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ご家族が亡くなったあと、携帯電話をどうするか。死亡後の解約には「解約」と、電話番号をそのまま引き継ぐ「承継」という2つの道があります。この記事では必要書類と会社別の窓口を整理しました。
葬儀が一段落したころ、机の上に残された故人のスマートフォン。触れていいものかどうか迷って、そのままにしている——そんな方は少なくありません。実は、その「そのまま」がいちばん困ったことになりやすいのです。焦る必要はありませんが、順番だけは知っておくと安心です。一つずつ見ていきましょう。
①手続きをしないと、請求はずっと続きます

事業者には「亡くなったこと」を知る手段がありません
まず知っておいていただきたいことがあります。契約者が亡くなっても、携帯電話会社がそれを自動的に知ることはできません。国民生活センターも、契約者が死亡していたとしても事業者はその事実を知る手段がないため、相続人となる遺族等が解約手続きを行う必要があると明記しています。
(出典:独立行政法人国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」令和6年11月20日)
携帯電話会社側も同じ説明をしています。ソフトバンクは、承継または解約の手続きをしない場合、亡くなった契約者の名前で毎月の基本料金の請求が続くと案内しています。支払いがないまま放置されると自動解約となりますが、その場合も未納金の請求は続きます。
(出典:ソフトバンク「契約者が死亡した場合、手続きは何か必要ですか?」)
解約を急ぐ前に、スマホの中身を確かめてください
ここが意外と大事なところです。国民生活センターには「夫が亡くなり携帯電話を解約したところ、あとからクレジットカードの明細に身に覚えのない請求が残っていた」という相談が寄せられています。携帯電話会社に相談して請求元は分かったものの、解約にはIDとパスワードが必要だと言われて止められなかった、という事例です。
(出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」相談事例)
回線を先に切ってしまうと、本人確認のショートメッセージが受け取れなくなったり、契約内容の確認メールが見られなくなったりします。解約する前に、契約中のサービスや引き落としの内容をひととおり確認しておくと、あとで慌てずに済みます。
まだ何も手をつけていなくても大丈夫です。順番さえ間違えなければ、取り返しのつかないことにはなりません。
②「解約」と「承継」──どちらを選ぶか

承継なら、電話番号をそのまま残せます
承継とは、亡くなった契約者の契約をご家族が引き継ぎ、そのまま使い続ける手続きのことです。ドコモは承継について、契約者が亡くなった場合に契約を家族が引き継いで継続する手続きと説明しています。
(出典:NTTドコモ「ご契約者の死亡による承継」)
この選択肢をご存じない方が、実はとても多いのです。承継すれば電話番号が残るので、訃報をまだ知らない方からの連絡を受け取ることができます。auとUQ mobileでは、契約者が使っていたメールアドレスと同じものを取得できるとも案内されています(一部引き継げないサービスや設定はあります)。
(出典:au「契約者が亡くなった場合の手続きについて知りたい」/UQ mobile 同ページ)
ソフトバンクも承継について、契約(電話番号)をそのままご家族が引き継ぐ手続きと説明しています。判断材料になるのは家族割引の扱いです。承継のとき、契約者が家族割引に加入していてそれを継続したい場合は家族確認書類が必要と案内されています。裏を返せば、承継を選べば家族割引を続けられる余地があるということです。
(出典:ソフトバンク「承継を行う際の手続き方法」)
一方で、解約を選んでも違約金の心配はありません。ソフトバンクは、契約解除料がかかるサービスに加入していた場合でも、解約に際して契約解除料や手数料はかからないと明記しています。「途中で解約すると高くつくのでは」と気にされる方が多いところですが、そこは安心していただいて大丈夫です。なお、ワイモバイルでは契約者が亡くなった場合、端末の分割支払金を一括で清算することをすすめています。分割の残りが多いときは、この点も判断に関わってきます。
(出典:ソフトバンク「契約者が死亡した場合、手続きは何か必要ですか?」/Y!mobile「契約者が死亡した場合の解約方法」)
迷ったときの考え方
解約すると、それまで貯めたポイントは失われます。ドコモは解約によりdポイント/ドコモポイントが失効すると明記しています。一方で承継の場合も、個人名義ではdポイントクラブ・dポイント・dアカウント・d払い残高は引き継げません。
(出典:NTTドコモ「ご契約者の死亡による解約」)
連絡が落ち着くまでいったん承継しておき、あとから解約する——という進め方もできます。急いで決める必要はありません。
③必要書類は、だいたい3種類そろえば足ります

1. 死亡の事実が確認できる書類
これが最初の一つです。ドコモは書類例として、葬儀の案内状、香典返しのお礼状、新聞の訃報欄、住民票(除票)、除籍がわかる戸籍謄本・戸籍抄本、埋葬(火葬)許可証、死亡診断書、死亡検案書、死亡届、法定相続情報一覧図の写しなどを挙げています。
(出典:NTTドコモ「ご契約者の死亡による解約」ご用意いただくもの)
「戸籍謄本をとる時間がない」という場合でも、葬儀の案内状のような身近な書類で受け付けてもらえることがあるわけです。ソフトバンク・ワイモバイルでも、会葬案内状/礼状、新聞記事(おくやみ欄)、除籍がわかる戸籍謄本、住民票(除票)、医師の死亡診断書、埋葬許可証が例示されています。
(出典:ソフトバンク「契約者、使用者死亡に伴う解約の手続き方法」)
2. 続柄や相続関係がわかる書類
auの承継では、戸籍謄本(抄本)・除籍謄本(抄本)・住民票のいずれかで、契約者と承継する方の相続関係が記載され、契約者の死亡記載があるもの(発行から3か月以内)が求められます。ここで、法務局発行の「法定相続情報一覧図」も使えると明記されています。
(出典:au「譲渡・承継」承継手続きに必要なもの)
法定相続情報一覧図は法務局(登記所)で交付を受けられる書類で、相続手続きや年金等の手続きに使えます。申出は登記所の窓口のほか郵送でも可能で、必要な通数の交付を受けられます。銀行や保険の手続きも重なる時期ですから、1枚とっておくと戸籍の束を何度も持ち歩かずに済みます。
(出典:法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」)
3. 来店する方の本人確認書類、SIM、支払い方法
手続きをする方の運転免許証やマイナンバーカードは、どの会社でも必要になります。ドコモの解約では、これに加えてドコモUIMカード/ドコモeSIMカードの持参を求めています。承継の場合はさらに、新しい契約者名義のクレジットカード、キャッシュカード、または預金通帳と届出印のいずれかが必要です。
(出典:NTTドコモ「ご契約者の死亡による承継」)
なお、SIMカードは返却することになります。ドコモは、登録した電話帳などは別にメモを取っておくことをすすめています。窓口に行く前に、必要な連絡先を紙に書き写しておくといいですね。
書類がひとつ足りないだけで出直しになるのはつらいものです。来店の前に電話で確認しておくと確実です。
④携帯電話会社別・死亡時の解約と承継の窓口

ドコモ・ahamo
ドコモは解約・承継ともにドコモショップ/d gardenでの手続きです。事務手数料や手数料などはかかりません。解約日までに利用した料金は翌月に請求されます。
(出典:NTTドコモ「ご契約者の死亡による解約」)
料金プランが「ahamo」の場合は郵送での手続きになります。必要書類と郵送申込書を送る形で、手数料は無料です。
(出典:ahamo「契約者の死亡による手続き」)
au・UQ mobile・povo
auとUQ mobileは、承継・家族間承継とも店舗での申し込みです。承継・家族間承継の手数料は無料と案内されています。解約も店舗で受け付けています。
(出典:au「契約者が亡くなった場合の手続きについて知りたい」)
povoは店舗がないため、povoサポートに問い合わせると手続きの書面が送られてきます。必要事項を記入し、死亡が確認できる書類と家族の本人確認書類のコピーを添えて返送する流れです。
(出典:povo2.0 FAQ「契約者が亡くなったため、解約の手続き方法を知りたい」)
ソフトバンク・ワイモバイル・LINEMO
ソフトバンクは解約・承継ともソフトバンクショップでの受付です。契約解除料がかかるサービスに加入していた場合でも、解約に際して契約解除料や手数料はかかりませんと案内されています。
(出典:ソフトバンク「契約者が死亡した場合、手続きは何か必要ですか?」)
承継では、死亡が確認できるもの、承継者の本人確認書類、口座名義と口座番号が分かるもの(通帳・キャッシュカードなど)と金融機関の届出印またはクレジットカードが必要です。家族割引を継続したい場合は家族確認書類も加わります。
(出典:ソフトバンク「承継を行う際の手続き方法」)
ワイモバイルは、必要書類をそろえたうえでオンラインまたはワイモバイルショップで受け付けています。LINEMOは承継の用紙をチャットサポートから郵送してもらう形、解約は法定相続人がオンラインで手続きできます。
(出典:Y!mobile「契約者が死亡した場合の解約方法」/LINEMO「契約者が死亡した場合、手続きは何か必要ですか?」)
楽天モバイル
楽天モバイルは郵送での手続きです。解約・承継とも、原則として二親等以内の方からの申し出に限って受け付けています。承継の場合の手数料は3,300円(税込)で、新しい契約者への初回請求時に合算されます。書類の郵送から手続き完了までの目安は約2週間です。
(出典:楽天モバイル「ご契約者の逝去による契約者変更手続き(承継)」)
解約の場合も郵送で、申込書のほか、逝去が確認できる書類・関係がわかる書類・申告者の本人確認書類のコピーを送ります。二親等以内の方がいない場合は弁護士など代理人による申請も受け付けています。
(出典:楽天モバイル「契約者が逝去したため回線を解約したいのですが、どうすればよいですか?」)
mineo・IIJmio
格安SIMの場合は、まず電話で相談する形が中心です。mineoは、契約者の死亡により代理で契約を引き継ぐ場合はmineoサポートダイヤルへの電話での問い合わせを案内しています。
(出典:mineo「契約者が死亡した。代理で契約を引き継ぐ(承継する)方法を知りたい」)
IIJmioも、契約の引き継ぎ・解約ともにIIJサポートセンターへ電話で相談する案内です。契約状況を確認したうえで、可能な手続きを教えてもらえます。
(出典:IIJmio「契約者が亡くなりました。契約の引き継ぎ・解約はできますか?」)
ご自身の会社がどこか分からないときは、請求書やハガキの差出人名を見れば判断できます。
⑤見落としやすい3つの注意点

端末代金の分割は、解約しても残ります
本体代金の割賦(分割)残債は、解約後も継続して支払う必要があります。ソフトバンクもドコモも同じ扱いです。ドコモでは、残額の全額を一括で支払って分割払い契約を終わらせることも可能とされています。
(出典:ソフトバンク「契約者、使用者死亡に伴う解約の手続き方法」/NTTドコモ「ご契約者の死亡による解約」)
未払い料金は相続の対象になります
auは、亡くなった契約者から相続している場合は未払い料金も相続されるため支払いが必要であると案内しています。相続放棄をしている場合は支払いの必要はありませんが、その際は全相続人の「相続放棄申述受理通知書(写)」を用意して窓口に連絡する必要があります。
(出典:au「契約者が亡くなった際の未払い料金はどうなりますか?」)
ご家族以外の方でも手続きできる場合があります
身寄りのない方の手続きについても道は用意されています。ドコモは、家族や法定代理人以外の方、高齢者等終身サポート事業者からの申し出でも、必要書類を持参すれば手続きが可能としています。ソフトバンクとワイモバイルは、相続財産清算人、死後事務の許可を受けた後見人、死後事務の委任を受けた方(身元保証等高齢者サポート事業者を含む)など、来店者ごとに必要書類を一覧で示しています。
(出典:NTTドコモ「ご契約者の死亡による解約」/Y!mobile「契約者が死亡した場合の解約方法」)
⑥ご自身のために、今できる備え

スマホのパスワードを残しておく
国民生活センターは、万が一の際に遺族がロックを解除できるよう、名刺大の紙にパスワードを書き、その部分に修正テープを2〜3回重ね貼りしてマスキングし保管しておく方法を紹介しています。必要になったときにコインなどで削って確認する、という仕組みです。そのまま書かずに、家族にだけ分かる合言葉を記す方法もあると案内されています。
(出典:国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』」事前の対策)
エンディングノートに契約先を書いておく
同じ資料のなかで、法務省が無料で公開しているエンディングノートの活用もすすめられています。契約中のサービスやスマホのパスワードの整理に使える、という趣旨です。携帯電話会社名と電話番号を一行書いておくだけでも、残された方の負担はずいぶん軽くなります。
(出典:法務省・日本司法書士会連合会「エンディングノート 〜あなたに届け、わたしの想い〜」)
相談窓口のご案内
- ご契約の携帯電話会社:まずは店舗またはサポート窓口へ。上記の各社ページに、来店予約や問い合わせの入口があります。
- お住まいの地域の消費生活センター等:全国の消費生活センター等(国民生活センター)。契約トラブルで困ったときの窓口です。
- お近くの法務局:法定相続情報証明制度の手続き(法務局)。相続関係の証明書類をそろえたいときに。
- 日本司法書士会連合会:相談窓口一覧。相続手続き全体の相談先として。
まとめ|携帯電話の死亡時の手続きで押さえる5つのこと
- 手続きをしない限り請求は続きます。事業者は死亡の事実を知る手段がないため、遺族が手続きを行う必要があります(出典:国民生活センター「デジタル終活」)
- 解約のほかに、電話番号をそのまま引き継ぐ「承継」という選択肢があります(出典:NTTドコモ「ご契約者の死亡による承継」)
- 必要書類は、死亡が確認できる書類・相続関係がわかる書類・来店する方の本人確認書類が基本です。法定相続情報一覧図も使えます(出典:au「譲渡・承継」)
- 窓口は会社ごとに異なります。ドコモ・au・ソフトバンクは店舗、ahamo・楽天モバイルは郵送、povo・mineo・IIJmioは電話やチャットからの案内です(出典:楽天モバイル「契約者が逝去したため回線を解約したい」)
- 端末の分割残債と未払い料金は解約後も残ります。相続放棄をしている場合は別途手続きが必要です(出典:au「契約者が亡くなった場合の手続きについて知りたい」)
手続きの数は多く見えますが、書類さえそろえば窓口の方が一緒に進めてくれます。今日できることから、ゆっくりで構いません。
📞 相談できる窓口があります
携帯電話の手続きと同時に、預貯金や不動産の相続も進めなければならない方が多いと思います。法定相続情報一覧図を1枚とっておくと、携帯電話会社でも金融機関でも使えて、戸籍の束を持ち歩かずに済みます。手続きの進め方に迷ったら、専門家に一度たずねてみてください。
▶ 法定相続情報証明制度の手続きを確認する(法務局)
▶ お近くの司法書士会に相談する
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