在宅介護の入浴・排泄がつらい|家族が抱えずに使えるサービス

本ページはプロモーションが含まれている場合があります。

在宅介護のなかでも、家族の負担が重くなりやすいのが入浴と排泄の介助です。毎日のことで、時間も選べず、体を支える場面が続きます。

先に結論を書きます。この2つは、家族が全部やらなければならないものではありません。介護保険には、入浴そのものを事業者に任せるサービスも、夜間の排泄に対応するサービスもあります。使うことは、制度がもともと想定している使い方です。

この記事では、介助の手順ではなく「負担をどう減らすか」をまとめました。体の支え方や移乗のしかたは、文章で読んで真似すると事故につながるため扱いません。そこは専門職に教わる領域です。

この記事でわかること

  • 入浴と排泄の介助が、家族に抱え込まれやすい理由(厚生労働省のデータ)
  • 夜間の排泄が「在宅を続けられるかの分かれ目」とされていること
  • 入浴を任せる方法(訪問入浴介護・デイサービスの入浴)
  • 夜間の排泄に対応するサービスと、環境の整え方
  • 皮膚の変化に気づいたときに相談する先
  • 一人で抱えないための相談先(地域包括支援センター・ケアマネジャー)と制度

入浴・排泄の介助は、家族が抱え込みやすい

厚生労働省の調査では、要介護の人と主な介護者が同居しているケースが45.9%を占めます。要介護度が上がるほど介護に使う時間は長くなり、要介護3以上では介護時間が「ほとんど終日」という人がいちばん多い区分になります。

介護する側も高齢である場合が増えています。

要介護者等と同居の主な介護者の年齢の組合せ(令和4年)割合
60歳以上同士77.1%
65歳以上同士63.5%
75歳以上同士35.7%

いずれも上昇傾向にあります。体を支える介助を、支えるほうも高齢という条件で続けている家庭が多いということです。

そして、家族が不安を感じる介助には偏りがあります。厚生労働省が全国の「在宅介護実態調査」を集計した資料(第10期介護保険事業計画作成に向けた説明会の資料4)では、要介護3以上で不安が大きい介助は「夜間の排泄」が35.6%、「認知症状への対応」が35.4%と、この2つが並んで高くなっています。

「現在の生活を継続していくにあたって、主な介護者の方が不安に感じる介護」について、要介護3以上では、特に「認知症状への対応」と「夜間の排泄」について、主な介護者の不安が大きい傾向がみられました。したがって、要介護3以上では、主な介護者が「在宅生活の継続が困難」と判断する特に重要なポイントとして、「認知症」と「(夜間の)排泄」の2点が挙げられると考えられます。

出典:厚生労働省「在宅介護実態調査について」(令和7年8月8日・PDF・約2.3MB)厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」(PDF)

つまり夜間の排泄は、気の持ちようの問題ではありません。厚生労働省の調査資料でも、在宅生活を続けるうえで特に重要なポイントの一つとして挙げられています。つらいと感じるのは当然のことだといえます。

なぜ入浴・排泄の介助は負担が重いのか

同じ介助でも、入浴と排泄には他と違う条件が重なります。

入浴の介助排泄の介助
頻度毎日ではなくても、1回にかかる時間が長い1日に何度も。夜間も起きる
時間準備と後片づけを含めると時間がかかる待ったなし。都合に合わせられない
体への負担濡れて滑る場所で体を支える起こす・立たせる動作が繰り返される
その他脱衣所と浴室の寒暖差にも注意が要る失敗したときの後始末が加わる

とくに排泄は、夜間に何度も起こされることで、介護する側のまとまった睡眠が失われます。翌日も介護は続くため、疲れが抜けないまま次の日を迎えることになります。

排泄の介助が起こるタイミング(例) 夜間 夜間 0時 6時 12時 18時 24時 夜間の介助。ここで睡眠が切れる 日中の介助 日中だけを見ると回数は多くありませんが、夜間に起きる分がそのまま睡眠不足になります。

入浴のほうは、寒い脱衣所と浴室で衣服を脱ぐことによる血圧の変動にも気を配る必要があります。介助する側が付き添っていても起こりうるため、脱衣所と浴室の温度差を小さくする対策とあわせて考えてください。

体を支える動作は、自己流で続けない

起こす、立たせる、浴槽をまたがせるといった動作は、やり方を誤ると介助する側が腰を痛め、される側も転倒します。文章や動画を見よう見まねで続けず、ケアマネジャーに相談して、理学療法士・作業療法士や訪問看護師など専門職から実際に動作の指導を受けてください。福祉用具を1つ挟むだけで力の使い方が変わることもあります。

「自分でやらなきゃ」を手放す|入浴は任せてよい

入浴介助がつらいと感じたとき、外部のサービスを使うことに後ろめたさを覚える方は少なくありません。ただ、これは気持ちの問題として片づけられません。

介護保険のサービスは、その定義に「家族の介護の負担軽減」が目的として書かれています。手が回らないから仕方なく使うものではなく、そのために作られた制度だということです。

通所介護は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、また、利用者の社会的孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。

出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「通所介護(デイサービス)」

入浴を任せる方法は、大きく2つあります。

方法どんなサービスか対象向いている場面
訪問入浴介護看護職員と介護職員が自宅を訪問し、持参した浴槽で入浴の介護を行う要支援1・2/要介護1〜5浴室まで移動するのが難しい/自宅の浴槽では体を支えきれない
デイサービス
(通所介護)での入浴
施設に通い、食事や入浴などの支援を受ける。送迎も含まれる要介護1〜5外出できる状態で、日中に預けたい/本人の気分転換にもしたい

※ここでいう通所介護(デイサービス)は要介護1〜5が対象です。要支援1・2の方は、市区町村が実施する総合事業の通所型サービスなどについて地域包括支援センターへお尋ねください。一方、訪問入浴介護は要支援1・2の方も対象で、その場合は介護予防のサービスとして提供されます。

訪問入浴介護は、看護職員と介護職員が訪問するのが特徴です。デイサービスは入浴だけでなく、その時間ぶん家族が介護から離れられるという意味も持ちます。通所リハビリテーションや認知症対応型通所介護でも入浴の支援を受けられる場合があります。

どちらもケアプランに組み込むサービスです。利用者負担は原則として費用の1割から3割で、要介護度ごとの支給限度額の範囲で、他のサービスと合わせて組み立てます。何をどれだけ使うかは、ケアマネジャーと相談して決めます。

夜間の排泄をどう乗り切るか

前述のとおり、夜間の排泄は在宅を続けられるかの分かれ目とされる2点の一つです。ここは家族の頑張りだけで解決しようとしないほうがよい領域です。手は3方向あります。

スポンサーリンク

① 夜間に来てもらう

介護保険には、夜間そのものを対象にしたサービスがあります。

サービス内容
夜間対応型訪問介護夜間帯(18〜8時)に定期的な訪問を受け、排泄の介助や安否確認を受けられる。転落して起き上がれないときや体調が急に悪くなったときに呼べる「随時対応」もある
定期巡回・随時対応型訪問介護看護24時間365日、定期的な巡回と随時の通報対応。訪問介護員だけでなく看護師なども連携する

出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「夜間対応型訪問介護」同「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」

この2つは、地域によって事業所の有無が異なります。住んでいる市区町村に提供する事業所がなければ利用できません。利用できる地域かどうかは、ケアマネジャーか地域包括支援センターにお尋ねください。どちらも要支援1・2の方は対象外と定められています。

② 動線と道具を見直す

トイレまでの距離が長いほど、1回ごとの移動介助の負担が大きくなり、転倒の危険も高まります。寝室のそばにポータブルトイレを置く、尿器を使うといった方法で、夜間に移動する距離そのものを短くできます。据え置き型の手すりやポータブルトイレは介護保険の対象になる場合があるため、買う前に借りられる用具と自費で買う物の一覧を見ておくと無駄がありません。

廊下やトイレに手すりを取り付ける、段差をなくすといった工事は住宅改修の制度が使えます。上限や申請の順番は介護保険の住宅改修費と申請の流れにまとめています。

スポンサーリンク

③ 消耗品を切らさない仕組みを作る

夜用の大容量パッドやおしりふきは、切らすと一晩で困る種類の物です。まとめ買いが向いていますが、体調でサイズや必要量が変わるため、最初は少量で試すほうが無駄がありません。

サイズと吸水量の選び方、そして介護保険で借りられる物と自費で買う物の切り分けは、別の記事で詳しく扱っています。夜のあいだに何度も替える時期は、まとめて届くようにしておくと買いに行く時間を作らずに済みます。

排泄の失敗が増えたときに、決めつけないこと

間に合わないことが増えたとき、原因は認知症だけとはかぎりません。服用している薬の影響、前立腺や膀胱の病気、トイレまでの距離、着脱しにくい衣服など、理由はさまざまです。まずはかかりつけ医に、いつからどう変わったかを伝えて相談してください。原因に応じた治療や環境調整で、介助の負担が変わることもあります。

皮膚の変化に気づいたときの相談先

おむつやパッドを使う時間が長くなると、蒸れや圧迫で皮膚が弱くなることがあります。赤み、ただれ、皮がむけている、同じ場所がずっと赤いままといった変化は、早い段階で専門職に見てもらう対象です。

変化が続くときは、自己判断で済ませない

皮膚のトラブルは医療の判断が要る領域です。赤みが続く、ただれる、皮がむける、同じ場所の赤みが消えないといった変化は、自己判断で市販薬を使い続けず、訪問看護師や医師へ相談してください。床ずれは進むと治りにくくなるため、気づいた時点で見てもらうほうが結果的に負担が小さくなります。

訪問看護は介護保険や医療保険で使えるサービスで、自宅で看護師に見てもらえます。すでにケアマネジャーがついている場合は、ケアプランに組み込めるかを聞けます。おむつやパッドの選び方についても、専門職のほうが具体的に助言できます。

一人で抱えないための相談先と制度

厚生労働省の家族介護者支援マニュアルは、誰にも相談できず一人で抱え込むと、介護する側とされる側が共倒れになる懸念があるとしています。相談先は決まっています。

どこに相談するか

  • まだ介護保険を使っていない/要支援の場合…お住まいの地域包括支援センター。介護保険の入口の窓口です
  • すでに要介護認定を受けている場合…担当のケアマネジャー(介護支援専門員)。サービスの追加や変更はここから動きます

同マニュアルでも、地域包括支援センターが支援の中心となり、ケアマネジャーがその重要な担い手にあたるとしています。要介護認定をまだ受けていない場合は、訪問調査で聞かれることと家族が渡すメモにまとめています。

相談するときは、用具やサービスの名前ではなく困っている場面を具体的に伝えると話が早く進みます。「夜中に2回起こされて眠れていない」「浴槽をまたぐときに支えきれない」といった伝え方です。どのサービスが合うかは専門職のほうが詳しく知っています。

介護する側が休むための制度

介護者が休むために一時的にサービスを使う考え方をレスパイト(介護者の休息)と呼びます。その代表がショートステイ(短期入所生活介護)です。

短期入所生活介護の対象者の条件として、厚生労働省は次を挙げています。

  • 利用者の心身の状況や病状が悪い場合
  • 家族(介護者)の疾病、冠婚葬祭、出張
  • 家族(介護者)の身体的・精神的負担の軽減 など

出典:厚生労働省 介護サービス情報公表システム「短期入所生活介護(ショートステイ)」

介護者の負担を軽くすることが、条件として正面から書かれています。特別な事情がなくても使えます。連続して利用できるのは30日までとされています。

ただし、地域によっては予約が取りにくく、希望した日に空きが見つからない場合もあります。使いたい時期が決まっているなら、直前ではなく早めにケアマネジャーへ伝えておくほうが確実です。年末年始や連休は特に混み合います。

眠れない日が続いている、気持ちに余裕がなくなってきたと感じるときも、そのまま伝えて構いません。それも相談の材料になります。

相談先は介護のサービスだけではありません。口の中や入れ歯のことで困っているときは、歯科に来てもらう方法があります。通院が難しくなっても、疾病や心身の状態などにより通院が困難な人は歯科訪問診療の対象になります。詳しくは高齢者の口腔ケア|歯科に通えなくなったら誰に頼む?にまとめています。

家族が離れて暮らす場合にできること

実家から離れていると、介助を代わることはできません。それでも、主に介護している人の負担を軽くする方法はあります。

  • 離れて暮らす家族が費用を分担する…外部サービスの利用料や消耗品の代金を引き受ける。主介護者の経済的な負担が減り、サービスを使う判断もしやすくなります
  • 離れて暮らす家族が消耗品を定期的に送る…パッドやおしりふきを買いに行く時間を作らずに済みます
  • 帰省したときに、家族が夜を代わる…1晩でも主介護者がまとめて眠れる時間ができます
  • ケアマネジャーとの面談に電話で同席する…サービス担当者会議に遠隔で参加できる場合があります。主介護者が一人で決めずに済みます
  • 帰省時に、親と一緒に浴室とトイレを見る…脱衣所の寒さや夜のトイレまでの動線は、実際に見ないと分かりません

「大丈夫」と言っていても具体的に何が困っているかを聞き、引き受ける役割をはっきり伝えるほうが、双方とも動きやすくなります。

費用をどう分担するか、消耗品をどう届けるかは遠距離介護の仕送り|現金と現物、親に届くのはどちら?で扱っています。送る量の決め方に加えて、別の住所へ送るときに代金引換が選べないといった、注文の前に知っておきたい条件も載せています。

よくある質問

Q. 訪問入浴やデイサービスの入浴を使うのは、手抜きになりませんか?

手抜きにはあたりません。厚生労働省は通所介護について「家族の介護の負担軽減など」を目的の一つとして挙げており、短期入所生活介護でも対象者の条件に「家族(介護者)の身体的・精神的負担の軽減」が示されています。家族の負担を軽くすることは、制度がもともと想定している使い方です。

Q. 夜中に何度も起こされて眠れません。使えるサービスはありますか?

夜間帯に定期的な訪問を受けられる「夜間対応型訪問介護」や、24時間365日対応の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」があります。ただし地域によって事業所の有無が異なり、要支援1・2の方は対象外とされています。利用できるかどうかは、ケアマネジャーか地域包括支援センターに確認してください。

Q. 排泄の失敗が増えました。認知症が進んだのでしょうか?

そうとは限りません。服用している薬の影響、前立腺や膀胱の病気、トイレまでの距離、着脱しにくい衣服など、原因はさまざまです。いつからどのように変わったかを整理して、まずはかかりつけ医に相談してください。原因に応じた治療や環境調整で、介助の負担が変わることもあります。

Q. 床ずれのような赤みがあります。市販の薬で様子を見てよいですか?

皮膚のトラブルは医療の判断が要る領域です。赤みが続く、ただれる、皮がむける、同じ場所の赤みが消えないといった変化は、自己判断で市販薬を使い続けず、訪問看護師や医師へ相談してください。床ずれは進むと治りにくくなるため、早い段階で見てもらうほうが結果的に負担が小さくなります。

Q. ショートステイはどのくらい使えますか?

連続して利用できるのは30日までとされています。どのくらいの頻度で使えるかは、要介護度ごとの支給限度額の範囲で、他のサービスと合わせてケアプランの中で決めます。地域によっては予約が取りにくいため、使いたい時期が決まっているなら早めにケアマネジャーへ相談してください。

Q. 離れて暮らしていて、何を手伝えばよいか分かりません。

外部サービスの利用料や消耗品の代金を分担する、パッドやおしりふきを定期的に送る、帰省したときに夜を代わる、ケアマネジャーとの面談に電話で同席する、といった役割があります。介助そのものを代われなくても、主に介護している人の負担は変わります。費用の分担と消耗品の送り方は遠距離介護の仕送りで詳しく扱っています。

まとめ

  • 入浴と排泄の介助は、毎日・時間が選べない・体を支えるという条件が重なり、家族の負担が重くなりやすい
  • 要介護3以上では、「認知症状への対応」と並んで「夜間の排泄」への不安が大きいとされ、在宅を続けられるかの分かれ目の2点に挙げられている
  • 入浴は任せてよい。訪問入浴介護は看護職員と介護職員が浴槽を持参して自宅で介助し、デイサービスでも入浴の支援を受けられる
  • 夜間の排泄は①夜間に来てもらう ②動線と道具を見直す ③消耗品を切らさない仕組みを作るの3方向で減らす
  • ただし夜間対応型訪問介護と定期巡回は、地域によって事業所の有無が異なる。使えるかはケアマネジャーへ確認する
  • 体を支える動作は自己流で続けず、専門職から指導を受ける
  • 皮膚の変化と排泄の変化は自己判断しない。訪問看護師・医師・かかりつけ医へ
  • 相談先は地域包括支援センター(未利用・要支援)とケアマネジャー(要介護)。用具名ではなく困っている場面を伝える
  • レスパイト(介護者の休息)としてショートステイを使ってよい。予約は早めに相談する

介護を続けられるかどうかは、頑張りの量では決まりません。入浴を任せ、夜間に来てもらい、休む日を作る。そのための制度があります。まずは担当のケアマネジャーか地域包括支援センターに、いま何がいちばんつらいかを伝えるところから始めてください。

本記事は一般的な情報をまとめたものです。介助の方法、皮膚や排泄の変化への対応は、ケアマネジャー、訪問看護師、かかりつけ医など専門職にご相談ください。介護保険で使えるサービスは要介護度によって異なり、事業所の有無や利用条件にも地域差があります。統計は厚生労働省の「2022(令和4)年国民生活基礎調査」と、令和7年に公表された「在宅介護実態調査について」などをもとにしています。

おすすめの記事