家族が亡くなったら銀行口座はいつ凍結される?解除までの流れをやさしく解説

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ご家族が亡くなったあと、銀行口座が凍結されて困っていませんか。口座の凍結はいつ始まり、どうすれば解除できるのか、公的な資料をもとに順を追ってご説明します。

「葬儀代を引き出そうとしたら、窓口で止められてしまった」——そんなお話をよく耳にします。実は、この凍結には法律上のちゃんとした理由があり、そして葬儀費用のために一定額を引き出せる制度もきちんと用意されています。順番に見ていきましょう。


①ご家族が亡くなると、銀行口座はいつ凍結されるのでしょうか

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凍結が始まるタイミング

実は、役所に死亡届を出した瞬間に自動で凍結される、というわけではありません。全国銀行協会の案内では、口座名義人が亡くなった場合はまず取引先の金融機関に連絡し、その相続の連絡と同時に、亡くなった方(被相続人)の口座での入出金等の取引は原則として制限されるという流れで説明されています。
(出典:一般社団法人 全国銀行協会「預金相続の手続の流れ」

なお、死亡届そのものは戸籍法に基づく手続きで、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村へ届け出ることになっています。銀行の手続きとは別物ですので、混同しないようにしてください。
(出典:法務省「死亡届」(戸籍法第86条・第87条)

なぜ凍結されるのでしょうか

これには最高裁判所の判断が関係しています。法務省の資料によれば、平成28年12月19日の最高裁大法廷決定により、相続された預貯金は遺産分割の対象となる財産に含まれ、共同相続人が単独で払戻しを受けることはできないと整理されました。
(出典:法務省「相続された預貯金債権の払戻しを認める制度について」[PDF]

つまり、銀行が意地悪をしているのではなく、相続人の皆さんの取り分を守るための扱いなのです。誰か一人が先に全部引き出してしまえば、あとで大きな争いのもとになりますものね。

理由がわかると、少し気持ちが落ち着くのではないでしょうか。


②葬儀費用が払えない…「遺産分割前の払戻し制度」が使えます

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家庭裁判所の判断を経ずに引き出せる制度

遺産分割が終わるまで一円も動かせないのでは、生活費も葬儀費用も立ち行きません。そこで平成30年7月の民法改正により、2019年7月1日から相続預金の払戻し制度が設けられました。当面の生活費や葬儀費用の支払いのために使える制度です。
(出典:全国銀行協会「ご存知ですか?遺産分割前の相続預金の払戻し制度」[PDF]

引き出せる金額は、口座ごと(定期預金は明細ごと)に次の式で計算します。

制度を使うときに用意する書類

この制度を利用するときは、本人確認書類に加えておおむね次の3点が必要とされています。ただし金融機関によって異なる場合がありますので、事前のお問い合わせが安心です。

  • 被相続人の除籍謄本・戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
  • 預金の払戻しを希望される方の印鑑証明書

(出典:全国銀行協会「ご存知ですか?遺産分割前の相続預金の払戻し制度」[PDF]

150万円を超えるお金が必要なときは

もう一つ、家庭裁判所の判断による仮払いの制度もあります。家庭裁判所に遺産分割の審判や調停が申し立てられている場合に、審判を得て相続預金の全部または一部を仮に取得し、単独で払戻しを受けられるというものです。ただし、仮払いの必要性が認められ、かつ他の共同相続人の利益を害しない場合に限られます。
(出典:全国銀行協会「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」[PDF]

法務省の説明では、限度額のある小口の資金需要は前者の制度で、限度額を超える比較的大口の資金需要は家庭裁判所の仮払いで対応することが想定されています。
(出典:法務省「民法(相続法)改正 遺言書保管法の制定」[PDF](Q4)

なお、この制度で払い戻されたお金は、後日の遺産分割で払戻しを受けた相続人が取得するものとして調整されます。「もらい得」にはなりませんので、そこはご承知おきください。

ご自分のペースで、できるところから進めていけば大丈夫です。


③口座凍結の解除=相続手続きの流れと必要書類

手続きは4つのステップで進みます

全国銀行協会は、預金相続の手続きを次の4段階で案内しています。窓口の方が状況に応じて案内してくれますので、身構えなくても平気です。

  • 【STEP1】手続のお申出:金融機関へ連絡し、ケースに応じた案内を受ける
  • 【STEP2】必要書類のご準備:遺言書の有無などによって用意する書類が変わる
  • 【STEP3】書類のご提出:金融機関所定の相続手続書類に記入し、相続人が署名捺印して提出
  • 【STEP4】払戻し等の手続:提出後に払戻し等が行われる(日数がかかる場合あり)

(出典:全国銀行協会「預金相続の手続の流れ」

ケース別・必要書類のめやす

いちばん多いのが「遺言書も遺産分割協議書もない」ケースです。この場合はおおむね、被相続人の除籍謄本・戸籍謄本等(出生から死亡までの連続したもの)、相続人全員の戸籍謄本等、相続人全員の印鑑証明書が必要になります。
(出典:全国銀行協会「預金相続の手続に必要な書類」

遺言書がある場合は、遺言書と検認調書または検認済証明書(公正証書遺言以外)、被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本等、預金を相続される方(遺言執行者がいる場合は遺言執行者)の印鑑証明書などが必要です。遺産分割協議書がある場合は、相続人全員の署名・捺印がある協議書が加わります。
(出典:全国銀行協会「預金相続の手続に必要な書類」

戸籍の束を何度も出さずに済む「法定相続情報証明制度」

複数の銀行に口座があると、分厚い戸籍の束を何度も持ち回ることになります。そこで便利なのが法定相続情報証明制度です。法務局に一覧図と戸除籍謄本等を提出すると、登記官が確認のうえ、認証文を付した写しを無料で交付してくれます(平成29年5月創設)。
(出典:法務局「『法定相続情報証明制度』について」

この一覧図の写しは、相続登記のほか被相続人名義の預金の払戻し手続や相続税の申告、年金等の手続きにも使えます。申出先は、被相続人の本籍地・最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地を管轄する登記所のいずれかで、郵送でも申出できます。一覧図は5年間保存され、その間は再交付も受けられます。
(出典:法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」

一人で抱え込まずに、窓口で相談しながら進めていきましょう。


④手続きを後回しにすると困ること・期限の目安

先に来る期限は「3か月」と「10か月」

借金のほうが多いかもしれない、というときに使うのが相続放棄です。申述は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内と定められており、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便料です。
(出典:裁判所「相続の放棄の申述」

3か月以内に判断する材料が揃わない場合は、家庭裁判所に申し立てて期間を伸ばしてもらえる制度もあります。相続放棄を考えているうちは、亡くなった方の預金を動かす前に家庭裁判所や専門家に確認しておくと安心です。
(出典:裁判所「相続の放棄の申述」

相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日(通常は死亡の日)の翌日から10か月以内です。1月6日に亡くなった場合は、その年の11月6日が期限になります。
(出典:国税庁 タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」

そのまま10年放置すると「休眠預金」になります

平成21年(2009年)1月1日以降の入出金等の取引から10年以上、その後の異動がない預金等は「休眠預金等」となり、預金保険機構に移管されます。ただし移管後も、取引のあった金融機関で引き出すことはできますので、その点はご安心ください。
(出典:預金保険機構「長い間お取引のない預金(休眠預金)」

金融機関は最後の取引から9年を経過した預金について公告を行い、残高が1万円以上の場合は登録された住所へ通知を郵送することとされています。通知が届いたら、放置せず金融機関に問い合わせてみてください。
(出典:預金保険機構「長い間お取引のない預金(休眠預金)」


⑤どこに相談すればいいの?

相談先の一覧

必要書類は相続の内容や金融機関によって変わりますので、まずは取引先の金融機関に確認するのがいちばんの近道です。制度や法律のことで迷ったら、次の窓口が利用できます。お住まいの地域の窓口については、各ホームページ・サイトから検索してみてください。


まとめ|ご家族が亡くなったあとの銀行口座の凍結で押さえておきたい5つのこと

必要な書類を一つずつ集めていけば、必ず前に進みます。


📞 無料で相談できる窓口のご案内

「うちの場合はどの書類が要るの?」——そんなときは、一人で調べ続けるより聞いてしまったほうが早いことがほとんどです。法テラスでは法制度や相談窓口のご案内を受けられますし、お近くの司法書士会でも相続の相談窓口が設けられています。

法テラスに相談する(サポートダイヤル 0570-078374)
お近くの司法書士会に相談する
法定相続情報一覧図の申出手続を確認する(法務局)

お手続きの内容や必要書類は、金融機関やご事情によって異なります。詳しくはお取引先の金融機関やお住まいの地域の窓口にご確認ください。


この記事についてのお断り

この記事は、法務省・国税庁・裁判所・全国銀行協会などの公開資料をわかりやすくまとめたもので、個別の法律相談・税務相談ではありません。ご事情に応じた具体的な判断や書類の作成は、弁護士・司法書士・税理士などの専門家や、各窓口にご相談ください。

必要書類や取扱いは金融機関ごとに異なり、制度も改正されることがあります。実際のお手続きの前に、お取引先の金融機関および各リンク先の公式ページでご確認ください。

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