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世の中には様々な家族・家庭があります。
「親子・兄弟姉妹の縁を切りたいから絶縁状を送る」
一般的に考えると、おだやかではありません。
絶縁状を相手に送ったからといって、法的に関係が切れるものなのでしょうか?
今回は絶縁の意味や絶縁状の法的効力、そして終活として絶縁状を送る意味について迫りたいと思います。
絶縁状とは?
「そもそも、絶縁状って何?」
という方もいると思いますので、まずはじめに「絶縁状」について解説したいと思います。
辞典・百科事典の検索サービスWeblio辞書では、絶縁状について以下のように記述されています。
縁を絶つことを通告する手紙。
出典:Weblio辞書
「縁を絶つ」とは「付き合いを絶つ」「関係を絶つ」ということを表しています。
ちなみにウィキペディア(Wikipedia)では絶縁状の項目はありません(2019年9月現在)が、「絶縁(人間関係)」として記述があり、以下のように書かれています。
人間関係における絶縁(ぜつえん)とは、交友関係、師弟関係などの付き合いを絶つことをいう。
絶交(ぜっこう)ともいう。
親子関係であれば勘当ともいう。
絶縁とは交友関係や師弟関係にあたる付き合いを絶つことだというのがわかります。
絶交と聞いて学生時代を思い出す方もいるんじゃないでしょうか。
勘当については「親に勘当された」なんてドラマのシーンでもあったりします。
絶縁状の意味とまとめると
絶縁状とは、交友関係や師弟関係にあたる付き合いを絶つことを知らせる手紙
と解釈できるんじゃないかと思います。
絶縁状の法的効力
絶縁状は法的効力があるのでしょうか?
結論からいうと、絶縁状は法的効力がありません。
シングルマザーの方にあるケース
離婚を経験したシングルマザーの方で、中には「離婚したけど絶縁状を元夫に送って完全に縁を切りたい」と考える方もいるようです。
ただ、離婚が成立した時点で法的には他人となります。
そのため、法的における「縁を切る」は離婚成立時に確立されます。
親子間や兄弟姉妹間で「絶縁状を送った・届いた」といった事例が実際にはありますが、法的に親族の関係を切るということはできません。
現行の法律では戸籍上で親子の縁を切るということになるのは特別養子縁組のケースだけです。
一例をいうと、養子となる子が6歳以下で実親が虐待・育児放棄で「養育する能力がない」と認められる場合など。
※成立の要件は他にもあります
「じゃあ絶縁状は何も意味がないの?」
そう感じる方は多いと思います。
絶縁状を作成して、今後の一切の連絡や交流を断絶、事実上関係を断つという絶縁状態にすることは可能だと思います。
ただ、上に書いたように法律上の縁は切れません。
つまり法律上では「絶縁状は何も意味がない」と結論づけることができるんじゃないでしょうか。
絶縁状の意味は「交友関係や師弟関係にあたる付き合いを絶つことを知らせる手紙」ではあるものの、法的な観点で見ると
「付き合いを絶つことを知らせた」
それだけになってしまいます。
たとえ内容証明郵便で絶縁状を送ったとしても法的な効果はありません。
ただ、内容証明郵便を受け取った側は良い気はしないはずです。
内容証明郵便とは
誰が誰宛に、いつ(日付)、どんな内容の手紙を出したのかを郵便局が公的に証明してくれる郵便
絶縁状を内容証明郵便で受け取ると、少なからず精神的ダメージや精神的に苦痛を感じたりすると思います。
・相手方に送ることで気持ちがスッキリする
・精神的にダメージを与えたい
・法的に効力がなくても書面として形に残したい
など、親族間の絶縁状に関する内情は様々です。
ここで絶縁状の書き方や例文を紹介したいところですが、終活.comが大切な親族間の関係性に入り込むようなことは建設的ではないと考えています。
たとえ法的効力がなくとも、絶縁状はあまり好ましいものではないと思います。
その理由は次の項目で触れています。
もしも絶縁状を書く時は要注意
親子関係があまり上手くいってない人の中でも「絶縁状なんて出してもないけど、もうずっと連絡も取ってないし顔も合わせてない」という事実上の絶縁状態は実際にあるようです。
絶縁したい側の心理として「何かしなければ気が済まない」というのが抑えきれない時に、絶縁状を書いて送るという行動を取るのだと思います。
ただ、もしも絶縁状を書くとなった際、ひたすら自身の感情をストレートに文章にしてしまうのはとてもリスクがあります。
なぜなら、絶縁状には縁を切るという法的効果はありませんが
様々な法律に抵触する可能性が生じてしまうことになりかねないからです。
どんな法律に抵触する可能性があるのか?
最も多いのは脅迫罪です。
脅迫罪(刑法第222条)
絶縁状の本文内に「絶対に許さない。もし今後顔を合わせることがあったら〇〇してやる」といったストレートな表現など、人の命や財産・身体・名誉・自由に対して害悪する告知を行うとみなされた場合は脅迫罪になりかねません。
※相手側が恐怖心を感じるかどうかは関係ありません
縁を切りたいという理由には相手側への憎悪の気持ちが多いといわれています。
加えて絶縁状を書く際、「今後二度と会うこともない」という気持ちが憎悪の気持ちを助長し、ひたすら感情に任せた言葉を綴ってしまうケースが多いようです。
弊害やトラブルの種かもしれないと考えると、絶縁状はあまり好ましいものではないと考えられます。
終活で絶縁状を送る意味
絶縁状や絶縁とはどんな意味なのかは理解していただけたかと思います。
ここからは「終活として絶縁状を送る意味」について掘り下げていきたいと思います。
「終活」「絶縁状」と聞いて、「終活年賀状」をイメージされる方もいるんじゃないでしょうか。
終活年賀状は絶縁状ではない
終活年賀状とは?
「来年から年賀状を辞退します」という内容の言葉を添えた年賀状のこと
終活年賀状は主に高齢の方が自身の身体的な都合など終活の一環として、「年賀状は今後辞退します」ということを伝えるものです。
決して絶縁状ではありません。
「高齢で仕方なくということなら納得できる」
という方は割と多いようですが、例えば50歳以下の方からの終活年賀状の場合は
「絶縁状に感じてしまう」
という方もいらっしゃるようです。
「高齢による理由」として相手に受け入れてもらう形が、終活年賀状における自然な形だと思います。
受け取る側の方に対して「これは縁を切られてしまったのでは…」と、新年早々悲しい気持ちにさせてしまわないためにも、終活年賀状を出す際はその文面に気を配るようにしなければなりません。
終活年賀状の文例については下の記事でまとめていますので、別途参考にしていただければと思います。
終活で絶縁状を送る意味
終活年賀状は絶縁状ではないということをわかっていただけたかと思います。
では、今回の本題である「終活として絶縁状を送る意味」とは何なのか?
親子間のわだかまりというのは様々なケースがあります。
口頭や絶縁状をもって「絶縁する!勘当だ!」と親から子へ伝えても、ほどなくして元通りの親子関係に戻ったり数年で修復されたり、10年20年と長い年月ずっと絶縁状態にある家族もいます。
ただ、どんなに絶縁状態が続こうとも、前述したように親子の縁が切れることにはなりません。
そもそも、親子間で絶縁状を送るというのは相当なことがない限り一般的ではありません。
一時的に親が子に対して勘当にあたるような感情を持つことはあるかもしれませんが、心の底から子を憎む親はいないのではないかと思います。
しかし、残念なことに中には例外もあります。
親が亡くなると、子に親の財産が相続されるのが一般的です。
いわゆる「遺産相続」です。
ですが、親が子から「普通ではない」仕打ちを受けていたり、身の危険にさらされている状態にあるとしたら?
親の立場としてはとても悲しいものであり、非常に頭を抱える問題だと思います。
もし、そういったケースの場合、親は子に対して自身の死後に
「財産を与えない」
と考えてしまうことがあるかもしれません。
実際にそう考えて行動した方もいます。
何とも悲しく感じてしまいますが、これが「終活として絶縁状を送る意味」だと見解しています。
でも、「子に財産を与えない」なんてどうやって?
と、疑問に感じる方は多いかと思います。
それは「相続廃除(そうぞくはいじょ)」という制度を使うことになります。
この「相続廃除」は、絶縁状態の家族がいる場合の終活に大いに関係するものだと見解しています。
この続きは【絶縁状態の家族がいる場合の終活は何をするべき?】にて詳しく書いていますので、ぜひ続けてお読みください。
・親子や兄弟姉妹間で絶縁状のやり取りがあったとしても、法律上は関係を切ることができない
・「終活として絶縁状を送る意味」とは「相続廃除」をすることを指すのではないかと考えられる