死亡保険金の請求は3年以内|受取人が先に亡くなったとき

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生命保険の死亡保険金は、請求しないと支払われません。保険会社が死亡の事実を知る手立てはないからです。そして請求の期限は原則3年。この3年を過ぎてしまうと、原則として権利が消えます。さらに、いざ請求しようとすると「受取人がすでに亡くなっていた」「受取人が『相続人』としか書かれていない」といった場面に出くわします。税金の扱いも、契約の形によって相続税・所得税・贈与税の3つに分かれます。この記事では、請求の流れと必要書類を示したうえで、受取人にまつわる4つのケース、税金の見分け方、契約が分からないときの照会の制度までまとめました。

この記事の結論

  • 死亡保険金は請求しないと支払われません
  • 請求の期限は原則3年です
  • 3年を過ぎても、すぐに諦める必要はありません
  • 受け取るのは契約で指定された受取人です
  • 受取人が先に亡くなっている場合は、その相続人が受け取ります
  • 税金は相続税・所得税・贈与税の3つに分かれます
  • 相続放棄をしても、死亡保険金は受け取れます
  • 契約が分からないときは、照会できる制度があります

この記事でわかること

  1. まず結論|請求しないと支払われない
  2. 請求の流れ
  3. 連絡するときに伝えること
  4. 請求の期限は原則3年
  5. 3年を過ぎても諦めない
  6. 受け取れるのは誰か
  7. 受取人が先に亡くなっている場合
  8. 受取人が「相続人」の場合
  9. 受取人が指定されていない場合
  10. 必要書類の一覧
  11. 死亡診断書はコピーでよいか
  12. いつ振り込まれるか
  13. 税金は3つのパターン
  14. どのパターンかの見分け方
  15. 相続放棄しても受け取れます
  16. 契約が分からないときの照会
  17. 照会でできること・できないこと
  18. 支払われないことがあるケース
  19. 場面別|請求をどう進めるか
  20. よくある質問12問
  21. まとめ

まず結論|請求しないと、支払われません

生命保険は、加入していれば自動的に支払われるものではありません。保険会社には、契約者が亡くなったことを知る手立てがないからです。遺族が請求して、初めて支払いの手続きが始まります。

そしてもう1つ大事なのが、期限があることです。原則3年。相続の手続きに追われているうちに、あっという間に過ぎてしまう長さです。

この記事で分かること役に立つ場面
1請求の流れと必要書類これから請求するとき
2受取人が先に亡くなっているとき証券を見て困ったとき
3税金がどれになるか受け取ったあとの申告
4契約が分からないときそもそも加入の有無が不明なとき

請求の流れ

やること目安
1保険会社へ連絡する電話やインターネットで
2請求書類が届く数日〜1週間ほど
3必要書類をそろえて返送するここがいちばん時間がかかります
4審査のうえ、指定の口座へ入金書類が整ってから数営業日が目安

いちばん時間がかかるのは3の書類集めです。戸籍や住民票を取りに行く必要があるためです。1と2は数日で終わりますので、まず連絡だけ先に済ませておくのが効率的です。

書類が届いてから集め始めても遅くありません。むしろ、届いた書類に「何が必要か」が書いてあるので、それを見てから動くほうが無駄がありません。

連絡するときに伝えること

伝えること手元にあると早いもの
亡くなった方の氏名・生年月日
証券番号保険証券
亡くなった日と、亡くなった原因死亡診断書
連絡している方の氏名と、故人との関係

あわせて、この段階で聞いておきたいことがあります。「必要書類は何か」「死亡診断書はコピーでよいか」「入金までどのくらいかかるか」——この3つを聞いておくと、以降が楽になります。

証券番号が分からなくても大丈夫です。氏名と生年月日で契約を探してもらえます。「証券が見つからないので、名前で調べてもらえますか」と伝えてください。

請求の期限は、原則3年です

3年で時効になります

保険法では、保険給付を請求する権利の時効は3年と定められています。3年を過ぎると、原則として請求できなくなります。「相続の手続きが落ち着いてから」と後回しにしているうちに、2年、3年はすぐに過ぎます。とくに、故人がどの保険に入っていたか調べるところから始める場合は要注意です。調べるのに時間がかかり、気づいたら期限が近い——ということが起こります。加入の可能性が少しでもあるなら、早い段階で保険会社か照会の制度に当たってください。

3年を過ぎても、すぐに諦めないでください

ここは知っておく値打ちがあります。3年を過ぎていても、保険会社が支払いに応じる場合があります。

時効は「主張して初めて効力が生じる」性質のもので、保険会社の側が時効を主張しなければ支払われるという考え方です。実際、正当な理由があれば柔軟に対応している会社もあります。

ですから、「もう3年過ぎているから無理だ」と自分で決めてしまわないでください。まずは保険会社に連絡して、事情を説明してみることです。連絡するだけなら、費用も手間もかかりません。

受け取れるのは、誰か

基本は契約で指定された「保険金受取人」です。保険証券に名前が書かれています。

ここで大事なのは、死亡保険金は受取人固有の財産だという点です。相続財産ではありません。そのため遺産分割の対象にもなりません。受取人が単独で請求し、受け取ることができます。

受取人の指定誰が受け取るか
個人名で指定されているその方が受け取ります
その方がすでに亡くなっているその方の相続人が受け取ります
「相続人」と指定されている亡くなった時点の法定相続人が受け取ります
指定がない・確認できない約款の定めによります(要確認)

受取人が先に亡くなっている場合

意外とよくあるのがこのケースです。夫が妻を受取人にしていたが、妻のほうが先に亡くなっていた——そして受取人の変更をしないまま、夫も亡くなった。

この場合、先に亡くなった受取人の相続人が、受取人になります。妻の相続人が複数いれば、その全員が受取人ということになります。

受取人が増えて、手続きが重くなります

受取人が1人から複数に増えると、請求の手続きは一気に重くなります。全員の書類が必要になり、連絡が取りにくい方が1人でもいると、そこで止まります。そして「自分の取り分はいくらか」という話も出てきます。これは、生前に受取人を見直しておけば防げたことです。ご自身の保険についても、受取人が存命かどうか、いま一度確かめてみてください。変更の手続きは、たいてい書類1枚で済みます。

受取人が「相続人」と指定されている場合

証券に個人名ではなく「相続人」とだけ書かれていることがあります。この場合は、亡くなった時点の法定相続人が受取人になります。

複数いる場合、どのような割合で受け取るかが問題になります。ここは保険会社の約款の定めによるので、確認が必要です。法定相続分どおりとは限りません。

いずれにしても、相続人全員での手続きになるため、書類は多くなります。誰が相続人かを確定させるための戸籍も必要です。

受取人が指定されていない場合

受取人の指定が確認できない契約もあります。この場合の扱いは保険会社の約款によって定められています。

一般的には被保険者の相続人が受け取るという定めになっていることが多いのですが、会社や商品によって違うため、必ず確認してください。

古い契約ほど、こうした事情が出てきます。「証券を見ても受取人がよく分からない」という場合は、そのまま保険会社に問い合わせるのがいちばん早いです。

必要書類の一覧

書類どこで手に入るか
保険会社所定の請求書保険会社から届きます
死亡診断書(死体検案書)医師が発行したもの
被保険者の死亡が確認できる書類戸籍謄本、住民票の除票など
受取人の本人確認書類運転免許証など
受取人の戸籍謄本続柄の確認に使われます
保険証券なくても手続きできることがあります
受取人の口座が分かるもの通帳など

証券が見当たらなくても、手続きが進められることは多くあります。「紛失しました」と伝えれば案内してもらえます。証券探しで足止めされる必要はありません。

死亡診断書はコピーでよいか

ここは会社によって扱いが分かれます。コピーで受け付ける会社もあれば、所定の様式での提出を求める会社もあります。

先に何枚もコピーを取っておいてください

死亡診断書は死亡届と一体の用紙なので、役所に出すと原本は手元に残りません。役所へ出す前に、必ずコピーを取っておいてください。5枚から10枚あれば足りることが多いです。保険が複数あれば、その数だけ必要になります。あとから原本を取り直すには、医師に再発行を頼むか、役所で写しの交付を受ける手続きが要り、手間も費用もかかります。この一手間で、その後の進み方がまるで変わります。

いつ振り込まれるか

目安としては、必要書類が保険会社に届いてから数営業日で支払われることが多いとされています。ただし内容の確認が必要な場合は、もっとかかります。

状況入金までの目安
書類が整っている数営業日
内容の確認が必要数週間〜それ以上
受取人が複数いる全員の書類がそろってから
書類に不備があるやり取りの回数だけ延びます

葬儀費用に充てたいと考えている場合は、入金までの時間を見込んでおいてください。間に合わないようなら、銀行の払戻しの制度など、別の手立てを併せて考えることになります。

入金までの時間を短くするコツもあります。書類の不備をなくすことです。よくある不備は、記入漏れ、押印の漏れ、必要書類の不足、口座情報の誤りの4つ。返送する前にもう一度見直すだけで、やり取りの往復が1回減ります。

また、複数の保険会社に請求する場合は、同時に進めてください。1社ずつ順番にやると、その分だけ時間がかかります。戸籍などの書類は使い回せることが多いので、必要な枚数をまとめて取っておくと効率的です。

税金は、3つのパターンに分かれます

ここが生命保険でいちばんややこしいところです。誰が保険料を払い、誰が被保険者で、誰が受け取るか——この組み合わせで、かかる税金が変わります。

保険料を払った人被保険者(亡くなった方)受取人かかる税金
亡くなった方亡くなった方遺族相続税
受け取る遺族亡くなった方その遺族所得税
3人とも別亡くなった方別の家族贈与税

どのパターンかの見分け方

考え方典型的な例
相続税亡くなった方が自分に保険をかけ、自分で払っていた夫が自分に保険をかけ、受取人が妻
所得税保険料を払った人と受取人が同じ妻が夫に保険をかけ、保険料も妻が払い、受取人も妻
贈与税3者がすべて別夫が保険料を払い、被保険者が妻、受取人が子

いちばん多いのは相続税のパターンです。この場合には非課税の枠が用意されており、法定相続人の数に応じた金額までは相続税がかかりません。

注意したいのが贈与税のパターンです。3者がすべて別だと贈与税になり、税の負担がいちばん重くなることがあります。生前に契約の形を確かめておく値打ちがあるのは、この点です。

相続放棄をしても、受け取れます

保険金は相続財産ではないからです

借金が多くて相続放棄をした——その場合でも、死亡保険金は受け取れます。受取人が指定されている保険金は受取人固有の財産であり、相続財産ではないためです。放棄したことで受け取れなくなる、ということにはなりません。ただし税金の計算では話が変わります。相続放棄をした方は、相続税の非課税の枠を使えないという扱いがあります。「受け取れるかどうか」と「税金がどうなるか」は別の話だと考えてください。判断に迷う場合は、税理士か税務署に確かめてください。

どの保険に入っていたか分からないとき

「保険に入っていたはずだが、証券が見つからない」——これもよくある状況です。まずは手がかりを探します。

探す場所見つかるもの
通帳の引き落としの履歴保険会社名が出てきます
郵便物契約内容のお知らせ、年賀状
確定申告の書類生命保険料控除の証明書
スマホ・パソコンのメール電子的なお知らせ
貴重品をまとめた場所保険証券そのもの

いちばん確実なのは通帳の引き落としの履歴です。保険料は毎月または毎年引き落とされているので、1年分さかのぼれば、たいてい見つかります。

それでも分からないときの照会の制度

手がかりが何もない場合は、生命保険の契約の有無を照会できる制度があります。生命保険協会が窓口となり、加盟している各社に契約の有無を確認してくれる仕組みです。

照会の制度でできること
できること契約があるかないかを、まとめて確かめられます
できないこと保険金額など、契約の中身までは分かりません
費用利用料がかかります
誰が使えるか法定相続人や、その代理人など

大事なのは、「あるかないか」が分かるだけだという点です。あると分かったら、その保険会社へ個別に連絡して請求の手続きに進みます。照会だけで保険金が支払われるわけではありません。

それでも、1社ずつ問い合わせて回る手間を考えれば、十分に値打ちがあります。とくに3年の期限を意識するなら、早い段階で使う判断もあります。

照会を使うかどうかの判断の目安は、「心当たりがあるかどうか」です。まったく心当たりがなければ、契約もない可能性が高い。けれども「入っていたはずだが分からない」という状態なら、使う値打ちがあります。

とくに、故人が長く自分で家計を管理していて、家族が内容を知らない場合は要注意です。古い契約ほど、家族が把握していないことが多くなります。通帳をさかのぼっても出てこない場合——たとえば保険料の払い込みがすでに終わっている契約——は、照会でしか見つからないことがあります。

支払われないことがあるケース

主なケース考え方
契約から一定期間内の自殺約款で支払いの対象外とされていることがあります
告知義務違反加入時に健康状態を正しく伝えていなかった場合
保険料の未納による失効契約自体が終わっていることがあります
免責の事由に当たる場合約款に定めがあります

納得できない場合の相談先があります

支払われない理由に納得できないときは、そのまま引き下がる必要はありません。生命保険協会には、契約に関する相談や苦情を受け付ける窓口が設けられています。まず保険会社に理由の説明を求め、それでも納得できなければ、この窓口へ相談するという順序になります。感情的に交渉するより、記録を残しながら順を追って進めるほうが、結果として早く解決します。やり取りの日付と担当者名は、必ず控えておいてください。

場面別|保険金の請求をどう進めるか【早見表】

こういう場合どうするか
証券が見つからない氏名と生年月日で保険会社に照会できます
どの会社か分からない通帳の引き落としを1年分さかのぼります
手がかりが何もない生命保険協会の照会の制度を使います
受取人が先に亡くなっているその方の相続人が受取人になります
3年を過ぎてしまった諦めず、保険会社に事情を説明します
相続放棄をした保険金は受け取れます(税は別の扱い)
支払いを断られた理由の説明を求め、相談窓口へ

最後に、生前にできることを書いておきます。この記事で挙げた困りごとの多くは、加入している本人が一言残しておけば防げます。

やることは3つだけです。①どこの保険に入っているかをノートに書く ②受取人が存命かを確かめる ③証券の置き場所を家族に伝える。これで、遺族が探し回る時間はほとんどなくなります。

とくに②が大事です。受取人が先に亡くなっていると、手続きが一気に重くなります。変更の手続きは、たいてい書類1枚で済みます。いま契約している保険の証券を、一度開いてみてください。受取人の欄に書かれている名前が、いまの状況と合っているかどうか。それを確かめるだけで、家族の負担がまるで変わります。

死亡保険金の請求について、よくある質問

請求はいつまでにすればよいですか
原則3年です。保険法で請求権の時効が3年と定められています。相続の手続きに追われているうちに過ぎてしまうので、早めに連絡してください。
3年以上経っていたら請求できませんか
すぐに諦めないでください。時効は主張して初めて効力が生じるもので、保険会社が対応してくれる場合があります。まずは連絡して事情を説明してみてください。
受取人が先に亡くなっています。誰が受け取りますか
先に亡くなった受取人の相続人が受取人になります。複数いれば全員が受取人となり、手続きは重くなります。ご自身の保険についても、受取人が存命か確かめてみてください。
受取人が「相続人」としか書かれていません
亡くなった時点の法定相続人が受取人になります。受け取る割合は保険会社の約款の定めによるので、必ず確認してください。
保険証券が見つかりません
なくても手続きできることが多いです。氏名と生年月日で契約を探してもらえます。「紛失しました」と伝えれば案内してもらえます。
死亡診断書はコピーで請求できますか
会社によって扱いが分かれます。連絡したときに確かめてください。いずれにしても、役所へ出す前にコピーを何枚も取っておいてください。
いつ振り込まれますか
書類が整ってから数営業日が目安です。内容の確認が必要な場合や、受取人が複数いる場合は、もっとかかります。葬儀費用に充てるなら、時間を見込んでください。
税金はかかりますか
契約の形によって、相続税・所得税・贈与税の3つに分かれます。いちばん多いのは相続税のパターンで、この場合は非課税の枠があります。
贈与税になるのはどんな場合ですか
保険料を払った人・被保険者・受取人の3者がすべて別の場合です。税の負担がいちばん重くなることがあります。生前に契約の形を確かめておく値打ちがあります。
相続放棄しても生命保険は受け取れますか
受け取れます。受取人が指定されている保険金は受取人固有の財産で、相続財産ではないためです。ただし税金の計算では扱いが変わります。
どこの保険に入っていたか分かりません
まず通帳の引き落としの履歴を1年分さかのぼってください。それでも分からなければ、生命保険協会の照会の制度が使えます。契約の有無だけが分かる仕組みです。
まず何から始めればよいですか
保険会社へ電話を1本かけることからです。書類集めは、届いた案内を見てから始めれば間に合います。証券が見つからなくても、名前で探してもらえます。

まとめ

この記事の要点

  • 死亡保険金は請求しないと支払われません
  • 期限は原則3年。ただし過ぎても諦めないでください
  • 受取人が先に亡くなっていれば、その相続人が受け取ります
  • 証券が見つからなくても氏名と生年月日で探してもらえます
  • 死亡診断書は、役所へ出す前にコピーを取っておいてください
  • 税金は相続税・所得税・贈与税の3つに分かれます
  • 相続放棄をしても、保険金は受け取れます
  • 契約が分からないときは、照会の制度が使えます

生命保険の請求で大事なのは、早く連絡することだけです。書類集めは、案内が届いてからで間に合います。まずは電話を1本。証券が見つからなくても、名前と生年月日で探してもらえます。そして、どこの保険か分からないなら、通帳の引き落としを1年分さかのぼってください。そこに答えが書いてあることが、いちばん多いのです。

本記事は、法令および関係する団体が公表している情報をもとに、一般的な進め方として整理したものです。必要とされる書類、受取人の取り扱い、支払いまでの日数、免責の事由は、保険会社や契約している商品の約款によって異なります。制度や法令も改正されることがあります。実際に請求される際は、契約している保険会社の案内をご確認ください。税金の取り扱いについては、税務署または税理士にご相談ください。

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