高齢者の災害への備え|避難の準備・安否確認・被災後の手続きリスト

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終活の準備と、災害への備えは中身がほとんど同じです。持病と薬を書いた1枚、緊急連絡先、貴重品の置き場所、頼れる人。どちらの場面でも、必要になるものは変わりません。この記事では、高齢者に固有の制度(避難行動要支援者名簿・個別避難計画・福祉避難所)、逃げるタイミング、薬と医療機器の備え、安否確認の方法、そして被災したあとの手続きまでをまとめます。

この記事の結論

  • まずハザードマップで、自宅が浸水するのか、土砂災害の危険があるのかを確認してください
  • 避難行動要支援者名簿に登録しておくと、いざというとき助けが届きやすくなります
  • 個別避難計画は「誰が、どの経路で、どこへ連れて行くか」を決めておく仕組みです
  • 高齢者が動き始めるのは警戒レベル3(高齢者等避難)です。レベル4を待たないでください
  • 非常持ち出し袋には薬・お薬手帳・予備の眼鏡・入れ歯・補聴器の電池を必ず
  • 安否確認は災害用伝言ダイヤル「171」。使い方を家族で決めておいてください
  • 被災したらまず罹災証明書。ほとんどの支援がここから始まります

この記事でわかること

  1. 高齢者にとって災害が難しい理由
  2. ハザードマップの見方と、確認すべき3点
  3. 避難行動要支援者名簿と個別避難計画
  4. 福祉避難所と、警戒レベルごとの動き方
  5. 非常持ち出し袋(高齢者向けの中身)と薬の備え
  6. 安否確認の方法と、家族との取り決め
  7. 被災後にまず取る罹災証明書と支援制度
  8. 終活の準備が、そのまま防災になる理由

高齢者にとって、災害が難しい理由

難しさ何が起きるか
移動に時間がかかる「危ない」と分かってから動いたのでは間に合いません
情報が届きにくい放送が聞き取れない、機器の操作が難しい
薬が欠かせない数日分がないと、持病が悪化することがあります
避難所の生活が体にこたえる床での就寝、トイレ、寒さ暑さ。体調を崩す方が多くいます
「大丈夫だろう」と考えやすい過去に無事だった経験が、判断を遅らせます
助けを求めることをためらう「迷惑をかけたくない」が、逃げ遅れにつながります

だから「その場で判断しない」準備をします

災害のときに冷静な判断はできません。あらかじめ「こうなったらこうする」を決めておき、当日は決めたとおりに動くだけにする。この記事の内容は、そのための下ごしらえです。

まずハザードマップを見る

備えの出発点はここです。自宅がどんな危険にさらされているかによって、必要な備えがまったく変わります。

  • 洪水・内水の浸水想定……何メートル浸かるか。2階まで届くのか
  • 土砂災害の警戒区域かどうか……該当する場合は、早めの避難が前提になります
  • 津波の浸水想定……沿岸部の場合
  • 指定緊急避難場所と指定避難所の位置……この2つは役割が違います(後述)
  • そこまでの経路……途中に川や坂、危険な塀がないか
  • 自宅から避難先まで、実際に歩いてかかる時間

入手方法

市区町村から全戸に配布されていることがほとんどです。手元にない場合は、市区町村の防災担当の窓口でもらえます。公式ホームページでも公開されています。「(市区町村名) ハザードマップ」で検索し、必ず自治体の公式ページを開いてください。

避難行動要支援者名簿に登録する

これを知らない方が非常に多いのですが、法律にもとづく制度です。市区町村は、災害時に自力で避難することが難しい方の名簿を作ることが義務づけられています。

項目内容
誰が対象か高齢者、障害のある方、要介護認定を受けている方など。基準は市区町村が定めます
何が起きるか平常時から、自治会・民生委員・消防・警察などに名簿が提供されます(本人の同意が前提です)
どう役立つか災害のとき、「あの家に助けが必要な人がいる」と地域が把握している状態になります
登録の方法市区町村の窓口、地域包括支援センター、民生委員など
費用無料

「同意しない」と、名簿が地域に渡りません

個人情報のため、平常時に地域へ名簿を提供することについて、本人の同意が求められます。同意しないと、地域の方はあなたに助けが必要なことを知りません。「近所に知られたくない」という気持ちは自然ですが、逃げ遅れの危険と天秤にかけて考えてください。迷う場合は、市区町村の窓口で「誰に、何が伝わるのか」を具体的に聞いてみてください。

個別避難計画をつくる

名簿に載るだけでは、「誰が、どうやって」助けるかが決まっていません。そこを具体的に決めておくのが個別避難計画です。2021年の災害対策基本法の改正で、市区町村の努力義務となりました。

決めること具体例
誰が支援するか近所の◯◯さん、自治会の役員、家族。複数人決めておきます
どこへ避難するか指定避難所、福祉避難所、親族の家
どの経路で川を渡らない道、坂の少ない道
どうやって移動するか徒歩、車、車いす。誰の車か、鍵は誰が持つか
いつ動き始めるか警戒レベル3が出たらなど、はっきりした基準で
本人の情報持病、薬、必要な配慮(耳が遠い、認知症がある など)

作成は、市区町村・地域包括支援センター・ケアマネジャー・自治会などが関わって進めます。ケアマネジャーがついている方は、まずケアマネジャーに相談してください。取り組みの進み具合は自治体によって差があるため、市区町村の防災担当の窓口に「個別避難計画はどうなっていますか」と聞いてみてください。

福祉避難所を知っておく

種類役割
指定緊急避難場所危険から命を守るために、一時的に逃げ込む場所。公園や高台など
指定避難所自宅に戻れない人が、しばらく生活する場所。学校の体育館など
福祉避難所高齢者・障害のある方など、配慮が必要な方のための避難所。福祉施設などが指定されます

福祉避難所は「直接行ける」とは限りません

従来は、まず一般の避難所に行き、そこで判断されてから福祉避難所へ移る運用が多くありました。近年は、あらかじめ受け入れ対象を定めて直接避難できるようにする取り組みが進められていますが、自治体によって状況が異なります。

「うちの市では、福祉避難所に直接行けますか」と、平常時のうちに窓口で確認しておいてください。当日に調べる余裕はありません。

警戒レベルと、動き始めるタイミング

レベル情報とるべき行動
1早期注意情報心構えを高める
2注意報ハザードマップで避難先と経路を確認する
3高齢者等避難高齢者・障害のある方は、この時点で避難を開始します
4避難指示全員が危険な場所から避難します
5緊急安全確保すでに安全な避難ができない状況。命を守る行動をとります

レベル3は「高齢者のための号令」です

レベル3が出た時点で動き始めるように設計されています。レベル4(避難指示)を待つと、すでに道が冠水していたり、暗くなっていたりします。「まだ大丈夫」と思える段階で動くのが、この制度の意図です。

そして空振りを恐れないでください。何も起きずに帰ることになっても、それは正しい行動をした結果です。

「逃げない」を選ぶ場合の条件

状況によっては、自宅にとどまるほうが安全なこともあります。ただし条件があります。

  • ハザードマップで、自宅が浸水想定区域や土砂災害警戒区域に入っていないこと
  • 浸水想定が浅く、2階以上に安全に上がれること
  • 建物が地震に耐えられる状態であること
  • 数日分の水・食料・薬・電源を備えていること
  • 停電・断水しても過ごせること
  • 外部と連絡が取れる手段があること

土砂災害警戒区域にお住まいの場合、自宅にとどまる選択は勧められません。建物ごと被害を受ける危険があるためです。該当するかどうかは、ハザードマップで確認してください。

非常持ち出し袋(高齢者向けの中身)

分類入れるもの補足
最優先常用薬(最低3日分、できれば7日分)これが最も重要です
お薬手帳(または写し)薬をもらい直すときに必要です
医療情報の1枚持病・かかりつけ医・緊急連絡先
健康保険証・資格確認書の写し原本は持ち出せないことがあります
お金(小銭を含む)停電すると電子決済が使えません
高齢者に必要予備の眼鏡1つしかないと、壊れたときに何も見えません
入れ歯と洗浄剤・容器食事に直結します
補聴器と予備の電池情報が入らなくなります
大人用おむつ・尿とりパッド避難所では手に入りにくい物です
杖・折りたたみの椅子並ぶ場面が多くあります
共通水(1人1日3リットルが目安)持ち出す分と、備蓄分は別に考えます
食べやすい非常食硬いものは避けてください
懐中電灯・携帯ラジオ・予備電池手回し式だと電池切れの心配がありません
携帯電話と充電器・電池式の充電器停電に備えます
タオル・ウェットティッシュ・簡易トイレ断水時に効きます

重すぎる袋は持ち出せません

あれもこれもと詰めた結果、持ち上げられない袋になっている例が非常に多くあります。実際に背負って、玄関まで歩いてみてください。重ければ中身を減らします。減らす順番は、上の表の下からです。最優先の5つと、高齢者に必要な5つだけは残してください。

薬と医療機器の備え

状況備え
常用薬があるお薬手帳の写しを袋に入れておく。薬そのものは定期的に入れ替えます
在宅酸素を使っている停電時の対応を、必ず事業者に確認しておいてください。連絡先を目立つ場所に
人工呼吸器を使っている非常用電源、外部バッテリーの持続時間、電力会社への申し出について事業者と相談を
透析を受けている災害時の受け入れ先について、通院先で確認しておいてください
インスリンを使っている保冷の方法と、予備の確保について主治医に相談を
認知症がある名前と連絡先を身につけられるようにしておく。環境の変化で症状が強く出ることがあります

※ 医療機器の停電時の扱いは、機種と事業者によって異なります。必ず使用している事業者・医療機関にご確認ください。

備蓄はローリングストックで

非常食を買い込んで押し入れにしまうと、期限が切れていることに気づかないまま何年も過ぎます。そこで、ふだん食べるものを少し多めに買い、古いものから使って買い足すやり方をおすすめします。

  • ふだん食べているもので構いません。レトルトのごはん、缶詰、乾麺、インスタントの汁物
  • 水は1人1日3リットル×3日分が目安。飲用と調理用です
  • カセットこんろとボンベがあると、温かいものが食べられます
  • 食べ慣れないものは、非常時にはさらに食べられません
  • 常備薬、電池、トイレットペーパー、簡易トイレも同じ考え方で
  • 買い物のたびに1つ足すだけで、自然に備蓄になります

安否確認の方法

手段使い方
災害用伝言ダイヤル「171」171にかけ、案内に従って自宅の電話番号を入れて録音・再生します
災害用伝言板(ウェブ171)インターネットで文字を残せます
携帯電話会社の災害用伝言板各社が提供しています
遠方の親族を中継役にする被災地内は電話がつながりにくくなります。遠くの人を経由すると通じやすくなります
連絡先を書いたカードを持つ携帯電話が使えないときの備えです

家族で3つ決めておいてください

  • 「171に、自宅の番号で伝言を残す」……全員が同じ番号を使うと決めます
  • 中継役を1人決める……遠方の親族。「まずこの人に連絡する」と統一します
  • 集まる場所を決める……自宅が使えない場合の落ち合い先

171は毎月1日と15日などに体験利用ができます。一度、家族で練習しておいてください。使ったことがないと、本番では使えません。

停電・断水のときにやること

状況やること
停電した使っていた電気機器のスイッチを切る。通電したときの火災を防ぎます
地震で停電したブレーカーを落としてから避難します
断水した浴槽の残り湯をトイレに使えます。給水所の場所を確認します
ガスが止まった安全装置が働いている場合、復帰の操作で戻せることがあります
エレベーターが止まった階段の上り下りが難しい方は、助けを求めてください
暑い・寒い高齢者は体温の調節が難しくなります。無理せず避難所や親族の家へ

避難所で困ること

  • 床での就寝がつらい……段ボールベッドがあるか確認を。マットや毛布を1枚持参できると違います
  • トイレが遠い、和式しかない……行く回数を減らそうとして水分を控えると、体調を崩します
  • 薬が切れる……お薬手帳があれば、救護所で対応してもらえることがあります
  • 音と明かりで眠れない……耳栓とアイマスクは軽くて効果が大きい持ち物です
  • 食事が硬い……入れ歯が合わない、飲み込みにくい場合は運営者に伝えてください
  • 言い出せない……我慢すると悪化します。遠慮せず伝えることが、結果的に周囲の負担も減らします

ペットと避難する

確認すること補足
避難所がペットを受け入れるか受け入れの可否と方法は自治体・避難所によって異なります
同行避難と同伴避難の違い一緒に避難することと、同じ空間で過ごせることは別です
ケージに慣れているか平常時から慣らしておく必要があります
フード・水・薬の備蓄人間と同じく数日分
迷子札・鑑札はぐれたときに戻ってくる可能性が高まります
預け先連れて行けない場合に備え、親族や知人に頼んでおきます

被災したら、まず罹災証明書

被災後の支援は、ほとんどがこの書類から始まります。忘れずに申請してください。

1被害の状況を写真に撮る片付ける前に撮ってください。建物の外観、浸水の高さ、室内の状況。日付が入る設定にしておくと確実です。
2市区町村に罹災証明書を申請する窓口または郵送。申請期限が定められることがあります。
3被害の認定調査を受ける職員が現地を確認します。結果に納得できない場合は、再調査を依頼できます。
4罹災証明書が交付される「全壊」「大規模半壊」「半壊」などの区分が示されます。
5各種の支援を申請するこの証明書を添えて手続きします。

被災後に使える主な支援

支援内容窓口
被災者生活再建支援制度住宅の被害の程度と再建方法に応じた支援金市区町村
災害弔慰金災害で亡くなった方のご遺族へ市区町村
災害障害見舞金災害で重い障害が残った方へ市区町村
災害援護資金の貸付生活の再建に必要な資金の貸付市区町村
税・保険料の減免、猶予所得税、住民税、国民健康保険料、介護保険料など税務署・市区町村
医療費の一部負担金の減免状況に応じて取扱いが示されます市区町村・保険者
応急仮設住宅・住宅の応急修理住まいの確保市区町村
火災保険・地震保険契約内容に応じた保険金保険会社

※ 支給の要件・金額・期限は、災害の規模や制度の適用状況によって異なります。本記事では金額を示していません。必ず市区町村の窓口でご確認ください。被災時には、市区町村が支援制度の一覧をまとめた案内を配布することが一般的です。

通帳や保険証をなくしても大丈夫です

災害時には特別な取扱いが行われます

  • 預金の引き出し……通帳や印章をなくしても、本人確認ができれば一定額の払い戻しに応じる特別措置が取られることがあります
  • 医療機関の受診……健康保険証を提示できなくても、氏名・生年月日・連絡先などを伝えることで受診できる取扱いが示されることがあります
  • 各種証明書の再発行……市区町村で手数料が免除されることがあります
  • 公共料金の支払い猶予……電気・ガス・水道・電話について、猶予や減免が案内されることがあります

「書類がないから何もできない」ということはありません。まず窓口で事情を伝えてください。

終活の準備が、そのまま防災になります

用意するもの終活で災害で
持病・薬・かかりつけ医を書いた1枚救急搬送・入院で使う避難所・救護所で使う
緊急連絡先の一覧もしものときの連絡安否確認
お薬手帳入院時に必要薬をもらい直すときに必要
保険証・資格確認書の写し手続き全般受診のとき
財産・口座の一覧相続手続き通帳を流失したときの手がかり
頼れる人を決めておく判断を任せる相手避難を手伝ってもらう相手
大切な写真のデータ化家族に残す失っても残る

まったく同じものが両方で役に立ちます。終活として1枚書いておけば、防災の備えも同時に半分終わっている、ということです。作った1枚は、写しを非常持ち出し袋にも入れておいてください。

よくある失敗

失敗何が起きたか
非常持ち出し袋が重すぎた持ち出せず、置いていくことになった
薬を入れていなかった数日分が手に入らず、体調を崩した
予備の眼鏡がなかった壊れて何も見えなくなった
非常食の期限が切れていた買い込んだまま何年も確認していなかった
レベル4を待った道が冠水し、動けなくなった
名簿への登録に同意しなかった地域が助けの必要を把握していなかった
171を使ったことがなかった本番で操作が分からなかった
片付けてから写真を撮った被害の状況を証明できず、認定に影響した

よくある質問

まず何から始めればよいですか。
ハザードマップで自宅を確認してください。浸水するのか、土砂災害の危険があるのか。これによって必要な備えがまったく変わります。次に、市区町村の窓口で「避難行動要支援者名簿」に登録できるか聞いてください。この2つで、備えの土台ができます。どちらも無料です。
避難行動要支援者名簿に登録すると、近所に知られますか。
平常時に名簿を地域へ提供することについては、本人の同意が前提です。提供先は自治会、民生委員、消防、警察などで、市区町村が定めています。誰に何が伝わるのかは、窓口で具体的に確認できます。気になる点を伝えたうえで判断してください。なお、災害が発生した場合には、同意がなくても提供できるとされています。
個別避難計画は、誰が作ってくれるのですか。
市区町村が中心となり、地域包括支援センター、ケアマネジャー、自治会などが関わって作成します。2021年の法改正で市区町村の努力義務とされましたが、取り組みの進み具合には地域差があります。ケアマネジャーがついている方は、まずケアマネジャーに相談してください。ついていない場合は、市区町村の防災担当または地域包括支援センターへ。
福祉避難所に直接行けますか。
自治体によって異なります。従来は一般の避難所を経由する運用が多くありましたが、あらかじめ受け入れ対象を定めて直接避難できるようにする取り組みが進められています。「うちの市はどうなっていますか」と、平常時に窓口で確認しておいてください。当日に調べる余裕はありません。
足が悪くて避難できません。
だからこそ、個別避難計画が必要です。誰が、どうやって連れて行くのかを、あらかじめ決めておく仕組みです。「動けないから諦める」ではなく、「動けないから先に決めておく」と考えてください。まず市区町村の窓口か地域包括支援センターにご相談ください。
備蓄は何日分あればよいですか。
3日分が最低限、できれば7日分といわれます。大規模な災害では、支援が届くまでに時間がかかるためです。ただし、いきなり7日分をそろえる必要はありません。ふだん食べているものを少し多めに買い、古いものから使って買い足す方法(ローリングストック)なら、無理なく増やせます。
在宅で医療機器を使っています。停電が心配です。
使用している機器の事業者に、停電時の対応を必ず確認してください。外部バッテリーの持続時間、非常用電源の手配、緊急時の連絡先を、紙に書いて機器のそばに貼っておいてください。電力会社への申し出について案内される場合もあります。主治医と訪問看護の担当者にも、災害時の相談先を確認しておくと安心です。
171はどう使うのですか。
171に電話をかけ、音声案内に従って操作します。録音は「1」、再生は「2」を押し、続けて自宅の電話番号を入力します。家族全員が同じ番号(たとえば実家の固定電話)を使うと決めておいてください。毎月1日と15日などに体験利用ができますので、一度練習しておくことを強くおすすめします。
一人暮らしです。誰も助けに来てくれないのでは。
だから名簿への登録と個別避難計画が重要です。加えて、見守りサービスや緊急通報装置を利用している場合、災害時にも役立つことがあります。近所づきあいが難しい場合でも、民生委員という制度があります。市区町村に問い合わせれば、担当の民生委員につないでもらえます。
被災したら、まず何をすればよいですか。
安全を確保したうえで、片付ける前に被害の写真を撮ってください。建物の外観、浸水の高さ、室内の状況を、複数の角度から。次に市区町村で罹災証明書を申請します。被災後の支援のほとんどが、この証明書を起点にしています。市区町村が支援制度をまとめた案内を配布しますので、必ず受け取ってください。
認知症の家族がいます。避難が心配です。
環境が急に変わると、症状が強く出ることがあります。備えとして、①名前と連絡先を身につけられるようにしておく ②使い慣れた物(毛布、写真など)を持ち出せるようにしておく ③個別避難計画に「認知症がある」と明記しておくの3つが有効です。福祉避難所の対象になる可能性もあるため、ケアマネジャーと市区町村に相談してください。
終活と防災、どちらを先にすればよいですか。
同時に進みます。持病と薬を書いた1枚、緊急連絡先、頼れる人。この3つは、終活でも防災でもまったく同じものが必要です。まず1枚書いて、冷蔵庫に貼り、写しを非常持ち出し袋に入れる。これで両方の備えが同時に進みます。所要時間は20分です。

まとめ|ハザードマップと、名簿への登録から

高齢者にとっての災害の難しさは、「危ない」と分かってから動いたのでは間に合わないことにあります。だから、その場で判断しなくて済むように、あらかじめ決めておくのです。

始めることは2つだけです。①ハザードマップで自宅の危険を確認する ②市区町村の窓口で避難行動要支援者名簿に登録する。どちらも無料で、その日のうちにできます。そのうえで個別避難計画――誰が、どの経路で、どこへ連れて行くか――を相談してください。

動き始めるのは警戒レベル3(高齢者等避難)です。レベル4を待たないでください。そして空振りを恐れないでください。何も起きずに帰ることになっても、それは正しい判断をした結果です。

持ち出す袋には、薬・お薬手帳・医療情報の1枚・予備の眼鏡・入れ歯・補聴器の電池を必ず入れてください。そして実際に背負って玄関まで歩いてみてください。重ければ持ち出せません。

最後に、この記事でいちばんお伝えしたいことを。終活の準備と、災害の備えは同じものです。持病と薬を書いた1枚、緊急連絡先、頼れる人。終活として書いた1枚の写しを非常持ち出し袋に入れておけば、それだけで両方の備えが進みます。2つの準備を別々にやる必要はありません。

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本記事は、編集部が内閣府・消防庁・気象庁・厚生労働省をはじめとする公的機関の公開情報をもとにまとめたものです。避難行動要支援者名簿の対象者の基準、個別避難計画の作成状況、福祉避難所への直接避難の可否、ペットの受け入れの取扱いは、市区町村によって異なります。必ずお住まいの市区町村の防災担当の窓口または地域包括支援センターにご確認ください。避難するかどうかの判断は、その時点で市区町村および気象庁から発表される情報に従ってください。本記事は避難の要否を判断するものではありません。医療機器の停電時の対応は、機種および事業者によって異なります。使用している事業者・医療機関に必ずご確認ください。被災者支援制度の支給要件・金額・申請期限は、災害の規模や制度の適用状況によって異なるため、本記事では金額を示していません。罹災証明書および各種支援については、市区町村の窓口にお問い合わせください。

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