相続人がいないと財産はどうなる?おひとりさまの遺贈・特別縁故者の準備

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相続人が1人もいないまま亡くなった場合、その方の財産は自動的に国のものになるわけではありません。家庭裁判所が相続財産清算人を選び、借金の清算や相続人の捜索を行い、特別縁故者への分与を経て、それでも残った分がようやく国庫へ入ります。この記事では、その手続きの中身と期限、誰が財産を受け取れる可能性があるのか、そして生前にできる備えを整理します。

結論

  • 相続人がいない場合、財産は相続財産清算人の手続きを経て、最後に国庫へ帰属します
  • この手続きには1年以上かかることが普通で、申立てをする人が費用を立て替えます
  • 身のまわりの世話をしてきた人は特別縁故者として財産を受け取れる可能性があります
  • ただし申立ての期限は3か月。知らなければ、そのまま国庫に入ります
  • 遺言書を1通書いておけば、この手続きそのものが起きません
  • 渡したい相手が親族でなくても、遺贈という形で財産を渡せます

目次

  1. 相続人がいないと財産はどこへ行くのか
  2. 法定相続人の範囲と、「いない」と判断される条件
  3. 相続財産清算人の手続きと、かかる期間
  4. 特別縁故者になれる人と、3か月の期限
  5. 共有していた不動産の扱い
  6. 国庫に入れないための5つの方法
  7. 遺贈・寄付・死後事務の頼み方
  8. 今日からできる準備リスト

相続人がいないと、財産はどこへ行くのか

結論から言えば、最終的には国庫、すなわち国のお金になります。ただしそこに至るまでには、いくつもの段階があります。この流れを知らないまま「どうせ国に取られる」と考えている方が多いのですが、途中には財産が人に渡る場面が2回あります。

1相続財産清算人が選ばれる債権者や特別縁故者になり得る人などの利害関係人、または検察官が家庭裁判所に申し立てます。誰も申し立てなければ、この手続き自体が始まりません。
2借金や未払い分が清算される債権者への支払い、遺贈があればその履行が行われます。ここで財産が人に渡る1回目です。
3相続人が本当にいないか捜索される6か月以上の期間を定めて公告されます。名乗り出る相続人がいなければ、相続人がいないことが確定します。
4特別縁故者への分与療養看護をしていた人などが申し立て、家庭裁判所が認めれば財産が渡されます。財産が人に渡る2回目です。
5残りが国庫へ帰属ここまでで残った財産が国のものになります。

「相続人がいない」とはどういう状態か

ひとり暮らしだから相続人がいない、というわけではありません。法律で決まった順番で相続人を探し、1人もいない場合を指します。

順位誰が相続人になるか備考
常に相続人配偶者婚姻届を出している配偶者に限られます
第1順位子(亡くなっていればその子=孫)養子・認知した子・前の配偶者との子も含みます
第2順位父母(亡くなっていれば祖父母)第1順位がいない場合に相続人になります
第3順位兄弟姉妹(亡くなっていればその子=甥・姪)甥・姪までで止まり、その子には引き継がれません

「相続人はいない」と思っていた人に、じつはいるケース

  • 疎遠になっている兄弟姉妹、その子である甥・姪。会ったことがなくても相続人です
  • 前の配偶者との間の子。離婚しても親子関係は続きます
  • 認知した子。同居していなくても第1順位の相続人です
  • 養子縁組した子。実の親との関係が残る普通養子縁組では、両方の相続人になります

相続人がいるかどうかは、戸籍をたどらなければ確定できません。「たぶんいない」で判断しないでください。

相続人が全員いなくなる場合

もともと相続人がいない場合だけでなく、次のような理由で結果的に誰もいなくなることもあります。

  • 相続人全員が相続放棄をした(借金が多い場合によく起こります)
  • 相続人が全員先に亡くなっている
  • 相続人が相続欠格に当たる、または廃除されている

全員が相続放棄をした場合も、法律上は「相続人がいない」状態として扱われます。この場合、財産に不動産が含まれていると、管理の問題が長く残ることがあります。

相続財産清算人とは

相続人がいないときに、亡くなった方の財産を管理し、清算する役目を家庭裁判所から与えられた人です。多くは弁護士や司法書士が選ばれます。

名称が変わっています

かつては相続財産管理人と呼ばれていましたが、2023年4月1日施行の改正民法により「相続財産清算人」に名称が変わりました。同時に手続きも見直され、以前より短い期間で終えられるようになっています。古い解説では旧名称のままになっていることがあります。

項目内容
誰が申し立てるか債権者、特定遺贈を受けた人、特別縁故者になり得る人などの利害関係人、または検察官
どこに申し立てるか亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
誰が選ばれるか家庭裁判所が選任します。申立人が指名できるわけではありません
何をするか財産の調査・管理、債権者への支払い、遺贈の履行、相続人の捜索、不動産の売却、国庫への引き継ぎ
報酬相続財産から支払われます。財産が少ない場合、申立人が納めた予納金から充てられます

申立てにはまとまった予納金が必要になることがあります

財産が少ない場合、清算人の報酬をまかなうために申立人が家庭裁判所へ予納金を納めるよう求められることがあります。金額は財産の内容や事案によって大きく異なりますが、数十万円単位になることも珍しくありません。このため「手続きをしたいが費用が出せない」という理由で、そのまま放置される財産があります。

手続きにかかる期間

段階期間の目安内容
申立てから選任まで1〜2か月程度家庭裁判所が審理し、清算人を選びます
相続人捜索の公告6か月以上この期間内に名乗り出る相続人がいなければ確定します
債権者・受遺者への公告2か月以上捜索の公告と並行して進められます
特別縁故者の申立て期間確定から3か月この期限を過ぎると申し立てられません
分与の審理数か月家庭裁判所が事情を調べて判断します
合計おおむね1年以上かかるのが一般的です

※ 期間は事案の内容によって大きく変わります。不動産の売却が必要な場合はさらに長くなります。

特別縁故者とは誰か

この記事のなかで、いちばん知られていない制度です。相続人ではないけれど、亡くなった方と特別に深い関係にあった人は、家庭裁判所に申し立てることで財産の分与を受けられる可能性があります。

類型具体例
生計を同じくしていた人内縁の配偶者、事実上の養子として一緒に暮らしていた人、長年同居していた友人
療養看護に努めた人無償に近い形で長期間介護をしていた親族・知人。報酬を受け取っていた職業上の介護は原則として含まれません
その他特別の縁故があった人生前から深い交流があり、本人が財産を渡す意思を示していたと認められる個人や団体

認められるかどうかは家庭裁判所の判断です

特別縁故者は要件を満たせば自動的になれる資格ではありません。申立てを受けて、家庭裁判所が事情を個別に調べたうえで、分与するかどうか、いくら分与するかを決めます。全額が認められるとは限らず、一部だけ認められることもあります。

特別縁故者になれる人・なりにくい人

状況見込み理由
20年連れ添った内縁の配偶者高い生計を同じくしていた典型例です
10年間、無償で介護してきた姪の配偶者あり得る療養看護に努めた人に当たり得ます
近所づきあいで買い物を手伝っていた知人事情による関わりの深さと期間が問われます
本人が生前から寄付を口にしていた団体あり得る法人が認められた例もあります
報酬を受けて介護していた事業者難しい契約に基づく業務は特別の縁故に当たりにくいとされます
年に数回会っていただけの親族難しい特別の縁故とまでは評価されにくい状況です
期限(3か月)を過ぎて申し立てたできない期間を過ぎると申立てそのものができません

3か月という期限に注意してください

最も多い失敗が、期限切れです

特別縁故者としての申立てができるのは、相続人捜索の公告期間が満了して「相続人がいない」ことが確定した日から3か月以内です。この確定の日は、手続きに関わっていなければ気づけません。心当たりのある方は、相続財産清算人が選任された段階で、清算人に連絡先を伝えて進捗を教えてもらうようにしてください。

共有していた不動産はどうなるか

亡くなった方が、他の人と共有していた不動産の持分については、別のルールがあります。相続人も特別縁故者もいない場合、その持分は他の共有者のものになります(民法255条)。

順番誰に渡るか
1相続人
2特別縁故者(分与が認められた場合、こちらが優先されます)
3他の共有者
4(共有でない財産は)国庫

マンションの共有持分や、兄弟で共有している実家などが該当します。共有物件がある方は、この扱いを知っておくと、誰にどう残すかの判断が変わることがあります。

国庫に帰属するとはどういうことか

最後まで残った財産は国のものになります。特定の福祉事業に使われるわけではなく、国の一般的な収入として扱われます。「せめて役に立つ形で残したい」と考える方にとっては、望んだ結果ではないことが多いはずです。

また、不動産が国庫に引き継がれるまでには長い時間がかかり、その間は誰も手をつけられません。近隣にとっては空き家が放置される期間が長引くことになります。これも、生前に決めておく理由の1つです。

国庫に入れないための5つの方法

方法できること確実さ手間
遺言書誰に何を渡すかを自分で決められる最も確実中
生前贈与生きているうちに渡してしまう確実中(税負担に注意)
死後事務委任契約葬儀・納骨・部屋の片付けなどを頼む高い中
家族信託などの信託管理と承継の道筋を先に決める高い大
生命保険受取人を指定して現金を渡す高い小

手間と効果のつり合いで見ると、まずは遺言書です。1通あれば、この記事で説明してきた相続財産清算人の手続きも、特別縁故者の申立ても、原則として不要になります。

遺言書を書く|最も確実な方法

遺言書があれば、相続人でない人にも財産を渡せます。これを遺贈といいます。友人でも、お世話になった方でも、団体でも構いません。

比べる点自筆証書遺言公正証書遺言
作り方全文を自分で手書き(財産目録は例外)公証人が作成する
証人不要2人必要
費用ほとんどかからない公証人の手数料がかかる
無効になる危険形式の不備で無効になることがある低い
保管自分で保管、または法務局の保管制度公証役場で原本を保管
検認必要(保管制度を使えば不要)不要
おひとりさま向きか保管制度を使えば実用的最も向いています

おひとりさまは遺言執行者を必ず指定してください

遺言書があっても、実際に手続きをする人がいなければ実現しません。不動産の名義変更、預金の払い戻し、遺贈の履行といった作業を担うのが遺言執行者です。相続人がいない状況では、この指定があるかどうかで結果が大きく変わります。信頼できる個人か、弁護士・司法書士などの専門家を指定しておいてください。

遺贈と寄付の違い

種類内容注意点
包括遺贈「財産の3分の1を渡す」のように割合で指定する借金も同じ割合で引き継がれます
特定遺贈「この預金を渡す」のように具体的な財産を指定する受け取る側の負担が小さく、実務では扱いやすい形です
遺贈寄付団体へ遺贈する不動産のままでは受け取れない団体が多くあります

団体に寄付するときは、事前の確認が欠かせません

受け入れ可能な財産の種類は団体によって違います。現金は受け取れても、不動産や有価証券は受け取れないという団体は多いです。書いてから断られると、その部分は行き場を失います。寄付先を決めたら、生前に必ずその団体へ受け入れの可否を問い合わせてください。不動産を渡したい場合は、売却して現金に換えてから渡す形(清算型遺贈)にする方法もあります。

死後事務委任契約

遺言書で決められるのは、原則として財産の行き先です。葬儀の手配、納骨、部屋の片付け、役所への届出、施設の精算といった「作業」は、遺言書では実行されません。これを頼んでおくのが死後事務委任契約です。

頼めること具体例
届出・手続き死亡届、健康保険・年金の手続き、公共料金や携帯電話の解約
葬儀・埋葬葬儀社との連絡、火葬、納骨、永代供養の手配
住まいの後始末賃貸物件の明け渡し、家財の処分、施設の精算
連絡あらかじめ指定した知人・関係者への連絡
デジタルの整理アカウントの解約、定額サービスの停止

おひとりさまの場合、遺言書と死後事務委任契約はセットで考えてください。財産の行き先だけ決めても、葬儀と部屋の片付けを誰がやるのかが決まっていなければ、現実の困りごとは解決しません。

任意後見契約と組み合わせる

ここまでの備えは、いずれも亡くなったあとに効くものです。しかし実際には、判断能力が落ちてから亡くなるまでの期間のほうが長くなることがあります。

時期必要な備え効き始めるとき
元気なうち財産管理等の委任契約、見守り契約契約したときから
判断能力が落ちたあと任意後見契約家庭裁判所が任意後見監督人を選んだとき
亡くなった直後死後事務委任契約死亡したとき
財産の行き先遺言書死亡したとき

この4つを同じ相手にまとめて頼むと、切れ目がなくなります。公証役場では、任意後見契約・死後事務委任契約・遺言をあわせて作成する相談にも応じてもらえます。

誰に頼むか

頼む相手向いている場面注意点
甥・姪などの親族関係が良好で、近くに住んでいる相手も年を取ります。予備の人も決めておきます
弁護士・司法書士・行政書士頼れる親族がいない費用がかかります。事務所の継続性も確認してください
社会福祉協議会収入が多くない、まず相談したい地域によって取り組みの内容が異なります
市区町村の終活支援公的な仕組みを使いたい実施していない自治体もあります
信託銀行など財産が多い取り扱う財産の下限が設けられている場合があります

まず無料の窓口から始められます

お住まいの市区町村の地域包括支援センターは、65歳以上の方とその家族の相談を無料で受けています。終活支援の取り組みを行っている自治体もあり、まず何をすべきかの交通整理をしてもらえます。法テラスでは、収入などの条件を満たす場合に無料の法律相談を利用できる制度があります。

費用の考え方

項目費用の性質
自筆証書遺言紙とペンがあれば作れます。法務局の保管制度は定額の手数料です
公正証書遺言公証人の手数料は財産の額に応じて決まります
遺言執行者の報酬専門家に頼む場合、財産額に応じた設定が一般的です
死後事務委任契約契約時の費用と、実際の作業費用(葬儀費用など)をあらかじめ預けておく形が多くとられます
任意後見契約時の費用のほか、開始後は後見人と監督人の報酬が継続的にかかります

※ 具体的な金額は依頼先や財産の内容によって大きく異なります。編集部が公開情報をもとに費用の性質のみを整理したもので、金額の目安を示すものではありません。必ず複数の窓口で見積もりを取って比べてください。

今日からできる準備リスト

  • 戸籍をたどって、法定相続人が本当にいないかを確認する
  • 財産の一覧を1枚にまとめる(預金・不動産・保険・有価証券・借入)
  • 渡したい相手、または寄付したい団体を決める
  • 寄付先には受け入れ可能な財産の種類を問い合わせる
  • 遺言書の形式(自筆か公正証書か)を決める
  • 遺言執行者を決めて、本人の承諾を得る
  • 葬儀・納骨の希望を書き出す
  • 死後事務を頼む相手を決める
  • 判断能力が落ちたときの備え(任意後見)も併せて相談する
  • 作った書類の保管場所を、頼む相手に伝えておく

相続人がいない方の財産の疑問

内縁の配偶者に財産を残したいのですが。
内縁の配偶者は相続人になりません。特別縁故者として認められる可能性はありますが、それは亡くなったあと、長い手続きを経て家庭裁判所が判断することです。確実に渡したいなら遺言書を書いてください。遺言書があれば、この不確実さは消えます。
相続人がいないことは、誰が調べるのですか。
相続財産清算人が戸籍を取り寄せて調査し、そのうえで家庭裁判所が公告を行います。ただし、誰かが申立てをしなければこの手続きは始まりません。債権者がいなければ、財産が長く手つかずのまま残ることもあります。
遺言書を書けば、相続財産清算人は不要になりますか。
財産のすべてについて行き先を決めていれば、原則として不要になります。ただし一部の財産しか書いていない場合、残りの財産について手続きが必要になることがあります。「その他一切の財産は◯◯に遺贈する」という一文を入れておくと、書き漏らしに対応できます。
お世話になった友人に遺贈したいのですが、負担になりませんか。
特定遺贈であれば、受け取る側は放棄することもできます。負担を心配されるなら、事前に本人へ伝えておくのが最善です。なお、相続人でない人が遺贈を受けた場合、相続税は2割加算されます。この点も伝えておくと親切です。
ペットに財産を残せますか。
動物に財産を渡すことはできません。方法としては、ペットの世話を引き受けてくれる人や団体に対して、世話をすることを条件に財産を渡す負担付遺贈という形をとります。引き受け手の承諾を生前に得ておくこと、そして約束が守られているかを確認する役目の人(遺言執行者)を決めておくことが重要です。
賃貸住宅に住んでいます。亡くなったあと部屋はどうなりますか。
相続人がいない場合、賃貸借契約の解約や家財の処分を行う人がいない状態になります。大家さんが困り、費用の回収もできません。これを避けるのが死後事務委任契約です。賃貸にお住まいのおひとりさまには、遺言書より先に必要な備えといえます。
甥や姪に迷惑をかけたくありません。
甥・姪が相続人になる場合、何もしないほうが迷惑をかけます。手続き、部屋の片付け、葬儀、場合によっては借金の処理まで背負うことになるからです。誰に何を頼むかを決め、費用を用意し、書面にしておくことが、いちばんの配慮になります。
財産がほとんどありません。それでも準備は必要ですか。
必要です。むしろ財産が少ない場合ほど、手続きの費用が出せず、誰も動けない状態になりやすいからです。財産が少ないなら遺言書は簡単に書けますし、葬儀と部屋の片付けの費用だけでも用意し、頼む相手を決めておくことに大きな意味があります。
特別縁故者として認められたら、税金はかかりますか。
分与を受けた財産には相続税がかかる場合があります。相続人ではないため、税額は2割加算の対象になります。基礎控除の計算方法も通常の相続とは異なるため、分与が認められた段階で税務署または税理士にご確認ください。
遺言書は何度でも書き直せますか。
何度でも書き直せます。内容が食い違う場合は、日付の新しいものが優先されます。だからこそ日付は必ず正確に書いてください。公正証書遺言も作り直せます。状況が変わったとき、頼む相手が変わったときは、その都度見直してください。
相続財産清算人の申立てを、自分で生前に頼んでおけますか。
できません。清算人は亡くなったあとに家庭裁判所が選ぶもので、生前に予約する仕組みはありません。生前にできるのは、遺言書で遺言執行者を指定しておくこと、そして死後事務委任契約を結んでおくことです。この2つで、清算人の手続きを経ずに済ませられます。
まず何から手をつければよいですか。
財産の一覧を1枚書くことから始めてください。預金がどこにいくらあるか、不動産があるか、保険に入っているか。この1枚がないと、誰に相談しても話が進みません。次に、渡したい相手を1人決める。この2つが済めば、あとは窓口で形にしてもらえます。

まとめ|遺言書1通で、この長い手続きは起きません

相続人がいないまま亡くなると、財産は自動的に国のものになるのではなく、家庭裁判所が選んだ相続財産清算人による1年以上の手続きを経て、最後に国庫へ入ります。その途中には、債権者への支払いと、特別縁故者への分与という2つの分岐があります。

特別縁故者の制度は知られていません。長年連れ添った内縁の配偶者も、無償で介護をしてきた人も、期限である3か月を知らなければ申し立てられません。お世話になった方がいるなら、この不確実さを残すべきではありません。

やるべきことは、思いのほか単純です。財産の一覧を1枚書き、渡したい相手を決め、遺言書にして、遺言執行者を指定する。そして葬儀と部屋の片付けを頼む相手を決めて、死後事務委任契約にしておく。この2つで、ここまで説明してきた手続きは起きません。

おひとりさまの終活は、自分のためだけのものではありません。ご自身の財産の行き先を決めておくことは、残された誰かが1年以上かけて手続きをする負担を、あらかじめ取り除いておくことでもあります。

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本記事は、編集部が法務省・裁判所・国税庁をはじめとする公的機関の公開情報をもとにまとめたものです。本記事は一般的な制度の説明であり、個別の法律相談や税務相談に代わるものではありません。相続人の有無、特別縁故者に当たるかどうか、分与の可否と金額は、事案ごとに家庭裁判所が判断します。手続きにかかる費用や予納金の額は、財産の内容や管轄の裁判所によって異なります。実際の申立てや遺言書の作成にあたっては、弁護士・司法書士等の専門家、公証役場、または家庭裁判所の手続案内をご利用ください。収入等の条件によっては、法テラスの無料法律相談を利用できる場合があります。お住まいの地域の地域包括支援センターおよび社会福祉協議会でも、無料で相談を受け付けています。

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