エンディングノートとは?書き方10項目と無料で手に入れる方法

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エンディングノートを買ったものの、1ページ目で手が止まっている——という方はとても多いです。理由は単純で、市販のノートは項目が多すぎるからです。

実際には、全部埋める必要はありません。最初に書くべきなのは、たった1ページです。この記事では、書くべき10項目を優先度順に整理し、市役所で無料配布されているノートの探し方や、遺言書との法的な違いまで解説します。

この記事でわかること

  • エンディングノートに書く10項目と、その優先順位
  • 最初に書くべき1ページの中身(そのまま写せる形で掲載)
  • 市役所・自治体で無料配布されているノートの探し方
  • 遺言書との違い(法的効力があるもの・ないもの)
  • 紙とアプリ、どちらを選ぶべきか
  • 書いたあとの保管場所と、家族への伝え方

目次

  1. エンディングノートとは何か
  2. 遺言書との違い — ここを間違えると無効になります
  3. 書くべき10項目と優先順位
  4. まず最初に書く1ページ
  5. ①〜③ 自分と医療の希望
  6. ④〜⑥ お金と契約
  7. ⑦〜⑧ 葬儀とお墓
  8. ⑨〜⑩ 人間関係とメッセージ
  9. 無料で手に入れる3つの方法
  10. 紙とアプリ、どちらを選ぶか
  11. 書けない人のための「3行ルール」
  12. 保管場所と家族への伝え方
  13. よくある質問
  14. まとめ

エンディングノートとは何か

エンディングノートとは、自分にもしものことがあったときに、家族が困らないよう必要な情報と希望を書き残しておくノートです。「終活ノート」と呼ばれることもあります。

大切なのは、死後のためだけのものではないという点です。実際に役立つ場面は3つあります。

場面役立つ内容
入院・手術のとき持病、飲んでいる薬、アレルギー、かかりつけ医、緊急連絡先
判断能力が落ちたとき延命治療の希望、財産の在りか、頼みたい人
亡くなったあと葬儀の希望、連絡してほしい人、口座・保険の情報

意識がある状態でも役立つ場面が2つある——これがエンディングノートの本質です。「まだ早い」という考えは、ここを見落としています。

似た言葉との違い

  • リビングウィル/回復の見込みがない終末期に、どんな医療を望むかを書面にしたもの。エンディングノートの一部として書くこともできます
  • 財産目録/財産と負債の一覧。数字が中心です。詳しくは財産目録の書き方
  • 遺言書/財産を誰に渡すかを定める法的な文書。次章で詳しく説明します

遺言書との違い — ここを間違えると無効になります

エンディングノートに法的な効力はありません。ここは必ず押さえてください。

比較項目エンディングノート遺言書
法的効力なしあり
書き方の決まり自由。何をどう書いても構わない厳格。形式を外すと無効になります
書ける内容制限なし。医療、葬儀、思い、何でも財産の分け方、認知、後見人の指定など
費用0円〜3,000円程度自筆なら0円。公正証書なら数万円〜
書き直しいつでも自由に形式を守って作り直す必要があります
家庭裁判所の検認不要自筆証書は原則必要(法務局保管なら不要)

エンディングノートに「財産の分け方」を書いても効力はありません

「預金は長男に、家は次男に」とノートに書いても、法的な拘束力はありません。相続人全員が納得すればその通りに分けられますが、一人でも反対すれば通りません

財産の分け方を確実に指定したいなら、遺言書が必要です。ただし、遺言書を書くにも先に財産の一覧が要るので、順番としてはエンディングノート(または財産目録)が先になります。

両方を使い分けるのが正解です

  • 遺言書/財産を「誰に」渡すか。法的に確定させたいこと
  • エンディングノート/財産が「どこに」あるか。医療・葬儀の希望、伝えたい思い

遺言書だけがあっても、通帳の場所が分からなければ手続きは進みません。両方あって初めて機能します。

書くべき10項目と優先順位

市販のノートには数十項目が並んでいますが、重要度には大きな差があります。優先度の高い順に並べ替えると次のようになります。

#項目優先度なぜ必要か
基本情報・緊急連絡先最優先救急搬送された瞬間に必要になります
医療・介護の希望最優先意識がないと本人に聞けません
かかりつけ医・持病・薬最優先治療の判断に直結します
財産の在りか分からないと相続手続きが止まります
保険・年金請求しないともらえません
契約・サブスク・デジタル放置すると支払いが続きます
葬儀の希望遺族が最も迷う部分です
お墓・供養の希望費用も大きく、後戻りしにくい
連絡してほしい人のリスト本人しか知らない交友関係があります
家族へのメッセージ自由義務ではありません。書きたければ

①〜③だけでもノートとして成立します。むしろ、この3つが空欄のまま⑩の手紙だけ書かれたノートは、実務ではほとんど役に立ちません。

まず最初に書く1ページ

何から書けばいいか分からない方へ。この1ページを書けば、それだけで十分にエンディングノートです。紙に写して、分かるところだけ埋めてください。

◆ もしものときの1ページ

氏名
生年月日
血液型
本籍地
マイナンバーの保管場所
健康保険証の場所
かかりつけ医/病院名・電話
持病
飲んでいる薬(お薬手帳の場所)
アレルギー
緊急連絡先①(氏名・続柄・電話)
緊急連絡先②(氏名・続柄・電話)
延命治療を希望する/しない
通帳・印鑑の保管場所
保険証券の保管場所
このノートの保管場所を知っている人

16行です。10分もかかりません。これだけで、救急搬送されたときも、亡くなったあとも、家族はかなり助かります。残りの項目は、気が向いたときに少しずつで構いません。

①〜③ 自分と医療の希望

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①基本情報・緊急連絡先

本籍地は、死亡届や戸籍謄本の取得で必ず必要になります。意外と家族が知らない情報なので、必ず書いておいてください。

②医療・介護の希望

ここは書きにくい項目ですが、書かれていないと家族が一生悩みます。「延命治療をやめる」という判断を家族に丸投げすることになるからです。

  • 延命治療(人工呼吸器・心臓マッサージ)を希望するか
  • 胃ろう・経管栄養を希望するか
  • 余命を告知してほしいか
  • 最期を迎えたい場所(自宅/病院/施設)
  • 介護が必要になったとき、誰に頼みたいか
  • 臓器提供・献体の意思

「分からない」と書いてもいい項目です

延命治療の希望は、健康なときに決めきれなくて当然です。「その時の状況によるので、家族と主治医で相談して決めてほしい」と書くのも立派な意思表示になります。空欄よりずっと役立ちます。

看取りやターミナルケアについては看取りとは?の記事で詳しく解説しています。

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③かかりつけ医・持病・薬

お薬手帳の保管場所を書いておくのがいちばん確実です。薬の名前を全部書き写す必要はありません。

④〜⑥ お金と契約

④財産の在りか

金額を書く必要はありません。「どこに何があるか」だけで十分です。金額は変わりますが、在りかはあまり変わらないからです。

書くこと書き方の例
銀行口座○○銀行 △△支店(通帳は書斎の右引き出し)
証券口座○○証券(ネット口座・書類なし)
不動産自宅/権利証は金庫の中
貸金庫○○銀行 △△支店に契約あり
貴金属・美術品タンス上段の桐箱

洗い出しの手順は終活のお金の整理|7項目の棚卸しリストで詳しく解説しています。

⑤保険・年金

保険は請求しないと支払われません。保険会社名・証券番号・受取人の3つを書いてください。年金は基礎年金番号が分かる書類の場所を。

⑥契約・サブスク・デジタル

ここが2019年ごろのエンディングノートには無かった項目です。

パスワードは書かないでください

IDやサービス名までにとどめ、パスワードそのものはノートに書かないのが原則です。ノートを紛失した時の被害が大きすぎます。

家族は「何を契約しているか」さえ分かれば、あとは所定の手続きで解約できます。ただしスマホのロック解除方法だけは、信頼できる人に別途伝えておいてください。ここが開かないと何も始まりません。

⑦〜⑧ 葬儀とお墓

⑦葬儀の希望

遺族が最も迷い、最も後悔しやすいのがここです。「本人はどうしてほしかったのだろう」と考えながら、数日で数十万円〜数百万円の判断をすることになります。

  • 葬儀の形式(一般葬/家族葬/直葬/お別れ会)
  • 宗派・菩提寺の有無と連絡先
  • 喪主をお願いしたい人
  • 呼んでほしい人/呼ばなくていい人
  • 遺影に使ってほしい写真の場所
  • 費用の上限の目安
  • 互助会・葬儀保険に加入しているか

「簡素でいい」の一言だけでも書いてください

細かく決められなくても、「家族葬でいい」「派手にしなくていい」の一言があるだけで、遺族の判断はぐっと楽になります。予算の上限を書いておくのも親切です。

家族葬を検討している方は家族葬の準備・手続き・費用もご覧ください。

⑧お墓・供養の希望

先祖代々のお墓があるのか、新しく用意するのか、永代供養や樹木葬を望むのか。「お墓はいらない」も立派な希望です。詳しくはお墓の選び方と費用の記事、お墓を持たない選択についてはお墓はいらないと考える人へをご覧ください。

⑨〜⑩ 人間関係とメッセージ

⑨連絡してほしい人のリスト

これは本人にしか作れないリストです。学生時代の友人、趣味の会の仲間、昔の同僚——家族はその存在すら知りません。

氏名・続柄や関係・電話番号の3つで十分です。「葬儀に呼ぶ/訃報だけ知らせる/連絡不要」の区分も書いておくと、遺族が判断に困りません。

⑩家族へのメッセージ

これは義務ではありません。書かなくても、ノートの価値は少しも下がりません。

ただ、実際に残された家族にとっては、この数行がいちばん長く残ります。うまく書こうとせず、思いついた一言でかまいません。

無料で手に入れる3つの方法

エンディングノートは、買わなくても手に入ります。

  1. 市区町村が無料配布しているものをもらういちばんおすすめです。多くの自治体が終活支援の一環としてエンディングノートを無料配布しています。市役所の高齢福祉課・地域包括支援センター・市民課などの窓口で受け取れます。公式サイトからPDFをダウンロードできる自治体も多くあります。
    自治体ごとの終活支援の内容は終活サポート事業を行っている自治体一覧にまとめています。お住まいの市区町村名と「エンディングノート」で検索するのも確実です。
  2. 公式サイトのPDFを印刷する自治体のほか、葬儀社や金融機関が無料配布しているものもあります。印刷して使えば費用は紙代だけです。
  3. ノートに手書きで作る市販のノートでも構いません。この記事の「最初に書く1ページ」を写すだけで始められます。終活ノートを世界一簡単に書く方法も参考になります。

自治体のノートが優れている3つの理由

  • 無料/当然ながら費用がかかりません
  • 地域の情報が載っている/市役所の連絡先、地域包括支援センター、相談窓口など、その地域で実際に使える情報が入っています
  • 項目が絞られている/市販品より薄く、書き切れる分量になっていることが多いです

市販のノートを選びたい方はエンディングノートのおすすめ比較、コクヨの定番品についてはコクヨの終活ノートを実際に書いてみたをご覧ください。

紙とアプリ、どちらを選ぶか

近年はスマホアプリでエンディングノートを作る方も増えています。それぞれ向き不向きがあります。

紙のノートアプリ
書きやすさ誰でもすぐ書けるスマホ操作に慣れが必要
更新のしやすさ書き直しが面倒いつでも修正できる
家族が見つけられるか置き場所を伝えれば確実存在に気づかれない危険
災害・紛失焼失・水没のリスククラウドなら残る
セキュリティ盗まれたら全部読まれるロックがかけられる
費用0〜3,000円無料〜月額制

結論:紙を主、アプリを従にするのが安全です

アプリ最大の弱点は「家族がその存在に気づかない」ことです。どれだけ丁寧に入力しても、遺族がアプリを開かなければゼロになります。

おすすめは、紙に「最初の1ページ」と「アプリを使っていること」を書いて残し、詳細はアプリで管理する形です。紙は目印、アプリは中身。この組み合わせなら両方の長所が使えます。

アプリの選び方と比較はエンディングノートアプリ5選を比較で詳しく解説しています。

書けない人のための「3行ルール」

それでもペンが進まない方へ。1日3行だけと決めてください。

3行ルールのやり方

  1. ノートを開く
  2. 書けそうな項目を1つ選ぶ(順番は無視して構いません)
  3. 3行書いたら閉じる

3行なら1分です。調子が良ければ続けても構いませんが、義務は3行だけ。これを週2回やれば、半年でノートはかなり埋まります。

書けない時の3つの対処

  • 順番を守らない/1ページ目が「生い立ち」で止まる人が非常に多いです。飛ばしてください。生い立ちは最後で構いません
  • 鉛筆で書く/消せると思うと筆が進みます。あとで清書する必要もありません
  • 「未定」「分からない」と書く/空欄と「未定」はまったく違います。未定と書いてあれば、家族は「本人も決めていなかった」と分かります

保管場所と家族への伝え方

ここが最後にして最大の落とし穴です。見つけてもらえないノートは、書かなかったのと同じです。

保管場所評価理由
貸金庫× 避けたい相続手続きが済むまで開けられないことがあります
自宅の金庫開け方を伝えていなければ意味がありません
本棚・引き出し場所を伝えてあれば十分機能します
家族に預ける確実。見られたくない部分だけ別管理にすれば解決します

伝え方はこの一言で足ります

「もしもの時のことをノートにまとめてあるから。本棚の右下の青いファイルに入れてある。中身は今見なくていいけど、場所だけ覚えておいて」

中身を見せる必要はありません。場所だけ共有する。これで9割は解決します。

更新のタイミング

一度書いて放置すると、情報が古くなって逆に混乱を招きます。年に1回、見直す日を決めてください。誕生日、年末年始、ねんきん定期便が届く月——きっかけは何でも構いません。

よくある質問

エンディングノートは何歳から書けばいいですか?
年齢は関係ありません。入院や事故は年齢を選ばないからです。緊急連絡先とかかりつけ医だけなら、30代でも書く意味があります。始める時期については終活を始めるタイミングもご覧ください。
書いた内容を家族に見せるべきですか?
全部見せる必要はありません。ただし「ノートがあること」と「置き場所」だけは必ず伝えてください。医療の希望については、事前に話しておくと、いざという時に家族が迷いません。
途中まで書いて放置していますが、意味はありますか?
大いにあります。空欄だらけでも、緊急連絡先が1つ書いてあれば、それは書かなかった場合よりはるかに役立ちます。完成させることが目的ではありません。
エンディングノートに書いた葬儀の希望は、必ず守られますか?
法的な強制力はないため、必ずとは言えません。ただし遺族の多くは故人の希望を尊重しようとします。確実にしたいなら、生前に本人の口から家族に伝えておくことが最も効果的です。
認知症になってからでも書けますか?
症状の程度によりますが、判断力が低下してからでは正確な情報を書くことが難しくなります。元気なうちに書き始めることが唯一の対策です。判断力が落ちた後の備えとしては、任意後見制度の活用も検討してください。
おひとりさまですが、誰に渡せばいいですか?
兄弟姉妹、甥や姪、親しい友人、成年後見人、地域包括支援センターなどが候補になります。自治体によっては、おひとりさまの終活情報を登録・保管してくれる事業を行っています。詳しくは一人暮らしの終活自治体の終活支援一覧をご覧ください。

まとめ

エンディングノートの要点

  • 法的効力はない。財産の分け方を確定させたいなら遺言書が必要
  • 死後だけでなく、入院時・判断力が落ちた時にも役立つ
  • 優先順位は「緊急連絡先 → 医療の希望 → 財産の在りか」。思い出や手紙は最後でいい
  • 市区町村が無料配布しているものが最も実用的。窓口かPDFで入手できる
  • パスワードは書かない。IDとサービス名まで
  • 紙を主、アプリを従に。アプリだけだと存在に気づかれない
  • 置き場所を家族に伝えて、初めて完成

もし今日、何か1つだけやるとしたら——紙を1枚出して、この記事の「最初に書く1ページ」を写してください。10分で終わります。それでもう、あなたのエンディングノートは始まっています。

この記事の次に読むと理解が深まります

※ 本記事は一般的な情報をまとめたものです。制度の内容や自治体のサービスは変更されることがあります。無料配布の有無や入手方法は、お住まいの市区町村の公式案内をご確認ください。遺言・相続の法的な取り扱いについては、弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。

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