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後飾り(読み方:あとかざり)とは、火葬が終わった後に故人の遺骨と仮位牌を自宅へ持ち帰り、安置するために使う祭壇の事を言います。
仏式の後飾りでは忌明けを意味する四十九日まで、ろうそくを灯し、線香を絶やさず、供物のご飯や水を毎日取り替えながら故人の供養をします。
ただ、ひとくちに後飾りとは言っても、仏教の中でも飾り方や配置に違いがあったり、神式やキリスト教式といった宗教によっても違いがあるものです。
▼この記事を読んで理解できること ・後飾りの意味や必要性 ・後飾りに必要なもの(仏具や神具) ・宗教ごとの後飾り祭壇について(飾り方や置き方) ・後飾りに関する費用面 など |
この記事で初めて後飾りという言葉を知る方にも、できるだけわかりやすく書いていますので、ぜひ最後までお読み下さい。
目次
後飾りとは?
はじめに、後飾り(読み方:あとかざり)の意味についてウィキペディア(Wikipedia)で調べてみたところ、「後飾り壇」として掲載があります。
後飾り壇(あとかざりだん)とは、祭壇の一種であり、葬儀において遺体を火葬した後に墓所に納骨するまで遺骨を自宅に安置するために設けられるものである。
単に後飾りとも称されるが、仏式においては「中陰」の間設けられる祭壇であることから中陰壇(ちゅういんだん)とも称される。
なお、後飾り壇に飾られるものについては地域や宗派によって異なることもある。
わかりやすく解釈すると、後飾りとは後飾り壇(あとかざりだん)の事で、火葬後の遺骨を納骨するまで自宅に安置する祭壇です。
また、「中陰壇(ちゅういんだん)」とも言われるという事がわかりますが、付け加えると後飾りは「後飾り祭壇」とも言われます。
中陰(ちゅういん)とは?
仏式(仏教)において、人が亡くなってから次の生を受けるまでの49日間の事を中陰と呼びます。
※中陰壇という呼び方は主に関西地域で多くみられます
▼後飾りはいつまで飾る?
後飾りは四十九日の忌明けまでは、毎日ろうそくを灯して、線香を絶やす事のないようにして飾り続け、故人を供養します。
▼後飾りの必要性
近年、全国的に四十九日法要の際、遺骨を埋葬される方が増えてきています。
そのため、ほとんどの方が葬儀が終わった後は遺骨を仮位牌とともに自宅へ持ち帰る事になります。
そこで、遺骨と仮位牌を飾るための後飾り祭壇が必要になります。
後飾りと枕飾りの違い
後飾りと混同されやすい言葉として、「枕飾り(まくらかざり)」という言葉があります。
わかりやすい明確な違いを言うと、枕飾りは火葬前・後飾りは火葬後に行う事です。
そのため、枕飾りは「前飾り」と呼ばれる事もあります。
枕飾りとは?
亡くなられた故人を自宅に安置する際、遺体の枕元に置く供物台の事
後飾りは、前述したように火葬場から自宅へお戻りになられた遺骨を安置する壇の事です。
枕飾りで飾るものと、後飾りで飾るものは似た部分もあります。
枕飾りについて詳しくは下記の記事で『宗教ごとの枕飾り』など、まとめていますので後飾りと合わせてお読み頂ければと思います。
後飾りの内容
後飾りの意味や枕飾りとの違いについては理解して頂けたかと思いますが、この項目では後飾りの内容について解説しています。
後飾りと一口に言っても、はじめて後飾りという言葉を知る方にとっては「後飾りはどんな祭壇を作って、どんなものを飾ればいいのか?」
なかなか簡単に検討がつくものではないと思います。
後飾り壇は、宗教・宗派、葬儀社によって飾り方など内容が違ってきます。
お通夜や葬儀・告別式などは葬儀社に依頼をして葬儀を行うのが通例だと思いますが、近年では葬儀社が後飾りの設置を行ってくれるところが多いです。
また、後飾りの費用がどれくらいかかるものなのか?
後飾りの内容とともに気になる方もいらっしゃるかと思います。
葬儀社の後飾り費用例
葬儀社A
オプション料金で後飾り祭壇:1万円台~2万円
葬儀社B
オプション料金で後飾り祭壇(3段飾り)8万円~
葬儀社C
枕飾り・後飾り一式が含まれている一般的な葬式プラン
40万円~
葬儀社D
枕飾り・後飾り一式が含まれている葬儀プラン
56万円~100万円
※会員価格だとおよそ上記料金の半額
このように、葬儀料金のプランに含まれている・オプション料金になっている等、葬儀社によって違いはあります。
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後飾りのオプション料金や葬儀プランなど、複数の葬儀社の料金比較をしたい場合や、立地的な事でどの葬儀社にするかお困りの時はオススメです。
後飾り壇の内容については、前述したように宗派や葬儀社によって置く物や飾り方・配置は若干違ってきます。
宗教ごとの後飾り壇に必要な仏具や道具について、順に一例を紹介していきたいと思います。
・仏式(仏教)
・神式(神道)
・キリスト教式
仏式の後飾りから順番に紹介しますので、「後飾り壇はこんな感じになるんだな」という事がわかって頂ければと思います。
仏式の後飾りに必要なものと飾り方
仏式(仏教)の後飾りは一般的にどんな祭壇で、どんなものを飾るのか?
またその飾り方をそれぞれ解説していきます。
仏式の後飾りは、白木(しらき)の祭壇、または白い布をかぶせた2段(3段でも可)の祭壇になります。
祭壇の上に位牌や仏具を並べていく事になります。
仏式の後飾りに必要な仏具や物
✔ 白木の棚または2段か3段の棚
✔ 白布(白木の棚以外の場合に必要)
✔ 遺骨
✔ 遺影
✔ 遺影を立てるための写真立て
✔ 白木位牌(野位牌)
✔ 三具足(香炉・花瓶・燭台)
✔ 供物(果物など)
✔ 生花
などになりますが、専門的な用語もありますので要点的に解説していきます。
▼遺骨や遺影
故人を偲ぶための象徴である事から、非常に大切なものとなります。
宗派や葬儀社による違いはありますが、基本的には祭壇の最上段(3段なら下から3段目、2段なら下から2段目)に置かれます。
遺影の写真立てや遺影のフレームは黒色のものが基本となっています。
遺骨は骨壷をそのまま置く形ではなく、骨壷を包む袋に入った状態で配置します。
▼位牌について
位牌は宗派によっては飾らないようになっています。
本位牌と呼ばれるものではなく、仮位牌である白木位牌(しらきいはい)が使われるのが一般的です。
※白木位牌については【白木位牌の重要性と処分方法】にて別途解説しています
▼三具足(香炉・花瓶・燭台)について
三具足(みつぐそく、さんぐそく)とは、香炉(こうろ)・花瓶(かびん)・燭台(しょくだい)の仏具の事を指します。
香炉…お香を焚く時に使う容器
花瓶…生花を入れて故人の心を慰めるとされる仏具で、仏式では白い菊がよく選ばれます。
※花瓶は「花立て(はなたて)」とも言われます
燭台…ろうそく立ての事。
ろうそくは1つだけ置く場合、2つ置かれる場合があります。
正式には四十九日までその火を絶やさないとされていますが、現代では電気式のろうそくが使われる事も多くなっています。
※ろうそく同様に線香も火を使わない電気線香が使われる事があります
飾り方や置き方などなかなかイメージが掴めないかと思いますので、以下の図と合わせて参考にして頂ければと思います。
仏式の一般的な三段の後飾り壇の飾り方・配置が上図のようになります。
供物(くもつ)として果物などお供えする以外に、茶器(ちゃき)や仏飯器(ぶっぱんき)と呼ばれる入れ物にご飯や水、お茶など入れて置かれる事もあります。
ご飯や水をお供えする場合は、毎日取り替えるようにします。
※浄土真宗ではご飯やお茶などお供えしないものとされています
ほか、僧侶など宗教者の方がお経を読経の際に「チーン」と鳴らす鈴(りん)や鈴棒(りんぼう)といった仏具も置かれるのが一般的だと言えます。
仏壇をお持ちの場合
仏壇をお持ちの場合は、一般的に必要な仏具として仏壇に使われている仏具(鈴や鈴棒など)は後飾りに用いる事ができます。
神式の後飾りに必要なものと飾り方
神式(神道)の後飾りは、白木の八脚案の2段(または3段)の祭壇になります。
八脚案(はっそくあん)とは八本の脚のついた案で、案は「台」の事を言います。
※仏式と同じように階段型になっている祭壇を使う場合もあります
八脚案(はっそくあん)の別称 ・八足机(はっそくのつくえ、やつあしのつくえ) |
神式の後飾りは「仮霊者(かりみたまや)または仮霊舎(読み方同様)」とも呼ばれます。
神式の後飾りに必要な神具や物
✔ 八脚案(八足机)または仏式と同じ棚
✔ 白布(白木素材以外の場合に必要)
✔ 遺骨
✔ 遺影
✔ 霊璽
✔ 三方
✔ 徳利
✔ 水玉
✔ 玉串
✔ 花瓶
✔ 榊
✔ 火立
などです。
仏式と同様に、要点的に解説します。
▼八脚案(八足机)
神道の儀式に用いられるものであり、枕飾りでも使われます。
▼霊璽(れいじ)
仏式の仮位牌と同じ意味を持ちます。
▼三方と徳利、水玉
三方(さんぽう)とは、「神饌(しんせん)」と呼ばれる神様に献げる食べ物や飲み物(お酒や水、塩、洗ったお米)を置く台の事を言います。
※お酒は徳利(とくり、とっくり、どっくり)、水は水玉(みずたま)に入れ、洗ったお米や塩は皿に盛り付けます
▼玉串と榊
玉串(たまぐし)とは、仏式の線香や焼香の代わりにあたるもので、榊(さかき)の枝に紙を垂らしたもの。
榊は神式の葬送儀礼において非常に重んじられるもので、お通夜や告別式でも榊を祭壇に用いられている事が多いです。
▼火立
火立(ほだち)…ろうそく立て(燭台)の事。
神式の後飾り壇のイメージとしてわかりやすいように以下、仏式同様の3段棚の後飾り壇になります。
神式の場合は、仏式とは違って香炉や線香(線香立て)、仮位牌、鈴や鈴棒は飾らないようになっています。
神式の場合に行う「帰家祭」
神式では「帰家祭(きかさい)」という儀式が執り行われます。
帰家祭とは、火葬場から遺骨が自宅に戻った際、無事に葬儀を終えた事を神様に報告する儀式の事です。
キリスト教式の後飾りに必要なものと飾り方
キリスト教式の後飾りは、特に決まりがありませんが、小さなテーブルに白布を被せて台を作るのが一般的です。
基本的にキリスト教式の信者の方々は、お持ちの祭壇を使う事ができるので、後飾りとして準備するものは遺骨や遺影、燭台と、仏式や神式に比べるとシンプルなものになります。
キリスト教式の後飾りに必要な神具や物
✔ 小さなテーブル
✔ 白布
✔ 遺骨
✔ 遺影
✔ 遺影を立てるための写真立て
✔ 花立て
✔ 生花
✔ 燭台
✔ パン
✔ 聖書
✔ 十字架
など、「キリスト教式ならでは」として特筆すべきものとしては、「パン」「聖書」「十字架」になります。
例によって仏式・神式の後飾りと同様に三段の棚(台)を用いた場合のイメージとして、以下の図を参考下さい。
※キリスト教式のお供え物ですが、パンは一般的なものであり、お菓子や果物も用いられます
仏式、神式、キリスト教式の後飾りに必要なものと一例を解説しました。
あくまで一般的な例になりますので、それぞれイメージとしては頭に入れておくようにし、葬儀社や年長の親族などに従って行うようにするとよいでしょう。
後飾りの処分について 基本的には後飾りの仏具などは四十九日の忌明け以降は不要となります。 処分の方法としては、各自治体の規則に従ってゴミとして処分する事になります。 ※中には新盆の時に再利用される方もいらっしゃいます |
後飾りはあくまで四十九日までの仮の祭壇となります。
前述したように、葬儀社の葬儀プランに含まれている場合は多いですが、中には費用面に関してシビアに考える方もいらっしゃいます。
葬儀プランに含まれている場合はそのままお任せするのが通例だと言えます。
ですが、別途オプション料金での後飾り設置に関して「どうせ四十九日で捨てる事になるし…」と考え、葬儀社を介さずに後飾りをご自身(故人の遺族の方々)で飾られる事も実際にあります。
故人の遺族側自身で後飾り祭壇を作るのか、葬儀社を介すのか、一概にどちらがよいとは言い切れません。
後飾りは故人の供養でもあるので、なかなか簡単に費用面だけで考えるという事も決断しずらいところがあると思います。
もし、遺族側ご自身で後飾りを用意される場合については、次の項目で解説していますので参考にしていただければ幸いです。
後飾りセットやレンタル情報
葬儀社を介さずに、自分で後飾りを用意する場合には「後飾り祭壇」や「後飾りセット」として一式販売されています。
後飾り祭壇の費用相場
3,000円~50,000円
後飾りセット(後飾りに必要な仏具など)の費用相場
3,000円~10,000円
以下、幾つか例として紹介しておきますので、参考になれば幸いです。
▼仏壇をお持ちでない場合、一般的な後飾りに必要となってくる仏具をまとめてセットで購入できるのは助かるのではないかと思います。
▼【後飾り祭壇】三段のもので4,000円台、ダンボール製なので設置期間が過ぎた後の処分が楽です。
▼【後飾り祭壇】白布付きの木製棚なので、白い布を用意する手間が省けます(写真立て付き)
また、葬儀社によっては後飾り祭壇をレンタルで用意しているところもあります。
レンタルの場合、最後に処分しないで済む事にもなります。
後飾り祭壇レンタルの費用相場
目安として30,000円前後
もし、レンタルを検討される際は、後飾りが葬儀プランに含まれている場合の費用(できれば何社か)と比較してみる事をおすすめします。
後飾りの処分方法
後飾りを自分で用意した場合、設置期間が過ぎれば棚など自分で処分する事になります。
※葬儀社で後飾りを用意してもらった場合は、そのまま引き取ってもらえるのがほとんどです。
▼ダンボール製の後飾り祭壇を設置した場合
上で紹介したダンボール製の後飾り祭壇を設置した場合に気をつけたいのが以下の点です。
ダンボールは「燃えるゴミ」ではないので、古紙やペットボトルのようにほとんどの自治体で「資源ゴミ」の扱いになっています。
ダンボールなどの古紙回収を定期で行っていると思いますので、各自治体のホームページなど確認してみて下さい。
※出し方が自治体ごとに決まっているため
白木位牌の重要性と処分方法
仏式の場合に後飾り祭壇に安置するための仮位牌として用意する事になる白木位牌は、故人の魂が宿ったものとされています。
そのため、忌明けの際、仮位牌から本位牌に故人の魂を入れ替えて仏壇に安置する事になります。
四十九日法要時に仮位牌である白木位牌から本位牌へと置きかえるのが通例で、白木位牌は故人の魂を抜いたあと、僧侶に引き取っていただき、お炊き上げしてしてもらうのが一般的です。
そのほか、仏壇をお持ちの場合は鈴や鈴棒は使えますし、処分せずに新盆や一周忌などの時に再利用される方もいらっしゃいます。
また、自分で後飾りを用意した場合でも、葬儀社によっては回収してくれるところもあります。
後飾りはあくまで四十九日までの仮の祭壇となります。
前述したように、葬儀社の葬儀プランに含まれている場合は多いですが、中には費用面に関してシビアに考える方もいらっしゃいます。
葬儀プランに含まれている場合はそのままお任せするのが通例だと言えます。
ですが、別途オプション料金での後飾り設置に関して「どうせ四十九日で捨てる事になるし…」と考え、葬儀社を介さずに後飾りを自分で飾られる事も実際にあります。
自分で後飾り祭壇を作るのか、葬儀社を介すのか、一概にどちらがよいとは言い切れません。
後飾りは故人の供養でもあるので、なかなか簡単に費用面だけで考えるという事も決断しずらいところがあると思います。
はっきり言える事としては、葬儀社の葬儀プランに含まれているのならば、特に自分で後飾りの用意をする必要はないでしょう。
まとめ
後飾りについて紹介しました。
最後に、各要点をまとめたものが以下になりますので、おさらいしておきましょう。
この記事の本文中にも書いていますが、葬儀社の葬儀プランに含まれている事が多い後飾りの場合は「いざ」という時でも葬儀社を頼る事ができます。
もちろん、事前に知っておく・理解を深めておく事で、いざご自身側で後飾りを行う事もスムーズかとは思います。
今回の後飾りのように、葬儀関係の事は終活においてもとても重要な事だと言えます。
終活.comでは葬儀関係の事だけでなく、看護や介護の事についても幾つかまとめています。
下記の「看取り」に関する記事もその1つです。
終活をする上で、自身がどのような最期を迎えたいのかを考える事もあるかと思います。
こちらもぜひご覧下さい。