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「親子の縁を切りたい」「兄弟とはもう関わりたくない」。そう思って絶縁状を検討される方は少なくありません。けれども最初にお伝えしなければならないことがあります。絶縁状に法的な効力はなく、親子や兄弟姉妹の関係を法律上切ることはできません。では書く意味がないのかというと、そうではありません。この記事では、絶縁状で何ができて何ができないのか、財産を渡したくない場合に本当に必要な手続きは何か、そして絶縁状が届いてしまった側はどうすればよいのかを整理します。
結論
- 絶縁状に法的効力はない。親子・兄弟の関係は書面で切れない
- それでも意思をはっきり伝え、以後の連絡を断つ根拠を残すという実務的な意味はある
- 財産を渡したくないなら、必要なのは絶縁状ではなく遺言書
- 兄弟姉妹には遺留分がない。遺言書だけで渡さないことができる
- 子や親に渡したくない場合は相続廃除という別の制度がある(要件は厳しい)
- 届いた側は返事を急がない。相続に関わる話なら期限だけ確認する
目次
- 絶縁状とは何か、法的効力はあるのか
- 法律上、親族関係は切れるのかどうか
- それでも書く意味はどこにあるのか
- 書き方の型(兄弟向け・親子向け)と、詳しい例文への進み方
- 財産を渡したくない場合に本当に必要な手続き
- 相続廃除・相続放棄・遺言書の違い
- 絶縁したまま迎える終活で困ること
- 絶縁状が届いた側の対処法
- 相談できる公的な窓口
絶縁状とは?意味と基本をまず確認
絶縁状とは、相手との関係を断ちたいという意思を書面で伝えるものです。法律で定められた書式や制度ではなく、あくまで手紙の一種です。
| 絶縁状 | |
|---|---|
| 法律上の制度か | いいえ。法律に定めのある書面ではない |
| 決まった書式 | ない |
| できること | 意思を明確に伝える。伝えた事実と日付を残す |
| できないこと | 親族関係を消す。扶養義務をなくす。相続権をなくす |
| 相手の同意 | 不要(一方的に送るもの) |
| 受け取った側の義務 | 返事をする義務はない |
最初に整理しておくべきこと
絶縁状に期待されがちなのは「これで縁が切れる」という効果です。ところがそれは実現しません。絶縁状ができるのは「意思を伝えること」だけです。財産、扶養、死後の手続き。実務的な問題を解決したいのであれば、それぞれ別の手段が必要になります。この記事の後半で、その対応関係を表にまとめています。
絶縁状という言葉が使われる4つの場面
| 場面 | 書き手の目的 | 本当に必要な手段 |
|---|---|---|
| 親から子へ | 金銭の無心や暴言をやめさせたい | 連絡拒絶の意思表示+遺言書 |
| 子から親へ | 介入をやめてほしい、関わりたくない | 連絡拒絶の意思表示 |
| 兄弟姉妹の間 | 相続や介護の押し付けから離れたい | 遺言書(自分の相続対策として) |
| 親族全般 | 今後の冠婚葬祭の付き合いをやめたい | 手紙で十分。絶縁状という体裁は不要 |
4つ目のように、付き合いをやめたいだけであれば「絶縁状」という強い体裁を取る必要はありません。かえって関係をこじらせることがあります。目的が何なのかを、書く前に一度整理してください。
絶縁状の法的効力|「縁が切れる」は誤解です
ここが最も重要な点です。絶縁状を送っても、法律上の親族関係は一切変わりません。
| 絶縁状で消えると思われがちなもの | 実際は |
|---|---|
| 親子・兄弟という戸籍上の関係 | 消えない |
| 相続人としての地位 | 消えない |
| 遺留分(子・親の場合) | 消えない |
| 扶養義務 | 消えない |
| 死亡時に連絡が来る可能性 | 消えない |
| 身元引受を求められる可能性 | 消えない |
扶養義務は書面では消せません
民法では、直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養をする義務があると定められています。絶縁状を出しても、この義務がなくなるわけではありません。ただし扶養の程度や方法は、当事者の話し合い、まとまらなければ家庭裁判所が事情を考慮して定めるとされています。長年の絶縁の経緯が、まったく考慮されないわけではありません。実際に扶養を求められて困っている場合は、家庭裁判所や弁護士にご相談ください。
親子・兄弟の関係は法律上どうやっても切れない

| 関係 | 解消できるか | 方法 |
|---|---|---|
| 夫婦 | できる | 離婚 |
| 養親子 | できる | 養子縁組の解消(離縁) |
| 実の親子 | できない | 方法がない |
| 実の兄弟姉妹 | できない | 方法がない |
| 姻族(配偶者の親族) | できる | 配偶者の死亡後に姻族関係終了届を出す |
「血のつながり」だけは制度上どうにもならない
夫婦は離婚でき、養子縁組は解消でき、配偶者の親族との関係も終了届で切れます。ところが実の親子と実の兄弟姉妹だけは、制度上まったく切る方法がありません。だからこそ「絶縁状」という、法律の外側にある手段が使われてきました。効力ではなく、気持ちの区切りとして存在してきた文書だと理解しておくのが正確です。
それでも絶縁状に意味がある3つの理由
- 意思がはっきり伝わる口頭で「もう連絡しないで」と言っても、そのときの感情だと受け取られます。書面にすると「これは一時的なものではない」という重みが出ます。
- 伝えた事実と日付が残るあとから「聞いていない」と言われることを防げます。とくに金銭の要求や繰り返しの接触がある場合、いつ拒絶の意思を伝えたかという記録は意味を持ちます。
- 自分の中で区切りをつけられるこれがいちばん実質的かもしれません。書いて出すという行為そのものが、「もう考えなくてよい」という許可を自分に出すことになります。
送らなくてもよいのです
書いてみたけれど送らなかった、という方もいます。それでも意味はあります。言いたかったことを言葉にした時点で、整理は進んでいるからです。送るかどうかは、書き終えてから決めてください。
絶縁状を送る前に考えたい5つの確認
- 目的は何か。連絡を止めたいのか、財産を渡したくないのか、気持ちの区切りか
- 財産の問題なら、絶縁状ではなく遺言書が必要だと理解しているか
- 相手が逆上する危険はないか。身の安全に不安があるなら送る前に警察へ相談する
- 同居や生活費のやりとりがある場合、先に生活の基盤を確保できているか
- 他の家族(配偶者・子)に影響が及ばないか
危険を感じている場合は、順番が違います
暴力や脅しを受けている、つきまとわれている。そうした状況であれば、絶縁状より先に警察や配偶者暴力相談支援センター、市区町村の相談窓口へご相談ください。絶縁状は相手を刺激することがあります。安全の確保が先です。
絶縁状の書き方|兄弟向けテンプレート・例文
兄弟姉妹に宛てる場合の型です。短く、事実だけを書き、感情的な非難を並べないのが基本です。
兄弟向け|構成の型
①宛名
②これまでの経緯を1〜2行だけ(詳しく書かない)
③今後は連絡・訪問を控えてほしいという意思
④金銭の要求には応じないという意思(必要な場合)
⑤日付と署名
兄弟向け|文例
◯◯ ◯◯ 様
これまで何度も話し合いの機会を持ちましたが、状況は変わりませんでした。
残念ですが、今後は連絡および訪問をお控えいただきますようお願いいたします。
また、金銭に関するご依頼にはお応えできません。
令和◯年◯月◯日
◯◯ ◯◯
兄弟姉妹向けの詳しい例文集はこちらにあります
状況別の言い回し、相続に触れる場合の書き方、送り方まで含めた詳細は、専用の記事にまとめています。
→ 兄弟姉妹への絶縁状の書き方・例文集
絶縁状の書き方|親子向けテンプレート・例文
親子の場合は、兄弟以上に感情が入りやすくなります。だからこそ短く書いてください。長く書くほど、相手に反論の材料を与えます。
親子向け|構成の型
①宛名
②結論(今後は関わりを持たないという意思)
③理由は一行だけ。並べ立てない
④連絡・訪問を控えてほしいという依頼
⑤日付と署名
親子向け|文例
◯◯ ◯◯ 様
これまでのことを考えた結果、今後は関わりを持たずに生きていくことにしました。
連絡および訪問はお控えください。
このお願いは、一時的な気持ちによるものではありません。
令和◯年◯月◯日
◯◯ ◯◯
親向けの詳しい例文とテンプレートはこちらにあります
親から子へ/子から親へのそれぞれの文例、相続廃除との関係、送付方法までを詳しくまとめた記事があります。
→ 親への絶縁状の書き方・例文【無料テンプレート】相続廃除との関係も解説
書くときに避けたい表現
| 避けたい書き方 | なぜ避けるのか |
|---|---|
| 過去の出来事を延々と並べる | 反論の余地を与え、やりとりが続いてしまう |
| 相手の人格を否定する言葉 | 名誉毀損などを主張される余地を残す |
| 「法的措置を取る」と根拠なく書く | 実行しないと軽く見られる |
| 「相続は放棄させる」と書く | 相続放棄は本人しか選べない。強制できない |
| 「縁を切ったので相続権はない」と書く | 事実と違う。効力もない |
| 第三者(配偶者・子)を非難する | 関係のない人を巻き込む |
内容証明郵便で送るべきか
| 普通郵便 | 内容証明郵便 | |
|---|---|---|
| 残るもの | 何も残らない | いつ・どんな内容を出したかが記録される |
| 受け取り | ポストに投函 | 本人などが受け取る(配達証明を付ける場合) |
| 相手への印象 | 手紙として届く | 強い印象を与え、身構えさせる |
| 費用 | 安い | それなりにかかる |
| 向いている場面 | 気持ちを伝えたいだけ | 金銭要求の拒絶など、記録を残したいとき |
内容証明にしても法的効力が生まれるわけではありません
内容証明郵便が証明するのは「その内容の文書を、その日に差し出した」という事実だけです。書いた内容に法的な効果を与えるものではありません。絶縁状を内容証明で送っても、縁は切れません。金銭要求への拒絶など、あとで「言った・言わない」になりそうな場合に限って選んでください。
相続との関係|絶縁状だけでは財産を渡さないことはできません
ここが、終活として絶縁を考える方にとって最も重要な部分です。
| やりたいこと | 絶縁状で | 本当に必要な手段 |
|---|---|---|
| 相手に財産を渡したくない | できない | 遺言書(+場合により相続廃除) |
| 相手を相続人から外したい | できない | 相続廃除(家庭裁判所の審判が必要) |
| 自分が相続したくない | できない | 相続放棄(家庭裁判所へ3か月以内) |
| 連絡を断ちたい | 意思表示としてはできる | - |
| 葬儀に呼ばないでほしい | 書いても実現の保証はない | エンディングノート+死後事務委任契約 |
覚えていただきたいのは1行だけです
「渡したくないなら、絶縁状ではなく遺言書」。絶縁状を何通送っても、相続人としての地位は消えません。逆に、遺言書が1通あれば、財産の行き先を自分で決められます。順番を間違えないでください。
相続廃除という制度
特定の相続人を、相続人の地位から外す制度があります。これを相続廃除といいます。
| 対象になる人 | 遺留分を持つ推定相続人(配偶者・子・直系尊属) |
|---|---|
| 対象にならない人 | 兄弟姉妹(そもそも遺留分がないため、遺言書で足りる) |
| 要件 | 被相続人に対する虐待・重大な侮辱・その他の著しい非行があったこと |
| 手続き | 家庭裁判所に請求し、審判で認められる必要がある |
| 遺言でもできるか | できる。その場合は遺言執行者が家庭裁判所に請求する |
| 効果 | 相続人の地位を失う(遺留分も失う) |
| 取消し | 被相続人はいつでも廃除の取消しを請求できる |
相続廃除のハードルは高いと考えてください
「仲が悪い」「長年連絡がない」といった事情だけでは、通常認められません。虐待や重大な侮辱、著しい非行にあたる具体的な事実と、それを裏づける資料が必要です。認められなかった場合、その相続人は遺留分を持ったままです。検討する場合は必ず弁護士にご相談ください。
兄弟姉妹には遺留分がない|遺言書だけで足りる
相続の話でいちばん実務的に効くのが、この点です。
| 相続人 | 遺留分 | 渡したくない場合にやること |
|---|---|---|
| 配偶者 | あり | 遺言書+(必要なら)相続廃除の検討 |
| 子 | あり | 遺言書+(必要なら)相続廃除の検討 |
| 親(直系尊属) | あり | 遺言書+(必要なら)相続廃除の検討 |
| 兄弟姉妹 | なし | 遺言書だけで完全に対応できる |
兄弟と絶縁している方へ
兄弟姉妹には遺留分がありません。そのため「全財産を◯◯に相続させる」という遺言書を1通書いておけば、絶縁している兄弟姉妹に財産が渡ることはありません。絶縁状を送るより、こちらのほうが確実です。とくに子のいないご夫婦の場合、遺言書がなければ配偶者は絶縁中の兄弟姉妹と遺産分割協議をしなければなりません。ここは最優先で手を打つべきところです。
相続放棄との違い
| 相続放棄 | 相続廃除 | 絶縁状 | |
|---|---|---|---|
| 誰がするか | 相続人本人 | 被相続人(または遺言執行者) | 誰でも |
| いつするか | 相続開始を知ってから3か月以内 | 生前または遺言で | いつでも |
| どこへ | 家庭裁判所 | 家庭裁判所 | 相手に直接 |
| 効果 | はじめから相続人でなかったことになる | その人が相続人の地位を失う | 法的効果なし |
| 借金 | 引き継がなくて済む | - | - |
絶縁している親族が亡くなり、借金があるかもしれない。そういう場合に使うのが相続放棄です。期限は「自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月」。疎遠だったために死亡を後から知った場合は、知った時が起算点になります。
絶縁状態での生前整理|注意すべき法律上のポイント
| やること | 注意点 |
|---|---|
| 遺言書を作る | 最優先。公正証書遺言か、法務局の保管制度を使うと確実 |
| 財産目録を作る | どこに何があるかを一覧に。残高は不要 |
| 生前贈与を使う | 遺留分の計算に含まれる場合がある。税の扱いも要確認 |
| 不動産の名義を整理する | 相続登記の義務化(3年)にも関わる |
| デジタルの契約を洗い出す | 解約する人がいないと請求が続く |
| 連絡してほしくない人を書き残す | 法的効力はないが、実務上は尊重されやすい |
遺言書は「公正証書」か「法務局保管」を強くおすすめします
絶縁している相手がいる場合、遺言書の有効性そのものを争われる可能性があります。公正証書遺言なら公証人が関与し、法務局の保管制度なら形式のチェックを受けたうえで保管されます。自宅に置いた自筆の遺言書は、紛失や隠匿のおそれもあります。ここは費用と手間をかける価値があります。
絶縁している相手の死後事務・身元保証はどうなるか
絶縁したまま高齢期を迎えると、「頼れる親族がいない」という状態になります。ここが終活としての本題です。
| 場面 | 絶縁していると起きること | 備える方法 |
|---|---|---|
| 入院・入所の身元保証 | 頼める人がいない | 身元保証を行う事業者、成年後見、市区町村への相談 |
| 判断力が低下したとき | 手続きが止まる | 任意後見契約(公正証書で作る) |
| 亡くなった後の手続き | 誰も動けない | 死後事務委任契約 |
| 葬儀・納骨 | 絶縁した親族に連絡が行く可能性がある | 生前に契約と費用の手当てをしておく |
| 財産の行き先 | 絶縁した親族が相続する | 遺言書 |
| 相続人がいない場合 | 最終的に国庫に入ることがある | 遺言書で寄付先などを指定する |
絶縁していても、亡くなれば連絡が行くことがあります
病院や施設、自治体は、戸籍をたどって親族に連絡します。絶縁状を出していたかどうかは、この手続きには影響しません。「絶対に連絡してほしくない」という希望があるなら、死後事務委任契約で対応する人をあらかじめ決めておくのが唯一の実効的な方法です。
おひとりさま化する絶縁後の終活
- 遺言書を作る公正証書遺言か法務局保管の自筆証書遺言で。財産の行き先を決めます。
- 任意後見契約を結ぶ判断力が低下したときに支えてくれる人を、自分で決めておきます。公正証書で作ります。
- 死後事務委任契約を結ぶ葬儀・納骨・各種解約を誰に頼むかを決めます。費用の手当ても同時に。
- 財産目録と契約の一覧を作るどこに何があるか。これがないと、誰も動けません。
- 見守りの仕組みを持つ自治体の見守りサービス、地域包括支援センター、民間のサービスなど。
- 自治体の終活支援制度を確認する終活情報の登録制度を設けている自治体があります。
絶縁状が届いた側の方へ|受け取ったときの対処法
ここからは、絶縁状を受け取ってしまった方に向けた内容です。突然届くと、頭が真っ白になります。まず落ち着いて、次の順で確認してください。
- すぐに返事をしない感情のまま返信すると、たいてい事態が悪化します。数日置いて構いません。
- 原本を保管する封筒ごと残してください。日付と差出人が分かる状態で。
- 法的な効力がないことを知っておくこれで相続権を失ったり、親族関係が消えたりすることはありません。
- 相続や金銭に関する内容が含まれていないか確認する含まれている場合だけ、期限の確認が必要です。
- 期限のあるものだけ対応する相続放棄なら3か月、相続税なら10か月。それ以外は急ぎません。
- 必要なら専門家に相談する法テラスや市区町村の無料法律相談が使えます。
受け取った側が知っておくべき3つ
- 返事をする法的な義務はありません。無視しても不利益はありません
- 受け取った側の相続権は消えません。絶縁状にその効力はありません
- 扶養義務もなくなりません。ただし程度は事情を考慮して定められます
届いた絶縁状を無視するとどうなるか
| 心配されること | 実際は |
|---|---|
| 返事をしないと不利になる | なりません。返事の義務はありません |
| 相続権を失う | 失いません |
| 認めたことになる | 絶縁状は契約ではないので、承諾の問題は生じません |
| 裁判を起こされる | 絶縁状そのものを根拠に裁判はできません |
| 戸籍が変わる | 変わりません |
ただし、こういう場合だけは動いてください
絶縁状に「借金がある」「相続について◯日までに返答を」「遺産分割協議書に署名を」といった内容が含まれている場合は、別です。期限のある手続きが動いている可能性があります。この場合は、無視せず、内容を確認したうえで相談窓口へ持ち込んでください。
相談できる窓口
| 窓口 | 相談できること | 費用 |
|---|---|---|
| 法テラス(日本司法支援センター) | 法制度や相談先の情報提供。条件を満たせば無料法律相談 | 情報提供は無料 |
| 市区町村の無料法律相談 | 弁護士に直接相談できる(予約制のことが多い) | 無料 |
| 家庭裁判所の手続案内 | 相続放棄・相続廃除などの手続きの進め方 | 無料 |
| 法務局 | 自筆証書遺言書保管制度、相続登記の相談 | 制度により異なる |
| 公証役場 | 公正証書遺言・任意後見契約の作成 | 手数料がかかる |
| 地域包括支援センター | 高齢期の生活・見守り・後見の相談 | 無料 |
| 警察・自治体の相談窓口 | 暴力・つきまといなど身の危険があるとき | 無料 |
※ 受付時間や利用条件は窓口により異なります。まずはお住まいの市区町村のホームページでご確認ください。
絶縁状について多い疑問
- 絶縁状に法的効力はありますか。
- ありません。親子・兄弟姉妹という法律上の関係は、絶縁状では一切変わりません。相続権も扶養義務も残ります。できるのは「意思を伝えること」と「伝えた事実と日付を残すこと」だけです。
- 絶縁状を出せば相続させずに済みますか。
- 済みません。財産を渡したくないなら、必要なのは遺言書です。相手が兄弟姉妹なら、遺留分がないため遺言書だけで完全に対応できます。相手が子や親の場合は遺留分があるため、遺言書に加えて相続廃除を検討することになります。
- 相続廃除は簡単に認められますか。
- いいえ。虐待・重大な侮辱・その他の著しい非行があったことを、家庭裁判所に認めてもらう必要があります。「仲が悪い」「長年連絡がない」だけでは通常認められません。具体的な事実と資料が要ります。検討する場合は弁護士にご相談ください。
- 絶縁したら扶養義務はなくなりますか。
- なくなりません。民法上、直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養をする義務があります。ただし扶養の程度や方法は、話し合いで決まらなければ家庭裁判所が事情を考慮して定めるとされており、これまでの経緯がまったく考慮されないわけではありません。
- 内容証明郵便で送れば効力が出ますか。
- 出ません。内容証明が証明するのは「その内容の文書をその日に差し出した」という事実だけです。書いた内容に法的効果を与えるものではありません。金銭要求の拒絶など、記録を残したい場合に限って使ってください。
- 絶縁状はどう書けばよいですか。
- 短く、事実だけを書いてください。過去の出来事を並べると反論の材料になり、やりとりが続いてしまいます。宛名・結論・理由を一行・連絡を控えてほしいという依頼・日付と署名。これで十分です。状況別の詳しい例文は、親向け・兄弟姉妹向けそれぞれの記事にまとめています。
- 絶縁状が届きました。返事をしないといけませんか。
- 返事をする法的な義務はありません。無視しても不利益は生じず、相続権も失いません。ただし相続や金銭に関する内容、期限の指定が含まれている場合だけは、内容を確認して必要な対応をしてください。
- 絶縁している親が亡くなりました。借金が心配です。
- 相続放棄を検討してください。期限は「自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月」です。疎遠で死亡を後から知った場合は、知った時が起算点になります。家庭裁判所に申述します。調査に時間がかかる場合は、期間の伸長を申し立てられることがあります。
- 絶縁した相手に葬儀に来てほしくありません。
- エンディングノートに書いておくことはできますが、法的な効力はありません。確実にするなら、死後事務委任契約で葬儀を行う人をあらかじめ決め、費用も手当てしておく方法があります。病院や自治体は戸籍をたどって親族に連絡するため、事前の手当てがないと連絡が行く可能性が残ります。
- 絶縁して身寄りがなくなりました。何から始めればよいですか。
- 遺言書、任意後見契約、死後事務委任契約の3つです。財産の行き先、判断力が低下したときの支え、亡くなった後の手続き。この3つを押さえれば、大きな穴はふさげます。まずは公証役場や地域包括支援センターにご相談ください。
- 子のいない夫婦です。絶縁中の兄弟に財産が行きますか。
- 遺言書がなければ行きます。子がいない場合、相続人は配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹になり、配偶者は絶縁中の兄弟姉妹と遺産分割協議をしなければなりません。ただし兄弟姉妹には遺留分がないので、「全財産を配偶者に相続させる」という遺言書が1通あれば解決します。優先度は非常に高い準備です。
- 絶縁状を書いたけれど、出すか迷っています。
- 出さなくてもかまいません。書いた時点で気持ちの整理は進んでいます。また、相手が逆上する危険がある場合は、送ることでかえって状況が悪くなることもあります。身の安全に不安があるなら、送る前に警察や市区町村の相談窓口へご相談ください。
まとめ|絶縁状と終活・相続の5つのポイント
最後に、この記事の要点を5つに絞ります。
1つめ。絶縁状に法的効力はありません。親子・兄弟姉妹の関係は、書面では切れません。相続権も扶養義務も残ります。できるのは意思を伝えることと、その事実を記録に残すことだけです。
2つめ。それでも書く意味はあります。意思がはっきり伝わること、いつ拒絶したかという記録が残ること、そして自分の中で区切りをつけられること。この3つは実際に価値があります。書いても送らない、という選択もあります。
3つめ。財産を渡したくないなら、必要なのは遺言書です。絶縁状を何通送っても相続権は消えません。とくに兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言書1通で完全に対応できます。子や親が相手の場合は遺留分があるため、相続廃除という別の制度を弁護士と検討することになります。
4つめ。絶縁したあとの終活は、おひとりさまの終活になります。入院時の身元保証、判断力が低下したときの支え、亡くなった後の手続き。頼れる親族がいない前提で、遺言書・任意後見契約・死後事務委任契約の3つを準備してください。
5つめ。絶縁状が届いた側は、急がなくてよいということ。返事の義務はなく、相続権も失いません。ただし相続や金銭に関する内容、期限の指定が含まれている場合だけは確認してください。判断に迷ったら、法テラスや市区町村の無料法律相談が使えます。ひとりで抱えないでください。
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本記事は、編集部が民法をはじめとする法令および公的機関の公開情報をもとにまとめたものです。個別の事案について法的な助言を行うものではありません。相続廃除・相続放棄・遺言書の有効性・扶養義務の範囲などは、事情によって結論が大きく変わります。実際の手続きにあたっては、必ず弁護士・司法書士等の専門家、家庭裁判所の手続案内、法テラス、またはお住まいの市区町村の無料法律相談にご相談ください。掲載した文例は構成の型を示したものであり、そのまま使用した場合の効果や結果について保証するものではありません。相手方からの暴力・脅迫・つきまといがある場合は、書面を送る前に警察および自治体の相談窓口にご相談ください。

























