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介護が始まると、毎月の利用料に加えて手すりの工事やおむつ代など出費が重なります。ただ介護には、払いすぎた分が戻る制度や負担そのものを軽くする制度がいくつもあります。どれも申請しないと受けられません。高額介護サービス費から障害者控除、介護休業給付金まで、申請で戻るお金と軽くなる負担を2026年度の額で1枚の一覧にしました。
結論
- 月の自己負担が上限を超えると高額介護サービス費で戻ります
- 医療費と合わせて1年分を合算して戻る制度もあります
- 住宅改修は工事の前に申請しないと対象外です
- 施設の食費・居住費は負担限度額認定で軽くなります
- 要介護でも障害者控除の認定を受けられる場合があります
- 多くの払い戻しは2年で時効です
目次
- 申請で戻るお金・軽くなる負担の一覧
- 高額介護サービス費
- 高額医療・高額介護合算療養費
- 住宅改修費と福祉用具の購入費
- 施設の食費・居住費を軽くする認定
- 社会福祉法人等の利用者負担軽減
- 障害者控除の認定
- 医療費控除(おむつ代・介護サービス)
- 仕事を休むときの給付金と休暇
- 紙おむつの支給
- 2026年8月に変わったこと
- よく聞かれること
- 申請の前にそろえておくもの
介護で申請すると戻るお金・軽くなる負担の一覧

大きく分けると「払ったあとで戻るもの・最初から負担が軽くなるもの・税金が戻るもの・仕事を休むときのもの」の4種類です。窓口はほとんどが市区町村の介護保険の担当で、税金だけは確定申告で手続きします。
| 名前 | 種類 | 申請先 |
|---|---|---|
| 高額介護サービス費 | 払った分が戻る | 市区町村 |
| 高額医療・高額介護合算療養費 | 払った分が戻る | 加入している医療保険 |
| 住宅改修費 | 工事費の多くが戻る | 市区町村(工事の前) |
| 特定福祉用具購入費 | 購入費の多くが戻る | 市区町村 |
| 負担限度額認定 | 施設の食費・居住費が軽くなる | 市区町村 |
| 社会福祉法人等の軽減 | 利用者負担が軽くなる | 市区町村 |
| 障害者控除の認定 | 税金が軽くなる | 市区町村→確定申告 |
| 医療費控除 | 税金が戻る | 税務署(確定申告) |
| 介護休業給付金 | 休業中の収入 | ハローワーク(勤務先経由) |
高額介護サービス費|月の上限を超えた分が戻る
介護保険サービスの自己負担(1割〜3割)には、所得に応じて月の上限があります。上限を超えて払った分は、市区町村に申請すると介護保険から払い戻されます。施設の食費・居住費や福祉用具の購入費は、この計算には入りません。
| 所得の区分 | 月の上限額 |
|---|---|
| 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円〜690万円未満 | 93,000円(世帯) |
| 住民税課税世帯〜課税所得380万円未満 | 44,400円(世帯) |
| 世帯全員が住民税非課税 | 24,600円(世帯) |
| 非課税で年金収入などの合計が82.65万円以下 | 24,600円(世帯)/15,000円(個人) |
| 生活保護を受けている人など | 15,000円(個人) |
多くの市区町村では、対象になると数か月後に申請書が送られてきます。払い戻しを受ける権利は2年で時効になるので、届いた申請書は早めに返送してください。
高額医療・高額介護合算療養費|1年分の医療と介護を合わせる
毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間に、同じ医療保険の世帯で払った医療費と介護費の自己負担を合計し、年間の上限を超えた分が戻る制度です。月ごとの高額療養費や高額介護サービス費で戻った分は差し引いて計算します。
| 所得の区分 | 70〜74歳・75歳以上の年間上限 |
|---|---|
| 年収約1,160万円〜 | 212万円 |
| 年収約770万〜約1,160万円 | 141万円 |
| 年収約370万〜約770万円 | 67万円 |
| 〜年収約370万円 | 56万円 |
| 住民税非課税世帯 | 31万円 |
| 非課税で年金収入82.65万円以下など | 19万円(介護を使う人が複数なら31万円) |
申請先は、介護保険ではなく加入している医療保険です。国民健康保険や後期高齢者医療なら、翌年の2〜3月ごろに案内が届く市区町村が多くあります。上限を超えた額が500円以下なら支給されません。時効は2年です。
住宅改修費と福祉用具の購入費
住宅改修費(20万円まで)
対象は「手すりの取り付け・段差の解消・床材の変更・引き戸への取り替え・洋式便器への取り替え・それに付帯する工事」の6種類です。1人につき20万円までで、そのうち原則9割(所得により8割・7割)が介護保険から出ます。20万円は何回かに分けて使えます。要介護度が3段階上がったときや引っ越したときは、もう一度20万円の枠ができます。
工事の前に申請する
工事を始めてから申請しても、原則として対象になりません。ケアマネジャーに相談し、理由書をつけて市区町村に事前申請してから工事に入ります。手順は住宅改修費20万円の記事にまとめています。
特定福祉用具購入費(年10万円まで)
腰掛便座・入浴補助用具・簡易浴槽・歩行器・歩行補助つえなど、貸し出しになじまない用具は購入費が支給されます。4月から翌年3月までの1年間で10万円までで、いったん全額を払い、あとで9割(所得により8割・7割)が戻ります。都道府県などの指定を受けた事業者から買ったものに限ります。借りられる用具と買う用具の違いは介護用品の準備リストで確かめられます。
施設の食費・居住費を軽くする負担限度額認定
特別養護老人ホームなどの施設やショートステイでは、食費と居住費が自己負担です。世帯全員が住民税非課税で預貯金が一定額以下の人は、市区町村で負担限度額認定を受けるとこの負担に上限がつきます。
| 段階 | 主な対象 | 預貯金の要件(夫婦) | 食費の上限(日額) |
|---|---|---|---|
| 第1段階 | 生活保護・老齢福祉年金の受給者 | 1,000万円(2,000万円)以下※ | 300円 |
| 第2段階 | 年金収入などの合計が82.65万円以下 | 650万円(1,650万円)以下 | 390円 |
| 第3段階① | 同82.65万円超〜120万円以下 | 550万円(1,550万円)以下 | 680円 |
| 第3段階② | 同120万円超 | 500万円(1,500万円)以下 | 1,420円 |
※生活保護を受けている人に預貯金の要件はありません。食費は施設の場合の額で、ショートステイは別の額です。配偶者と世帯を分けていても、配偶者の課税状況と預貯金は判定に含まれます。施設の種類と費用の違いは老人ホームの種類と費用の記事にあります。
社会福祉法人等による利用者負担軽減
社会福祉法人などが運営する事業所のサービスを使っている、住民税非課税世帯の人が対象です。単身なら年間収入150万円以下・預貯金350万円以下などの条件を満たすと、利用者負担や食費・居住費が原則4分の1軽くなります。実施していない法人もあるので、使っている事業所と市区町村に確かめてください。
要介護でも受けられる障害者控除の認定
障害者手帳がなくても、65歳以上で障害者に準ずると市区町村から認定されれば、障害者控除を受けられます。要介護認定を受けただけでは対象にならず、市区町村に「障害者控除対象者認定書」を申請します。
| 区分 | 所得税の控除額 |
|---|---|
| 障害者 | 27万円 |
| 特別障害者 | 40万円 |
| 同居の特別障害者 | 75万円 |
認定の基準は市区町村ごとに決めています。たとえば江東区では、要介護4・5の人や、要介護1〜3で認知症や寝たきりの程度が一定以上の人を対象にしています。本人だけでなく、扶養している家族の税金も軽くなることがあります。認定書は確定申告で使います。
医療費控除|おむつ代と介護サービスの費用
おおむね6か月以上寝たきりで医師の治療を受けている人のおむつ代は、医療費控除の対象です。医師の「おむつ使用証明書」が必要ですが、要介護認定の主治医意見書の内容を市区町村が確認した書類で代えることもできます。
介護サービスの費用も、一部は医療費控除の対象です。
- 特別養護老人ホーム:介護費・食費・居住費の自己負担の2分の1
- 介護老人保健施設・介護医療院:自己負担の全額
- 訪問看護や通所リハビリなどの医療系サービス:自己負担
- 訪問介護やデイサービス:医療系サービスと一緒に使った場合だけ(生活援助中心の訪問介護は除く)
医療費控除は、1年間の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満なら所得の5%)を超えた分が対象です。高額介護サービス費で戻った分は差し引いて計算します。
仕事を休むときの介護休業給付金と介護休暇
家族の介護のために会社を休む場合、雇用保険の介護休業給付金が出ます。額は休業前の賃金の67%で、同じ家族について通算93日まで、3回に分けて受け取れます。対象の家族は、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です。申請は原則として勤務先がハローワークに行います。
通院の付き添いなどで短く休みたいときは、介護休暇が使えます。1年度に5日(介護する家族が2人以上なら10日)まで取れ、1時間単位でも取れます。会社は申し出を断れません。
紙おむつの支給は市区町村ごとに違う
在宅で介護を受けている人に紙おむつを支給したり、購入費を助成したりする市区町村があります。国の方針で、以前から実施していた市区町村に限って続けられている事業で、実施しているかどうかも条件も市区町村ごとです。八王子市では、65歳以上・要介護1以上・世帯全員が非課税の在宅の人に、月1回紙おむつを配達しています。住んでいる市区町村の高齢者福祉の窓口で確かめてください。
2026年8月に変わったこと、検討中のこと
2026年8月から、低所得の区分を分ける基準額が80.9万円から82.65万円に上がりました。高額介護サービス費と負担限度額認定の区分に関わります。あわせて施設の食費の基準額が上がり、第3段階の食費・居住費の上限も上がっています。
介護保険の自己負担を2割にする人の範囲を広げる話は、2026年10月の時点ではまだ決まっていません。2027年度からの次の計画期間が始まる前までに結論を出すとされています。
介護で戻るお金についてよく聞かれること
- 高額介護サービス費の申請書が届きません
- 上限を超えていないか、支給額が少ない場合は送られないことがあります。心当たりがあれば市区町村の介護保険の窓口に問い合わせてください。
- 亡くなったあとでも請求できますか
- 相続人などが請求できる場合があります。手続きは市区町村によって違うので、窓口で確かめてください。
- 住宅改修を先にしてしまいました
- 原則は事前申請ですが、やむを得ない事情があれば工事後の申請を認める市区町村もあります。領収書を捨てずに、すぐ相談してください。
- 世帯を分けると負担限度額認定を受けやすくなりますか
- 負担限度額認定では、世帯を分けた配偶者の所得と預貯金も判定に含まれます。配偶者がいる場合、世帯を分けても結果は変わりません。
- 障害者控除は過去の年の分も受けられますか
- 認定書で対象になる年や、過去の分をさかのぼれるかは、市区町村と税務署で確かめてください。
- 介護休業は93日続けて取らないといけませんか
- 3回まで分けて取れます。給付金も休業した日数に応じて出ます。
申請の前にそろえておくもの
どの申請でも、介護保険被保険者証・負担割合証と、サービスの領収書を求められることが多くあります。領収書は医療費控除にも使うので、月ごとにまとめて保管しておくと、確定申告のときに困りません。
どの制度が使えるかは、ケアマネジャーに聞くといちばん早く分かります。「負担を軽くする制度で使えるものはありますか」と一言聞いてください。
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本記事は、厚生労働省・国税庁・ハローワーク・各市区町村が公表している2026年10月時点の情報をもとに、一般的な内容を整理したものです。上限額や負担の割合は所得や世帯の状況で変わり、制度も改正されることがあります。認定の基準や申請の方法は市区町村によって異なる場合があります。実際の手続きでは、市区町村の介護保険の窓口・加入している医療保険・ハローワークの案内を確かめてください。税金に関わる判断は、税務署や税理士にご相談ください。























