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吉本興業のお笑い芸人・小藪千豊さんを起用した厚労省「人生会議」のPRポスターに批判や反発が起こり、各方面で取り上げられています。
若い世代の人たちには「小藪さんは知ってるけど、人生会議って何?」という声も少なくないかと思います。
「人生会議のロゴなら見たことある」という若い世代の人はいるかもしれません。
人生会議とは?
終活とは違うのか?
この記事は、両者について当サイトの見解をまとめたものです。
是非最後までお読みいただき、人生会議・終活の本質的部分を意識してもらえたらと思います。
人生会議とは?
人生会議とは、厚生労働省が普及・啓発を進めていきたい”ある取り組み”のことを指しています。
その”ある取り組み”というのが、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)です。
ACP(アドバンス・ケア・プランニング)とは、もしもの時のために、自身が望む医療やケアについて事前に考え、家族や医療ケアチームと話し合って共有する取り組みのことです。
この取り組みの普及・啓発を厚生労働省が以前から進めてきていましたが、より馴染みやすい言葉として「人生会議」という愛称で呼ぶことにしました。
このことは厚生労働省のホームページ内に記載されています。
PRポスター公開も炎上
ACPの愛称を人生会議でと、PRポスターを作ることになったわけですが、完成したポスターが公開されるとともに炎上騒動となりました。
※完成したPRポスターについては、批判や反発のあったものを二次・三次的にここで掲載するというのはメディアとして不適切とみなし、差し控えさせていただく旨、ご了承願います
ACPの愛称を人生会議とし、ここまでの流れを簡潔に書くと
・厚生労働省はACPの普及を進めてきた
・もっと多くの人たちへと普及させたい
・ACPのことを「人生会議」と呼ぼう
・ACPの愛称を「人生会議」とし、PRポスターを作成
・批判や反発により炎上
・厚生労働省が意見を真摯に受け止め、ポスター掲載を停止
・改めて普及、啓発の進め方を検討 ← 今ここ
といった流れになっています。
なぜPRポスターに対し、批判や反発が起きたのかについてですが
・怖い
・誤解や不安をあおる
・ふさわしくない
・患者にも家族にも配慮がない
といった声が上がりました。
こうした世間の声を受けて厚生労働省はポスター掲載の停止を発表しましたが、良くも悪くも「人生会議」という言葉を多くの人たちが知ることになったのではないでしょうか。
厚労省の関係者の方のツイートだけでも様々な声が寄せられているのがわかります。
「人生会議」ポスター騒動について、ACPの普及啓発検討会から「人生会議」愛称選定まで、この分野に政策担当者として関わらせてもらった身として、今回の騒動をとても悲しく思っています。
— 久米隼人@厚労省 (@kumehayato) November 27, 2019
人生会議と終活の違い
これは当サイトの見解になりますが、結論からいうと人生会議と終活は「類」でいうと同じだと考えています。
以下、厚生労働省の人生会議のリーフパンフレットになります。
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現在終活をされている方だとピンと来るかもしれませんが、パンフレットの内容から考えても、終活における医療ケア・終末期のことを考えるのとそんなに変わりないように感じるのではないでしょうか。
「人生会議」と「終活」どちらが良い・悪いといったことでも優劣をつけるというわけでもなく、同じ類だと見解しています。
「人生会議は素晴らしい取り組みだけど、終活はちょっと暗い」
「終活は人生を総合的に考えるけど、人生会議は終活の一部でしかない」
といった形で、どちらかの良し悪しを競う等ではなく、本質的なところは変わりないと思います。
終活という造語から終活ブームが生まれたように、考え方によっては、「終活の次に来るのは人生会議か?」と思う人もいるかもしれません。
ですが、大事なのは本質的なところだと思います。
人生会議は終活の医療部分をより掘り下げたもの
終活に欠かせないアイテムとしてエンディングノート(終活ノート)があります。
「もしもの時」「万が一」を考えてエンディングノートに医療・介護への望むことを書いたりします。
エンディングノートに終末期の医療方法の要望を記入しておくことで、もしも自身が意思疎通ができなくなってしまったときに自身の意思を伝えることができます。
また延命治療の有無などは家族の方も聞きにくいことですので、ノートに書いておくことで家族も本人の希望を知ることができます。
医療やケアのことについて、エンディングノートを書くという行動は、人生会議における本質的な部分だと考えられます。
上で紹介した人生会議のパンフレットから引用抜粋させていただきますが、以下ご覧ください。
誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やケガをする可能性があります。
命の危険が迫った状態になると、約70%の方が、医療やケアなどを自分で決めたり望みを人に伝えたりすることができなくなると言われています。
自らが希望する医療やケアを受けるために大切にしていることや望んでいること、どこでどのような医療やケアを望むかを自分自身で前もって考え、周囲の信頼する人たちと話し合い、共有することが重要です。
パンフレット記載の通りですが、要点的な箇所を大きく太字にしてみました。
こう見ると、終活におけるエンディングノートに書くことと、人生会議の本質的部分って表現が違うだけで意味合いは同じじゃないでしょうか。
・エンディングノートは本人の希望を書く
・人生会議は医療やケアのことで直接人と話す
終活も人生会議もどちらも大切だということです。
終活と人生会議、あなたはどっち派?
といったことではなく、終活という造語もACPの愛称である人生会議も、どちらも大切なことには変わりありません。
終活メディアだからといって「終活は人生会議よりももっと広義で…」と提唱付けしようとは思いません。
終活も人生会議もどちらも試みというのか「自身のため・周囲の大切な人のため」であることには変わりないわけですから。
もし、区別化をという観点でいえば
人生会議は終活における医療部分のことをより掘り下げたもの
といえばよいのではないかと思います。
ちなみに、エンディングノートといえば、お笑い芸人・アンガールズの田中卓志さんがフジテレビ系「バイキング」(11月29日放送分)で、人生会議のポスターに関する話題から、終活について語っていました。
アンガ田中「家族みんなで」終活ノート作り明かす/芸能/デイリースポーツ online https://t.co/w2UnXGVWTT #DailySports
— デイリースポーツ (@Daily_Online) November 29, 2019
簡潔にいうと、「家族皆でエンディングノートは書いている」といったことを田中さんは話されていました。
こうした内容から、人生会議と終活は密接な関係として捉えられる面があるということもわかります。
そして今後も近いところで扱われるのだろうとは思います。
人生会議も終活も終末期への備え
終活としてエンディングノートを書くのは、単に葬儀や財産について書くだけでなく、先で触れたように終末期(終末期のこと・医療やケアへの希望など)に備えて活用するということでもあるわけです。
終末期医療、つまり終末期の医療・看護のことをターミナルケアといいます。
近年、「終末期医療のあり方」といった形で、このターミナルケアという言葉も広がりを見せています。
▼ターミナルケアと看取りの違い
どちらも「余命わずか」という意味では共通していますが、ターミナルケアは医療が中心で、看取りは介護が中心です。
※看取りでも必要に応じて身体的・精神的苦痛を緩和するケアを行いますが、中心にあるのは介護
ターミナルケアを考えると、前述した人生会議のパンフレットにも書かれている次の文面に人生会議の本質的部分がより理解できるのではないかと思います。
・約70%の方が、医療やケアなどを自分で決めたり望みを人に伝えたりすることができなくなると言われている
・自分自身で前もって考え、周囲の信頼する人たちと話し合い、共有することが重要
これらのことは、地域医療においても声に上がっている「ターミナルケアの意思表示」に対することを表しているものだと考えられます。
具体的にいうと
治療内容に本人の意思が反映されているのか
ということです。
治療内容に本人の意思が反映されているのか、という疑問視が人生会議の本質的なところの1つだと見解しています。
だからこそ自身で事前に考え、周囲の信頼する人たちと話し合って共有することが重要だということを普及・啓発に務めているのだと思います。
まとめ
人生会議と終活の違いについて紹介しました。
本質的な意味合いは共通しており、終活における医療・ケアに関する部分をより掘り下げたものが人生会議だと見解しています。
終活の考え方が良い悪い・人生会議の考え方が良い悪い、といった見方ではなく、自身がどう取り組むべきかを意識したり考えるのが大切なことだと思います。
「終活とは違う」「人生会議とは違う」といった形で論争形式だったり優劣つけて区別化を図るメディア等もあるようですが、「うどん派か?そば派か?」ぐらい不毛だと感じます。
見解の範疇を超えるような印象操作は、人々を本質から遠ざけてしまうことになりかねないと考えています。
「うどん好きだし、そばもたまに食べたくなるよね」といった自然な形が好ましいものです。
終活も人生会議も強制ではないものの、とても大切なものであり、「自身のため家族のため」という本質的な部分に違いはなく同じだと捉えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本記事内でも触れた終活の必須アイテムともいえるエンディングノート(終活ノート)は、様々なタイプの種類があります。
以下の記事で色々なエンディングノートについてまとめています。
「どのエンディングノートが良いのか悩む」という方に、少しでもお役に立てれば幸いです。