任意後見の費用|契約時の実費内訳と監督人・後見人報酬の目安表

本ページはプロモーションが含まれている場合があります。

任意後見の費用は、「契約するときにいくら」だけでは分かりません。実際に負担が大きいのは、始まってからずっと続く監督人の報酬のほうです。この記事では、契約時の実費の内訳、家庭裁判所へ申し立てるときの費用、そして開始後に毎月かかる報酬の目安を分けて整理し、10年続いた場合の総額の考え方まで示しました。「思っていたより続く」ことが、いちばん多い誤算です。

この記事の結論

  • 費用は①契約時 ②申し立て時 ③開始後の3つに分かれます
  • 契約時の実費は、公証役場の分だけならおおむね2万円前後です
  • いちばん大きいのは③。監督人の報酬は、後見が続くあいだずっとかかります
  • 報酬の額は家庭裁判所が決めます。自分では選べません
  • 任意後見人が家族の場合、無報酬にすることもできます
  • 監督人の報酬は、家族が後見人でも必ず発生します
  • 資力が乏しい場合、市区町村の助成制度が使える場合があります

この記事でわかること

  1. 費用が発生する3つの時点
  2. 全体像の一覧表
  3. 契約時の実費の内訳
  4. 出張してもらう場合
  5. 専門家に頼んだ場合
  6. 申し立て時の費用
  7. 開始後に続く費用
  8. 監督人の報酬の目安
  9. 10年続いた場合の試算
  10. 法定後見・家族信託との比較
  11. 費用を抑える5つの方法
  12. 助成制度
  13. 見落としやすい費用
  14. よくある質問12問

まず全体像|費用は3つの時点で発生します

時点主な内容1回きりか
①契約するとき公証役場の実費、専門家に頼めばその報酬1回きり
②申し立てるとき家庭裁判所の費用、診断書代、鑑定費用1回きり
③始まってから監督人の報酬、後見人の報酬ずっと続きます

見落とされるのは③です

相談の場で聞かれるのはほとんどが①の金額ですが、総額に効いてくるのは③です。任意後見が10年続けば、①の何十倍にもなります。検討するときは、「契約にいくらかかるか」ではなく「始まってから毎年いくらかかるか」で考えてください。

【一覧】任意後見にかかるお金の全体像

費目時点払う先誰が決めるか
公正証書の作成手数料契約時公証役場法令で定められています
登記の嘱託手数料契約時公証役場経由法令で定められています
登記の印紙代契約時公証役場経由法令で定められています
正本・謄本の作成手数料契約時公証役場枚数で変わります
専門家への報酬契約時弁護士・司法書士など事務所ごとに違います
申立手数料・登記手数料申し立て時家庭裁判所法令で定められています
郵便切手申し立て時家庭裁判所裁判所ごとに違います
診断書の作成料申し立て時医療機関医療機関が決めます
鑑定費用申し立て時家庭裁判所経由行われない場合もあります
任意後見監督人の報酬開始後・継続監督人家庭裁判所が決めます
任意後見人の報酬開始後・継続後見人契約で決めます

契約時にかかる実費内訳

公証役場で任意後見契約の公正証書を作るときにかかる実費は、法令で額が定められているものが中心です。おおよその内訳は次のとおりです。

費目目安備考
公正証書の作成手数料11,000円任意後見契約に定められた額です
法務局への登記嘱託手数料1,400円公証人が手続きします
登記の印紙代2,600円
正本・謄本の作成手数料1枚あたり250円ほど枚数によって変わります
書留郵便料実費登記の嘱託に使われます
合計の目安おおむね2万円前後枚数などで前後します

※ 上記は法令に基づく額を整理したものです。改定されることがあるため、最新の額は必ず公証役場でご確認ください。

契約するだけなら、思ったほど高くありません

公証役場に直接申し込み、自分で書類をそろえる場合、契約時の負担は2万円前後で収まります。これに戸籍謄本や住民票の発行手数料が数百円ずつ加わる程度です。高額になるのは、専門家に依頼した場合と、開始後の報酬です。

出張してもらう場合の加算

加算されるもの内容
手数料の加算通常の手数料に一定割合が上乗せされます
日当公証人の日当がかかります
交通費実費です

入院中や施設に入っている場合は、この方法しかありません。金額は距離と所要時間で変わるため、予約のときに「出張していただいた場合、いくらになりますか」と必ず確認してください。

専門家に依頼した場合の報酬

頼む内容報酬が発生するか考え方
契約内容の相談・案文づくり発生します事務所ごとに大きく異なります
書類の取り寄せ代行発生することがあります実費とは別です
公証役場との調整含まれることが多いです
受任者になってもらう開始後の報酬が別に発生します契約で定めます
申し立ての代行発生します別料金のことが多いです

「作成費用」と「後見人としての報酬」は別です

専門家に任意後見人を頼む場合、契約書を作る費用と、後見人になってからの報酬は、まったく別のものです。契約時の見積もりだけを見て判断すると、あとで驚くことになります。「後見が始まってからは、月にいくらになりますか」を必ず聞いてください。

見守り契約などを足すと、いくら増えるか

追加する契約契約時開始後・継続
見守り契約公正証書にすれば作成手数料月額または年額の費用が発生します
財産管理委任契約公正証書にすれば作成手数料管理料が発生します
死後事務委任契約作成手数料預託金を求められることがあります
公正証書遺言財産額に応じた手数料

見守り契約と財産管理委任契約は、任意後見が始まる前から費用が発生します。契約から開始まで10年あく場合、その10年ぶんが積み上がります。必要性とあわせて検討してください。

申し立て時にかかる費用

費目目安備考
申立手数料(収入印紙)800円法令で定められています
登記手数料(収入印紙)1,400円法令で定められています
郵便切手数千円裁判所によって組み合わせが違います
診断書の作成料数千円医療機関によって異なります
戸籍・住民票など各数百円
登記事項証明書数百円法務局で取得します
鑑定費用行われる場合、数万円〜十数万円裁判所が必要と判断したときです

※ 郵便切手の額と組み合わせ、必要書類は家庭裁判所により異なります。申し立て前に管轄の家庭裁判所へご確認ください。

鑑定が行われる場合

鑑定は、医師が本人の判断する力を詳しく調べる手続きです。必ず行われるわけではなく、診断書で足りると判断されれば省かれます。

項目内容
行われるか必要と判断された場合のみ
費用数万円から十数万円
払う人原則として申立人が納めます
期間1〜2か月かかることがあります
省ける場合診断書などで判断できるとき

開始後にかかる費用|ここがいちばん大きい

任意後見が始まると、2つの報酬が発生し得ます

ひとつは任意後見監督人の報酬。これは必ず発生します。もうひとつは任意後見人の報酬で、こちらは契約で定めた場合のみです。家族が後見人なら無報酬にできますが、監督人の報酬はどうしてもかかります。

任意後見監督人任意後見人
必ず発生するかします契約しだいです
誰が額を決めるか家庭裁判所契約で定めます
払う先選ばれた専門家など後見人
財源本人の財産です
いつまで後見が続くあいだ、ずっと

任意後見監督人の報酬の目安

報酬は家庭裁判所が、本人の財産の額や仕事の内容をふまえて決めます。裁判所が公表している目安として、次のような考え方が示されています。

管理する財産の額監督人の報酬の目安(月額)
おおむね5,000万円以下1万円〜2万円ほど
5,000万円を超える場合2万5千円〜3万円ほど

※ 東京家庭裁判所が公表している「報酬額のめやす」の考え方を整理したものです。実際の額は事案ごとに家庭裁判所が決定し、裁判所によっても異なります。

年単位で見ると印象が変わります

月1万円でも、1年で12万円、10年で120万円です。月2万円なら10年で240万円になります。「月◯万円」ではなく「10年でいくらか」で見てください。後見は本人が亡くなるまで続くため、開始が早いほど総額は大きくなります。

後見人報酬はどうなるか|家族なら無報酬にもできます

受任者報酬の決め方実際の傾向
子・配偶者などの家族契約で自由に決められます無報酬とすることが多いです
親族(同居していない)契約で決めます少額を定めることがあります
弁護士・司法書士など報酬を定めるのが通常です月額で定めます
法人契約で決めます月額で定めます

実費は無報酬でも精算できます

無報酬にした場合でも、交通費や郵送料などの実費は、本人の財産から支払うことができます。契約書に「実費は本人の負担とする」旨を入れておけば、後見人が自腹を切り続ける事態を避けられます。ここは案文の段階で確認しておいてください。

報酬は誰が、どこから払うのか

  1. 財源は本人の財産です家族が負担するわけではありません。本人の預貯金などから支払われます
  2. 後見人が家庭裁判所へ申し立てます監督人の報酬は、裁判所の決定を受けてから支払われます
  3. おおむね年1回のことが多いです毎月払うのではなく、1年分をまとめて精算する形が一般的です
  4. 財産が乏しい場合市区町村の助成制度が使える場合があります

10年続いた場合の総額を試算する

金額の実感をつかむために、費目を積み上げた考え方を示します。金額は目安で、実際は事案ごとに変わります。

費目回数考え方
契約時の実費1回2万円前後
申し立て時の費用1回数千円〜1万円程度(鑑定があれば加算
診断書代1回数千円
監督人の報酬10年分月1万円なら120万円、月2万円なら240万円
後見人の報酬10年分家族が無報酬なら0円

この試算から分かること

契約時にかかるお金は、総額から見ればごくわずかです。判断のポイントは、「開始をいつにするか」と「後見人に報酬を払うかどうか」の2つに集約されます。逆に言えば、契約すること自体をためらう理由に、費用はほとんどなりません。契約は予約であり、使わなければ開始後の費用は発生しないからです。

なぜ費用が分かりにくいのか|3つの理由

調べても金額がはっきりしないと感じるのには、理由があります。この3つを知っておくと、見積もりの読み方が変わります。

  1. いくつもの費用が混ざって説明されている公証役場の実費、専門家の報酬、裁判所の費用、開始後の報酬。これらは払う先も時期も違うのに、まとめて「任意後見の費用」と説明されがちです
  2. いつまで続くかが人によって違う後見は本人が亡くなるまで続きます。3年で終わる人もいれば、15年続く人もいます。総額が一律に示せないのは当然です
  3. 報酬は事後に決まる監督人の報酬は、契約するときには決まっていません。家庭裁判所が、実際の仕事の内容と財産の額を見てから決めます

だから「めやす」で考えるしかありません

正確な総額は、始まる前には誰にも分かりません。できるのは「月いくらが、何年続くか」の幅で見積もることだけです。この記事の目安表は、そのために使ってください。「はっきりした金額を教えてもらえない」のは、説明が不十分なのではなく、制度がそういうしくみだからです。

費用から見た、始めるタイミングの考え方

開始が早いほど報酬の総額は増えます。だからといって遅らせればよいわけでもありません。費用の観点だけで見ると、次のような整理になります。

タイミング費用への影響起きうること
判断する力が落ちてすぐ続く年数が長く、総額は大きくなります低い
手続きに支障が出てから年数が短くなり、総額は抑えられます
できるだけ遅らせる総額は最も小さくなります預金が動かせない期間が生じます

遅らせすぎると、別の損が出ます

報酬を惜しんで申し立てを遅らせると、その間、預貯金を動かせず、施設の契約もできない状態が続きます。入院費の支払いが滞る、必要な介護サービスを契約できない、といった実害のほうが大きくなることがあります。「手続きが実際に止まったら申し立てる」が、現実的な目安です。

予算の立て方|3つの数字を書き出す

検討を進めるときは、次の3つを紙に書き出してみてください。これだけで、判断がかなり具体的になります。

  1. いま管理している財産のおおよその額。これで報酬の目安の区分が決まります
  2. 年間で使っている生活費・医療費・施設費。報酬を足しても回るかを見ます
  3. 何年続く想定か。10年で見て、それでも回るかを確かめます

この3つが書ければ、相談も早く進みます

専門家や窓口に相談するとき、この3つを持っていくと話が具体的になります。逆にこれがないと、「人によります」という一般論しか返ってきません。正確な額でなくて構いません。おおよその数字で十分です。

法定後見と比べた場合の費用

任意後見法定後見
最初にかかるもの公正証書の実費申立費用・診断書代・鑑定費用
続く報酬監督人の報酬(必ず)後見人の報酬(専門家なら発生します
家族が担う場合後見人は無報酬にできますが監督人の報酬は残ります後見人が家族なら報酬を求めないことも
監督人がつくか必ずつきます必要に応じてつきます

「家族が後見人になるなら、法定後見のほうが費用が抑えられることがある」——これは実際にある話です。ただし法定後見では家族が選ばれない可能性があるため、費用だけで決められる問題ではありません。

家族信託と比べた場合の費用

任意後見家族信託
最初にかかるもの2万円前後+専門家報酬設計と契約の費用が大きくなりがちです
続く費用監督人の報酬が続きます監督人を置かなければ抑えられます
不動産がある場合登記の費用と税が別にかかります
できる範囲契約ごとも扱えます財産の管理と処分だけです

初期費用は家族信託のほうが大きく、継続費用は任意後見のほうが大きい——おおまかにはこの傾向です。ただし家族信託では施設の入所契約や介護保険の手続きができないため、費用だけで置き換えられるものではありません。

費用を抑える5つの方法

  1. 公証役場に直接申し込む専門家への報酬がかからない分、契約時の負担は最小になります
  2. 受任者を家族にして無報酬とする後見人の報酬をゼロにできます
  3. 必要な契約だけに絞る見守り契約や財産管理委任契約は、開始前から費用が発生します
  4. 開始の判断を適切に行う早く始めるほど報酬の総額は増えます。ただし遅らせすぎると本末転倒です
  5. 助成制度を確認する市区町村の成年後見制度利用支援事業が使えるか、窓口で確認します

成年後見制度利用支援事業(助成)

多くの市区町村が、後見の申し立て費用や報酬を助成する制度を設けています。名称は自治体によって異なります。

項目内容
助成の対象になり得るもの申し立てにかかる費用、後見人・監督人の報酬
対象になる人資力が乏しいなど、要件は自治体ごとに違います
相談先市区町村の高齢福祉・障害福祉の窓口
あわせて聞くとよいこと中核機関や成年後見支援センターの有無
注意制度の有無・内容は自治体によって大きく異なります

費用が払えなくなったらどうなるか

状況どうなるか
本人の財産が減った報酬額は財産の状況をふまえて決められます
ほとんど財産がない助成制度の対象になる場合があります
家族が立て替える義務ではありません
後見をやめたい費用を理由に自由にやめることはできません

「お金がないからやめる」はできません

後見が始まったあとは、費用の負担を理由に終わらせることはできません。だからこそ、始める前に「この財産で、何年続けられるか」を必ず見積もってください。資力が乏しい場合は、申し立ての前に市区町村の窓口へ相談することを強くおすすめします。

見落としやすい費用5つ

  • 開始後に毎年かかる監督人の報酬
  • 見守り契約・財産管理委任契約の開始前からの月額費用
  • 鑑定が行われた場合の費用
  • 登記事項証明書を何度も取る手数料
  • 受任者の交通費・郵送料などの実費(契約に書いていないと精算できません

費用の見積もりを取るときの聞き方

公証役場に聞くとき

「任意後見契約の公正証書を作りたいのですが、手数料の合計はいくらになりますか。見守り契約も一緒に作る場合は、いくら増えますか。出張していただく場合の額も教えてください」

専門家に聞くとき

契約書の作成にかかる報酬はいくらですか。後見人をお願いした場合、開始後は月にいくらになりますか。申し立ての代行は別料金ですか。実費は別途でしょうか」

よくある質問

任意後見の費用は全部でいくらですか
契約時は2万円前後、開始後は監督人の報酬が続きます。総額は後見が何年続くかで大きく変わります。10年続けば数十万円から数百万円になります。
契約しただけなら費用は続きますか
続きません。任意後見が始まらなければ、監督人の報酬は発生しません。ただし見守り契約などを結んでいる場合は、その費用が発生します。
誰が費用を払うのですか
本人の財産から支払われます。家族が負担するものではありません。
監督人の報酬は避けられませんか
避けられません。任意後見は監督人が選ばれてはじめて始まる制度なので、必ず発生します。
家族が後見人なら報酬はかかりませんか
後見人の報酬は無報酬にできます。ただし監督人の報酬は別に発生します。ここを混同しないでください。
報酬の額は交渉できますか
監督人の報酬は家庭裁判所が決めるため、交渉できません。後見人の報酬は契約で定めるので、契約時に決めます。
鑑定は必ず行われますか
行われないことも多くあります。診断書などで判断できると家庭裁判所が認めれば省かれます。
財産が少ないと制度は使えませんか
使えます。報酬額は財産の状況もふまえて決められ、資力が乏しい場合は市区町村の助成制度が使える場合があります。
法定後見のほうが安いですか
家族が後見人になれる場合は、法定後見のほうが抑えられることがあります。ただし法定後見では家族が選ばれない可能性があるため、費用だけでは判断できません。
途中で費用が払えなくなったらどうなりますか
費用を理由に後見をやめることはできません。財産の状況をふまえて報酬額が判断され、助成制度の対象になる場合もあります。
専門家に頼むといくら増えますか
事務所によって大きく違います。「契約書の作成費用」と「開始後の報酬」を分けて、それぞれ確認してください。
費用の見積もりはもらえますか
公証役場では手数料の額を教えてもらえます。専門家に依頼する場合は、書面で見積もりをもらってください。

まとめ

この記事の要点

  • 費用は契約時・申し立て時・開始後の3つに分かれます
  • 契約時の実費はおおむね2万円前後。ここは大きな負担になりません
  • 総額を決めるのは、開始後に続く監督人の報酬です
  • 報酬の額は家庭裁判所が決めます。交渉はできません
  • 家族が後見人でも、監督人の報酬は必ず発生します
  • 資力が乏しい場合は、市区町村の助成制度を確認します
  • 始めたあとは、費用を理由にやめることはできません

費用を理由に契約そのものをためらう必要はありません。契約は「予約」であり、使わなければ開始後の費用は発生しないからです。本当に見積もっておくべきなのは、実際に始まったあと、その財産で何年続けられるかのほうです。判断に迷ったら、市区町村の窓口や地域包括支援センターで、無料で相談できます。

本記事の金額は、法令で定められた額および家庭裁判所が公表している報酬額のめやすをもとに整理した目安です。改定されることがあり、実際の報酬は事案ごとに家庭裁判所が決定します。専門家の報酬は事務所によって異なります。具体的な金額は、公証役場、管轄の家庭裁判所、依頼先の専門家、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

おすすめの記事