は特に注意が必要で、葬儀社の中には葬祭扶助制度を利用した葬儀に不慣れな業者もあります。

そもそも葬祭扶助を利用した葬儀自体を受け付けていないというケースもありますので、葬儀社を利用する場合は事前に確認を取っておきましょう。

 

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生活保護受給者の生前整理

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生前整理とは簡単にいうと「自分が生きているうちに身辺整理を行うこと」です。

また、生前整理をおこなう目的は、自身の死後に残された遺族が遺品整理や財産相続で困ったり揉めたりしないようにするためです。
生活保護者の場合は上記に加えて、更に生前整理をするべき理由があります。

その理由とは「生活保護法は生きている間しか適用がされないから」です。

行政による費用負担原則、行政は生活保護を受けていた方が亡くなると遺品整理の支援をすることができません。
生きてる間であれば支援が受けられる形になっています。
生活保護者が生前整理の業者に依頼するお金もままならないというのを踏まえ、行政が面倒を見るわけです。
生前整理業者に依頼する費用の負担を行政がしてくれますが、その費用の一部または全額かどうかは市区町村によって異なります。
また、必要書類等や手続きも各市区町村によって違いがあります。

できるだけ生前のうちに整理するのが好ましいと考えられます。
※上記の通り手続きや必要書類が市区町村で異なるため、管轄の役所・役場で確認するとよいでしょう

 

生活保護受給者の相続

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「生活保護を受けている人が相続財産をもらったら生活保護は打ち切りになるの?」

こうした疑問は実際に生活保護を受けていると気になるところだと思います。
結論からいうと、相続する財産によって生活保護が「停止」または「廃止」となります。

そもそも生活保護とは「国民の最低限の生活を保障する制度」です。

生活保護法第26条
(保護の停止及び廃止)
第二十六条 保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなつたときは、速やかに、保護の停止又は廃止を決定し、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。
第二十八条第五項又は第六十二条第三項の規定により保護の停止又は廃止をするときも、同様とする。

出典:コトバンク

簡単にいうと、生活保護受給者に最低生活費を超える収入があると判断された場合、生活保護法によって打ち切られることになります。
「第二十八条第五項又は…」の条文内容をわかりやすくいうと、相続財産(収入)があったのに報告しない・嘘の報告・調査を拒むなど行った場合、生活保護が廃止または停止されるということです。

以下、わかりやすく表にしてみました。

区分該当条件
生活保護が停止となる相続した財産の金額が「当面は生活できるけど、また生活保護受給に頼るだろう」と判断された時に生活保護が停止されます。
※基本的には一定期間(半年以内)生活保護の必要がないと認められた場合に停止
生活保護が廃止される生活保護受給費の半年分以上の財産を得た時に、生活保護が廃止になります。

上記表のように、相続財産の金額によって停止または廃止される流れになります。

相続財産があったことを申告しない場合どうなる?
「相続財産を得ても申告しなければ特にバレることもない、黙っていればわからないんじゃないのか?」
そう考える方も中にはいるかもしれません。
前述した「調査を拒むなど行った場合」というのは、住まいに調査員が来た時に拒否する等です。
申告しないまま万一「財産を得た・収入があった」ということが明るみになった場合、生活保護の廃止だけではなく、これまでの受給分に利息を上乗せした金額で請求されてしまうことになります。

生活保護を受けている方が財産を相続する相続人となった場合、お住まいの地域の福祉事務所の生活保護担当者生活保護ケースワーカー・ケアワーカー)に相談するのがよいでしょう。

故人が生活保護者の場合亡くなった方が生活保護を受けていた場合でも、まずは生活保護担当者の方へ連絡を入れるようにするのが好ましいです。

ちなみに、相続財産が借金だけの場合だとしても相続人に承継されることになります。

ですが、生活保護を受けていない方同様に相続放棄することもできます。

相続放棄の場合は3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行わなければいけない等、何かと注意が必要です。
相続放棄について詳しくは下記事でまとめていますので、参考にしていただければと思います。

相続放棄をもっと詳しく

 

生活保護受給者の医療

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生活保護法に基づいて、生活保護受給者に対する医療の給付を行う制度があります。
それが医療扶助です。

生活保護を受けている人は、国民健康保険や後期高齢者医療制度が適用除外となります。
その代わりに医療扶助があるわけです。

医療扶助は、各市区町村の福祉事務所が生活保護法に基づく指定を受けた医療機関に委託して行われる仕組みとなっています。

・診察
・投薬や手術
・病院や診療所への入院
・看護

など、医療扶助は医療保険の給付内容とほぼ変わりはありません。

簡単にいうと「原則、医療費は自己負担ゼロ」となります。
薬の処方から入院や手術まで国が4分の3を負担、残りを各市区町村が負担するというものです。

「原則、全額負担」について障害者総合支援法や母子健康法などが適用される場合などは、各制度で給付されない部分を医療扶助で給付してもらう形になります。

 

医療扶助を受けるためには、福祉事務所に申請する必要があります。

簡単に流れを説明すると、以下のようになっています。

医療を受けるために、生活保護を受けている人(以下、申請人)自身で福祉事務所に申請
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福祉事務所が申請人に対し、「医療要否意見書」を発行
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申請人が指定医療機関で医療要否意見書に記入を行ってもらい、福祉事務所に提出
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福祉事務所が障害者総合支援法など他の法律適用の確認を行い、申請人の生活の状況等を総合的に判断して医療扶助の決定を行う

医療扶助は指定医療機関での受診に対象範囲が限られます。
「指定医療機関での受診が必要」この点が国民健康保険との違いといえるでしょう。

※指定医療機関外で受診した場合は全額自己負担となってしまうため、注意が必要です

 

生活保護受給者の介護

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生活介護を受けている人が介護サービスを利用する場合、介護扶助が適用されます。

介護扶助とは、

・通所介護(デイサービス)
・訪問介護
・福祉器具の貸し出し
・バリアフリー工事(手すり取り付け)

など、介護サービスや住宅改修費用の自己負担がゼロで済むという制度です。
ただし自己負担ゼロは以下表の通り、介護保険の第1号被保険者(65歳以上の人)・第2号被保険者(40歳以上65歳未満)以外の人の場合です。

区分費用負担割合
介護保険の第1号被保険者(65歳以上の人)
介護保険の第2号被保険者(40歳以上65歳未満)
介護扶助:1割
介護保険給付:9割
介護保険者以外の場合自己負担ゼロ(全額医療扶助にて負担)

※介護サービスまたは介護保険適用外のサービスにおいて、要介護度に応じた限度額超過分は全額自己負担となります

介護扶助を受けるためには、お住まいの地域を管轄する福祉事務所に申請します。

急迫した状況(切羽詰った状況)の場合、申請がなくても介護扶助を受けることができるとされていますので、いずれにしても介護扶助の申請についてはお住まいの地域を管轄する福祉事務所へ問い合わせするとよいでしょう。

 

生活保護受給者の老人ホーム

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生活保護でも入居できる老人ホームはあります。
その最優先としてよく挙がっているのが「特養」と呼ばれる特別養護老人ホームです。

生活保護受給者や低所得者など、入居一時金など初期費用がかかる有料老人ホームなどへの入居が困難な方向けの支援として、費用の軽減処置が行われています。

一般的には特養が第一候補で、入居待ちで直ぐに入居ができない場合は民間の有料老人ホームが第二候補に挙げられているようです。

生活保護受給者に支給される家賃扶助や生活扶助は、お住まいの市区町村によって金額が異なる可能性があります。

あくまで参考ですが、単身者の場合で家賃扶助の上限が50,000円台、生活扶助で上限7~80,000円位です。
※担当のケアワーカーやケースワーカー・支給を行っている自治体に確認するとよいでしょう

老人ホームについて詳しく

 

まとめ

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生活保護を受けている人の終活について紹介しました。
ただ、本当に生活が困窮している人は正直終活どころではないと思います。

あくまで今回の記事は終活における一つの知識として、または

「もしも自身が生活保護を受ける立場になったら」
「生活保護受給者になった方が身内にいる」

このような場合に本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

生活保護のことについて困ったら
生活保護のことについて困ったら、相談や申請の窓口は現在お住まいの地域を所轄する福祉事務所の生活保護担当を頼るとよいでしょう。

※申請に関して、福祉事務所の設置がない市区町村にお住まいの場合は、役所・役場でも生活保護の申請手続きを行うことができます

今回は生活保護を受けている人の終活についてでしたが、あわせて下記事も是非お読みになっていただければと思います。
子供がいない・高齢で独り身の方などの終活にスポットをあてています。

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