エンゼルケアとは?手順と費用・家族が立ち会うときにできること

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大切な方が亡くなったあと、最初に行われるのがエンゼルケアです。短い時間のなかで進むため、何をされているのか分からないまま終わってしまったという声をよく聞きます。この記事では、エンゼルケアの目的と手順、実際に行われる処置の中身、費用の考え方、家族が立ち会うときにできることを順に整理しました。終活として事前に知っておきたい方にも、いま直面している方にも読んでいただける内容にしています。

結論

  • エンゼルケアは「見た目を整えるためだけの処置」ではありません。感染対策と衛生の意味があります
  • 行われる場所は病院・施設・自宅で、担当する人も変わります
  • 費用は一律ではありません。病院の費用と葬儀社の費用は別に発生します
  • 希望があれば伝えてよく、断ることもできます
  • いわゆる詰め物は必ず行われるわけではなく、方法も見直されてきています
  • 家族が立ち会う・手を添えることは、多くの場合できます
  • エンバーミングや湯灌とは目的も費用も違います

目次

  1. エンゼルケアの目的は3つある
  2. 実際の手順を順番に見る
  3. 詰め物や口・鼻の処置について
  4. 行う場所と担当する人の違い
  5. 費用の内訳と確認するポイント
  6. 家族が立ち会うときにできること
  7. エンバーミング・湯灌との違い
  8. 自宅で亡くなった場合の流れ
  9. 希望を伝えるときの言い方
  10. よくある質問

まず知っておきたいこと

エンゼルケアは、亡くなった直後に行われる、体を清める処置と身支度のことです。医療の現場では死後処置とも呼ばれます。時間としては30分から1時間ほどで、その間、家族は別室で待つことが多くなります。

いま直面している方へ

すぐに決めなければならないことは、そう多くありません。立ち会うかどうか、着せたい服があるかどうか。聞かれるのはその程度です。分からないことは「おまかせします」と答えて構いません。あとから希望を伝え直すこともできます。

エンゼルケアとは?エンジェルケアとの違いも解説

呼び方が2つあるため混乱しますが、「エンゼルケア」と「エンジェルケア」は同じものを指しています。医療や介護の現場では「エンゼルケア」の表記が使われることが多く、意味の違いはありません。

呼び方使われる場面意味の違い
エンゼルケア医療・介護の現場違いはありません
エンジェルケア一般向けの説明同じ処置を指します
死後処置看護の専門用語同じ処置の呼び方です
エンゼルメイク化粧の部分だけを指すエンゼルケアの一部です

エンゼルケアの3つの目的

「見た目を整えるための処置」と思われがちですが、実際には目的が3つあります。ここを知っておくと、何をされているのかが分かりやすくなります。

目的具体的に何のためか
衛生を保つ体液の漏れなどを防ぎ、清潔な状態を保つため
感染を防ぐご遺族や関わる人への感染のリスクを下げるため
その人らしい姿に整える顔色や表情を整え、身支度をするため

「きれいにするだけ」ではありません

亡くなったあとの体は、時間とともに変化していきます。エンゼルケアは、その変化を穏やかに保ち、ご遺族が安心して過ごせる時間をつくるための処置でもあります。国も、亡くなった方の取り扱いについての考え方を示しています。

エンゼルケアの内容|具体的に何をするのか

行われる内容は、亡くなった状況や施設の方針によって変わりますが、おおまかな流れは共通しています。

  1. 医療器具を外す。点滴やチューブ類を外し、傷口があれば処置します
  2. 体を清める。清拭といって、温かいタオルで全身を拭きます
  3. 必要に応じた処置。体液の漏れを防ぐための対応を行います
  4. 身支度を整える。衣服を着せ、髪をとかします
  5. 顔を整える。ひげをそり、化粧をします。男性にも薄く化粧をすることがあります
  6. 姿勢を整える。手を組ませ、口元や目元を整えます
処置なぜ行うか希望を言えること
清拭清潔を保つため家族が手を添えられることがあります
着替え身支度のため着せたい服を持参できます
整髪その人らしい姿にするため分け方の希望を伝えられます
化粧顔色を整えるため使っていた化粧品を渡せます
ひげそり身だしなみのため普段の様子を伝えます
口元・目元穏やかな表情にするため写真を見せると伝わりやすくなります

詰め物や口・鼻の処置について

検索でよく調べられているのが、いわゆる詰め物です。これは体液が漏れるのを防ぐために行われてきた処置ですが、いまは必ず行うものではなくなってきています。

よくある疑問いまの考え方
必ず詰め物をするの?状況によります。行わない場合もあります
なぜ行うの?体液の漏れを防ぐためです
方法は昔と同じ?見直しが進み、体に負担の少ない方法が選ばれています
家族が見ることはある?処置中は別室で待つことが多く、見る機会は少ないです
断れるの?希望は伝えられます。理由の説明も求められます

不安なときは、そのまま聞いて構いません

「どんな処置をされるのですか」と尋ねることは、失礼にはあたりません。説明を受けたうえで判断できます。逆に、詳しく知るのがつらい場合は「おまかせします」と伝えれば、それ以上の説明は求められません。どちらを選んでも構いません。

エンゼルケアはいつ行われる?時間の目安

タイミング所要時間の目安家族はどうする
病院死亡確認のあとすぐ30分〜1時間別室で待つことが多い
施設死亡確認のあと30分〜1時間立ち会える場合があります
自宅医師の確認後1時間前後立ち会いやすい環境です
葬儀社搬送後内容により異なります希望を伝えられます

エンゼルケアは「怖い」?家族が感じる不安に答えます

怖いと感じるのは、ごく自然なことです。ほとんどの方にとって初めての経験で、何が起きるか分からないから不安になります。無理に立ち会う必要はありません。

不安に思うこと実際のところ
見るのがつらい立ち会わない選択もできます
何をされるか分からない事前に説明を求められます
顔つきが変わってしまうのでは穏やかな表情に整える処置です
触れてよいのか分からない手を握るなど、触れて構いません
泣いてしまいそう自然なことで、気にする必要はありません
子どもを同席させてよいか本人の意思を確かめて決めれば大丈夫です

エンゼルケアの費用|病院・葬儀社への確認ポイント

費用は一律ではありません。病院で行われる場合と、葬儀社が行う場合で、費用の考え方も金額も変わります。請求されて初めて知る、という状況を避けるために、先に聞いておくと安心です。

確認することなぜ聞くのか
「費用はかかりますか」無料の場合と有料の場合があります
「どこまで含まれますか」化粧や着替えが別料金のことがあります
「請求はいつになりますか」入院費と一緒か、別かが分かります
「葬儀社にも費用がかかりますか」二重に発生する場合があります
「持ち込みの衣類は使えますか」用意する物が変わります
「見積書はもらえますか」口頭だけの説明は後で確認できません

「無料です」と言われても、範囲を確認する

基本的な処置は費用がかからず、化粧や着替えなど一部だけが有料という形もあります。また、病院で行われたあとに葬儀社でも整えてもらう場合、そちらは別に費用が発生します。どこまでが無料なのかを聞いておくと、あとで困りません。

家族がエンゼルケアに立ち会う・希望を伝える方法

立ち会えるかどうかは、場所と状況によって変わります。希望があるなら、遠慮せずに伝えて構いません。断られることもありますが、伝えなければ選択肢にもなりません。

伝え方の文例

「もしできましたら、そばにいてもよろしいでしょうか」
「着せたい服があるのですが、お願いできますか」
「本人が使っていた化粧品があります。使っていただけますか」
「髪はいつも右で分けていました」
「つらいので、私は外で待たせていただきます」

家族ができること具体的に
服を用意する本人が好きだった服で構いません
化粧品を渡す使い慣れたものがあると自然に仕上がります
写真を見せる元気なころの表情が伝わります
手を添える清拭を一緒に行える場合があります
髪をとかす短時間でもできることがあります
声をかけるそれだけでも十分に関わったことになります

着せる服を選ぶときのポイント

  • 前が開くもののほうが着せやすくなります
  • 本人が気に入っていた服で構いません
  • 金具や厚い装飾は、火葬の都合で外す場合があります
  • 和装を希望する場合は、事前に伝えます
  • 眼鏡や愛用品は、棺に入れられるか葬儀社に確認します
  • 迷ったら「おまかせします」で問題ありません

誰が行うのか|病院・施設・葬儀社で変わります

エンゼルケアを担当する人は決まっていません。亡くなった場所によって、看護師が行うことも、介護職員が行うことも、葬儀社のスタッフが行うこともあります。同じ「エンゼルケア」という言葉でも、担当者が変われば内容の幅も変わります。

病院では、看護師が中心となって行うのが一般的です。看護の仕事のひとつとして位置づけられており、亡くなった直後の限られた時間のなかで進められます。介護施設では、看護職員と介護職員が一緒に行うことが多く、日ごろから本人を知っている職員が関わる分、その人らしい身支度になりやすいという面があります。

葬儀社が行う場合は、搬送して安置したあとに整えることになります。病院ですでに処置が済んでいても、葬儀社があらためて化粧や着替えを行うことは珍しくありません。このとき費用が別に発生することがあるので、内容と金額を確認しておくと安心です。

場所担当する人特徴費用の扱い
病院看護師死亡確認後すぐに行われます入院費と一緒に請求される場合があります
介護施設看護職員・介護職員本人を知る職員が関わります施設の方針によります
自宅訪問看護師家族が立ち会いやすい環境です訪問看護の枠組みによります
葬儀社専門のスタッフ搬送・安置のあとに整えます葬儀費用に含まれるか要確認

家族が関わることの意味|グリーフケアとしての側面

エンゼルケアに家族が関わることには、実務以外の意味もあります。手を添えて体を拭く、髪をとかす、声をかける。こうした時間が、気持ちの整理につながることがあります。専門的にはグリーフケアと呼ばれる領域で、悲しみとの向き合い方を支えるものと考えられています。

もちろん、全員に当てはまるわけではありません。見るのがつらい方、そばにいるだけで精一杯という方もいます。関わらなかったからといって、気持ちが足りなかったということにはなりません。できる範囲で構わない、というのがこの場面の原則です。

迷ったら「短い時間だけ」でも構いません

全部に立ち会う必要はありません。最後に手を握るだけ、髪を一度とかすだけでも十分です。あとになって「何もできなかった」と感じることを減らせます。逆に、無理に立ち会って強い記憶が残ってしまうこともあるので、そのときの自分の気持ちを優先してください。

安置とドライアイスのこと

エンゼルケアが終わると、葬儀までのあいだご遺体を安置します。このとき、体温を下げて変化を穏やかにするためにドライアイスが使われるのが一般的です。日数が延びるほど費用も加算されるため、日程が決まった段階で見通しを確認しておくと安心です。

安置の場所向いている状況注意点
自宅付き添って過ごしたい室温を低く保つ必要があります
葬儀社の安置施設住まいの都合で難しい面会の時間に制限がある場合があります
斎場の安置室そのまま式を行う空き状況によります
民間の保管施設火葬まで日数がある日数分の費用が加算されます

火葬までの日数は自分では決められません

火葬場の空き状況によって、数日から1週間以上待つことがあります。とくに都市部と年末年始は混み合います。待つ日数が延びると、安置とドライアイスの費用が加算されます。見積もりの段階で「何日分が含まれているか」を確認してください。

終活として、自分の希望を残しておく

ここまでは、家族の立場で読む内容でした。ご自身の終活として考えるなら、やることはとてもシンプルです。希望を書いて、場所を伝えておくだけです。

  • 着せてほしい服を1着決めて、しまってある場所を書いておく
  • 化粧をしてほしいか、してほしくないかを書いておく
  • 使っていた化粧品があれば、その場所も書いておく
  • 眼鏡や愛用品を一緒に入れてほしいかを書いておく
  • 立ち会ってほしい人がいれば、その名前を書いておく
  • 顔を見せたくない相手がいれば、それも書いてよい
  • 書いた紙の置き場所を、1人には伝えておく

エンディングノートへの書き方の例

【身支度について】
着せてほしい服|寝室のたんす上段の紺のワンピース
化粧|薄めにしてほしい。口紅は使っていたものを(洗面台の引き出し)
眼鏡|かけたままにしてほしい
立ち会い|妹の○○に連絡してほしい(連絡先は表紙の裏)
※ 希望が通らない場合もあると聞いています。無理のない範囲でお願いします

エンバーミング・湯灌との違い

似た場面で登場する言葉ですが、目的も、行う人も、費用の桁も違います。

エンゼルケア湯灌エンバーミング
目的衛生と身支度お湯で洗い清める薬剤による衛生保全
行う人看護師・介護職・葬儀社専門のスタッフ専門の資格を持つ人
行う場所病院・施設・自宅自宅・専用の設備専用の施設
所要時間30分〜1時間1〜2時間数時間
費用の目安無料〜数万円数万円〜十数万円以上
選ばれる場面ほぼすべての場合希望する場合日数を置く必要があるとき

※ 費用は編集部が公開情報をもとにまとめた一般的な目安です。地域・事業者・内容によって異なります。

自宅で亡くなった場合・身寄りがない場合のエンゼルケア

自宅で亡くなった場合、まず連絡する先が状況によって変わります。ここを間違えると、あとの流れが止まります。

状況まず連絡する先その後
在宅医療を受けていたかかりつけ医・訪問看護医師が確認し、看護師がケアを行うことがあります
持病で通院していたかかりつけ医指示に従って進めます
急な死亡で医師がいない警察(119番ではなく110番)確認が済むまで体に触れません
施設に入所していた施設の職員施設の手順で進みます
身寄りがない自治体の福祉の窓口公的な手続きに沿って進みます

警察が来る場合は、体に触れないでください

かかりつけ医がいない状態で亡くなった場合、死因を確認する手続きが必要になります。それが済むまでは、着替えさせたり体を動かしたりしないでください。良かれと思って行ったことが、確認の妨げになることがあります。

エンゼルケアのあとに続く流れ

  1. 安置先を決める。自宅か、葬儀社の安置施設かを選びます
  2. 搬送する。葬儀社に依頼します。病院の紹介先でなくても構いません
  3. 死亡届を出す。7日以内。実務では葬儀社が代行することが多くなっています
  4. 納棺する。副葬品を入れる場合はここで相談します
  5. 通夜・葬儀へ。日程は火葬場の空き状況によって決まります

よくある質問|怖い?自分でできる?病院と葬儀社の違いは?

エンゼルケアは自分でできますか。
自宅で亡くなった場合など、家族が手を添えて一緒に行える場面はあります。ただし衛生上の配慮が必要な処置も含まれるため、看護師や葬儀社と相談しながら進めるのが安心です。
エンゼルケアを希望しない場合は断れますか。
希望は伝えられます。ただし衛生と感染対策の意味があるため、まったく何も行わないという形にはならないのが一般的です。気になる処置がある場合は、その部分について相談してください。
病院でケアを受けた後、葬儀社にメイクをお願いできますか。
できます。病院での処置と葬儀社での仕上げは、別に行われるのが一般的です。その場合、葬儀社の費用が別に発生することがあるので、内容と金額を確認してください。
エンゼルケアはいつまでに行うものですか。
亡くなってからできるだけ早い段階で行われます。時間が経つほど体の変化が進むためです。病院では死亡確認のあとすぐに始まることがほとんどです。
在宅で亡くなった場合、まず葬儀社へ電話すればよいですか。
いいえ。まず医師の確認が必要です。在宅医療を受けていたならかかりつけ医か訪問看護へ、そうでない場合は警察へ連絡します。葬儀社への連絡は、そのあとです。
費用はどのくらいかかりますか。
無料の場合から数万円程度まで幅があります。病院の費用と葬儀社の費用が別に発生することがあるので、それぞれに確認してください。見積書をもらっておくと安心です。
詰め物は必ず行われますか。
必ず行われるわけではありません。状況に応じて判断され、方法も見直しが進んでいます。気になる場合は、どのような処置を行うのかを尋ねてください。
男性にも化粧をするのですか。
顔色を整えるために、男性にも薄く化粧をすることがあります。不自然な仕上がりにはなりません。希望があれば伝えて構いません。
着せたい服がありますが、持ち込めますか。
多くの場合、持ち込めます。前が開くもののほうが着せやすく、金具や厚い装飾は火葬の都合で外す場合があります。迷ったら葬儀社に相談してください。
子どもを立ち会わせてもよいのですか。
年齢よりも、本人が会いたいかどうかで判断してください。無理に見せる必要はなく、また「見せないほうがよい」と決めつける必要もありません。会うと決めた場合は、事前にどんな様子かを言葉で伝えておくと落ち着いて過ごせます。
感染症で亡くなった場合はどうなりますか。
感染対策の手順に沿って行われるため、通常と扱いが異なる場合があります。立ち会いや面会に制限がかかることもあります。病院や施設の説明に従ってください。
終活として、自分の希望を残しておけますか。
残せます。エンディングノートに「着せてほしい服」「化粧の希望」「立ち会ってほしい人」を書いておくと、家族が迷いません。服は1着、実際に用意して場所を書いておくとさらに確実です。

まとめ|エンゼルケアを知っておくことで、大切な人を丁寧に送り出せる

  1. 目的は3つある衛生、感染対策、そしてその人らしい姿に整えること。見た目だけの処置ではありません
  2. 希望は伝えてよい服、化粧品、立ち会い。伝えなければ選択肢になりません
  3. 費用は範囲を確認する病院と葬儀社で別に発生することがあります
  4. 立ち会わない選択もあるつらいときは無理をしなくて構いません
  5. 自宅の場合は連絡先を間違えないまず医師。医師がいなければ警察です

終活として準備するなら、「着せてほしい服を1着決めて、場所を書いておく」だけでも十分です。そのひと手間が、残された方の迷いを減らします。

※ 本記事は編集部が公的機関の公開情報をもとにまとめた一般的な内容です。実際に行われる処置の範囲・費用・立ち会いの可否は、医療機関・施設・葬儀社の方針や、亡くなられた状況によって異なります。詳しくは担当の医療機関や葬儀社にご確認ください。

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