認知症になると終活はできなくなる|判断力があるうちにやること

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終活を先送りにできない理由は、ひとつしかありません。判断能力が低下すると、遺言書も任意後見契約も作れなくなり、不動産の売却も預金の解約も止まるからです。お金があっても、家族がいても、手続きは進みません。この記事では、医学の話ではなく「制度上、何ができなくなるのか」に絞ってお伝えします。あわせて診断を受けたあとでもできること、そしていま何から手をつければよいかまでを整理します。

この記事の結論

  • 遺言書・任意後見契約・死後事務委任契約は、判断能力があるうちにしか作れません
  • 不動産の売却、預金の解約、保険の変更、通信の解約も止まります
  • ただし「診断=すべてできない」ではありません。意思能力があれば有効な場合があります
  • 判断能力が落ちてからの手段は成年後見制度。時間も手間もかかります
  • その一歩手前に日常生活自立支援事業・家族信託・銀行の代理人サービスがあります
  • 最初の相談先はかかりつけ医と地域包括支援センターです

この記事で扱わないこと

本記事は終活の手続きに関する情報であり、症状・診断・治療・予防・予後について述べるものではありません。体調やご家族の様子で気になることがある場合は、かかりつけ医、もの忘れ外来、認知症疾患医療センター、または地域包括支援センターにご相談ください。診断や医学的な判断は、必ず医療機関で受けてください。

この記事でわかること

  1. 判断能力が低下すると、制度上できなくなること
  2. なぜできなくなるのか(意思能力という考え方)
  3. 「診断=すべてできない」ではない
  4. 判断能力があるうちにやる4つのこと
  5. 落ちてからの手段(成年後見制度)とその限界
  6. 一歩手前の選択肢(日常生活自立支援事業・家族信託・代理人サービス)
  7. 家族が最初にやること
  8. 本人にどう切り出すか

制度上できなくなること一覧

できなくなること結果として起きること
遺言書を作る財産の行き先を自分で決められない
任意後見契約を結ぶ支援してくれる人を自分で選べない
死後事務委任契約を結ぶ葬儀や手続きを頼む相手を決められない
不動産を売る施設の費用にあてられない
預金を解約する・大きな出金をする生活費や施設費の支払いが滞る
保険を解約する・受取人を変える手続きが止まる
通信の解約・名義変更使わない契約が続く
生前贈与をする計画していた対策ができない
施設の入居契約を結ぶ代わりに契約する人が必要になる
遺産分割協議に参加する相続人の中に一人でもいると、協議が成立しない

いちばん下の行は、家族全体に影響します

相続人の中に判断能力が低下した方がいると、その方が参加できないため遺産分割協議が成立しません。成年後見人を選任してもらう必要があり、手続きが数か月単位で止まります。これは本人だけでなく、他の相続人全員に影響する問題です。

なぜできなくなるのか

「意思能力」という考え方

契約や遺言といった法律行為は、その行為の意味を理解できる状態(意思能力)でなければ効力が生じないとされています。民法にも、意思能力を欠く状態でされた法律行為は無効である旨が定められています。
つまり「本人が署名した」だけでは足りず、「理解したうえで署名した」と言えることが必要だということです。だから、あとから争われることがあります。

誰が判断するか場面
公証人公正証書遺言・任意後見契約を作るとき
金融機関の窓口大きな出金、解約、名義変更のとき
不動産会社・司法書士不動産を売るとき
施設・病院契約や同意を求めるとき
家庭裁判所後見開始の審判のとき
裁判所あとから遺言の有効性が争われたとき

「診断=すべてできない」ではありません

ここは誤解が多いところです

診断を受けたからといって、ただちにすべての法律行為ができなくなるわけではありません。判断されるのは「その行為をしたときに、その内容を理解できていたか」です。状態には幅も波もあります。実際、診断後に有効な遺言書が作成されている例はあります。ただしあとから争われる可能性は高くなるため、備え方が変わります。

診断後に作る場合の備え内容
公正証書で作る公証人が本人の意思と理解を確認する
医師の診断書を用意する作成時点の状態を記録に残す
医師に立ち会ってもらう状況により対応してもらえる場合がある
内容をできるだけ単純にする複雑な分け方は理解の確認が難しくなる
作成の様子を記録する専門家の指示に従って行う
早い時間帯に行う体調の良い時間を選ぶ

ただし、これは「専門家と一緒に進める場合」の話です

診断後に自筆で遺言書を書いて自宅に置いておく、という方法はおすすめできません。形式の不備と、意思能力を争われるリスクが重なります。診断を受けたあとで作成を検討する場合は、必ず弁護士・司法書士・公証役場にご相談ください。

判断能力があるうちにやる4つのこと

  1. 遺言書を作る財産の行き先を決めます。相続人が複数いる、子がいない、渡したい相手が決まっている場合は最優先です。公正証書か法務局の保管制度を。
  2. 任意後見契約を結ぶ判断能力が低下したときに支援してくれる人を、自分で選んでおく制度です。公正証書で作成します。結んだ時点では効力が生じないので、元気なうちに結んでも生活は制限されません。
  3. 財産と契約の一覧を作る金融機関名、保険会社、契約しているサービス、不動産、借入。これがないと、支援する人も動けません。
  4. 医療・介護の希望を書く延命治療、最期を過ごしたい場所、誰に決めてほしいか。意思を伝えられなくなったときに、これが唯一の手がかりになります。

2番だけは、他で代替できません

遺言書がなくても法定相続で分かれますし、一覧がなくても時間をかければ調べられます。ところが「誰に支援してもらうか」は、任意後見契約がなければ自分で決められません。判断能力が低下すると、家庭裁判所が選ぶ法定後見になり、選ばれるのが希望した人とは限りません。

任意後見と法定後見の違い

任意後見法定後見
いつ決めるか判断能力があるうち低下したあと
誰が支援者を決めるか本人家庭裁判所
方式公正証書(必須)家庭裁判所への申立て
支援の範囲契約で決めた範囲法律と審判で決まる範囲
開始のしかた監督人の選任で開始審判で開始
誰が申し立てるか本人が契約する親族など。いない場合は市区町村長
費用公正証書の手数料など申立て費用、鑑定費用など

成年後見制度でできること・できないこと

できること

  • 預貯金の管理
  • 年金や給付の受け取り
  • 施設や病院の費用の支払い
  • 介護サービスの契約
  • 不利益な契約の取消し
  • 家庭裁判所の許可を得た不動産の処分

できないこと

  • 医療行為への同意
  • 身元保証人になること
  • 本人に代わって遺言書を書くこと
  • 本人のための贈与や相続対策
  • 日常の介護そのもの
  • 死後の事務(範囲が限られる)

右の列が、いちばん誤解されています

「後見人をつければ全部やってもらえる」と思われがちですが、医療行為への同意も、身元保証も、後見人の役割ではありません。また本人のための相続対策(贈与など)も原則としてできません。後見人は本人の財産を守る立場だからです。だからこそ、判断能力があるうちに自分で決めておく意味があります。後見人の権限については、当サイトの別記事で詳しく扱っています。

不動産が売れなくなるという問題

状況売却の可否
判断能力がある本人の意思で売却できる
判断能力が低下している本人だけでは売却できない
成年後見人がついている(居住用でない)後見人が売却できる場合がある
成年後見人がついている(居住用)家庭裁判所の許可が必要
家族が代わりに売るできない

「施設費用のために家を売る」ができなくなります

施設への入居費用を、自宅を売って用意しようと考えていた——このとき本人の判断能力が低下していると、家族であっても売ることはできません。成年後見人を選任してもらい、居住用不動産なら家庭裁判所の許可を得る必要があります。数か月かかることもあります。資金計画に不動産の売却を組み込んでいる方は、とくに早めの備えが必要です。

一歩手前の選択肢|日常生活自立支援事業

どんな仕組みか社会福祉協議会が、福祉サービスの利用や日常的な金銭管理を援助する事業
対象判断能力に不安があるが、契約の内容は理解できる方
できること福祉サービスの利用手続き、預金の払い戻し、通帳の預かりなど
できないこと不動産の売却、遺言書の作成などの大きな法律行為
費用相談は無料。援助の利用には料金がかかることが多い
窓口お住まいの市区町村の社会福祉協議会

「後見をつけるほどではないが、お金の管理が不安」に効きます

成年後見は本人の権利を大きく制限する制度でもあるため、いきなり後見に進むのではなく、この事業から検討するという道があります。実施の内容は地域によって異なるので、まずお住まいの市区町村の社会福祉協議会にご相談ください。

家族信託という選択肢

比べる点家族信託成年後見
いつ決めるか判断能力があるうち低下したあとでも可
財産の管理託した財産を柔軟に管理・処分できる本人の財産を守ることが中心
不動産の売却信託の内容によっては可能家庭裁判所の許可が要ることがある
身上の保護対象外(財産の話のみ)介護や医療の手続きも担える
裁判所の関与原則なしあり
設計専門家の関与がほぼ必須制度が決まっている

家族信託は「後見の代わり」にはなりません

家族信託で扱えるのは託した財産だけです。介護サービスの契約や施設の手続きといった身上に関することは対象外で、そこは後見の役割になります。両方を組み合わせる設計になることも多く、専門家の関与がほぼ必須です。司法書士・弁護士にご相談ください。

銀行の代理人サービス

  • 多くの金融機関が、あらかじめ代理人を届け出ておける仕組みを用意している
  • 名称は「代理人届」「代理人カード」など、金融機関により異なる
  • 本人の判断能力があるうちに手続きする必要がある
  • できる範囲(出金の上限など)は金融機関により違う
  • 取引のある金融機関それぞれで手続きが必要
  • 認知症に対応した専用のサービスを設けている金融機関もある

これは今日からでも動ける、いちばん手軽な備えです

公正証書を作るのはハードルが高くても、取引のある銀行の窓口で「代理人を届け出たい」と伝えるだけなら、その日のうちに動けます。日々の生活費の出し入れが止まらないだけでも、家族の負担はまったく違います。取扱いは金融機関によって異なるので、窓口でご確認ください。

気づいたときに家族がやること

  • まず医療機関に相談するかかりつけ医、もの忘れ外来、認知症疾患医療センター。判断は必ず医療機関で。
  • 地域包括支援センターに連絡する高齢者の暮らし全般の相談窓口です。無料で、介護以外の相談も受けます。
  • 介護保険を申請する市区町村の窓口へ。認定を受けるまで時間がかかるので早めに。
  • 本人の財産と契約を把握する金融機関、保険、不動産、借入。本人が話せるうちに聞いておきます。
  • できる手続きを急ぐ任意後見契約、代理人の届出、遺言書。可能かどうかは専門家に相談してください。
  • 家族で情報を共有するあとで相続の話になるため、兄弟がいる場合は必ず共有します。

4番を後回しにしないでください

財産と契約の把握は、本人が話せるうちにしかできません。「どこの銀行を使っている?」「保険はどこ?」——これを聞ける時期は限られています。金額を聞く必要はありません。会社名だけで十分です。言いにくければ「手続きのときに困るから」と伝えてください。

受診のきっかけとして知られていること

これは診断の基準ではありません

以下は「相談のきっかけとして挙げられることがある」という程度のもので、あてはまるかどうかで判断できるものではありません。加齢による物忘れや、体調・薬の影響など、原因はさまざまです。気になることがあれば、あてはまるかどうかに関わらず医療機関にご相談ください。

  • 同じことを何度も聞く、話す
  • 約束や予定を忘れることが増えた
  • お金や通帳の管理が難しくなってきた
  • 同じものを何度も買ってくる
  • 身だしなみや家の中の様子が変わった
  • 今までできていた手続きに戸惑うようになった
  • 意欲が落ちた、外出しなくなった

判断は医療機関で行われます。ご家族が気づいた変化は、受診の際に伝える材料として役立ちます。日付とともにメモしておくと、医師に伝えやすくなります。

本人にどう切り出すか

言い方相手の受け取り方
「認知症かもしれないから病院へ」否定され、関係が悪くなりやすい
「健康診断のついでに診てもらおう」受け入れられやすい
「私も一緒に受けるから」抵抗が下がる
「手続きのことを教えておいて」頼られる形になり、話しやすい
「銀行に代理人を出しておこう」実務の話として自然
「もう一人じゃ無理でしょう」最も反発される

「教えておいて」から入るのが、いちばん通ります

「銀行はどこを使っているか教えておいて」「保険はどこか教えておいて」。これは本人を否定しない聞き方で、しかも実際に必要な情報が手に入ります。認知症の話をしなくても、終活の情報は集められます。受診の話は、その後で構いません。

年代別・いつまでに何をしておくか

年代やっておくこと理由
50代財産と契約の一覧を作る親の介護を経験する時期でもある
60代遺言書、銀行の代理人届判断能力に不安のない時期に済ませる
70代任意後見契約、死後事務委任契約ここを過ぎると選べなくなることがある
80代以降できていないものを専門家と確認作れるかどうかを個別に判断してもらう
診断を受けたあとまず専門家に相談。できることは残っている諦める必要はない

70代の行が、この表の分かれ目です

任意後見契約と死後事務委任契約は、「必要になってから」では結べません。必要になった時点で、すでに結べない状態になっているからです。元気なうちに結んでも生活は制限されません。この2つだけは、余裕をもって進めてください。

費用の見通しを立てておく

備え費用の性格
財産と契約の一覧かからない
銀行の代理人届かからないことが多い
自筆証書遺言(法務局保管)保管の手数料
公正証書遺言公証人の手数料(財産額により変わる)
任意後見契約公正証書の手数料+開始後の報酬
死後事務委任契約契約時の費用+実際の事務の費用
成年後見(法定)申立て費用、鑑定費用、後見人の報酬
家族信託設計と契約書作成の費用

※ 金額は事案・財産額・専門家によって異なります。事前に見積もりをご確認ください。

上の2つは無料です。ここから始めてください

財産と契約の一覧を作ることと、銀行に代理人を届け出ることは、費用がかからないか、ごくわずかです。しかも効果は大きい。公正証書が必要なものは、この2つを済ませてから検討すれば十分です。

本人が拒んでいるとき、家族にできること

  • 無理に説得しない。関係が悪くなると、その後の相談ができなくなる
  • 受診の話と、手続きの話を分けて進める
  • 「教えておいて」という頼み方に切り替える
  • 本人が信頼している人(別の家族・かかりつけ医・民生委員)から伝えてもらう
  • 地域包括支援センターに、家族だけで相談してよい
  • すぐ動かなくても、状況を記録しておく(日付つきのメモ)
  • 兄弟がいる場合は、早い段階で共有しておく

家族だけで相談してかまいません

「本人を連れて行かないと相談できない」と思われがちですが、地域包括支援センターは家族だけの相談も受け付けています。本人が拒んでいる段階でこそ、相談する価値があります。どう伝えればよいか、どんな順番で進めるかを、地域の事情を踏まえて教えてもらえます。無料です。

相談できる窓口

窓口相談できること費用
かかりつけ医体調の変化、専門医の紹介保険診療
もの忘れ外来・認知症疾患医療センター専門的な診療保険診療
地域包括支援センター暮らし全般、介護、見守り、後見の相談無料
市区町村の介護保険窓口要介護認定の申請無料
社会福祉協議会日常生活自立支援事業、金銭管理の援助相談は無料
公証役場任意後見契約・公正証書遺言手数料
家庭裁判所の手続案内成年後見の申立て無料
弁護士・司法書士診断後の遺言書、家族信託相談会は無料のことも

よくある質問

認知症になると、終活はできなくなるのですか。
判断能力が低下すると、遺言書・任意後見契約・死後事務委任契約は作れなくなります。不動産の売却、預金の解約、保険の変更、通信の解約も止まります。ただし「診断=すべてできない」ではありません。判断されるのは「その行為をしたときに内容を理解できていたか」です。
診断を受けたあとでも遺言書は作れますか。
作れる場合があります。実際に、診断後に有効な遺言書が作成されている例はあります。ただしあとから争われる可能性が高くなるため、公正証書で作る、医師の診断書を用意するなどの備えが必要です。自筆で書いて自宅に置くのは避けてください。必ず弁護士・司法書士・公証役場にご相談ください。
いちばん優先すべき準備は何ですか。
任意後見契約です。遺言書がなくても法定相続で分かれ、一覧がなくても時間をかければ調べられます。ところが「誰に支援してもらうか」は、任意後見契約がなければ自分で決められません。判断能力が低下すると家庭裁判所が選ぶことになり、希望した人が選ばれるとは限りません。
任意後見契約を結ぶと、すぐに管理されるのですか。
いいえ。結んだ時点では効力が生じません。判断能力が低下してから、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して初めて開始します。元気なうちに結んでも、生活が制限されることはありません。公正証書で作成する必要があります。
後見人をつければ全部やってもらえますか。
いいえ。医療行為への同意も、身元保証人になることも、後見人の役割ではありません。また本人のための贈与などの相続対策も、原則としてできません。後見人は本人の財産を守る立場だからです。だからこそ、判断能力があるうちに自分で決めておく意味があります。
施設の費用のために家を売りたいのですが。
本人の判断能力が低下していると、家族であっても売ることはできません。成年後見人を選任してもらい、居住用不動産の場合は家庭裁判所の許可が必要です。数か月かかることもあります。資金計画に不動産の売却を組み込んでいる方は、とくに早めの備えが必要です。
後見をつけるほどではないのですが、お金の管理が不安です。
社会福祉協議会の日常生活自立支援事業という選択肢があります。福祉サービスの利用手続きや、預金の払い戻し、通帳の預かりなどを援助してもらえます。ただし不動産の売却や遺言書の作成といった大きな法律行為はできません。お住まいの市区町村の社会福祉協議会にご相談ください。
家族信託は後見の代わりになりますか。
なりません。家族信託で扱えるのは託した財産だけで、介護サービスの契約や施設の手続きといった身上に関することは対象外です。そこは後見の役割になります。両方を組み合わせる設計になることも多く、専門家の関与がほぼ必須です。司法書士・弁護士にご相談ください。
今日からできる備えはありますか。
取引のある銀行で「代理人を届け出たい」と伝えることです。多くの金融機関が代理人を届け出ておける仕組みを用意しています。本人の判断能力があるうちに手続きする必要があります。日々の生活費の出し入れが止まらないだけでも、家族の負担はまったく違います。取扱いは金融機関によって異なるので窓口でご確認ください。
親の様子が気になります。まずどこへ相談すればよいですか。
かかりつけ医と、地域包括支援センターの2つです。医学的な判断は必ず医療機関で受けてください。地域包括支援センターは高齢者の暮らし全般の相談窓口で、無料で、介護以外の相談も受け付けています。市区町村の代表電話で担当のセンターを聞けます。
本人が受診を嫌がります。
「健康診断のついでに診てもらおう」「私も一緒に受けるから」という切り出し方が受け入れられやすいといわれます。それでも難しい場合は、受診の話をいったん置いて、「銀行はどこを使っているか教えておいて」から始めてください。本人を否定しない聞き方で、しかも実際に必要な情報が手に入ります。
相続人の中に判断能力が低下した人がいます。
その方が参加できないため、遺産分割協議が成立しません。成年後見人を選任してもらう必要があり、手続きが数か月単位で止まります。これは他の相続人全員に影響します。家庭裁判所の手続案内、または弁護士・司法書士にご相談ください。

まとめ|先送りできない理由は、これひとつです

終活には期限がありません。だから先送りにできます。ただし例外がひとつだけあります。判断能力が低下すると、遺言書も任意後見契約も作れなくなり、不動産の売却も預金の解約も止まるという事実です。

とくに任意後見契約は、他で代替できません。遺言書がなくても法定相続で分かれますが、「誰に支援してもらうか」は、契約がなければ自分で決められません。家庭裁判所が選ぶことになり、希望した人が選ばれるとは限らないのです。

一方で、診断を受けたからといって、ただちにすべてができなくなるわけでもありません。公正証書で作る、医師の診断書を用意する、内容を単純にする。専門家と一緒に進めれば、できることは残っています。諦めずに、まず相談してください。

今日からできることを1つ挙げるなら、取引のある銀行で代理人を届け出ることです。窓口で「代理人を届け出たい」と伝えるだけ。日々の生活費の出し入れが止まらないだけでも、家族の負担はまったく違います。そして体調で気になることがあれば、かかりつけ医と地域包括支援センターへ。どちらも、いちばん最初の相談先です。

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